QIDI Q2レビュー解説！実機評価から注意点まで徹底網羅

QIDI社の最新3Dプリンター「QIDI Q2」について、その性能や評判が気になっていませんか。

10万円以下という魅力的な価格で、多色印刷やエンジニアリングプラスチックに対応するなど、非常に高いスペックを誇ります。

しかし、「実際の印刷品質はどうなのか」「Bambu Labなどの競合製品と比べて何が違うのか」「初心者でも扱えるのか」といった疑問を持つ方も多いでしょう。

この記事では、海外のレビュアーによる100時間以上の実機使用レビューやユーザーのリアルな口コミ、公式スペック情報を徹底的に分析し、QIDI Q2の本当の実力を明らかにします。

購入後に後悔しないために、メリットだけでなくデメリットや注意点まで、この記事で詳しく解説していきます。

【総評】QIDI Q2はどんな3Dプリンター？購入前に知りたい評価まとめ

結論：低価格でエンプラ・多色印刷に挑戦できるコスパ最強マシン

QIDI Q2は、10万円を切る価格帯でありながら、加熱チャンバーを搭載し、PPS-CFのような高難易度なエンジニアリングフィラメントや、最大16色のマルチカラー印刷に対応する、非常にコストパフォーマンスに優れた3Dプリンターです。

特に、Bambu LabのAMSでは扱いが難しいとされるカーボンファイバー系フィラメントを乾燥させながら印刷できる「QIDI Box」は、大きな魅力と言えるでしょう。

ただし、ソフトウェアのバグや一部の使い勝手には改善の余地があり、性能を最大限に引き出すにはある程度の知識と試行錯誤が求められる場面もあります。

Bambu Labなど他社製品と比較したQIDI Q2の立ち位置は？

3Dプリンター市場において、QIDI Q2は「挑戦的な高機能モデル」という立ち位置にあります。

例えば、Bambu LabのX1CやP1Sは「安定性と完成度の高さ」で評価されており、専用フィラメントを使えば誰でも手軽に高品質な印刷が可能です。

一方でQIDI Q2は、Bambu Labが公式にはサポートしていないカーボンファイバーナイロンなどを多色システムで扱えるという、より専門的で高度なニーズに応えるスペックを持っています。

価格を抑えつつ、より多様な素材で造形したいと考える中級者から上級者にとって、魅力的な選択肢となるでしょう。

実際に100時間以上使った海外レビュアーの正直な感想

ある海外のプロフェッショナルレビュアーは、100時間以上QIDI Q2を使用した結果、「素晴らしいパーツを造形できるが、厄介な癖もある」と評価しています。

標準的なPLAフィラメントや、難易度の高いガラス繊維入りフィラメントでは、販売可能なレベルの完璧な品質で印刷できたことを高く評価しています。

しかし、その一方で、ソフトウェアのバグに何度か遭遇したり、多色印刷システム「QIDI Box」の使い勝手に不満を感じたりした点も指摘しています。

総じて、ハードウェアのポテンシャルは非常に高いものの、ソフトウェアの成熟度が追いついていない部分があり、今後のアップデートに期待が寄せられています。

QIDI Q2の優れた特徴は？5つのおすすめポイントを解説

【価格】10万円以下でチャンバー・マルチカラー対応は本当？

はい、本当です。

QIDI Q2の最大の特徴は、その圧倒的なコストパフォーマンスにあります。

本体単体であれば7万円台、マルチカラーシステム「QIDI Box」が付属するComboモデルでも10万円以下で購入可能です。

通常、高温フィラメントの反りを防ぐための「加熱チャンバー」や、複数色のフィラメントを自動で切り替える「マルチカラーシステム」は、より高価なモデルに搭載される機能です。

これらの機能をこの価格帯で両立させている点が、QIDI Q2が注目される大きな理由です。

【性能】高難易度なエンジニアリングフィラメント（PPS-CF等）が扱える理由

QIDI Q2が高難易度フィラメントを扱える理由は、3つの主要なハードウェア性能にあります。

第一に、ホットエンドが最大370℃、ヒートベッドが最大120℃まで昇温可能です。

第二に、庫内を最大65℃に保つアクティブ加熱チャンバーを搭載しており、ABSやナイロン、ポリカーボネートなどの反りやすい素材の安定した造形をサポートします。

そして第三に、ノズルには耐久性の高いバイメタルノズルが採用されており、炭素繊維（カーボンファイバー）やガラス繊維が含まれる摩耗性の高いフィラメントにも対応できます。

これにより、趣味の造形からプロの試作品製作まで、幅広い用途に応える性能を実現しています。

【品質】CoreXY構造と高精度オートレベリングによる安定した造形

QIDI Q2は、高速印刷時でも安定した品質を保つために、工業用グレードの機構を採用しています。

駆動方式には、振動が少なく精密な動作が可能な「CoreXY構造」と、耐久性の高い「リニアガイドレール」が使われています。

さらに、レベリング機能には、ノズル先端で物理的にビルドプレートを検知する方式を採用しており、従来のセンサー方式よりも誤差の少ない、精度の高い一層目の定着を実現しました。

