Original Prusa MK4Sは、その高い性能と信頼性で世界中のメイカーから注目を集める3Dプリンターです。
しかし、決して安価ではないため、「本当に価格に見合う価値があるのか」「旧モデルのMK4と何が違うのか」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
この記事では、Original Prusa MK4Sのスペックや特徴、実際の印刷品質からセットアップのしやすさまで、国内外のレビュー情報を基に徹底的に解説します。
MK4Sのリアルな評判や口コミ、購入前に知っておくべき注意点も網羅しているため、この記事を読めば、あなたがMK4Sを選ぶべきかどうかが明確になります。
結論:Original Prusa MK4Sはどんな人におすすめ?
【総評】高品質・高信頼性を求めるなら最高の「投資」になる3Dプリンター
Original Prusa MK4Sは、単なる「購入」ではなく、長期的な視点での「投資」と考えるべき3Dプリンターです。
趣味の造形からプロフェッショナルな試作品製作まで、常に安定した高い印刷品質と信頼性を求めるユーザーにとって、これ以上ない選択肢と言えるでしょう。
価格は他社製品と比較して高価ですが、その価値は手厚いサポート、継続的なアップグレード、そして何より失敗の少ないストレスフリーな印刷体験によって十分に補われます。
購入前に知るべき注意点は?価格と性能のバランスを解説
購入前に知っておくべき最も大きな注意点は、その価格です。
同程度の造形サイズを持つ他社の3Dプリンターが半額以下で購入できるケースも少なくありません。
また、筐体がオープンな「ベッドスリンガー」方式であり、外観の一部に3Dプリントパーツが使われている点から、見た目に「DIY感」や「安っぽさ」を感じる人もいるかもしれません。
カメラや自動キャリブレーション機能が標準で搭載されていない点も、最新の多機能プリンターと比較すると見劣りする可能性があります。
【早見表】MK4Sのメリット・デメリットまとめ
| メリット | デメリット | 
|---|---|
| 常に安定した高い印刷品質と信頼性 | 他社製品と比較して価格が高い | 
| 完璧なファーストレイヤーを自動で実現 | 外観にDIY感があり、好みが分かれる | 
| 印刷速度とオーバーハング性能が向上 | カメラや多色印刷ユニットは別売りオプション | 
| 長期的なアップグレードが保証されている | ABSなどの素材には別途エンクロージャーが必要 | 
| 充実したコミュニティと手厚いサポート | 初心者にはオーバースペックに感じる可能性 | 
Original Prusa MK4Sの主な特徴は?MK4からの進化点を解説
新開発の360°冷却システムで造形品質が劇的に向上
Original Prusa MK4Sの最大の特徴の一つが、新しく設計された360°冷却システムです。
これはエクストルーダーの周囲を囲むように配置されたプリントファンで、シミュレーションに基づいて設計されており、冷却風を効率的に造形物へ届けます。
この冷却性能の向上により、ブリッジング性能が向上し、特にオーバーハングがきつい形状の造形品質が劇的に改善されました。
高流量ノズルが標準装備になり印刷速度がさらにアップ
MK4Sでは、フィラメントの流量を最大化する高流量(ハイフロー)ノズルが標準で搭載されています。
強力な冷却ファンとこの高流量ノズル、そして最適化されたファームウェアが組み合わさることで、印刷品質を損なうことなく、MK4からさらなる印刷速度の向上を実現しました。
これにより、造形にかかる時間が大幅に短縮され、作業効率が大きく向上します。
スマホアプリとの連携が本格化、NFCタップでWi-Fi設定も簡単に
MK4Sのリリースに合わせて、iOSおよびAndroid向けの公式スマホアプリ「Prusaアプリ」が登場しました。
このアプリを使えば、印刷状況の遠隔モニタリングや操作が簡単に行えます。
特筆すべきは、NFC(近距離無線通信)機能を利用したWi-Fi設定です。
スマートフォンのWi-Fi情報を、本体のNFCリーダーにかざすだけで転送できるため、面倒なパスワード入力が不要になり、セットアップが非常に手軽になりました。
射出成形パーツ採用で堅牢性とデザイン性が向上
従来のモデルでは3Dプリントパーツが多用されていましたが、MK4Sでは液晶パネルカバーなどの一部の部品が射出成形品に変更されました。
これにより、全体の堅牢性がアップし、より洗練された製品としての印象を与えます。
Prusaの伝統である3Dプリントパーツの活用思想は維持しつつも、適切な箇所に工業製品を用いることで、耐久性とデザイン性の両方を高めています。
Original Prusa MK4Sの印刷品質・速度・精度を徹底検証
印刷速度は本当に速い?MK4や他社製品とのBenchyテスト比較
MK4Sの印刷速度は、ベンチマークモデル「3DBenchy」のテストでその進化が証明されています。
同一設定でMK4が1時間30分かかったモデルを、MK4Sは1時間6分で完成させ、約27%の時間短縮を実現しました。
