Noble Audio Agis II レビュー解説|骨伝導搭載8ドライバーのプレミアム仕様

「20万円台のIEMは本当に価格に見合う価値があるのか」

「Spartacusの後継機として何が進化したのか」——高価格帯のイヤホン購入を検討する際、こうした疑問を抱える方は多いのではないでしょうか。

本記事では、Noble Audioの最新ハイエンドIEM「Agis II」について、実際のレビュー情報や口コミを基に、音質・装着感・コストパフォーマンスまで徹底的に解説します。

競合製品との比較や購入前に知っておくべき注意点も網羅していますので、購入判断の参考にしてください。

目次

Noble Audio Agis IIの特徴・概要

Spartacusの正統後継機として誕生した8ドライバーハイブリッドIEM

Noble Audio Agis IIは、高い評価を受けた「Spartacus」の後継機として2025年に登場したハイエンドユニバーサルIEMです。

前モデルの6ドライバー構成から8ドライバー構成へと進化し、Sonion製とKnowles製の高品質BAドライバー6基に、Sonion製骨伝導ドライバー2基を組み合わせたハイブリッド構成を採用しています。

Noble Audioの創設者であるジョン・モールトン博士が手がける「ウィザード・チューニング」により、バランスド・アーマチュアの豊かな音色と骨伝導技術の深みを巧みに融合。