これらの堅牢なハードウェア設計が、安定した造形品質の基盤となっています。

【多色印刷】最大16色対応「QIDI Box」はBambu LabのAMSと何が違う？

QIDI Boxは、最大4台まで連結することで16色の印刷に対応するマルチマテリアルシステムです。

Bambu LabのAMSとの最大の違いは、「加熱乾燥機能」と「硬化鋼製ギア」を搭載している点です。

QIDI Boxは庫内を最大65℃まで加熱できるため、吸湿しやすいナイロンやTPUといったフィラメントを乾燥状態に保ちながら印刷できます。

また、ギアが硬化鋼で作られているため、カーボンファイバーなどの摩耗性の高いフィラメントでもギアを削ることなく安定して供給できるとされています。

これにより、AMSでは扱いが難しいとされるエンジニアリングフィラメントの多色・多素材印刷が可能になります。

【安全性】臭気対策フィルターとMET認証で家庭でも安心して使える？

QIDI Q2は、家庭での使用を想定した安全対策が施されています。

ABSなどの印刷時に発生する特有の臭いや有害な微粒子を低減するため、「G3プレフィルター」「H12 HEPAフィルター」「活性炭層」からなる三重のろ過システムを搭載しています。

さらに、製品の安全性を示す認証として、米国およびカナダの労働安全基準に準拠した「MET認証」を取得しています。

これにより、適切な換気環境のもとであれば、家庭内でもより安心して3Dプリンターを使用することが可能です。

【作例あり】QIDI Q2のリアルな印刷品質を素材別に徹底レビュー

基本的なPLAフィラメントでの印刷精度は？

基本的なPLAフィラメントを使用した際の印刷品質は、レビュアーから「完璧」「欠点がない」と絶賛されています。

特に、自作のPCケースのパーツを印刷したところ、表面は非常に滑らかで、エッジもシャープな仕上がりになったとのことです。

特別な調整をせずとも、箱出しの状態から高い精度の造形が期待できることが分かります。

信頼性が高く、日常的なプロトタイピングや趣味の造形で全く問題なく使用できる品質です。

ABS・PETGなど汎用フィラメントの印刷結果と安定性

ABSやPETGといった、PLAより少し扱いが難しいとされる汎用フィラメントでも、安定した印刷が可能です。

あるユーザーは、50時間以上にわたってABSで印刷を続けましたが、一度も失敗することなく高品質なパーツを造形できたと報告しています。

これは、最大65℃まで庫内を温められる加熱チャンバーが、材料の収縮による反りや層間剥離を効果的に抑制しているためと考えられます。

マルチカラー印刷（4色）のクオリティはどれくらい？

QIDI Boxを使用した4色のロゴ印刷では、レビュアーが「3Dプリントされたパーツだとは信じられない」と驚くほどの素晴らしい結果が得られています。

各色の境界は非常にシャープで、色の混じりやにじみも見られません。

ただし、印刷を開始する際に「BOX_TEMP_SET」というエラーが発生し、何度か再起動を試みた末に、偶然動き出したというトラブルも報告されています。

品質は非常に高いものの、ソフトウェアの安定性にはまだ改善の余地があるようです。

最難関クラス「PPS-CF」フィラメントの印刷は本当に可能か？

はい、可能です。

ロボット開発者であるレビュアーが、高強度なロボットの脚パーツをPPS-CF（炭素繊維強化ポリフェニレンサルファイド）で印刷したところ、積層痕がほとんど目立たない、非常に高品質な仕上がりになったと報告しています。

サポート材の除去もスムーズで、サポート面も綺麗だったとのことです。

これまで高価な業務用機でしか扱えなかったようなスーパーエンプラを、特別な調整なしで手軽に印刷できる点は、QIDI Q2の大きな強みです。

苦手なフィラメントはある？シルクPLAで起きた問題点

レビュアーによると、光沢が特徴的なシルクPLAの印刷は苦手なようです。

PCケースのフロントベゼルをシルクPLAで印刷したところ、層の接着性が悪く、積層痕が目立つ「Zバンディング」が発生してしまいました。

これは、レビュアーが普段使用している0.6mmノズルではなく、標準の0.4mmノズルで印刷したことも一因と考えられます。

しかし、0.6mmや0.8mmのノズルは、レビュー時点ではソフトウェアが対応しておらず、エラーが出て使用できなかったとのことです。

特定のフィラメントやノズルサイズでは、まだ最適化が必要な部分があるようです。

購入前に必ず確認！QIDI Q2の注意点とデメリット【悪い評判・口コミ】

ソフトウェアのバグやエラーは多い？実際のトラブル事例

複数のレビュアーやユーザーから、ソフトウェアに関するバグやエラーが報告されています。

例えば、「スライサーとプリンター本体のフィラメント情報が一致しないと印刷が開始できない」「QIDI Boxを加熱しようとするとエラーが出る」といった問題が実際に発生しています。