これは主に新しい冷却システムと高流量ノズンの効果によるものです。
海外のレビューでは、設定を突き詰めることで8分という驚異的な速さでBenchyを印刷した例もありますが、その場合、壁が薄くなり強度は犠牲になります。
サポート材なしで75°のオーバーハングを印刷できる驚異の性能
MK4Sの強力な360°冷却システムは、特にオーバーハング性能において絶大な効果を発揮します。
公式サイトや多くのレビューで、サポート材なしで最大75°という極端な角度のオーバーハングを綺麗に印刷できることが示されています。
これにより、サポート材の使用量を減らし、材料コストと後処理の手間を大幅に削減することが可能です。
完璧なファーストレイヤーを実現するロードセルセンサー自動キャリブレーション
Prusa MK4から搭載されたロードセルセンサーによる自動キャリブレーションは、MK4Sでも健在です。
印刷開始前にノズルが物理的にビルドプレートに接触し、その圧力を検知して完璧なZ軸オフセットを自動で設定します。
これにより、3Dプリントで最も失敗しやすいファーストレイヤー(第一層)が常に完璧な状態で印刷され、ユーザーは面倒な手動調整から解放されます。
滑らかな表面仕上げと高い寸法精度をレビュー
MK4Sで印刷された造形物は、非常に滑らかで美しい表面仕上げが特徴です。
積層痕が目立ちにくく、外部の継ぎ目(シーム)もほとんど見当たりません。
また、寸法精度も非常に高く、複数のパーツを組み合わせるようなプロジェクトでも、設計通りの嵌合精度を実現できます。
この高い精度と品質は、多くのユーザーがPrusa製品を信頼する大きな理由の一つです。
Original Prusa MK4Sの価格と購入方法
キット版と組み立て済み版の価格差はいくら?どちらを選ぶべきか
Original Prusa MK4Sには、自分で組み立てる「キット版」と、工場で組み立てられた「完成品」の2種類があります。
公式サイトでの価格は、キット版が104,600円、組み立て済み版が145,200円(2024年10月時点)となっており、約4万円の価格差があります。
組み立てを通してプリンターの構造を深く理解したい方や、コストを抑えたい方はキット版が、すぐに印刷を始めたい方や組み立てに自信がない方は完成品がおすすめです。
公式サイトやAmazonでの購入手順と送料について
MK4Sは、チェコ共和国にあるPrusa Researchの公式オンラインショップから直接購入できます。
また、日本のAmazonでも公式ストアが出店しており、購入が可能です。
公式サイトから購入する場合、別途チェコからの送料と輸入消費税がかかる点に注意が必要です。
Amazonで購入する場合は送料込みの価格設定になっていることが多く、国内からの発送で迅速に届くメリットがあります。
あると便利なオプション品(追加プリントシート、エンクロージャーなど)
MK4Sをさらに活用するためには、いくつかのオプション品が役立ちます。
表面の質感が異なる「Textured」や「Satin」のプリントシートを追加すれば、造形物の底面の仕上がりを変えることができます。
また、ABSやASAといった反りやすい素材を印刷する場合は、庫内温度を安定させるための「Original Prusa Enclosure」(エンクロージャー)の導入が推奨されます。
セットアップから印刷までの使いやすさをレビュー
開封から初回プリントまで15分?組み立て済みモデルの簡単なセットアップ手順
組み立て済みモデルのセットアップは非常に簡単です。
箱から本体を取り出し、フィラメントのスプールホルダーを取り付け、電源を接続するだけで物理的な準備は完了します。
その後、画面の指示に従って簡単な初期設定とセルフテストを行えば、公式サイトが謳うように、開封からわずか15~20分で最初のプリントを開始することが可能です。
キット版の組み立ては難しい?所要時間と注意点を解説
キット版の組み立ては、詳細で分かりやすいオンラインマニュアルが用意されているため、プラモデルなどの組み立て経験があれば、それほど難しくはありません。
ただし、部品点数が多く、作業工程も多いため、慣れた人でも半日、初心者であれば1~3日程度の時間を見積もっておくと良いでしょう。
焦らず、マニュアルの指示を一つ一つ確認しながら作業を進めることが重要です。
直感的なカラー液晶とUI(ユーザーインターフェース)の操作性
MK4Sは、フルカラーの液晶ディスプレイを搭載しており、グラフィカルで直感的な操作が可能です。
タッチスクリーンとコントロールダイヤルの両方を備えているため、好みに合わせた操作ができます。
メニューの日本語表示にも対応していますが、一部直訳気味な表現が見られることもあります。
全体としてUIは分かりやすく整理されており、初心者でも迷うことなく操作できるでしょう。
Prusa Connectとスマホアプリによる遠隔操作とモニタリングの利便性
MK4SはWi-Fiとイーサネットポートを標準搭載しており、ネットワーク経由での操作が可能です。
Webブラウザベースの「Prusa Connect」や専用のスマホアプリを使えば、Gコードファイルの転送、印刷の開始・停止、進捗状況の確認をどこからでも行えます。
