Microsoftから新たに登場した「Surface Pro 10」は、これまでの2-in-1デバイスの概念をさらに進化させた一台です。
特に注目すべきは、AI処理に特化したNPUを搭載したIntel Core Ultraプロセッサーの採用と、AIアシスタントをワンタッチで呼び出せるCopilotキーの搭載でしょう。
この記事では、Surface Pro 10の購入を検討している方のために、その特徴や詳しいスペック、実際のベンチマーク性能から、ユーザーの評判や注意点に至るまで、あらゆる角度から徹底的にレビュー解説します。
本記事を読めば、Surface Pro 10があなたの使い方に最適なデバイスなのか、明確な答えが見つかるはずです。
Surface Pro 10の性能を徹底レビュー解説
AI時代に対応したSurface Pro 10の特徴
Surface Pro 10が従来モデルと一線を画す最大の特徴は、AI処理に特化した「AI PC」として設計されている点です。
これを実現しているのが、頭脳にあたるCPUにNPU(Neural Processing Unit)を内蔵した「Intel Core Ultra プロセッサー」を搭載していることです。
NPUはAIに関連する計算を専門に担う部分で、これによりCPUやGPUに大きな負荷をかけることなく、AI機能をスムーズかつ省電力で動作させられます。
具体的には、ビデオ会議で自分の姿を常に中央に映す「自動フレーミング」や、カメラ目線を維持してくれる「アイコンタクト補正」といった「Windows Studio Effects」を、PCの動作を重くすることなく利用できるようになりました。
また、新しいキーボードには、MicrosoftのAIアシスタント「Copilot」を瞬時に起動できる「Copilotキー」が配置されました。
これにより、文書の要約やアイデア出しといった作業を、いつでも手軽にAIに任せられます。
さらに、ハードウェア面では、Web会議の質を格段に向上させる1440pの超広角フロントカメラや、パスワードレス認証を可能にするNFCリーダー(オプション)も搭載し、まさにAI時代の働き方に最適化された一台と言えるでしょう。
Surface Pro 10の詳しいスペック一覧
Surface Pro 10は、ビジネスシーンでの高い要求に応えるため、優れたパフォーマンスと幅広いカスタマイズ性を提供します。
以下に、法人向けモデル「Surface Pro 10 for Business」の主なスペックをまとめました。
項目 | 詳細 |
CPU | Intel® Core™ Ultra 5 135U プロセッサ Intel® Core™ Ultra 7 165U プロセッサ |
NPU | Intel® AI Boost |
グラフィックス | Intel® Graphics |
メモリ | 8GB, 16GB, 32GB, 64GB (LPDDR5x) |
ストレージ | 256GB, 512GB, 1TB (取り外し可能な Gen 4 SSD) |
ディスプレイ | 13インチ PixelSense™ Flow ディスプレイ 解像度: 2880 x 1920 (3:2) リフレッシュレート: 最大120Hz その他: 反射防止、Dolby Vision IQ™ 対応 |
カメラ | フロント: 1440p QHD 超広角 Surface Studio カメラ リア: 10.5MP Ultra HD カメラ 認証: Windows Hello 顔認証カメラ |
オーディオ | 音声フォーカス搭載 Dual far-field スタジオ マイク Dolby® Atmos® 搭載 2W ステレオ スピーカー |
ポート | USB-C® (USB4®/Thunderbolt™ 4) x 2 Surface Connect ポート x 1 Surface Pro キーボードポート x 1 |
ネットワーク | Wi-Fi 6E: 802.11ax Bluetooth® 5.3 5G接続 (オプションで2024年後半に対応予定) |
セキュリティ | ハードウェア TPM 2.0 チップ Windows Hello 顔認証 NFC認証 (オプション) Windows 11 Secured-core PC |
サイズ | 287 mm × 209 mm × 9.3 mm |
重量 | 879 g |
OS | Windows 11 Pro |
このように、CPUやメモリ、ストレージを幅広い選択肢から選べるため、用途に応じた最適な構成を選ぶことが可能です。
特にメモリが最大64GBまで搭載可能になった点は、複数のアプリケーションを同時に利用するヘビーユーザーにとって大きなメリットとなります。
Core Ultra搭載!Surface Pro 10のベンチマーク
Surface Pro 10は、Intel Core Ultraプロセッサーを搭載したことで、確実な性能向上を果たしています。
