「グラフィックボードなしでも快適にゲームができるPCが欲しい」
「Ryzen 7 8700Gの内蔵グラフィックは、実際どのくらいの性能なの?」
そんな疑問をお持ちではないでしょうか。
AMDから登場したRyzen 7 8700Gは、強力な内蔵グラフィックス(iGPU)を搭載したAPUとして大きな注目を集めています。
しかし、その実力は未知数で、どの程度のゲームが遊べるのか、従来のグラフィックボードと比較してどうなのか、具体的な情報が知りたい方も多いはずです。
この記事では、Ryzen 7 8700Gのグラフィック性能に焦点を当て、各種ベンチマーク結果や具体的なゲームでのフレームレートを徹底的に解説します。
旧世代のAPUやエントリークラスのグラフィックボードとの比較を通じて、その真の実力と最適な用途を明らかにしていきます。
Ryzen 7 8700Gのグラフィック性能はどのくらい?結論から解説

【結論】グラボなしでもフルHD・低設定なら人気ゲームが遊べる
結論から言うと、Ryzen 7 8700Gはグラフィックボード(グラボ)なしでも、フルHD(1920×1080)解像度・低画質設定であれば多くの人気ゲームをプレイ可能な性能を持っています。
これは、内蔵されている「Radeon 780M」グラフィックスが、従来のCPU内蔵グラフィックスとは一線を画す高い性能を発揮するためです。
ただし、すべてのゲームを高画質で快適に遊べるわけではなく、過度な期待は禁物です。
あくまでエントリークラスのゲーミング性能と捉え、ライトなゲームプレイや、設定を調整して遊ぶスタイルに向いています。
どのグラボに相当?GeForce GTX 1650との性能を比較
Ryzen 7 8700Gの内蔵グラフィックス性能は、単体のグラフィックボードで言えばNVIDIAの「GeForce GTX 1650」に近い、あるいはタイトルによっては匹敵するレベルです。
複数のベンチマーク検証では、GTX 1650に対して勝つ場面もあれば、30%ほど性能が劣る場面もあり、ゲームタイトルとの相性によって評価が分かれます。
純粋なグラフィックス性能スコアではGTX 1650に及ばないものの、CPUにこれだけの描画性能が統合されている点は、技術的に大きな進歩と言えるでしょう。
グラボは本当に不要?用途別に必要性を判断するポイント
Ryzen 7 8700Gを選ぶことでグラボが不要になるかどうかは、パソコンの主な用途によって決まります。
Webサイトの閲覧、動画視聴、Officeソフトを使った書類作成といった一般的な用途や、軽めのゲームをたまに楽しむ程度であれば、グラボは不要です。
一方で、最新のAAAタイトルを高画質・高フレームレートでプレイしたい本格的なゲーマーや、4K動画編集などのクリエイティブ作業を頻繁に行う場合は、別途高性能なグラフィックボードの増設を推奨します。
Ryzen 7 8700Gのメリット・デメリット早見表
Ryzen 7 8700Gの主なメリットとデメリットを以下の表にまとめました。
メリット(良い点) | デメリット(注意点) |
---|---|
Zen 4 + RDNA 3搭載の最新APU | 50,000円オーバーと単体価格が高い |
CPU内蔵グラフィックスとして最強クラスの性能 | 純粋なゲーム性能はGTX 1650に及ばない |
8コア16スレッドでCPU性能も高水準 | 対応マザーボードやメモリのコストが高い |
省電力で小型PCの構築に向いている | L3キャッシュが少なくCPU性能が若干制限される |
【ゲーム別】Ryzen 7 8700Gのフレームレート(fps)実機ベンチマーク

Apex LegendsやValorantなど軽量級FPSゲームの性能
比較的負荷の軽いeスポーツタイトルでは、Ryzen 7 8700Gは非常に高いパフォーマンスを発揮します。
例えば「DOTA 2」のようなタイトルでは、低設定で平均185fpsを記録し、GTX 1650を上回る結果も出ています。
「Apex Legends」では最低設定・HD解像度で100〜120fps前後、「Valorant」では最高設定でも平均240fpsを維持できるため、競技性の高いゲームも快適にプレイ可能です。
FF14や原神など中量級オンラインゲームの性能
「Grand Theft Auto 5」のような世界的に人気のタイトルでも、設定を調整すれば100fpsを超える快適なプレイが可能です。
最小fpsも90fps以上と安定しており、グラボなしでも十分楽しめるレベルにあります。
「Shadow of the Tomb Raider」のベンチマークでは平均69.4fpsを記録しており、中量級のアクションゲームも視野に入ってきます。
サイバーパンク2077など重量級AAAタイトルの性能
「Cyberpunk 2077」のようなグラフィックス負荷が非常に高い重量級タイトルでは、さすがに性能の限界が見えてきます。
低設定でも平均フレームレートは45fps程度となり、快適なプレイの目安である60fpsには届きません。
「Borderlands 3」では平均67.7fpsと健闘していますが、重量級タイトルをストレスなくプレイするには、画質や解像度をさらに下げるなどの工夫が必要になるでしょう。
3DMarkなど主要ベンチマークソフトのスコア一覧
グラフィックス性能を測る定番ベンチマークソフト「3DMark」のFire Strikeスコアでは、内蔵のRadeon 780Mは6,500~7,000点前後を記録します。
これは、GeForce GTX 1050 Tiを上回り、GTX 1650に迫るスコアです。
CPU内蔵グラフィックスとしては驚異的な数値であり、APUの性能が新たなステージに到達したことを示しています。
グラフィック性能を徹底比較!GTX 1650や旧世代APUとの差は?

