3000円台という手頃な価格ながら、本格的な音響技術が詰め込まれたイヤホンとして話題の「TANCHJIM ZERO」。
しかし、「音場が狭いという噂は本当か?」「マイク付きモデルの方が音が良いというのは事実か?」といった疑問を持ち、購入を迷っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、TANCHJIM ZEROの音質的特徴から、無印モデルとマイク付きモデルの意外な違い、さらには競合機種との比較まで徹底的に解説します。
この記事を読むことで、あなたの好みに合った最適な一本が見つかるだけでなく、低価格イヤホンの新たな可能性を知ることができるでしょう。
TANCHJIM ZERO(タンジジム ゼロ)とは?特徴とスペックを解説
概要:3000円台で買えるベリリウムコート採用の高コスパ1DDイヤホン
TANCHJIM ZEROは、中国のオーディオブランドTANCHJIM(タンジジム)が手掛けるエントリークラスのカナル型イヤホンです。最大の魅力は、日本国内価格で3000円台という低価格でありながら、高級機にも採用される「ベリリウムメッキドーム」を振動板に採用している点です。
通常、この価格帯のイヤホンはコストダウンのために汎用的なドライバーを使用することが多いですが、ZEROは音質へのこだわりが徹底されています。エントリーモデルでありながら、オーディオ愛好家も納得させるポテンシャルを秘めた「価格破壊」とも言える一台です。
スペック詳細:DMT4ドライバー搭載で防水防塵フィルターを採用
本機の心臓部には、TANCHJIMが独自開発した第4世代DMT(Dual Magnetic Circuit Technology)ドライバーが搭載されています。これにより、ダイナミックレンジの広さと繊細な音の表現を両立しています。
また、実用面でも工夫が見られます。ノズル部分にはイタリア製の特殊なフィルターを採用し、ナノコーティングを施すことで防水・防塵性能を高めています。湿気や耳垢による故障リスクを低減し、長く愛用できる設計になっている点は、日常使いのイヤホンとして大きなメリットです。
外観と付属品:透明度の高いクリア筐体と豪華な7ペアのイヤーピース
筐体デザインは非常にシンプルかつ洗練されています。透明度の高い樹脂素材を使用しており、内部のドライバーユニットが透けて見えるデザインは、価格以上の高級感を演出しています。また、フェイスプレート部分には金属パーツがあしらわれ、シンプルながらも所有欲を満たす仕上がりです。
付属品の豪華さも特筆すべき点です。通常、このクラスでは簡易的なイヤーピースが数個付属する程度ですが、ZEROには形状の異なる2種類(開口部が広いタイプと狭いタイプ)が各サイズ、合計7ペアも同梱されています。これに加えて、質感の良いキャリングポーチも付属しており、開封時の満足度は非常に高いと言えます。
装着感とビルドクオリティ:軽量で寝ホンにも使えるがケーブル強度は?
筐体は非常に小型かつ軽量で、耳への収まりは良好です。耳の小さな方でも圧迫感を感じにくく、長時間のリスニングでも疲れにくい設計になっています。その形状から、横になっても耳が痛くなりにくい「寝ホン」としての適性もありそうに見えます。
ただし、ケーブルの強度には注意が必要です。軽量化を重視した細めのケーブルであり、筐体との接続部分に負荷がかかると断線するリスクがあります。特に寝返りを打つようなシチュエーションではケーブルに無理な力がかかりやすいため、寝ホンとしての利用には慎重さが求められます。
TANCHJIM ZEROの音質レビュー!音場や帯域バランスを徹底解剖
全体評価:破綻が少なく刺激のない「優しい音色」が最大の特徴
音質を一言で表現するなら、「驚くほど破綻が少なく、どこまでも優しい音色」です。低価格イヤホンにありがちな、不自然な強調や耳に刺さるような高音、ボワつく低音が徹底的に排除されています。
原音に含まれていない「不快な音」を出さないよう丁寧にチューニングされており、まるで水のように透明で滑らかなサウンドを奏でます。派手な演出で聴かせるタイプではありませんが、長時間聴いていても全く聴き疲れしない、上質なリスニング体験を提供してくれます。
高音域:雑味がなくクリアで自然な伸びやかさがある
高音域は、このイヤホンの最も得意とするパートの一つです。シンバルや弦楽器の倍音成分が非常に綺麗に伸び、曇りのないクリアな響きを持っています。
特筆すべきは、その「自然さ」です。解像度を無理に上げようとして高域を強調すると、シャリシャリとした不快な音になりがちですが、ZEROはあくまで滑らかです。微細な音まで丁寧に描写しつつも、耳への刺激を抑えた絶妙なバランスを実現しています。
