「Wi-Fi 6対応ルーターに買い替えた方がいいのかな」「でも、Wi-Fi 6は意味ないという声も聞くし…」と、新しいWi-Fi規格への移行を迷っていませんか。
通信速度が速くなると言われる一方で、本当にその恩恵を受けられるのか、疑問に感じる方も少なくないでしょう。
特に、お使いのスマホやパソコンがWi-Fi 6に対応していない場合や、現在の通信環境に大きな不満がない場合、高価なルーターへの買い替えはためらわれるかもしれません。
この記事では、Wi-Fi 6が「意味ない」と言われる理由を深掘りしつつ、Wi-Fi 5との速度比較や性能の違いを徹底解説します。
最後まで読めば、あなたにとって本当にWi-Fi 6が必要なのかが明確になり、後悔しない最適なルーター選びができるようになるでしょう。
結論:Wi-Fi 6が「意味ない」「いらない」と言われる3つの主な理由
Wi-Fi 6が一部で「意味ない」あるいは「不要だ」と言われるのには、明確な理由が存在します。
主に、利用者の環境がWi-Fi 6の性能を最大限に引き出せないケースが多いためです。
具体的には、デバイスの対応状況、インターネット回線の速度、そして現在のWi-Fi規格で十分満足できているかどうかが、その評価を左右します。
理由1:お使いのスマホやPCがWi-Fi 6に非対応だから
最大の理由は、Wi-Fi 6の高速通信を享受するためには、ルーター(親機)だけでなく、スマートフォンやPC(子機)もWi-Fi 6に対応している必要があるからです。
Wi-Fi 6ルーターには下位互換性があるため、Wi-Fi 5以前のデバイスでも接続自体は可能です。
しかし、その場合の通信規格はデバイス側が対応する古い規格(Wi-Fi 5など)に合わせられるため、Wi-Fi 6本来の速度や安定性は体験できません。
結果として、ルーターだけを新しくしても「何も変わらない」と感じてしまい、「意味ない」という結論に至るのです。
理由2:契約しているインターネット回線自体が高速ではないから
Wi-Fiルーターは、あくまでインターネット回線から来た信号を無線で飛ばす役割を担っています。
そのため、大元であるインターネット回線の速度が遅ければ、いくら高性能なWi-Fi 6ルーターを使っても、その上限を超えることはありません。
例えば、最大速度100Mbpsの回線を契約している場合、Wi-Fi 6の理論値である最大9.6Gbpsという性能は全く活かせず、宝の持ち腐れとなってしまいます。
Wi-Fi 6の性能を活かすには、少なくとも1Gbps以上の光回線など、高速なインターネット環境が前提となります。
理由3:Wi-Fi 5の速度でも十分に快適な利用シーンが多いから
Webサイトの閲覧、SNSのチェック、標準画質の動画視聴といった日常的なインターネット利用であれば、一つ前の規格であるWi-Fi 5(IEEE 802.11ac)でも十分な速度が出ることがほとんどです。
Wi-Fi 5の最大通信速度は6.9Gbpsであり、多くのユーザーにとってはオーバースペックとも言える性能を持っています。
現在の通信速度に特に不満を感じていない場合、あえてWi-Fi 6に買い替えても、その違いを体感しにくいため「意味ない」と感じられることがあります。
【性能比較】Wi-Fi 6とWi-Fi 5の具体的な違いは?本当に速くなる?