前モデルが持っていた豊かなテクスチャーと深みを維持しながら、解像度・明瞭さ・没入感のすべてにおいて進化を遂げています。

骨伝導ドライバーがもたらす独自の空間表現と没入感

Agis IIの最大の特徴は、2基の骨伝導ドライバーによる独自の空間表現です。

骨伝導ドライバーは中高域の再生を担当し、通常のBAドライバーだけでは実現が難しい立体的な音場と自然な残響感を生み出します。

この技術により、ホログラフィックとも評される広大なサウンドステージが実現されています。

楽器の定位が非常に正確で、左右の広がりだけでなく、奥行きのある三次元的な音像を描き出します。

特に、ボーカルや弦楽器の再生において、その場にいるかのような臨場感を味わえる点が高く評価されています。

ウィザード・チューニングによる音響設計とハンドメイド品質

Noble Audioの製品に共通する特徴として、全ユニットが手作業で組み立てられ、ペアマッチングが施されている点が挙げられます。

Agis IIも例外ではなく、一つひとつの製品が厳格な品質管理のもとで製造されています。

フェイスプレートには独自のハイブリッド金属メッシュを採用し、不規則に配置された金属シャードが光の角度によって異なる表情を見せます。

このデザインは手作業で仕上げられているため、同じものは二つとない唯一無二の外観を持ちます。

音響的な洗練さだけでなく、所有する喜びを感じられるプレミアムな仕上がりとなっています。

Noble Audio Agis IIのスペック・仕様

ドライバー構成と音響技術

Agis IIは、4種類のドライバーを組み合わせた8ドライバーハイブリッド構成を採用しています。

高域および超高域にはSonion製BAドライバーを2基配置し、繊細で空気感のあるトレブルを実現しています。

中低域には同じくSonion製BAドライバー2基を採用し、ボーカルや楽器の質感を豊かに表現します。

低域および超低域にはKnowles製BAドライバー2基を搭載し、BAドライバーとは思えない深いサブベースを実現しました。

そして、中高域を担当するSonion製骨伝導ドライバー2基が、空間表現と没入感を大幅に強化しています。

再生周波数帯域は20Hz〜20kHz、感度は105.3dB(@1kHz)、インピーダンスは35Ω未満となっています。

インピーダンスが低めに設定されているため、ドングルDACやスマートフォンでも十分に駆動可能です。

筐体デザインと付属品

筐体は複合樹脂(レジン)製で、人間工学に基づいたデザインを採用しています。

非常に軽量で、ケーブルを持ったときにシェルの存在を感じないほどです。

ノズルにはステンレス製のワックスガードが内蔵されており、異物の侵入を防止します。

付属品は非常に充実しており、イヤーピースはシングルフランジシリコン、ダブルフランジシリコン、フォームタイプの3種類が各3サイズ同梱されます。

さらに、ステンレス製クリーニングツール、マイクロファイバークロス、コンパクトキャリーケース、そして大型のレザー調ジッパー収納ケースが付属します。

この付属品の充実度は、同価格帯の競合製品と比較しても優れています。

対応ケーブルと接続端子

付属ケーブルは8芯OCC(無酸素銅)導体を採用した高品質なもので、長さは約1.2mです。

最大の特徴は、端子がモジュラー式になっている点です。

4.4mmバランス、3.5mmシングルエンド、2.5mmバランスの3種類のプラグが付属しており、使用するソース機器に合わせて自由に交換できます。

ケーブルの編み込みは柔軟で均一、ダークコーヒーブロンズ色の外装はIEM本体のカラースキームと調和しています。

絡まりにくく、一振りで解ける取り回しの良さも特筆すべき点です。

コネクターは0.78mm 2pinを採用しており、好みに応じてサードパーティ製ケーブルへの交換も可能です。

Noble Audio Agis IIのおすすめポイント

BAドライバーとは思えない深いサブベースと俊敏な低音表現

Agis IIの低音は、一般的なBAドライバー搭載IEMの概念を覆すものです。

Knowles製の低域専用BAドライバー2基と骨伝導ドライバーの組み合わせにより、突然の圧力波のような深いサブベースを実現しています。

特筆すべきは、この深いサブベースがBAドライバー特有の俊敏さを失っていない点です。

低音は速いディケイで処理され、余韻を引きずることなくクリアに消えていきます。

楽曲に応じて低音が適切に主張し、必要のない場面では控えめに振る舞う「オンデマンド」な特性を持っています。

ミッドベースは控えめに抑えられているため、低音全体がブーミーになることはありません。

この抑制されたチューニングにより、中高域への干渉がなく、全帯域がクリアに保たれています。

ベースライン好きな方には物足りなく感じる可能性がありますが、音楽全体のバランスを重視する方には最適な調整と言えます。

刺さらない高解像度トレブルと長時間聴取でも疲れにくいチューニング

Agis IIのトレブルは、トレブルヘッド(高音好き)の方にとって理想的なチューニングが施されています。

超拡張された高域が最小のディテールや輝きを引き出しながらも、刺激的になることなくスムーズに再生されます。

シンバルの金属的な輝き、弦楽器の倍音、アコースティック楽器の空気感など、高域の情報量は非常に豊富です。

しかし、ピークやシャープさが丁寧に抑えられているため、3時間以上の長時間リスニングでも聴き疲れしにくい設計になっています。

中域は「新しく拭いたガラスを通して見るような」クリアさを持ちながらも、適度な温かみが加えられています。

ボーカルは自然で生き生きとした質感を持ち、楽器の音色も忠実に再現されます。

解像度の高さと聴きやすさを両立させた、絶妙なバランスが実現されています。

モジュラーケーブル標準付属で幅広いソース機器に対応

Agis IIの大きなアドバンテージは、3種類の端子が交換可能なモジュラーケーブルが標準で付属する点です。

多くの競合製品では、異なる端子のケーブルは別途購入する必要がありますが、Agis IIでは4.4mmバランス、3.5mmシングルエンド、2.5mmバランスのすべてに対応できます。

インピーダンスが35Ω未満と低いため、ドングルDACからハイエンドDAPまで、幅広いソース機器で十分な音量を確保できます。

ボリュームを大きく上げる必要がないため、ノイズフロアの影響も受けにくくなっています。

ウォーム〜ニュートラル系のソース機器との相性が特に良く、Lotoo PAW Gold TouchやQuestyle CMA18Pなどの高品質なソースでは、さらなるスケーリング効果が得られます。

汎用性の高さは、複数のポータブル機器を使い分ける方にとって大きなメリットとなるでしょう。

Noble Audio Agis IIの注意点・デメリット

ベースヘビーな楽曲には物足りなさを感じる可能性

Agis IIはバランスの取れたチューニングを志向しているため、EDMやヒップホップなどベースヘビーな楽曲を主に聴く方には物足りなく感じる可能性があります。

サブベースの深さは十分にありますが、ミッドベースのパンチや量感は控えめに抑えられています。

ダイナミックドライバー特有の押し出しの強い低音や、身体に響くような重低音を求める方には、同社のShogunや他社のダイナミックドライバー搭載モデルの方が適しているかもしれません。

Agis IIの低音は、質感とスピードを重視した「品質優先」の設計であることを理解した上で購入を検討してください。

イヤーチップの選択が音質に大きく影響する

Agis IIは、使用するイヤーチップによって音質の印象が大きく変わる傾向があります。

特に低音のレスポンスはイヤーチップの選択に左右されやすく、適切なものを見つけるまで試行錯誤が必要になる場合があります。

付属のイヤーチップは3種類ありますが、すべてのユーザーに最適とは限りません。

ダブルフランジタイプは幅が広くステムが短いため、耳の形状によっては合わない場合があります。

フォームタイプも独特の質感で、一般的なフォームイヤーピースとは異なる圧縮感を持っています。

より良いフィットと音質を求める場合は、Divinus VelvetsやAZLA SednaEarfit Lightなど、サードパーティ製のイヤーチップを試すことをおすすめします。

ノズルサイズは標準的なため、市販のほとんどのイヤーチップに対応可能です。

明るい系統のソース機器との相性に注意が必要

Agis IIのトレブルは適度なエネルギーと輝きを持っているため、明るい(ブライト系)ソース機器と組み合わせると、高域が強調されすぎて聴き疲れを引き起こす可能性があります。

