QIDI TECH Q1 Proをレビュー解説!特徴から価格・評判まで

高精度な造形が可能な3Dプリンターへの関心が高まる中、「QIDI TECH Q1 Pro」が注目を集めています。

しかし、実際に購入を検討する段階になると、「本当に高品質な印刷ができるのか」「自分の使い方に合っているのか」といった疑問が浮かぶのではないでしょうか。

この記事では、そんな「QIDI TECH Q1 Pro」について、製品のレビューを徹底的に解説します。

主な特徴から詳細なスペック、気になる印刷速度や造形サイズ、さらには実際の価格やユーザーからの評判・口コミまで、購入前に知っておきたい情報を網羅しました。

この記事を最後まで読めば、Q1 Proがあなたにとって最適な一台であるかどうか、明確に判断できるようになるでしょう。

目次

QIDI TECH Q1 Proのレビュー解説【基本性能】

QIDI TECH Q1 Proの主な特徴

QIDI TECH Q1 Proは、先進的な機能を多数搭載し、多様なニーズに応える3Dプリンターです。

その中でも特に注目すべきは、「アクティブチャンバー加熱」「高温対応バイメタルノズル」「高速印刷」という3つの大きな特徴になります。

アクティブチャンバー加熱機能

このプリンター最大の魅力は、庫内温度を能動的にコントロールする「アクティブチャンバー加熱」機能です。

本体内部に搭載されたヒーターファンが温風を循環させ、庫内全体を最大60℃まで加熱・保温します。

これにより、ABSやPC(ポリカーボネート)といった、温度変化に敏感で反りや割れが発生しやすい素材でも、安定した高品質な造形が可能となります。

実際に、この機能を使わずにABSを印刷すると大きく反ってしまうのに対し、チャンバーを60℃に設定すると反りが劇的に改善されるというレビューが多く見られます。

造形物の品質を左右する重要な機能と言えるでしょう。

高温対応バイメタルノズル

Q1 Proは、最大350℃まで加熱可能なノズルを標準で搭載しています。

一般的な家庭用3Dプリンターのノズル上限が300℃程度である中、この高温対応は大きなアドバンテージです。

なぜなら、PA-12CF(カーボンファイバーナイロン)やABS-GF25(ガラス繊維強化ABS)といった、より高い強度や耐熱性を持つエンジニアリングプラスチック(エンプラ)の使用が可能になるからです。

ノズル自体も、熱伝導率の高い素材と耐摩耗性の高い素材を組み合わせた「バイメタルノズル」を採用しており、硬い繊維系のフィラメントでも摩耗を気にせず長期間使用できます。

高速印刷とCoreXY構造

最近の3Dプリンターのトレンドである高速印刷にも、もちろん対応しています。

最大600mm/sというトップクラスの印刷速度を誇り、その高速かつ安定した動作を支えているのが「CoreXY構造」です。

この構造は、ヘッドの動きが軽快で、高速移動時の振動が少ないという利点があります。

さらに、高度な制御を可能にする「Klipper」ファームウェアを搭載しており、速度と品質を高いレベルで両立させています。

この他にも、ワンタップで完了する完全自動レベリングや、遠隔監視が可能なカメラ機能など、現代の高性能機に求められる機能が一通り揃っている点も、大きな特徴の一つです。

QIDI TECH Q1 Proの詳しいスペック

QIDI TECH Q1 Proの性能を正確に把握するために、詳細なスペックを確認しましょう。

このプリンターは、広い造形エリアと多彩なフィラメントへの対応力、そしてユーザーフレンドリーな機能を兼ね備えています。

以下に主な仕様を表にまとめました。

項目仕様
印刷方式FDM(熱溶解積層方式)
構造CoreXY
造形サイズ (W×D×H)245 × 245 × 240 mm
本体サイズ (W×D×H)477 × 467 × 489 mm
本体重量17 kg
最大印刷速度600 mm/s
最大加速度20000 mm/s²
最大ノズル温度350℃
最大ホットベッド温度120℃
チャンバー内温度最大60℃ (独立加熱)
対応フィラメントPLA, ABS, ASA, PETG, TPU, PA, PC, カーボン/ガラス繊維強化ポリマーなど
レベリング完全自動レベリング(デュアルセンサー)
接続方法Wi-Fi, イーサネット, USB
搭載カメラ1080Pカメラ(タイムラプス対応)
スライスソフトQIDI Slicer (PrusaSlicerベース)

