TANCHJIM OLA(オラ)は、5,000円台という手頃な価格ながら、その透き通るようなボーカル表現と美しいデザインで注目を集めているイヤホンです。
エントリークラスの中華イヤホン市場には数多くの製品が存在しますが、その中でもOLAは特に「中高音域の美しさ」と「音場の広さ」において独自の地位を築いています。
しかし、購入を検討する際には「低音が足りないのではないか」「装着感に癖があるらしい」といった不安な点も気になるのではないでしょうか。
また、後に発売された「OLA Bass」との違いについても詳しく知りたいところです。
この記事では、TANCHJIM OLAの特徴や音質、Bass版との比較、そしてユーザーの評判までを徹底的に解説します。
透明感あふれるサウンドを求めている方や、コストパフォーマンスの高いイヤホンを探している方は、ぜひ参考にしてください。
TANCHJIM OLA(オラ)とは?美しいデザインと高音質を両立したエントリーモデル
TANCHJIM OLAの製品概要と特徴的な「DMT4」ドライバー
TANCHJIM OLAは、2022年4月に発売されたダイナミックドライバー搭載のカナル型イヤホンです。
このモデルの最大の特徴は、TANCHJIMが独自に開発した第4世代の「DMT4」ダイナミックドライバーを採用している点にあります。
このドライバーは、FEM(有限要素法)解析とFEA(有限要素解析)シミュレーションを用いて精密に設計されました。
磁気回路の最適化や振動板の剛性調整など、徹底的な解析に基づいて作られており、ダイナミックレンジが広くクリアなサウンドを実現しています。
また、HRTF(頭部伝達関数)に基づいたチューニングが施されており、リアルな音像定位と明確なディテール表現を可能にしました。
これにより、音楽鑑賞だけでなく、ゲーミング用途としても高いポテンシャルを秘めた製品となっています。
パッケージと付属品:浅野てんき(公式キャラ)と豪華な同梱物
TANCHJIM製品の大きな魅力の一つに、こだわりのあるパッケージデザインと充実した付属品が挙げられます。
パッケージには、同社の公式キャラクターである「浅野てんき」が描かれており、いわゆる「萌えパッケージ」としてファンの間で親しまれています。
しかし、中身は非常に硬派で実用的です。
開封すると、シンプルで上品なデザインのイヤホン本体とともに、以下の豪華な付属品が同梱されています。
- シリコンイヤーピース(高音重視・低音重視の2種類×3サイズ)
- 持ち運び用の布製ポーチ
- 高品質な銀メッキケーブル
- 説明書・保証書
特にイヤーピースが音質の好みに合わせて2種類用意されている点は、ユーザーにとって嬉しい配慮と言えるでしょう。
OLAのスペック詳細・価格・発売日情報
TANCHJIM OLAの基本的なスペックは以下の通りです。
| 項目 | 詳細 |
| ドライバー構成 | 10mm ダイナミックドライバー(DMT4) |
| 振動板素材 | ポリマーグラフェン |
| インピーダンス | 16Ω ± 10% |
| 感度 | 126dB/Vrms |
| 再生周波数帯域 | 7Hz – 45kHz |
| コネクタ | 0.78mm 2pin |
| 発売日 | 2022年4月28日 |
| 参考価格 | 5,000円台後半〜 |
エントリークラスの価格帯でありながら、再生周波数帯域は7Hzから45kHzと広く、ハイレゾ音源にも対応できるスペックを持っています。
インピーダンスは16Ωと低く、感度も高いため、スマートフォンや小型のDAP(デジタルオーディオプレーヤー)でも十分に音量を確保しやすい仕様です。
TANCHJIM OLAのデザインと装着感レビュー
航空宇宙グレードアルミ採用の高級感あるフェイスプレート
TANCHJIM OLAのデザインは、シンプルかつエレガントです。
フェイスプレートには、精密なCNC加工が施された航空宇宙グレードのアルミニウム合金が採用されています。
シルバーの金属光沢が美しく、安っぽさを全く感じさせない仕上がりです。
一方、耳に触れるハウジング部分(キャビティ)には、透明度の高い強化PC(ポリカーボネート)樹脂が使用されています。