vs GeForce GTX 1650:エントリーグラボとの性能差
前述の通り、Ryzen 7 8700GとGTX 1650の性能差は一概には言えません。
「DOTA 2」のようにCPU負荷も影響するタイトルでは8700Gが有利ですが、「Shadow of the Tomb Raider」や「Borderlands 3」など多くのゲームではGTX 1650が20~30%高いフレームレートを記録します。
総合的に見れば、まだエントリークラスのグラボに軍配が上がりますが、その差は確実に縮まっています。
vs Ryzen 7 5700G:旧世代APUからの進化点をチェック
3年前に登場した旧世代のRyzen 7 5700Gと比較すると、8700Gのグラフィック性能は飛躍的に向上しています。
アーキテクチャが「Vega」から最新の「RDNA 3」に刷新され、対応メモリもDDR4から高速なDDR5へと変更されたことが大きな要因です。
ゲームによってはフレームレートが2倍以上に伸びるケースもあり、「Shadow of the Tomb Raider」では約2.4倍という驚異的な性能向上を見せています。
vs Ryzen 7 7700:グラボなしCPUとの違いはどこにある?
同じZen 4アーキテクチャを採用するRyzen 7 7700は、グラフィック性能よりもCPU自体の処理性能を重視した設計です。
内蔵グラフィックスの実行ユニットはわずか2基で、あくまで「映像を映すため」の最低限の機能に留まります。
一方、Ryzen 7 8700Gは実行ユニットを12基搭載しており、グラフィックス性能を大幅に強化しています。
その代償として、CPUのL3キャッシュメモリが7700の半分(32MB→16MB)に削減されています。
vs Ryzen 5 8600G:下位モデルとの性能とコスパ比較
下位モデルのRyzen 5 8600Gは、GPUの実行ユニットが8基に削減されています。
これにより、Ryzen 7 8700Gと比較してグラフィック性能は約10~15%低くなります。
CPUコア数も8コアから6コアへと減少しますが、価格も抑えられています。
少しでも性能を求めるなら8700G、コストパフォーマンスを重視し、性能差を許容できるなら8600Gという選択になるでしょう。
CPUとしての総合性能は?ゲーム以外のベンチマーク結果

Cinebench R23/2024で見るマルチ・シングルコア性能
CPUの純粋な性能を測るCinebenchでは、Ryzen 7 8700Gは非常に高いスコアを記録します。
Cinebench R23のマルチコア性能は、旧世代のRyzen 7 5700Gから20%以上も向上しています。
L3キャッシュが半分のRyzen 7 7700と比較しても10%程度の低下に留まっており、APUでありながら高いCPU性能を維持していることがわかります。
動画編集やクリエイティブ作業は快適にこなせるか
動画エンコードソフト「Handbrake」での処理時間テストでは、Ryzen 7 5700Gよりも約30%速い結果を出し、Core i5-14400をも上回ります。
ファイル圧縮・解凍ソフト「7-Zip」のベンチマークでも高いスコアを示しており、趣味レベルの動画編集や写真現像といったクリエイティブな作業も十分にこなせる性能を持っています。
一般的な事務作業やブラウジングでのパフォーマンス
8コア16スレッドという高いスペックを持つため、Webサイトの閲覧、Officeソフトでの作業、ビデオ会議といった日常的なタスクでは、全く不満を感じることはありません。
複数のアプリケーションを同時に立ち上げて作業するマルチタスクも快適で、ビジネス用途としても非常に優秀なCPUです。
後からグラボ増設はアリ?相性と性能向上を検証