これらの多くは再起動などで解決できるものの、Bambu Labのスムーズな体験に慣れていると、ストレスに感じるかもしれません。

ハードウェアの性能が高いだけに、ソフトウェアの完成度が今後の課題と言えるでしょう。

「QIDI Box」の使い勝手はどう？騒音・フィラメント交換の口コミ

多色印刷を可能にする「QIDI Box」ですが、使い勝手にはいくつかの注意点があります。

まず、フィラメントを切り替える際の動作音が「不快なほど大きい」と複数のレビュアーが指摘しています。

常に鳴っているわけではありませんが、静かな環境では気になるかもしれません。

また、フィラメントのスプール交換にはコツが必要で、手動で無理に引き抜くとフィラメントが折れる可能性があるため、必ず本体のアンロード機能を使う必要があります。

ハードウェアの品質は？初期不良や詰まりやすさに関する評判

全体的な筐体の剛性は高いと評価されていますが、一部のユーザーからは初期不良や調整の難しさが報告されています。

特に、Redditでは「箱出しの状態では完璧な一層目が印刷できなかった」「何度レベリングを繰り返してもムラが解消されない」といった声が見られました。

多くのユーザーは問題なく使用できている一方で、個体差や、ある程度の調整スキルを前提とした製品である可能性が示唆されています。

サポートの対応は迅速で丁寧だという評価が多いのが救いです。

印刷終了後に鳴り響く「高周波ノイズ」問題とは？

印刷が完了して冷却された後も、本体から「冷蔵庫の冷却サイクルのような、高音で不快なノイズ」が鳴り続けるという問題が指摘されています。

これは、何らかのファンが常に回り続けていることが原因と考えられています。

同様の問題は他社製品でも見られ、ファームウェアのアップデートで改善された経緯があるため、QIDIにも早急な対応が望まれます。

静音性を重視するユーザーにとっては、見過ごせないデメリットとなる可能性があります。

初心者には不向き？説明書やセットアップに関する注意点

一部のユーザーからは、「説明書が不親切で、初心者がこの機種から始めるのは避けた方がよい」という厳しい意見も出ています。

3Dプリンターにある程度慣れているユーザーであれば問題なくセットアップできますが、全くの初心者がマニュアルだけを頼りに使い始めるのは難しいかもしれません。

「プリントボタンを押すだけ」という手軽さを求める場合は、よりユーザーフレンドリーなBambu Lab製品などを検討する方が良いでしょう。

QIDI Q2のスペックと印刷速度を一覧でチェック

QIDI Q2の主要スペック一覧（造形サイズ・対応温度・本体寸法など）

QIDI Q2の主要なスペックを以下の表にまとめました。

項目	スペック
造形方式	FDM（熱溶解積層法）
XY構造	CoreXY
造形サイズ	270 x 270 x 256 mm
本体寸法	402 x 438 x 494 mm
本体重量	18.1 kg
最大印刷速度	600 mm/s
最大加速度	20,000 mm/s²
最大ノズル温度	370℃
最大ベッド温度	120℃
チャンバー温度	最大65℃（PTCヒーター）
オートレベリング	対応（ロードセルセンサー）
フィルター	3層フィルター搭載
接続方法	Wi-Fi, イーサネット, USB

実際の印刷時間はどれくらい？他社同クラス機種との速度比較

カタログスペック上の最大速度は600mm/sと非常に高速ですが、レビュアーがベンチマークモデルを印刷したところ、Bambu Lab X1CやP1S、Elegoo Neptune 4シリーズなど、他の高速機と比較して「大きな差はない」という結果でした。

これは、実際の印刷では、品質を担保するために加速度や加減速の制御が重要となり、常に最高速度で動作するわけではないためです。

日常的な使用において、印刷速度が他社製品より際立って速い、あるいは遅いということはなく、同クラスの標準的なスピードだと考えてよいでしょう。

対応フィラメントの種類とオプションノズルについて

QIDI Q2は、その高いノズル温度と加熱チャンバーにより、非常に幅広いフィラメントに対応しています。

一般的なPLA、ABS、PETG、TPUはもちろんのこと、PC（ポリカーボネート）、PA（ナイロン）、ASA、さらにそれらにカーボンファイバーやガラスファイバーが配合された各種エンジニアリングフィラメントの使用が可能です。

