「耳を塞がないイヤホンは音が軽い」「低音がスカスカで音楽を楽しめない」
オープンイヤー型イヤホンに対して、このようなイメージをお持ちではないでしょうか。
周囲の音を聞きながら音楽を楽しめる快適さは魅力的ですが、音質を妥協したくないという悩みは多くのユーザーが抱えています。
そんな常識を覆すべく登場したのが、Xiaomi OpenWear Stereo Proです。
この記事では、音響機器に詳しいプロの視点から、その実力を徹底的に分析しました。
常識外れのドライバー構成が生み出す音質から、独自機能の使い勝手まで、購入前に知っておくべき情報を余すところなく解説します。
Xiaomi OpenWear Stereo Proのレビュー結論:オープンイヤー型最強の音質か?
結論:音質重視なら間違いなく「買い」の最高峰モデル
結論から申し上げますと、Xiaomi OpenWear Stereo Proは「オープンイヤー型でも音質には一切妥協したくない」という方にとって、間違いなく「買い」のモデルです。
これまでのオープン型イヤホンは、構造上どうしても低音が逃げやすく、迫力に欠ける傾向がありました。
しかし、本機はその弱点を物理的なドライバー構成の強化によって克服しています。
まるでカナル型(耳栓型)イヤホンで聴いているかのような音の厚みと解像感を実現しており、現時点でのオープンイヤー型市場においてトップクラスの音質性能を誇ります。
音楽鑑賞をメイン用途として耐えうる「ながら聴きイヤホン」を探しているなら、最有力候補となるでしょう。
Xiaomi OpenWear Stereo Proのスペック・特徴・価格一覧表
製品の基本スペックを以下にまとめました。
特にドライバー構成の豪華さは特筆すべき点です。
| 項目 | 詳細スペック |
| 製品名 | Xiaomi OpenWear Stereo Pro |
| 価格 | 約19,980円(税込) |
| 形状 | 耳掛け式オープンイヤー型 |
| ドライバー構成 | 18x11mmダイナミック型 + バランスドアーマチュアx2 + ピエゾセラミックツイーター + 音漏れ低減ドライバー |
| Bluetooth | Ver 5.4 |
| 対応コーデック | SBC / AAC / LDAC / LHDC 5.0 |
| 再生時間 | イヤホン単体:約8.5時間 / ケース込み:約45時間 |
| 充電 | USB Type-C / 急速充電対応(10分で2時間再生) |
| 防水防塵 | IP54 |
| 重量 | イヤホン:約9.7g / ケース:約52.5g |
| マルチポイント | 対応(2台同時接続) |
前作「Xiaomi OpenWear Stereo」からの進化ポイントとは
Xiaomi OpenWear Stereo Proは、スタンダードモデルである「Xiaomi OpenWear Stereo」の上位版として位置づけられています。
最大の進化点は、やはりドライバー構成です。
スタンダードモデルが大型ダイナミックドライバー1基であるのに対し、Proモデルは「ダイナミック+BA(バランスドアーマチュア)2基+ピエゾツイーター」という、有線の高級イヤホンでも珍しいハイブリッド構成を採用しました。
これにより、低音の量感だけでなく、ボーカルの明瞭さや高音域の繊細な表現力が劇的に向上しています。
また、ケースの素材感も高級なレザー調に変更され、所有する満足感を高めるデザインへと進化しました。
音質レビュー:常識破りの5ドライバー構成とHarmanチューニングの実力
低音から高音まで:1DD+2BA+ピエゾ構成がもたらす圧倒的な解像度
本機の最大の特徴は、オープンイヤー型としては異例のマルチドライバーシステムにあります。
低音域を担当する18x11mmの大型ダイナミックドライバーに加え、中高音域を担うバランスドアーマチュアドライバーを2基搭載。
さらに、超高音域を補完するピエゾセラミックツイーターまで搭載しています。
実際に聴いてみると、オープン型とは思えないほど引き締まった低音が鼓膜を揺らします。
同時に、BAドライバーとピエゾ由来のきらびやかな高音が分離良く聴こえるため、音が団子にならず、楽器一つ一つの音が明確に聞き取れます。
「ながら聴き」用としてだけでなく、じっくり音楽鑑賞に没頭できるレベルの解像度を実現していると言えるでしょう。
音漏れはする?進化した「音漏れ低減ドライバー」の効果を検証
オープンイヤー型で最も懸念されるのが「音漏れ」です。
Xiaomi OpenWear Stereo Proは、音楽再生用のドライバーとは別に、独立した「10mm音漏れ低減ドライバー」を搭載しています。
これは、漏れ出る音に対して逆位相の音波(逆の波形の音)をぶつけることで、音を打ち消す技術です。