実際の性能を測るベンチマークテストの結果を見ると、その進化がよくわかります。
海外のガジェット情報サイトに掲載されたデータによると、Core Ultra 5 135Uを搭載したモデルのGeekbench 5スコアは、マルチコア性能で約6,300ポイントを記録しました。
これは、前世代のSurface Pro 9に搭載されていたCore i5-1235Uのスコア(約6,000ポイント)と比較して、約5%高い数値です。
発売初期のスコアであるため、今後のドライバーの最適化などによって、さらに性能が向上する可能性も十分に考えられます。
もちろん、純粋な計算能力だけで見れば、劇的な飛躍とは言えないかもしれません。
しかし、Surface Pro 10の真価は、NPUによるAI処理性能の向上にあります。
前述のWindows Studio EffectsのようなAI機能を多用する場面では、CPUに負荷をかけずにタスクを処理できるため、体感的なパフォーマンスはベンチマークの数値以上に快適に感じられるでしょう。
また、内蔵グラフィックスも「Intel Arc Graphics」に進化したことで、画像編集や軽い動画編集といったクリエイティブな作業も、よりスムーズに行えるようになっています。
ユーザーの評判・口コミから見るSurface Pro 10
Surface Pro 10は法人向けに先行してリリースされたため、2025年7月現在、一般ユーザーからの口コミはまだ限定的です。
しかし、IT専門家や国内外のレビューメディアからは、その特徴に対する多くの評価が寄せられています。
高く評価されている点
多くのレビューで共通して高く評価されているのは、やはりAI機能の統合と、大幅に向上したメンテナンス性です。
ワンタッチでCopilotを呼び出せる手軽さや、Web会議でのカメラ映りの良さは、ビジネスシーンでの生産性向上に直結すると期待されています。
また、ディスプレイが従来モデルより33%明るくなり、反射防止コーティングが施された点も、屋外や明るいオフィスでの視認性が向上したと好評です。
そして何より、バッテリーやディスプレイ、マザーボードに至るまで、多くの部品をユーザー自身(または専門業者)が交換できるようになった点は画期的だと評価されています。
これは、デバイスをより長く、経済的に使い続けたいと考える法人ユーザーにとって、非常に大きな魅力となっています。
懸念されている点
一方で、いくつかの懸念点も指摘されています。
最も多いのは価格に関するもので、キーボードやペンを揃えると高額になる点は、購入のハードルとなり得ます。
また、現時点では法人向け販路が中心であるため、個人が気軽に購入しにくい状況です。
パフォーマンスに関しても、純粋な処理速度を最優先するユーザーにとっては、同価格帯のクラムシェル型ノートPCに軍配が上がる可能性がある、という意見も見受けられました。
Surface Pro 10購入前に知るべき点をレビュー解説
ここが魅力!Surface Pro 10のおすすめな点
Surface Pro 10の購入を検討する上で、特に魅力的ないくつかのおすすめポイントが存在します。
第一に、AIによる業務効率の飛躍的な向上が挙げられます。
Copilotキーによって、必要な時にすぐAIのサポートを受けられるため、情報収集や資料作成の時間を大幅に短縮可能です。
例えば、長文のメールやレポートの内容を瞬時に要約させたり、プレゼンテーションの構成案を壁打ち相手のように相談したりといった活用ができます。
第二に、オンラインでのコミュニケーション能力の高さです。
高画質化・広角化されたカメラと、AIがアシストするWindows Studio Effectsの組み合わせは、Web会議やオンライン商談で相手にクリアで安定した映像を届け、信頼感や好印象を与えるのに役立つでしょう。
第三の魅力は、長期的な視点でのコストパフォーマンスです。
これまでのデバイスは、バッテリーが劣化すれば本体ごと買い替えるのが一般的でした。
しかし、Surface Pro 10は主要な部品を交換できるため、一つのデバイスを長く使い続けることが可能です。
これはサステナビリティに貢献するだけでなく、企業のIT資産における総所有コスト(TCO)の削減にも繋がる、非常に重要なメリットと言えます。
購入前に確認!Surface Pro 10の注意点
多くの魅力を持つSurface Pro 10ですが、購入を決める前にいくつか確認しておくべき注意点があります。
まず最も重要なのは、このデバイスが法人向けに最適化されているという点です。
そのため、個人での購入を考えている場合、販売チャネルが限られていたり、個人向けのサポートが受けにくい可能性があります。
次に、Surfaceシリーズの伝統とも言えますが、快適なノートPC体験に不可欠な「Surface Pro キーボード」や、手書き入力に便利な「Surface スリム ペン 2」は別売りであることです。
これらを追加すると、本体価格に加えて数万円の追加費用がかかるため、総額を事前に把握しておく必要があります。