このスペック表からわかるように、Q1 Proは非常に高性能です。

特に、造形サイズは一般的な家庭用プリンターよりも一回り大きく、より自由な創作活動を可能にします。

ただし、その分本体サイズも大きく重量もあるため、設置にはある程度のスペースと安定した台が必要になる点は留意すべきでしょう。

対応フィラメントの幅広さは特筆すべき点で、趣味の造形から実用的なパーツ製作まで、この一台で幅広くカバーできるポテンシャルを持っています。

QIDI TECH Q1 Proの印刷速度

QIDI TECH Q1 Proは、最大600mm/sという驚異的な印刷速度を実現しています。

これは、従来の一般的な3Dプリンターと比較して、造形時間を劇的に短縮できることを意味します。

例えば、これまで10時間以上かかっていたような大きなモデルでも、数時間で完成させることが可能になります。

多くのレビューでは、3Dプリンターの性能ベンチマークとしてよく用いられる「3DBenchy」という船のモデルを、わずか18分程度で高品質にプリントできたと報告されています。

この高速印刷を支えているのが、前述のCoreXY構造と、高度な制御を行うKlipperファームウェアです。

高速でヘッドを動かすと通常は振動が大きくなり、造形品質が低下する「ゴースティング」という現象が起きやすくなります。

しかし、Q1 Proは、この振動を検知して打ち消す「入力シェーピング」という機能を搭載しているため、高速でありながら積層痕が目立ちにくく、滑らかな仕上がりを実現します。

もちろん、この600mm/sという数値はあくまで理論上の最大値です。

実際に使用するフィラメントの種類や、造形するモデルの複雑さ、そして求める品質に応じて、スライサーソフトで速度を調整する必要があります。

とはいえ、試作品を素早く作りたい時や、大きなモデルを印刷する際には、この高速性能が大きなアドバンテージとなることは間違いありません。

QIDI TECH Q1 Proの造形サイズ

Q1 Proは、245 × 245 × 240 mm(幅×奥行き×高さ)という造形サイズを持っています。

これは、家庭用3Dプリンターの標準的なサイズである220mm角と比較して、特にXY平面(幅と奥行き)が広いことが特徴です。

この一回り大きな造形エリアは、創作の幅を大きく広げてくれます。

具体的には、より大きなパーツを分割することなく一括で印刷できる可能性が高まります。

例えば、コスプレ用のヘルメットのパーツや、工具を整理するための大きな収納ケース、デザイン性の高いインテリア雑貨など、これまでサイズが理由で諦めていたようなものにも挑戦しやすくなるでしょう。

また、小さなパーツを複数同時に印刷する場合でも、プレート上に余裕をもって配置できるため、作業効率が向上します。

一方で、この広い造形サイズを確保するために、本体の寸法も477 × 467 × 489 mmと、それなりに大きくなっています。

購入を検討する際には、プリンター本体を設置するスペースはもちろんのこと、フィラメントホルダーの取り付けやメンテナンス作業のための余裕も考慮して、設置場所を事前に確保しておくことが非常に重要です。