印刷終了時やエラー発生時にはスマートフォンに通知が届くため、プリンターから離れていても安心して運用できます。
なぜ支持される?PrusaSlicerと独自のオープンソースエコシステム
多機能で使いやすい「PrusaSlicer」の強みとは
PrusaSlicerは、Prusa Researchが自社開発しているスライサーソフトウェアです。
元々はオープンソースの「Slic3r」をベースにしていますが、長年の開発によって非常に多機能で洗練されたソフトウェアに進化しました。
その完成度の高さから、「Bambu Slicer」や「Orca Slicer」といった人気のスライサーの基盤にもなっています。
自社製プリンターに最適化された設定がプリセットされており、誰でも簡単に高品質な印刷データを作成できるのが強みです。
長く使える理由:旧モデルも最新化できるアップグレードキットの存在
Prusa製品が「投資」と言われる大きな理由の一つが、アップグレードキットの存在です。
Prusaは新モデルを発売するだけでなく、旧モデルのユーザーが最新モデルと同等の機能を得られるように、アップグレード用のパーツキットを販売しています。
例えば、MK3S+のユーザーは、アップグレードキットを購入して組み込むことで、MK4S相当の性能にアップデートできます。
これにより、一度購入したプリンターを陳腐化させることなく、長く使い続けることが可能です。
世界中のユーザーが支えるコミュニティと手厚いサポート体制
Prusaはオープンソースの精神を重視しており、ハードウェアの設計データやソフトウェアのソースコードを公開しています。
これにより、世界中に巨大なユーザーコミュニティが形成されており、トラブルシューティングの情報やカスタマイズのアイデアが活発に共有されています。
また、公式のカスタマーサポートも非常に手厚いと評判で、多くのユーザーが安心して製品を使い続けられる環境が整っています。
実際に使ってわかった!Original Prusa MK4Sのリアルな評判・口コミまとめ
【良い評判】「とにかく信頼できる」「印刷が綺麗」という肯定的な口コミ
MK4Sのユーザーから最も多く聞かれるのは、「信頼性の高さ」と「印刷品質の美しさ」に関する肯定的な評価です。
「一度設定すれば、あとは何も気にせず印刷ボタンを押すだけで失敗しない」「ファーストレイヤーが常に完璧でストレスがない」といった声が多く、安定した運用ができる点を高く評価しています。
また、細部の再現性や表面の滑らかさなど、造形物のクオリティに満足しているという口コミも多数見られます。
【悪い評判】「価格が高い」「見た目がDIYっぽい」などの否定的な口コミ
一方で、否定的な評判として最も多いのは、やはり「価格の高さ」です。
性能を認めつつも、同程度の機能を持つ他社製品と比較して割高であると感じるユーザーは少なくありません。
また、フレームがむき出しで、一部に3Dプリントパーツが使われているデザインに対して、「DIY感がある」「チープに見える」といった意見も見られます。
Original Prusa MK4Sのスペック一覧
造形サイズ・本体寸法・重量
| 項目 | スペック | 
|---|---|
| 造形ボリューム | 250 x 210 x 220 mm | 
| 本体寸法 | 500 × 550 × 400 mm | 
| 本体重量 | 約 7 kg | 
対応フィラメントとノズル仕様
| 項目 | スペック | 
|---|---|
| 対応フィラメント径 | 1.75 mm | 
| 対応フィラメント素材 | PLA, PETG, ABS, ASA, Flex, HIPS, PA, PC, PP, 複合材など | 
| ノズル径(標準) | 0.4 mm (高流量ノズル) | 
| 最大ノズル温度 | 300 °C | 
| 最大ヒートベッド温度 | 120 °C | 
接続方法と対応OS・ソフトウェア
| 項目 | スペック | 
|---|---|
| 接続方法 | USB-A, Wi-Fi, イーサネット | 
| 対応OS | Windows, macOS, Linux | 
| 対応スライサー | PrusaSlicer (推奨), Cura, Simplify3Dなど | 
まとめ:Original Prusa MK4S レビュー解説
- Original Prusa MK4SはMK4の正統進化モデルである
 - 新開発の360°冷却システムによりオーバーハング性能が向上した
 - 高流量ノズルが標準装備され、印刷速度がさらに高速になった
 - ロードセルセンサーによる自動キャリブレーションで初回層が常に完璧
 - スマホアプリとNFC連携でセットアップや遠隔操作が容易になった
 - 印刷品質は非常に高く、表面仕上げと寸法精度に優れる
 - 価格は高価だが、その価値は高い信頼性と安定性にある
 - キット版と完成品があり、目的やスキルに応じて選択可能
 - PrusaSlicerやアップグレードキットなど独自の強力なエコシステムを持つ
 - 高品質な造形をストレスなく行いたいユーザーにとって最高の「投資」となる
 