検証の結果、静かな室内で隣に座っている場合でも、常識的な音量であれば音漏れはほとんど気にならないレベルまで低減されています。
Xiaomiの公称値では、従来比で音漏れ防止効果が60%向上しているとされており、図書館のような極端に静かな場所以外であれば、オフィスやカフェでも安心して使用可能です。
Harman AudioEFXチューニングとEQプロファイルによる音の変化
本機は、Samsung傘下のオーディオブランド「Harman(ハーマン)」のGolden Earチームと共同でチューニングが行われています。
専用アプリ「Xiaomi Earbuds」から、「Harman AudioEFX」などのEQ(イコライザー)プロファイルを選択可能です。
デフォルト設定でもバランスは良いですが、「Harman Master」などを選択すると、低音の深みと高音の伸びが一気に強化され、いわゆる「ドンシャリ」傾向の元気なサウンドに変化します。
曲のジャンルや好みに合わせて、プロが調整した質の高いサウンドプリセットを切り替えられるのは大きなメリットです。
空間オーディオ(360°ヘッドトラッキング)とLDAC接続の評価
高音質コーデック「LDAC」に対応しており、Androidスマートフォンなどではハイレゾ相当のデータ転送が可能です。
オープンイヤー型でLDACに対応している機種はまだ少なく、ワイヤレスでも情報量の多い濃密なサウンドを楽しめます。
また、360°ヘッドトラッキング機能付きの空間オーディオにも対応しています。
顔の向きを変えても音の定位が固定されるため、まるでスピーカーで聴いているような臨場感を味わえます。
ただし、注意点としてLDACと空間オーディオ機能は同時には使用できない仕様となっている場合が多く、どちらを優先するかを選択する必要があります。
装着感とデザイン:長時間使用やスポーツでの快適性は?
装着感:液体シリコンと形状記憶チタン合金によるフィット感
イヤーフック部分には、肌触りの良い液体シリコン素材が採用されています。
内部には0.6mmの超薄型形状記憶チタン合金ワイヤーが通っており、柔軟性と適度なホールド力を両立しています。
耳に掛けるというよりは、耳の形状に沿って優しく添わせるような感覚です。
長時間装着していても耳が痛くなりにくく、装着していることを忘れてしまうほどの軽快さを実現しています。
デザイン:高級感あるレザー調ケースと本体の質感・サイズ感
充電ケースの外装には「ナノテクヴィーガンレザー」が使用されており、一般的なプラスチックケースとは一線を画す高級感があります。
手触りも良く、指紋が目立ちにくいのも実用的なポイントです。
ただし、ケースのサイズはやや大きめです。
一般的な完全ワイヤレスイヤホンと比較すると面積が広く、ズボンのポケットに入れると存在感があります。
イヤホン本体は光沢のあるメタリック仕上げとマットなシリコンの組み合わせで、洗練されたデザインに仕上がっています。
運動中やメガネ着用時でもズレない安定性はあるか
人間工学に基づいた3点支持設計により、安定感は非常に高いです。
ランニングやジムでのトレーニング程度であれば、激しく動いてもズレたり落下したりする心配はほとんどありません。
また、イヤーフックが細めに設計されているため、メガネやサングラスのツルと干渉しにくいのも嬉しいポイントです。
メガネユーザーでも痛みを感じることなく併用できるでしょう。
機能性と操作性:独自機能「録音」やアプリの使い勝手
業界でも珍しい「録音機能」:ケースやイヤホン単体での実用性
本機には、他のイヤホンには見られないユニークな機能として「録音機能」が搭載されています。
ケースのボタン操作やイヤホンのタップ操作で、周囲の音声や通話内容を録音し、イヤホン内部のストレージに保存できます。
録音したデータはアプリ経由でスマートフォンに転送可能です。
ただし、マイク性能はボイスレコーダー専用機ほどではないため、あくまでメモ代わりや、緊急時の記録用として割り切って使うのが良いでしょう。
自分用のボイスメモとしては十分に実用的です。
操作性:タッチコントロールのカスタマイズと反応感度
イヤホン側面(ロゴ部分)がタッチセンサーになっており、再生・停止、曲送り、音量調整などの操作が可能です。
専用アプリ「Xiaomi Earbuds」を使用すれば、シングルタップ、ダブルタップ、トリプルタップ、長押しといったジェスチャーに好みの機能を割り当てることができます。
タッチ感度は良好ですが、装着位置を直そうとした際に誤反応することがあるため、シングルタップは「機能なし」に設定しておくとストレスなく使用できます。
接続性:Bluetooth 5.4とマルチポイント・LDACの併用について
最新のBluetooth 5.4に対応しており、接続の安定性は非常に高いです。