ただ単に置けるだけでなく、快適に運用できる環境を整えることが、長く使い続けるためのポイントとなります。

QIDI TECH Q1 Proのレビュー解説【評価と価格】

QIDI TECH Q1 Proのおすすめな点

QIDI TECH Q1 Proは多くの魅力を持つプリンターですが、特に「高機能素材の安定した造形力」と「初心者にも優しい操作性」は、大きな強みと言えます。

これらの点が、どのようなユーザーにとっておすすめなのかを具体的に解説します。

ABSやPCなど反りやすい素材を扱いたい人におすすめ

まず、ABSやPC、ASAといった、反りや層間剥離が起きやすく、これまで家庭用プリンターでは敬遠されがちだった素材を積極的に使いたい方には、非常におすすめです。

前述の通り、最大60℃まで庫内温度を保つアクティブチャンバー加熱機能が、これらの素材の収縮を抑え、造形プレートへの定着を安定させます。

これにより、寸法精度が求められる実用的なパーツや、耐久性の高い作品を、失敗を恐れずに造形できるようになります。

高強度なカーボンファイバー系フィラメントを使いたい人におすすめ

次に、より高いレベルの強度や剛性を求めて、カーボンファイバーやガラス繊維が配合されたフィラメントを使いたい方にも最適です。

最大350℃まで対応する高温ノズルと、摩耗に強い硬化鋼ギアを備えたダイレクトエクストルーダーが、これらの特殊なフィラメントを安定して押し出します。

趣味の範囲を超えて、ドローンのフレームやラジコンのパーツ、治具の製作など、業務用レベルの強度を持つ本格的なパーツ造形に挑戦したいユーザーの期待に応えてくれます。

3Dプリンター初心者でも安心して始められる

Q1 Proは高性能でありながら、初心者にも非常に扱いやすい設計になっています。

本体は組み立て済みで、箱から出して簡単なセットアップを済ませれば、すぐに印刷を開始できます。

また、日本語に対応した見やすいタッチパネルや、ボタン一つでレベリングが完了する「完全自動レベリング機能」は、初心者がつまずきやすいポイントを徹底的に排除しています。

印刷開始時にはノズルを自動で清掃してくれる機能もあり、失敗のリスクを低減する工夫が随所に見られるため、初めての3Dプリンターとしても安心して選べる一台です。

QIDI TECH Q1 Proの注意点

QIDI TECH Q1 Proは非常に優れたプリンターですが、購入後に「こんなはずではなかった」と後悔しないために、事前に知っておくべきいくつかの注意点があります。

本体の大きさと重さ

最も注意すべき点は、そのサイズと重量です。

造形サイズが245mm角と大きい分、本体寸法も幅477mm、奥行き467mm、高さ489mmと、かなりの存在感があります。

重量も17kgあり、成人男性でも一人で設置するのは少し大変かもしれません。

購入前には、必ず設置場所の寸法を正確に測り、安定して置ける頑丈な台や棚を用意しましょう。

特に、フィラメントを側面に取り付けるため、左右にもある程度の作業スペースが必要です。

稼働時の騒音

高速で動作する3Dプリンターの宿命とも言えますが、Q1 Proも印刷中には相応の音が発生します。

レビューによれば、その音量は62dB~67dB程度とされており、これは「掃除機を近くで聞いている音」や「騒々しい事務所の中」に例えられます。

日中のリビングなどであれば気にならないかもしれませんが、静かな環境やワンルームマンション、夜間の稼働を考えている場合は、この騒音レベルが許容範囲かどうかを考慮する必要があります。

チャンバー加熱には時間がかかる

ABSなどの素材で高品質な造形をするために不可欠なチャンバー加熱機能ですが、印刷開始前に庫内が設定温度に達するまで、ある程度の待ち時間が発生します。

レビューでは、55℃に設定した場合、印刷が実際に始まるまでに14分ほどかかったという報告もあります。

PLAなどチャンバー加熱が不要な素材の場合は問題ありませんが、高機能素材をメインで使いたい場合は、この予熱時間も作業時間の一部として見込んでおくと良いでしょう。

これらの点はデメリットとも言えますが、Q1 Proの持つ高い性能とのトレードオフと考えることもできます。

ご自身の使用環境や求める条件と照らし合わせて、慎重に検討することが大切です。

QIDI TECH Q1 Proの評判・口コミ

製品の真価を知るためには、実際に使用しているユーザーの声が最も参考になります。

QIDI TECH Q1 Proは、全体として非常に高い評価を得ていますが、いくつかの具体的な意見を見ていきましょう。

良い評判・口コミ

多くのユーザーから最も称賛されているのは、やはり「印刷品質の高さ」と「使いやすさ」です。

「箱から出して簡単な設定をしただけで、驚くほど綺麗な造形物ができた」「これまで何度も失敗していたABSの反りが嘘のように無くなった」といった声が多数見られます。

特に、高速印刷にもかかわらず積層が非常に綺麗である点に感動するユーザーが多いようです。

また、「完全自動レベリングが非常に正確で、面倒な調整から解放された」「日本語のインターフェースが分かりやすく、初心者でも迷わずに使えた」など、操作性の良さも高く評価されています。