中音域:ボーカルが際立つ「かまぼこバランス」の聴こえ方
帯域バランスは、中音域がやや前に出る「かまぼこ型」の傾向があります。ボーカルの存在感が強く、歌声をメインに楽しみたい方には最適なチューニングです。
男性ボーカル、女性ボーカル問わず、声の質感がリアルに表現されます。ただし、楽曲によってはボーカルが近すぎて、バックの演奏が少し控えめに聴こえる場合もあります。全体としては淡白でスッキリとした音色ですが、ボーカルのハスキーな部分などに独特の艶を感じることができます。
低音域:量感は控えめだがスピード感のある質の良い低音
低音域に関しては、量感は控えめです。重低音がズシズシと響くような迫力を求める方には物足りなく感じるでしょう。
しかし、質に関しては非常に優秀です。ボワつきや滲みがなく、タイトでスピード感のある低音を鳴らします。ベースラインの動きやドラムのアタック感が明瞭で、リズムを正確に刻みます。あくまで中高域を邪魔しない、縁の下の力持ちのような立ち位置で全体を支えています。
音場と定位:無印モデルは横が狭いが前後の立体感は優秀
音場表現については、評価が分かれるポイントです。特にマイク無しの「無印モデル」に関しては、左右(横方向)の音場が極端に狭く感じられる傾向があります。頭の中央に音が集まるような鳴り方をするため、ワイドなステレオ感を求める楽曲では窮屈さを感じるかもしれません。
一方で、前後や上下の立体感、奥行きの表現には優れています。音が平面的にならず、楽器の位置関係や距離感を立体的に捉えることができます。この価格帯でこれほどの前後感を出せる機種は珍しく、独自の強みと言えます。
マイク付きモデル「ZERO iS」は音が違う?無印との比較検証
結論:マイク付きの「ZERO iS」の方が音場が広くおすすめできる理由
驚くべきことに、同じドライバーを搭載しているはずの「無印モデル(マイク無し)」と「ZERO iS(マイク付き)」では、聴こえ方に明確な違いがあります。結論から言うと、ZERO iS(マイク付き)の方が音場が広く、総合的な満足度が高いと言えます。
無印モデルで最大の弱点であった「横方向の音場の狭さ」が、ZERO iSでは改善されています。一般的なイヤホンと同等レベルの左右の広がりが確保されており、さらに持ち前の前後・上下の立体感が加わることで、非常にバランスの良い空間表現を実現しています。
ケーブルの仕様違いが音質に与える影響とは
なぜこのような違いが生まれるのでしょうか。その理由は、ケーブルの内部構造の違いにあると考えられます。マイク付きモデルは、マイク信号用の配線が追加されているため、ケーブルの芯数や電気的な特性がわずかに異なります。
オーディオの世界ではケーブルによる音質変化は議論の的になりますが、TANCHJIM ZEROに関しては、このケーブル仕様の差がポジティブな音場改善として現れている可能性が高いです。価格差もごくわずかであるため、マイク機能が不要な方であっても、音質的なメリットから「ZERO iS」を選ぶ価値は十分にあります。
マイク性能:通話やDiscordでの使用感と実用性
ZERO iSに搭載されているマイクは、簡易的なものですが実用性は十分です。DiscordなどのボイスチャットやWeb会議、通話などで問題なく使用できます。
口元に近い位置にマイクユニットがあるため集音性能も悪くなく、クリアに声を届けることができます。ゲームのボイスチャット用としても、別途マイクを用意する必要がないため便利です。
TANCHJIM ZEROのメリット・おすすめな点
聴き疲れしない自然なサウンドで「ながら聴き」に最適
TANCHJIM ZEROの最大のメリットは、その「刺激のなさ」です。長時間音楽を聴き続けても耳への負担が非常に少ないため、勉強中や作業中、家事の合間などの「ながら聴き」に最適です。
主張しすぎない音色はBGMとしての親和性が高く、集中力を妨げずに音楽を楽しむことができます。
ゲーミング用途としての実力:定位の良さで足音が聞き取りやすい
ゲーミングイヤホンとしても、意外な実力を発揮します。特にFPSなどのゲームにおいては、敵の足音や銃声の方向を特定する「定位感」が重要ですが、ZEROは音の分離と定位描写に優れています。
低音がスッキリしているため、爆発音などで足音が埋もれることがなく、必要な情報をクリアに聞き取ることができます。前述の通り、空間認識能力を高めるためにも、音場の広い「ZERO iS」の使用が特におすすめです。
この価格帯では異例の「音の立体感(奥行き)」表現
多くの低価格イヤホンが苦手とする「奥行き」の表現において、ZEROは頭一つ抜けています。音がベタっと平面的にならず、ボーカルと楽器の前後の位置関係を感じ取ることができます。