また、2台のデバイスに同時接続できる「マルチポイント機能」を搭載しています。
特筆すべきは、高音質コーデックである「LDAC」とマルチポイント機能を併用できる点です。
他社製品ではLDACをオンにするとマルチポイントが使えなくなるケースも多い中、高音質と利便性を両立している点は高く評価できます。
バッテリー持ち:LDAC使用時の再生時間と急速充電の実力
イヤホン単体で最大8.5時間、ケース込みで最大45時間というロングバッテリーを実現しています。
ただし、これはAAC接続時の数値であり、消費電力の大きいLDAC接続で使用した場合は、再生時間が短くなる傾向があります。
実使用ではLDAC接続で4時間〜5時間程度が目安となりますが、急速充電に対応しているため、10分の充電で約2時間使用可能です。
こまめにケースに戻せば、バッテリー切れで困ることはほとんどないでしょう。
Xiaomi OpenWear Stereo Proの良い評判と悪い口コミまとめ
良い口コミ:オープン型とは思えない「音の厚み」と「装着の楽さ」
実際に購入したユーザーからは、やはり音質に対する高評価が多く見られます。
「今まで使ったオープンイヤー型の中で一番音が良い」
「低音がしっかり出ていて、音楽を聴くのが楽しい」
といった声が多数です。
また、装着感についても「一日中着けていても痛くならない」「耳を塞がないので蒸れない」といった快適性を評価する声が目立ちます。
悪い口コミ・注意点:ケースの大きさやアプリ機能の制限について
一方で、ネガティブな意見としてはケースのサイズ感が挙げられます。
「ケースが大きくて持ち運びに少し不便」
「ヒンジ(蝶番)部分が少し頼りない感じがする」
といった指摘があります。
また、アプリのイコライザー機能に関しては、プリセットから選ぶ形式となっており、周波数帯域ごとの細かい手動調整(カスタムEQ)ができない点に不満を感じるユーザーもいるようです。
購入前に知っておくべき高音域や遅延に関するリアルな評価
音質は非常に高いレベルですが、一部のレビューでは「低音の迫力に比べて、高音域の伸びがもう少し欲しい」という意見もあります。
このあたりはHarmanチューニングによる好みの差が出る部分かもしれません。
また、動画視聴時の遅延については、YouTubeやNetflixなどでは気にならないレベルに補正されますが、音ゲーなどのシビアなタイミングを要求されるゲームでは、若干の遅延を感じる可能性があります。
ゲームモードのような超低遅延機能は搭載されていない点には注意が必要です。
ライバル機種比較:ShokzやHuawei FreeClipとどう違う?
音質特化のXiaomi vs 快適性特化の競合モデル
オープンイヤー型市場の代表格である「Shokz OpenFit」や「Huawei FreeClip」と比較すると、Xiaomi OpenWear Stereo Proの立ち位置が明確になります。
ShokzやHuaweiの製品は、装着感の軽快さやファッション性において非常に優れています。
一方で、Xiaomi OpenWear Stereo Proは、ドライバー構成の豪華さが示す通り「音質」に全振りしたような設計思想です。
「着け心地はどれも良いが、とにかく良い音で聴きたい」というニーズに対しては、Xiaomiが一歩リードしています。
コスパ比較:2万円以下の価格設定は高いか安いか
競合となるハイエンドのオープンイヤー型イヤホンは、2万円台後半から3万円台の価格設定が一般的です。
その中で、これだけのマルチドライバーを搭載し、LDACやレザー調ケースなどの付加価値を備えながら約2万円という価格設定は、驚異的なコストパフォーマンスと言えます。
Xiaomiらしい「価格破壊」とも言える戦略的なプライシングであり、機能と価格のバランスを考えれば「安い」と判断できます。
まとめ:Xiaomi OpenWear Stereo Pro レビュー解説
Xiaomi OpenWear Stereo Proは、オープンイヤー型の利便性と、高級イヤホンの音質を見事に融合させた意欲作です。
最後に、このモデルの特徴をまとめました。
- オープンイヤー型とは思えない重厚な低音とクリアな高音を実現
- 1DD+2BA+ピエゾという常識外れの5ドライバー構成を搭載
- Harman監修のチューニングで、リッチなサウンドを楽しめる
- 独自の音漏れ低減技術により、オフィスでも使いやすい
- 高級感のあるレザー調ケースは所有欲を満たしてくれる
- LDACコーデック対応でハイレゾ相当の高音質再生が可能
- マルチポイント機能でスマホとPCの同時接続が便利
- ケースがやや大きいため、持ち運びには少し工夫が必要
- アプリのEQはプリセット選択のみで、手動の微調整は不可
- 約2万円という価格は、性能を考慮すると非常にコスパが高い