特に、もともとトレブルに敏感な方や、長時間のリスニングを予定している方は、ソース機器の選択に注意が必要です。

ニュートラル〜ウォーム系のDAP、またはアナログ的な温かみを持つアンプとの組み合わせが推奨されます。

また、シェルサイズは平均よりやや大きめで、装着時に完全にフラッシュにならず、やや突出する傾向があります。

小柄な耳をお持ちの方は、購入前に試聴することをおすすめします。

長時間の装着では、外耳輪(アンチヘリックス)への軽い圧迫を感じる場合もあります。

Noble Audio Agis IIの評判・口コミ

ユーザーが評価するおすすめな点

Agis IIは、「レファレンスと再生価値の両立」を実現したIEMとして高く評価されています。

顕微鏡レベルのディテールを提供しながらも、ベルベットのような滑らかさを兼ね備えており、分析的すぎない音楽的な楽しさを味わえる点が支持されています。

多くのユーザーが「お気に入りの曲から新しいディテールを発見できる」と報告しており、1週間以上使用した後でも新鮮な発見があるという声が見られます。

ジャンルを問わずカメレオンのように適応する汎用性の高さも、幅広い音楽を聴く方から評価されています。

装着感については、「非常に軽量で存在感を忘れるほど」「3時間以上の連続使用でも快適」といった評価が多く見られます。

ドライバーフレックスや真空ポップがない点も、快適な使用感に貢献しています。

付属品の充実度とパッケージングのプレミアム感も、所有満足度を高める要素として挙げられています。

購入前に確認すべき注意点

一方で、いくつかの注意点も報告されています。

サウンドステージの垂直方向の広がりがやや控えめで、水平方向の広さに比べると高さ方向は物足りないと感じる方もいます。

同価格帯で「最も広いサウンドステージではない」という指摘もあり、音場の広さを最優先する方は他の選択肢も検討した方が良いでしょう。

フェイスプレートのデザインは製品ごとに異なり、模様の向きや色合いには個体差があります。

これはハンドメイド製品の特性ですが、特定のデザインを求める方には注意が必要です。

また、デザインを理由とした製品交換は受け付けられていません。

価格については、「25万円前後という価格は決して安くないが、音質・付属品・ビルドクオリティを総合すると価格相応」という評価が一般的です。

ただし、初めてのハイエンドIEMとして購入する場合は、試聴してから判断することが強く推奨されています。

競合製品との比較で見えてきた立ち位置

同価格帯の競合製品との比較では、Agis IIは「技術的精度と音楽的温かみのバランス」において独自のポジションを確立しています。

THIEAUDIO Valhalla($1,999)と比較すると、Valhallaはよりニュートラルで分析的な音質を持ち、Agis IIはより温かみがあり音楽的と評価されています。

サブベースの深さとホログラフィックな音場ではAgis IIが優位、ミッドベースの精度と奥行きではValhallaが優位とされています。

Empire Ears Triton($1,799)との比較では、Tritonはダイナミックドライバーによるインパクトのあるベースが特徴で、ベースヘビーな楽曲やボーカル重視の方に適しています。

一方、Agis IIは全帯域のバランスと解像度を重視する方に向いています。

Noble Audio内での位置づけとしては、上位モデルのShogun($3,900)と比較してより軽量でコンパクト、サブベースの深さと音場の奥行きで勝る部分もあると評価されています。

コストパフォーマンスを考慮すると、Agis IIはNobleの「スイートスポット」に位置する製品と言えるでしょう。

まとめ:Noble Audio Agis II

総合評価と他モデルとの比較

Noble Audio Agis IIは、前モデルSpartacusから明確な進化を遂げた、Noble Audioのミドルハイエンドを代表するIEMです。

8ドライバーハイブリッド構成と骨伝導技術の組み合わせにより、BAドライバーの常識を覆す深いサブベースと、三次元的な空間表現を実現しています。

同価格帯の競合と比較すると、分析的すぎない音楽的な楽しさと、長時間でも疲れにくいチューニングが大きな差別化ポイントです。

解像度の高さを維持しながらも聴き疲れしにくいバランスは、毎日のリスニングパートナーとして理想的と言えます。

こんな人におすすめ・おすすめしない人

Agis IIは、解像度と音楽性の両立を求める方、幅広いジャンルを一本のIEMで楽しみたい方、BAドライバーの俊敏な低音が好みの方に特におすすめです。

また、複数のソース機器を使い分ける方にとって、モジュラーケーブルの付属は大きなメリットとなります。

一方、ベースヘビーな楽曲を中心に聴く方、ダイナミックドライバー特有の押し出しの強い低音を求める方、最大限に広いサウンドステージを最優先する方には、他の選択肢を検討することをおすすめします。

購入を検討する際のチェックポイント

【まとめ】Noble Audio Agis IIの総合評価

  • 8ドライバーハイブリッド構成(6BA + 2骨伝導)によるバランスの取れた音質
  • BAドライバーとは思えない深いサブベースと俊敏な低音表現
  • 骨伝導ドライバーによるホログラフィックな三次元音場
  • 刺さらない高解像度トレブルで長時間聴取も快適
  • モジュラーケーブル(3種端子)標準付属で汎用性が高い
  • 軽量レジンシェルと人間工学デザインによる快適な装着感
  • ハンドメイド・ペアマッチングによる高い品質管理
  • 日本国内価格は247,500円〜275,000円(税込)
  • ベースヘビーな楽曲には物足りない可能性あり
  • イヤーチップ選びと明るい系統のソース機器との相性に注意が必要
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