さらに、「トラブルがあった際にサポートに連絡したら、迅速かつ丁寧に対応してくれた」という、メーカーのアフターサービスに対する満足度の高い口コミも、安心して購入できる大きな要因となっています。

気になる評判・口コミ

一方で、改善を望む声もいくつか存在します。

注意点でも触れたように、「本体が想像以上に大きくて重かった」「印刷中の音が結構大きいので置き場所に困る」といった、サイズや騒音に関する指摘は少なくありません。

また、「タッチパネルの反応が少し鈍いことがある」という意見も見られます。

ただし、これについてはPCのスライサーソフトから操作することが多いため、致命的な問題ではないと捉えるユーザーがほとんどのようです。

その他、「PLAを印刷する際に、チャンバーの蓋を閉めたままだと熱がこもりすぎてノズル詰まりを起こした」という、素材ごとの適切な運用方法に関する貴重な失敗談も寄せられています。

これは、マニュアルをよく読み、素材の特性を理解して使用することの重要性を示唆しています。

これらの評判・口コミを総合すると、Q1 Proは基本性能が非常に高く、多くのユーザーを満足させる実力を持ったプリンターであると言えるでしょう。

QIDI TECH Q1 Proの価格

QIDI TECH Q1 Proの購入を検討する上で、最も重要な要素の一つが価格です。

2025年7月現在、QIDI TECH Q1 Proは、メーカーの公式サイトやAmazon、楽天市場といった主要なオンラインストアで購入することが可能です。

価格は販売店によって多少の変動がありますが、概ね79,000円から90,000円前後の範囲で販売されています。

例えば、Amazonでは79,999円(税込)、楽天市場の正規代理店では79,000円(税込・送料無料)で販売されている実績があります。

この約8万円という価格は、初めて3Dプリンターを購入する方にとっては少し高価に感じられるかもしれません。

しかし、Q1 Proに搭載されている機能を考慮すると、そのコストパフォーマンスは非常に高いと評価されています。

具体的には、

  • アクティブチャンバー加熱機能
  • 最大350℃の高温ノズル
  • 最大600mm/sの高速印刷
  • 245mm角の広い造形サイズ
  • 完全自動レベリングといった、数年前であれば数十万円クラスの業務用機にしか搭載されていなかったような機能が、この価格で手に入るからです。

購入時には、各オンラインストアで実施されているセールや、配布されるクーポンなどを活用することで、さらにお得に手に入れられる可能性があります。

購入を決定する前には、複数の販売サイトを比較検討することをおすすめします。

初期投資としては決して安くはありませんが、その多機能性と性能から、長く満足して使える一台であることは間違いないでしょう。

まとめ:QIDI TECH Q1 Proをレビュー解説!購入すべきか判断するポイント

  • QIDI TECH Q1 Proはアクティブチャンバー搭載の高性能3Dプリンターである
  • 最大60℃のチャンバー加熱によりABSなどの反りを抑制する
  • 最大350℃の高温ノズルでカーボンファイバー系素材にも対応
  • 印刷速度は最大600mm/sで、CoreXY構造により高速かつ安定した造形が可能
  • 造形サイズは245x245x240mmと家庭用では広めのサイズ
  • 完全自動レベリング機能で初心者でもセットアップが容易
  • 本体サイズが大きく重いため設置スペースの確保が必要
  • 稼働音は掃除機並みで、静音性を求める場合は注意が必要
  • 価格は約8万円前後で、機能性を考慮するとコストパフォーマンスは高い
  • 高機能素材を使いたいユーザーや初心者からのステップアップにおすすめの一台
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次