この透明なシェルからは内部のドライバー構造が透けて見え、メカニカルな美しさと清潔感を両立しています。
オフィスやカフェで使用しても違和感のない、洗練されたデザインと言えるでしょう。
装着感は良い?悪い?「ステムが太い」という注意点について
TANCHJIM OLAの装着感については、評価が分かれるポイントがあります。
本体そのものは非常に軽量でコンパクトなため、耳への負担は少ない設計です。
しかし、イヤーピースを取り付ける部分である「ステム(ノズル)」が比較的太く作られています。
さらに、ステムの長さも短めであるため、耳の形状によっては奥までしっかりと挿入できず、フィット感が浅くなりがちです。
耳の穴が小さい方の場合、付属のイヤーピースではすぐに外れてしまったり、隙間ができて低音が逃げてしまったりすることがあります。
そのため、自身の耳に合うイヤーピースを慎重に選ぶ必要がある機種と言えます。
付属ケーブルの品質と取り回し(銀メッキOFC同軸ケーブル)
付属するケーブルは、この価格帯としては非常に品質が高いものが採用されています。
仕様としては、ケブラー繊維で補強された2芯OFC(無酸素銅)を撚り合わせ、その外側を銀メッキ4N OFC線で覆った同軸構造のケーブルです。
被膜には滑らかな素材が使われており、絡まりにくく、タッチノイズ(衣擦れ音)も少なめです。
見た目もイヤホン本体に合わせたシルバーカラーで統一されており、全体的な美観を損ないません。
エントリーモデルではケーブルがチープなことも多い中、OLAはリケーブルなしでも十分に高音質を楽しめる品質を確保しています。
TANCHJIM OLAの音質評価:女性ボーカル特化のクリアサウンド
音質傾向:フラットで透明感のある中高音域の魅力
TANCHJIM OLAの音質を一言で表すなら、「透明感のあるフラットサウンド」です。
特定の帯域を過度に強調することなく、全体的にバランスの取れたチューニングが施されています。
その中でも特に際立っているのが、中高音域の美しさです。
曇りのないクリアなサウンドで、ボーカルの息遣いや楽器の繊細な響きを丁寧に描写します。
いわゆる「ドンシャリ(低音と高音を強調した音)」のような派手さはありませんが、聴き疲れしにくく、長時間音楽に浸っていたくなるような上品な音作りがされています。
低音域の評価:量感は控えめだがタイトでスピード感あり
低音域に関しては、量感は控えめです。
重低音がズシズシと響くような迫力を求める方には、物足りなく感じられる可能性があります。
しかし、低音の質自体は決して悪くありません。
ボワつくことなく引き締まっており、スピード感のあるタイトな低音を鳴らします。
ベースラインやドラムのキック音は輪郭がはっきりとしており、他の帯域を邪魔することがありません。
量よりも質を重視し、楽曲の全体像を見通しよく聴かせるためのチューニングと言えます。
解像度と音場の広さ:この価格帯では驚異的なステレオイメージング
TANCHJIM OLAの大きな武器の一つが、優れた解像度と音場の広さです。
5,000円台のイヤホンとは思えないほど音が分離しており、一つ一つの音がどこから鳴っているかが明瞭に分かります。
特に音場の広さは特筆すべきもので、左右への広がりだけでなく、空間的な奥行きも感じられます。
音が耳のすぐ横で鳴るのではなく、少し離れた位置から広がるような感覚があり、開放的で伸びやかなリスニング体験を提供してくれます。
相性の良いジャンルは?アニソンや女性ボーカル曲に最適
このイヤホンの特性が最も活きるジャンルは、女性ボーカルを中心としたポップスやアニソンです。
ボーカルが近く、クリアに浮き上がって聴こえるため、声の質感を存分に楽しむことができます。
また、ピアノやアコースティックギターなどの生楽器を多用した楽曲とも相性が抜群です。
一方で、重厚な低音が必要なEDMやヒップホップ、激しいロックなどでは、迫力不足を感じる場面があるかもしれません。
繊細で美しいメロディラインを重視する楽曲に最適なイヤホンです。
TANCHJIM OLAとOLA Bass(iS)の違いは?どっちがおすすめ?