Wi-Fi 6とWi-Fi 5は、単に数字が違うだけでなく、技術的にもいくつかの大きな進化があります。
通信速度はもちろん、複数デバイスを接続した際の安定性や省エネ性能など、様々な面で改良が加えられています。
項目 | Wi-Fi 6 (IEEE 802.11ax) | Wi-Fi 5 (IEEE 802.11ac) |
---|---|---|
最大通信速度 | 9.6Gbps | 6.9Gbps |
周波数帯 | 2.4GHz / 5GHz | 5GHz |
主要技術 | OFDMA, MU-MIMO | MU-MIMO (下りのみ) |
セキュリティ | WPA3 | WPA2 |
最大同時接続 | 8台 | 4台 |
最大通信速度の違い:理論値は約1.4倍でも実測値は環境次第
規格上の最大通信速度を比較すると、Wi-Fi 5の6.9Gbpsに対し、Wi-Fi 6は9.6Gbpsと約1.4倍に高速化されています。
これにより、大容量データのダウンロードやアップロードがより短時間で完了する可能性があります。
ただし、これはあくまで理論上の最大値です。
実際の通信速度は、利用するインターネット回線、ルーターの性能、デバイスの性能、そして電波の干渉や障害物の有無など、様々な要因に影響されます。
そのため、必ずしも1.4倍の速度向上が体感できるわけではない点には注意が必要です。
安定性の違い:複数デバイスの同時接続でも遅くならない「OFDMA」技術
Wi-Fi 6の最も大きな進化点の一つが「OFDMA(直交周波数分割多元接続)」という技術の採用です。
これは、一度の通信で複数のデバイスにデータを同時に送れる技術で、通信の順番待ちによる遅延を大幅に削減します。
Wi-Fi 5でも「MU-MIMO」という複数同時接続技術はありましたが、Wi-Fi 6ではこれがさらに進化しました。
家族みんなが同時にスマホやタブレット、ゲーム機を使うような環境でも、通信が混雑しにくく、安定した速度を維持しやすくなるのが大きなメリットです。
対応周波数帯の違い:障害物に強い2.4GHz帯も高速化
Wi-Fi 5が利用できる周波数帯は5GHz帯のみでした。
5GHz帯は高速ですが、壁や家具などの障害物に弱いという弱点があります。
一方、Wi-Fi 6は5GHz帯に加えて、障害物に強く遠くまで電波が届きやすい2.4GHz帯の両方に対応しています。
さらに、Wi-Fi 6ではこの2.4GHz帯の通信効率も改善されているため、ルーターから離れた部屋でも、より快適な通信が期待できるようになりました。
その他の進化点:省エネ性能(TWT)とセキュリティ強化(WPA3)
Wi-Fi 6には、通信のタイミングを制御してデバイス側のバッテリー消費を抑える「TWT(Target Wake Time)」という省エネ技術が搭載されています。
これにより、スマートフォンやIoT機器のバッテリーが長持ちする効果が期待できます。
また、セキュリティ規格も従来の「WPA2」から、より強固な「WPA3」に進化しました。
外部からの不正アクセスや盗聴のリスクが低減され、より安全にインターネットを利用できるようになっています。
要注意!Wi-Fi 6ルーターに買い替えても意味がない人の5つの特徴

高性能なWi-Fi 6ですが、誰にでもメリットがあるわけではありません。
以下のような特徴に当てはまる場合、ルーターを買い替えても効果を実感しにくく、「意味がなかった」と感じてしまう可能性が高いでしょう。
特徴1:Wi-Fi 6非対応のデバイスしか持っていない人
前述の通り、Wi-Fi 6の恩恵を受けるには、ルーターとデバイスの両方が対応している必要があります。
お持ちのスマートフォンやパソコンがiPhone 10以前のモデルや数年前に購入したものである場合、Wi-Fi 6に非対応の可能性が高いです。
この状態でルーターだけを新しくしても、通信はWi-Fi 5以下の規格で行われるため、速度向上は期待できません。
特徴2:1Gbps未満のインターネット回線を契約している人
Wi-Fiはあくまで宅内での無線通信を担う技術であり、インターネットそのものの速度を上げるものではありません。
ADSLや一部のCATV回線、マンションのVDSL方式など、回線自体の最大速度が1Gbpsに満たない場合、Wi-Fi 6のポテンシャルを全く活かすことができません。
特徴3:Wi-Fiに接続する機器が1〜2台と少ない人
Wi-Fi 6の大きな強みは、OFDMA技術による多台数接続時の安定性です。
一人暮らしで、主にスマートフォン1台しかWi-Fiに接続しないといった利用状況の場合、通信の混雑自体が発生しにくいため、Wi-Fi 5との違いを体感するのは難しいでしょう。
特徴4:主な用途がWebサイト閲覧やSNS、LINE程度の人
インターネットの主な使い道が、ニュースサイトの閲覧やLINEでのメッセージ交換、SNSのタイムラインを眺めることであれば、Wi-Fi 5でも十分すぎるほどの性能があります。
これらの用途では大容量のデータ通信が頻繁に発生しないため、Wi-Fi 6にしても体感的な差はほとんどないと言えます。
特徴5:一人暮らしで通信が混雑する環境ではない人
近隣の住戸からのWi-Fi電波が飛び交うマンションなどでは、電波干渉によって通信が不安定になることがあります。
Wi-Fi 6はこうした混雑にも強い設計になっていますが、周囲に他のWi-Fiが少ない一戸建てのような環境では、その恩恵を感じにくいかもしれません。
逆にWi-Fi 6への買い替えを強くおすすめする人とは?