また、搭載されているポートは最新規格のThunderbolt 4が2つとSurface Connectポートのみです。
従来のUSB-A端子を持つマウスやUSBメモリ、プロジェクターに接続するためのHDMI端子などは直接接続できません。
これらの機器を利用する際は、別途USBハブやドッキングステーションを用意する必要があることを念頭に置いておきましょう。
最後に、利用目的との相性も重要です。
もし、3D CADや高度な動画編集など、極めて高い計算処理能力を必要とする専門的なソフトウェアを使用する場合は、Surface Pro 10の性能では不足する可能性があります。
一部の大学で工学部の学生に非推奨とされているケースもあるように、自身の用途に必要なスペックを事前に確認することが大切です。
Surface Pro 10のメモリ増設と修理について
デバイスの長期利用を考える上で、メモリの増設可否と修理のしやすさは非常に重要なポイントです。
結論から言うと、Surface Pro 10のメモリは後から増設することはできません。
メモリはマザーボードに直接はんだ付けされている「オンボード」仕様のため、購入時に選択した容量が上限となります。
そのため、複数のアプリケーションを同時に開いて作業する方や、将来的にOSやアプリが要求するスペックが上がる可能性を見越すのであれば、購入時点で16GB以上の余裕を持った容量を選択することを強くおすすめします。
一方で、修理のしやすさについては、従来モデルから劇的な進化を遂げました。
Surface Pro 10では、ディスプレイ、バッテリー、SSD(ストレージ)、マザーボード、さらにはキックスタンドや各種ボタンに至るまで、ほとんどの主要コンポーネントが交換可能なように設計されています。
Microsoftは公式サイトで修理手順のガイドを公開する予定であり、これにより認定業者による修理が迅速かつ容易になります。
これは、万が一の故障時に修理費用を抑えられるだけでなく、バッテリーの寿命が来た際にバッテリーだけを交換して使い続けるといった、サステナブルな運用を可能にする大きな利点です。
メモリ増設はできませんが、この画期的なメンテナンス性の高さが、そのデメリットを補って余りある魅力と言えるでしょう。
法人向けモデルと個人向けモデルの違い
現在市場に流通しているSurface Pro 10は、「for Business」と名付けられた法人向けモデルが中心です。
このモデルは、企業のIT環境で利用されることを前提とした機能が強化されています。
法人向けモデルの主な特徴
- OSとセキュリティ: OSには管理機能が豊富な「Windows 11 Pro」が標準搭載されています。また、チップレベルからの保護を実現する「Secured-core PC」に準拠し、オプションでNFCリーダーを追加することで社員証などによる安全なログインが可能になるなど、高度なセキュリティ要件に応えます。
- 管理機能: IT管理者が多数のデバイスを遠隔で一元管理するための「Surface Management Portal」や「Microsoft Intune」といったツールとの親和性が高い設計になっています。
- 販売とサポート: 法人専門の販売代理店を通じて提供され、保証期間の延長や故障時の代替機提供など、ビジネスを止めないための手厚いサポートプランが用意されています。
個人向けモデルの可能性
過去のSurfaceシリーズの多くは法人向けと個人向けが同時に発表されてきましたが、今回は法人向けが先行する形となりました。
製品名に「for Business」と付いていることから、将来的には個人向けモデルが登場する可能性は非常に高いと考えられます。
もし個人向けモデルが登場する場合、OSが「Windows 11 Home」に変更されたり、NFCリーダーのような法人向け機能が省略される代わりに、価格が少し抑えられるといった違いが出てくることが予想されます。
個人での購入を検討している方は、急いで法人向けモデルに手を出すのではなく、今後のMicrosoftからの発表を待つのも一つの賢明な選択と言えるでしょう。
まとめ:Surface Pro 10レビュー解説!購入は慎重な判断を
- Surface Pro 10はNPU搭載のAI PCである
- Copilotキーの搭載でAI機能を瞬時に呼び出せる
- Web会議に最適な1440pの高画質フロントカメラを搭載
- 法人向けにはNFCリーダーによる高度なセキュリティを提供
- Intel Core Ultraプロセッサにより従来モデルより性能が向上
- ディスプレイやバッテリーなど多くの部品が交換可能で修理しやすい
- メモリは購入後の増設ができないため容量選びは慎重に行う
- 快適な利用には別売りのキーボードやペンが必要である
- 現時点では法人向けモデルが中心のラインナップとなっている
- 2-in-1の利便性と長期利用を前提とした設計が大きな魅力