OLA Bass(iS)の変更点:低音増強と高域の刺さり抑制
TANCHJIM OLAには、後に発売されたバリエーションモデル「OLA Bass」が存在します(マイク付きモデルは「OLA Bass iS」として販売されることが多いです)。
OLA Bassは、その名の通り無印OLAの弱点とされた「低音の少なさ」を改善するためにチューニングされたモデルです。
具体的には、低音域の量感を増やすとともに、高音域の鋭さを少し抑える調整が施されています。
外見上の違いはほとんどありませんが、パッケージの表記や、一部のショップではマイク付きが標準仕様となっている点などで区別されます。
無印OLAとOLA Bassの音質比較:クリアさ重視かバランス重視か
両者の音質を比較すると、明確なキャラクターの違いがあります。
無印OLAは、あくまで中高音のクリアさと透明感を最優先したサウンドです。ボーカルの突き抜け感や、高域の煌びやかさは無印の方が勝っています。
一方、OLA Bassは、低音に厚みが加わったことで、サウンド全体に暖かみと安定感が出ています。高音の刺激もマイルドになっているため、より幅広いジャンルに対応できる「万能型」のバランスに仕上がっています。
ただし、「Bass」という名前から想像するような「重低音モデル」ではありません。あくまで「無印OLAに不足していた低音を補い、バランスを整えたモデル」という認識が適切です。
結論:あなたが買うべきなのはどっちのモデル?
どちらを選ぶべきかは、好みの音楽ジャンルと求める音によって決まります。
- 無印OLAがおすすめな人:
- 女性ボーカルの透き通る声を最優先したい。
- 高音の抜けの良さや、分析的な聴き方を好む。
- アニソンやバラードを中心に聴く。
- OLA Bassがおすすめな人:
- 特定のジャンルに限らず、ポップスやロックなど幅広く聴きたい。
- 無印OLAでは低音が軽すぎると感じる不安がある。
- 聴き疲れしない、マイルドでバランスの取れた音が好き。
TANCHJIM OLAはゲーム(FPS)で使える?ポジショナルオーディオ性能
足音や銃声の定位感はどう?HRTF(頭部伝達関数)の効果
TANCHJIM OLAは、音楽鑑賞だけでなくゲーミングイヤホンとしても高い評価を得ています。
その理由は、HRTF(頭部伝達関数)に基づいた音響設計による、優れた定位感(ポジショナルオーディオ性能)にあります。
FPS(一人称視点シューティング)ゲームなどでは、敵の足音や銃声が「どの方向」から「どのくらいの距離」で鳴っているかを把握することが重要です。
OLAのクリアな音質と広い音場は、足音のような微細な音を埋もれさせず、方向を正確に聞き分けるのに適しています。
特に低音が強すぎないため、爆発音などで足音がかき消されることが少なく、競技性の高いゲームプレイにおいて有利に働きます。
マイク性能とゲーミングイヤホンとしての適性
OLAにはマイクなしモデルとマイク付きモデル(iS版など)があります。
マイク付きモデルを選べば、ボイスチャットをしながらのプレイも可能です。
マイクの音質は、通話やゲーム内チャットには十分なクリアさを備えています。
長時間のプレイでも耳が疲れにくい軽量な筐体と、蒸れにくい装着感もゲーマーにとってはメリットです。
高価なゲーミングヘッドセットと比較しても遜色のない、あるいはそれ以上の定位感を得られるコストパフォーマンスの高い選択肢と言えます。
TANCHJIM OLAのメリット・デメリット(良い点・悪い点)
【メリット】圧倒的な透明感とコストパフォーマンスの高さ
TANCHJIM OLAの最大のメリットは、やはりその音質です。
5,000円前後の価格帯で、これほどまでに透明感があり、歪みの少ない綺麗な音を出すイヤホンは稀有です。
ビルドクオリティも高く、見た目も美しいため、所有する満足感も満たしてくれます。
また、リケーブル(ケーブル交換)に対応しているため、断線した際のリスクヘッジや、音質変化を楽しむ拡張性がある点も大きな利点です。
【デメリット】イヤーピース選びがシビアな装着感と遮音性
デメリットとしては、前述した装着感のシビアさが挙げられます。
ステムが太く短いため、耳の形によってはフィットしにくく、適切なイヤーピースを見つけるまでに試行錯誤が必要になる場合があります。
また、低音が控えめであることと、ベント(通気孔)の設計上、遮音性はそれほど高くありません。
電車の中など騒音の大きい場所で使用すると、低音がさらに聞こえにくくなる可能性があります。
リケーブルの注意点:コネクタ形状と推奨ケーブルについて
TANCHJIM OLAは一般的な0.78mm 2pinコネクタを採用していますが、少し注意が必要です。