RTX 4060など人気グラボを搭載した場合のゲーム性能
Ryzen 7 8700Gに、後からRTX 4090のような高性能グラフィックボードを増設した場合の検証データも存在します。
結果を見ると、CPUのL3キャッシュ容量が少ない影響で、Ryzen 7 7700などのCPUに比べてフレームレートが数%~20%程度低くなる傾向があります。
しかし、旧世代のRyzen 7 5700Gと比べれば大幅に性能は改善されており、ミドルクラスのグラボまでなら性能を十分に引き出せると言えます。
ボトルネックは大丈夫?PCI Expressレーン数の注意点
Ryzen 7 8700Gは、グラフィックボード用のPCI Expressレーンが8レーン(PCIe 4.0 x8)に制限されています。
多くのグラボが16レーン(x16)に対応しているため、ハイエンドなモデルを搭載した場合、わずかながら性能のボトルネックとなる可能性があります。
ただし、RTX 4070 SUPERクラスまでのミドルハイクラスのグラボであれば、この影響はほとんど無視できるレベルです。
Ryzen 7 8700Gと相性の良いおすすめグラボはこれだ
将来的なアップグレードを考える場合、Ryzen 7 8700Gには「GeForce RTX 4060」や「RTX 4060 Ti」といったミドルクラスのグラフィックボードが性能と価格のバランスで最適です。
これらのグラボであれば、PCIeレーン数の制限による影響も少なく、CPU性能を活かしながら、ほとんどのゲームをフルHD~WQHD解像度の高設定で快適にプレイできるようになります。
Ryzen 7 8700Gの購入ガイド|価格とおすすめ搭載PC
Ryzen 7 8700Gの基本スペックと特徴一覧
項目 | スペック |
---|---|
アーキテクチャ | Zen 4 |
コア/スレッド数 | 8コア / 16スレッド |
最大クロック | 5.1 GHz |
L3キャッシュ | 16MB |
内蔵グラフィックス | Radeon 780M (12CU) |
TDP | 65W |
対応メモリ | DDR5-5200 |
CPUソケット | AM5 |
発売日 | 2024年1月31日 |
現在の価格は?新品・中古の入手難易度と相場(2025年最新情報)
Ryzen 7 8700Gは発売当初52,800円~でしたが、2025年9月時点では新品の供給が不足しており、入手が困難な状況です。
中古市場では34,000円~36,000円前後で安定しており、状態の良い製品も多く流通しています。
新品にこだわらないのであれば、コストパフォーマンスの良い選択肢となり得ます。
Ryzen 7 8700Gを搭載したおすすめBTOパソコンを紹介
各BTOメーカーからRyzen 7 8700Gを搭載したパソコンが販売されています。
サードウェーブ社の「Lightning AR7」は、ビジネス用途を主軸に置きつつ、たまのゲームプレイにも対応できるコンパクトなモデルです。
ark(アーク)社の「arkhive」シリーズでは、より高速なメモリを搭載し、性能を最大限に引き出す構成や、グラボ増設を見越したモデルも選択できます。
購入前に知っておきたい注意点(プラットフォームコストなど)
Ryzen 7 8700Gを使用するには、CPUソケットがAM5のマザーボードと、DDR5メモリが必須となります。
これらのパーツは、旧世代のAM4プラットフォームやDDR4メモリに比べてまだ価格が高めです。
CPU単体の価格だけでなく、マザーボードやメモリも含めたシステム全体のコスト(プラットフォームコスト)が高くなる点には注意が必要です。
まとめ:Ryzen 7 8700Gのグラフィック性能とおすすめな人
グラボなしでPCを組みたいライトゲーマーに最適
Ryzen 7 8700Gは、グラフィックボードを購入せずに、できるだけコストを抑えてPCを組みたいライトゲーマーにとって、現在最も魅力的な選択肢の一つです。
フルHD解像度で画質設定を調整すれば、多くの人気ゲームを楽しむことができます。
省電力・小型PCを自作したい人にもおすすめ
TDPが65Wと低く抑えられているため、発熱が少なく、消費電力も低いのが特徴です。
この特性を活かして、静音性の高い小型PCを自作したいユーザーにも最適です。
大きなグラフィックボードを搭載する必要がないため、非常にコンパクトなケースにも収めることができます。
本格的なゲーマーはグラボ搭載モデルを検討すべきか
もしあなたが、常に最高の画質と最高のフレームレートでゲームをプレイしたいと考える本格的なゲーマーであれば、Ryzen 7 8700G単体では力不足を感じるでしょう。
その場合は、初めからRyzen 5 7500FのようなCPUと、RTX 4060以上のグラフィックボードを組み合わせた構成を選ぶことを強く推奨します。
- 内蔵GPUはGTX 1650に匹敵する性能を持つ
- フルHD・低設定なら多くのゲームがプレイ可能である
- 旧世代APUの5700Gから性能は大幅に向上した
- CPU性能は同世代のRyzen 7 7700に劣る
- グラボを後から増設することも可能である
- PCIeレーン数に制限がありハイエンドグラボは注意
- DDR5メモリやAM5マザーボードが必要でコストは高め
- 省電力で小型PCの自作に向いている
- 本格的なゲーミングには別途グラボを推奨する
- ビジネス用途に加え、たまにゲームを楽しむ層に最適