この立体的な表現力により、アコースティックな音源や小編成のバンドサウンドなどを聴くと、価格を超えたリアリティを感じることができるでしょう。
購入前に知っておくべき注意点とデメリット
リケーブル不可でケーブルの断線リスクがある点に注意
最大のデメリットは、ケーブルの交換(リケーブル)ができない一体型である点です。もし断線してしまった場合、イヤホンごと買い替える必要があります。
特に、筐体とケーブルの接続部分に負荷がかかりやすい構造になっており、耐久性にはやや不安があります。雑にポケットに入れたり、強く引っ張ったりしないよう、取り扱いには一定の配慮が必要です。
再生環境によっては音量が取りにくい(鳴らしにくい)場合がある
ZEROはスペック上、やや能率が低く、音量が取りにくい傾向があります。スマートフォン直挿しでも聴くことはできますが、音量を普段より上げる必要があるかもしれません。
また、駆動力のあるアンプやDAP(デジタルオーディオプレーヤー)に接続することで、低音の締まりや音場の広がりなど、本来のポテンシャルをより引き出すことができます。
迫力ある重低音や広大なステレオ感を求める人には不向き
音質傾向が「中高域寄り・スッキリ系」であるため、重低音が響くEDMやヒップホップ、あるいは壮大なスケールのオーケストラなどを好む方には不向きです。
また、頭の外まで広がるような広大なサウンドステージを求める場合も、他の機種を検討した方が良いでしょう。あくまで「箱庭的」な、整った空間表現を楽しむイヤホンです。
ライバル機・シリーズ機種との比較!どっちを選ぶべき?
vs Moondrop 竹-CHU:ナチュラル系の定番機とどう使い分ける?
同価格帯の最強ライバルと言えば「Moondrop 竹-CHU」です。
- 竹-CHU: 癖のないナチュラルサウンドで、音場が広く、誰にでもおすすめできる優等生。
- TANCHJIM ZERO: 中高域の艶と優しさ、前後の立体感に特化した個性派。
初めてのイヤホンで失敗したくないなら「竹-CHU」、ボーカルの質感や聴き疲れのなさを重視するなら「ZERO」という使い分けがおすすめです。
vs TANCHJIM OLA:上位機種との音質・音場の違い
上位機種の「TANCHJIM OLA」は、ZEROと似た系統の音色を持ちながら、全体的な性能を底上げしたモデルです。
- OLA: 音場が明確に広く、解像度も高い。リケーブルが可能で長く使える。
- ZERO: OLAの音のエッセンスを凝縮しつつ、よりコンパクトで安価。
予算が許すならOLAの方が満足度は高いですが、ZEROのコストパフォーマンスの高さも圧倒的です。まずはZEROでTANCHJIMの音を知るのも良いでしょう。
ZERO DSP(Type-C版)と最新モデルZERO Ultimaとの違いは?
ZEROシリーズには派生モデルや最新モデルも存在します。
- ZERO DSP: USB Type-C接続モデル。DSP(デジタル信号処理)によりチューニングが調整されており、アプリでEQ変更も可能。無印よりも低域の量感などバランスが最適化されています。
- ZERO Ultima: ZEROの正統進化版として登場した最新モデル。ドライバーがアップデートされ、より解像度が高く、全帯域のバランスが洗練されています。
スマートフォンで手軽に高音質を楽しみたいなら「DSP」、予算を少し足してでも最新の性能を体験したいなら「Ultima」が有力な選択肢となります。
まとめ:TANCHJIM ZERO レビュー解説
TANCHJIM ZEROは、3000円台という価格からは想像できないほど上品で優しい音色を持ったイヤホンです。特にボーカル曲やアコースティックな楽曲との相性は抜群で、サブ機としても非常に優秀な一台です。
- 優しい音色: 破綻がなく、長時間聴いても疲れないクリアなサウンド。
- 美しい中高域: 雑味がなく、ボーカルや弦楽器が綺麗に伸びる。
- 立体的な音場: 前後・上下の奥行き表現に優れる。
- おすすめはiS: マイク付きモデル(ZERO iS)の方が音場が広く、バランスが良い。
- ゲーミング適性: 定位感が良く、FPSなどでの足音把握にも使える。
- 注意点: リケーブル不可のため断線に注意が必要。
- 不得意なジャンル: 重低音重視の楽曲や、広大な音場を求める場合には不向き。
- ライバル比較: 万能な「竹-CHU」に対し、個性と艶の「ZERO」。
- 最新モデル: スマホ直挿し派には「DSP」、性能重視なら「Ultima」も要チェック。
- 結論: コスパ重視で、ボーカルを美しく聴きたいなら迷わず買いの一本。
これから購入を検討されている方は、ぜひ「ZERO iS(マイク付き)」を選択して、そのコストパフォーマンスの高さを体感してみてください。