一方で、特定の利用環境や使い方をする人にとっては、Wi-Fi 6への買い替えが通信環境を劇的に改善する可能性があります。
以下のような方は、Wi-Fi 6の導入を積極的に検討する価値があるでしょう。
最新のスマホ(iPhone 11以降など)やPCを使っている人
Apple製品ではiPhone 11シリーズ以降、多くのAndroidハイエンドモデル、そして近年のノートPCはWi-Fi 6に対応しています。
これらのデバイスをお持ちであれば、ルーターをWi-Fi 6対応のものにすることで、初めてその高速通信性能を最大限に引き出すことが可能です。
家族が多く、複数人で同時にインターネットを利用する人
ご家族それぞれがスマートフォンやタブレットを持ち、リビングで同時に動画を観たり、オンラインゲームをしたりするご家庭には、Wi-Fi 6が最適です。
多台数接続に強いOFDMA技術により、誰かの通信によって他の人の通信が遅くなるといったストレスが大幅に軽減されます。
オンラインゲームや高画質動画(4K/8K)を快適に楽しみたい人
一瞬のラグが勝敗を分けるオンラインゲームや、大容量のデータ通信を必要とする4K/8Kのストリーミング動画を視聴する方にとって、Wi-Fi 6の高速かつ低遅延な通信は大きなメリットになります。
よりスムーズで快適なエンターテイメント体験を求めるなら、Wi-Fi 6は必須と言えるでしょう。
スマートスピーカーやIoT家電など、Wi-Fi接続機器が多い人
近年、スマートスピーカーやスマート照明、ネットワークカメラ、お掃除ロボットなど、インターネットに接続するIoT家電が増えています。
こうした多数の機器を常時接続する環境では、Wi-Fi 6の安定性がネットワーク全体の快適性を保つ上で非常に重要になります。
購入ガイド:今ルーターを買うならWi-Fi 5とWi-Fi 6どっちが正解?
ここまでWi-Fi 6の特徴を見てきましたが、最終的に「今、買うならどちらが良いのか」という疑問が残るかと思います。
これは、あなたの現在の状況と将来の計画によって答えが変わります。
【コスパ重視】今すぐの快適さを求めるなら「Wi-Fi 5」も選択肢
「Wi-Fi 6対応デバイスは持っていないし、当分買い替える予定もない」「とにかく安く、今の通信環境を少し改善したい」という場合は、価格が手頃になったWi-Fi 5対応ルーターも十分に選択肢に入ります。
Wi-Fi 5でも性能の高いモデルを選べば、多くの場面で快適な通信が可能です。
現在のルーターが古く、不調を感じている場合の買い替え先としては、コストパフォーマンスに優れた選択と言えるでしょう。
【将来性重視】数年先まで安心して使いたいなら「Wi-Fi 6」がおすすめ
「近々スマートフォンを買い替える予定がある」「これから家族が増える、あるいはIoT家電を導入したい」といった将来的な変化を見越すのであれば、Wi-Fi 6対応ルーターを選ぶのが賢明です。
対応デバイスは年々増加しており、Wi-Fi 6は今後のスタンダードとなります。
今、Wi-Fi 6ルーターを導入しておけば、数年先にデバイスを買い替えた際にも、ルーターを再度購入することなく、すぐに最新の通信環境へ移行できます。
長期的な視点で見れば、結果的にコストを抑えられる可能性があります。
最新規格「Wi-Fi 7」は待つべき?現時点での最適な選び方
Wi-Fi 6のさらに次世代となる「Wi-Fi 7」という規格も登場していますが、2024年現在、対応するルーターやデバイスはまだ非常に高価で、選択肢も限られています。
Wi-Fi 7が一般的に普及するにはまだ数年かかると考えられます。
そのため、現時点で「Wi-Fi 7を待つ」という選択はあまり現実的ではありません。
今ルーターを選ぶのであれば、価格と性能のバランスが取れたWi-Fi 6が最も合理的で満足度の高い選択となるでしょう。
Wi-Fi 6に関するよくある質問(Q&A)