純正ケーブル側のコネクタ周辺には保護用のカバー(スリーブ)が付いておらず、フラットな形状をしています。
一方、イヤホン本体側の差込口もフラットに近いですが、一般的な2pinケーブルの中には、コネクタ部分に保護用の突起があるものや、形状が合わないものも存在します。
また、TANCHJIMは純正コネクタの使用を推奨しており、サードパーティ製のケーブルを使用するとピンの太さの公差などにより、ジャックが緩くなってしまうリスクがあります。
リケーブルを行う際は、コネクタ形状をよく確認し、自己責任で行う必要があります。
TANCHJIM OLAの評判・口コミを徹底調査
肯定的な口コミ:「5,000円台とは思えない美音」「寝ホンに最適」
ネット上のレビューやSNSでは、以下のような肯定的な意見が多く見られます。
- 「ボーカルの透き通り方がすごい。この価格でこの音は信じられない。」
- 「高音が綺麗に伸びて、聴いていて気持ちが良い。」
- 「本体が薄くて軽いので、寝転がりながら使っても耳が痛くなりにくい。」
- 「ゲームでの足音がめちゃくちゃ聞こえる。」
特に音質のクリアさと、軽量な筐体による取り回しの良さが評価されています。
否定的な口コミ:「低音がスカスカ?」「耳に合わない」
一方で、以下のような否定的な意見も見受けられます。
- 「低音が少なすぎて迫力がない。スカスカに感じる。」
- 「付属のイヤーピースだと耳からすぐに落ちてしまう。」
- 「ステムが太くて耳が痛くなる。」
- 「高音が刺さると感じる曲がある。」
低音の量感不足と装着感に関する不満が主なマイナスポイントとして挙げられています。これらは購入前に対策や相性を考慮すべき点です。
海外レビューでの評価はどう?(周波数特性・THD性能の観点)
海外のオーディオレビューサイトやフォーラムでも、TANCHJIM OLAは高く評価されています。
測定データに基づいたレビューでは、THD(全高調波歪み率)が非常に低いことが指摘されており、これは音が濁らずクリアに再生されていることの客観的な証明です。
また、周波数特性のグラフにおいても、HRTFターゲットに忠実なカーブを描いていることが確認されており、科学的なアプローチに基づいた設計が高く評価されています。
「予算内で最も優れたニュートラルサウンドの一つ」として、海外のオーディオファイルからも推奨されています。
TANCHJIM OLAを快適に使うためのカスタマイズ推奨
装着感と低音不足を改善するおすすめイヤーピース(SednaEarfit等)
TANCHJIM OLAの弱点である装着感と低音の抜けを改善するには、イヤーピースの交換が最も効果的です。
特におすすめなのは、グリップ力が高く密閉性を確保しやすい以下のイヤーピースです。
- AZLA SednaEarfit XELASTEC II: 体温で耳の形に変形する素材で、吸い付くようなフィット感が得られます。
- SpinFit CP100+: 軸が動く構造で、耳の奥までスムーズにフィットします。
- radius ディープマウント: 耳の奥でフィットさせる形状で、低音の量感を稼ぎやすいです。
これらを使用することで、耳への固定力が上がり、本来の低音性能を引き出すことができます。
リケーブルで化ける?バランス接続での音質変化
再生環境(DAPやポータブルアンプ)をお持ちの方は、バランス接続ケーブルへのリケーブルもおすすめです。
バランス接続(4.4mmなど)にすることで、左右のセパレーション(分離感)がさらに向上し、OLAの持ち味である音場の広さがより一層際立ちます。
また、駆動力に余裕ができることで、低音の締まりやアタック感が増し、全体的な音の厚みが改善されるケースもあります。
まとめ:TANCHJIM OLAレビュー解説の完全ガイド
TANCHJIM OLAは、万人受けする無難なイヤホンではありませんが、ハマる人にはとことんハマる魅力的な製品です。
最後に、これまでのポイントをまとめます。
- 5,000円台でトップクラスの透明感と解像度を誇る。
- 女性ボーカルやアニソンを美しく聴きたい人に最適。
- 音場が広く定位感が良いため、FPSなどのゲームにも強い。
- 低音が欲しい人や万能性を求めるなら「OLA Bass」がおすすめ。
- 装着感に癖があるため、イヤーピース交換を前提に検討するのが吉。
- 低音重視や迫力を求める人には不向きな場合がある。
- 航空宇宙グレードアルミを使用したデザインは高級感がある。
- 独自開発のDMT4ドライバーにより歪みのないクリアな音を実現。
- リケーブル可能だがコネクタ形状には注意が必要。
- 「美音」を安価に手に入れたいなら、間違いなく候補に入れるべき一本。