標準ノズルは0.4mmのバイメタルノズルですが、オプションで0.2mm、0.6mm、0.8mmのノズルも用意されています。

ただし、レビュー時点ではスライサーソフトが0.6mm、0.8mmに完全に対応しきれていないという報告もあり、今後のソフトウェアアップデートによる改善が期待されます。

設置に必要なスペースと消費電力は？

本体サイズは幅402mm × 奥行438mm × 高さ494mmと、造形サイズの割にはコンパクトに設計されています。

ただし、フィラメントスプールを本体左側面に設置するため、左側には15cm～20cm程度の余裕が必要です。

また、背面からクリーニングで排出されたフィラメントのゴミを受け止めるスペースも考慮すると、幅500mm × 奥行600mm程度の作業スペースを確保するとメンテナンスも含めて快適に作業できます。

消費電力は、加熱開始から5分程度はヒーター類がフル稼働するため約500Wを消費しますが、一度温度が安定すると、チャンバーやベッド、ノズルを高温に保った状態でも効率的に動作するとのことです。

QIDI Q2の価格と購入方法｜一番お得に買うには？

本体単体と「QIDI Box Combo」の価格と内容物の違い

QIDI Q2には、プリンター本体のみのモデルと、マルチカラーシステム「QIDI Box」がセットになった「Combo」モデルの2種類があります。

2024年10月時点の公式ストアでの価格は、本体単体が約73,000円、Q2 Comboが約94,000円となっています。

Comboモデルには、QIDI Box本体に加えて、フィラメントの自動認識に必要なNFC対応のフィラメントスプールホルダーなどが付属します。

将来的に多色印刷や、吸湿しやすいフィラメントを積極的に使いたいと考えている場合は、最初からComboモデルを購入する方がお得です。

公式サイトとAmazon、どちらで買うのがおすすめ？

QIDI Q2は、QIDIの公式サイトとAmazon内の公式ストアで購入できます。

価格は為替レートによって変動しますが、基本的には公式サイトの方が若干安価な傾向にあります。

公式サイトは海外からの発送となりますが、配送は比較的迅速です。

一方、Amazonで購入するメリットは、迅速な国内配送と、万が一の際の返品・交換プロセスの手軽さにあります。

最新の価格やセール情報を両方で確認し、ご自身の優先順位（価格か、安心感か）に合わせて選択するのが良いでしょう。

保証やサポート体制は充実している？

QIDIのサポート体制は、ユーザーから高い評価を得ています。

多くのレビューで、問い合わせに対するメールの返信が迅速かつ丁寧であることが言及されています。

ハードウェアのトラブルが発生した際も、サポートに連絡したところ、数日で交換部品を送ってもらえたという報告が多数あります。

保証期間が過ぎた後でも技術的な質問に親身に相談に乗ってくれるとのことで、海外メーカーでありながら、安心して長く使えるサポート体制が整っていると言えます。

【結論】QIDI Q2はどんな人におすすめ？

QIDI Q2の購入を強くおすすめする人の特徴

QIDI Q2は、以下のような特徴を持つ方に特におすすめの3Dプリンターです。

10万円以下の予算で、カーボンファイバー配合フィラメントなどのエンジニアリングプラスチックを使った高強度なパーツを作りたい方。

Bambu LabのAMSでは扱えないような多様な素材で、多色・多素材印刷に挑戦したいと考えている方。

ある程度の3Dプリンターの使用経験があり、ソフトウェアのバグやハードウェアの微調整などを自身で解決できる、あるいはその過程を楽しめる方。

メインの安定したプリンターを既に持っており、より挑戦的な造形を行うための「2台目以降のマシン」を探している方。

逆に、他の3Dプリンターを検討した方が良い人の特徴

一方で、以下のような方には、QIDI Q2以外のプリンターを検討することをおすすめします。

3Dプリンターに触るのが全く初めてで、できるだけ手間をかけずに綺麗な造形を楽しみたい初心者の方。

仕事などで使用するため、ソフトウェアの安定性やトラブルの少なさを最優先したい方。

印刷中の騒音や、待機中のノイズが気になるなど、静音性を非常に重視する方。

最終評価：手間を惜しまない中〜上級者向けの「最高のセカンドマシン」

QIDI Q2は、価格を大きく超える先進的なハードウェア性能を秘めた、非常にポテンシャルの高い3Dプリンターです。

特に、多様なエンジニアリングフィラメントへの対応力は、同価格帯の競合製品を凌駕しています。

しかし、その性能を100%引き出すには、ソフトウェアの癖を理解し、時にはトラブルシューティングを厭わない姿勢が求められます。

「ただボタンを押すだけ」の手軽さよりも、「機械と対話しながら最高の品質を追求する」ことに喜びを感じる、経験豊富な中〜上級者にとって、これ以上なく刺激的で満足度の高い「最高のセカンドマシン」となるでしょう。

まとめ：QIDI Q2 レビュー解説