ここでは、Wi-Fi 6に関して多くの方が抱く疑問について、Q&A形式で簡潔にお答えします。
Q. 自分のスマホやPCがWi-Fi 6に対応しているか確認する方法は?
お使いのデバイスの製品仕様を確認するのが最も確実です。
公式サイトや取扱説明書で、無線LANの規格欄に「IEEE 802.11ax」や「Wi-Fi 6」という記載があるかチェックしてください。
また、一部の製品では「Wi-Fi CERTIFIED 6」のロゴマークが表示されていることもあります。
Q. Wi-Fi 6非対応のデバイスは、Wi-Fi 6ルーターに接続できない?
いいえ、接続できます。
Wi-Fi規格には後方互換性(下位互換性)があるため、Wi-Fi 6ルーターはWi-Fi 5やWi-Fi 4といった古い規格にも対応しています。
そのため、Wi-Fi 6に非対応のデバイスでも問題なく接続してインターネットを利用できます。
ただし、その際の通信速度や機能は、デバイスが対応している古い規格の性能に準じます。
Q. Wi-Fi 6と5Gは何が違うの?
Wi-Fi 6と5Gは、どちらも高速な通信技術ですが、利用されるシーンが異なります。
Wi-Fi 6は、自宅やオフィスなど特定のエリア内で利用する無線LAN(ローカルエリアネットワーク)の規格です。
一方、5Gは、携帯電話会社が提供するモバイル通信(広域ネットワーク)の規格で、屋外など広範囲で利用されます。
簡単に言えば、Wi-Fi 6は「屋内のインターネット」、5Gは「屋外のインターネット」と考えると分かりやすいでしょう。
Q. おすすめのWi-Fi 6対応ルーターは?
おすすめのルーターは、利用環境によって大きく異なります。
選ぶ際のポイントとしては、「利用人数や接続台数」「家の間取りや広さ」「必要な通信速度」などが挙げられます。
例えば、一人暮らしのワンルームであればエントリーモデルで十分ですが、3階建ての一軒家で家族全員が使うなら、広範囲をカバーできる高性能なメッシュWi-Fi対応モデルなどが推奨されます。
まずはご自身の利用環境を整理し、それに合ったスペックの製品を選ぶことが重要です。
まとめ:Wi-Fi 6が意味ないと言われる理由と最適な選び方
- Wi-Fi 6が意味ないと言われる主な理由は、デバイスが非対応、回線が遅い、Wi-Fi 5で十分な場合があるためである
- Wi-Fi 6の性能を活かすには、ルーターとデバイスの両方が対応している必要がある
- Wi-Fi 6はWi-Fi 5に比べ、最大通信速度が約1.4倍に向上している
- 複数デバイスの同時接続に強い「OFDMA」技術がWi-Fi 6の大きな特長である
- Wi-Fi 6は障害物に強い2.4GHz帯の通信効率も改善されている
- 省エネ性能(TWT)やセキュリティ強化(WPA3)もWi-Fi 6のメリットである
- 利用機器が少ない、または軽い用途が中心ならWi-Fi 6の恩恵は感じにくい
- 家族が多い、オンラインゲームをする、IoT機器が多い人にはWi-Fi 6が強く推奨される
- 将来的なデバイスの買い替えを見越すなら、Wi-Fi 6ルーターを選ぶのが賢明である
- 最新規格のWi-Fi 7はまだ普及途上のため、現時点ではWi-Fi 6が最適な選択肢である