水月雨(MOONDROP)から登場した新作イヤホン「illustrious 光輝」。
その評判や価格が気になる一方で、前作「illumination光」と比べて実際の音質はどうなのか、どんな特徴があるのか、具体的な情報が知りたいと感じていませんか。
高価なイヤホンだからこそ、購入前の疑問は完全に解消しておきたいものです。
この記事では、そんな「illustrious 光輝」の基本スペックから、技術的な特徴、そして最も重要な音質について、ブログの試聴感想や口コミを交えながら徹底的にレビュー解説します。
前モデルとの比較や、購入前の注意点まで網羅しているので、あなたのイヤホン選びの確かな一助となるはずです。
水月雨 (MOONDROP) illustrious 光輝とは?待望のハイエンド後継機を速報レビュー
前作「illumination」からの正統進化モデルなのか?立ち位置を解説
水月雨 illustrious 光輝は、同社のハイエンドモデルとして人気を博した「illumination光」の後継機として位置づけられています。
しかし、単なるアップグレード版ではなく、その音質の方向性は大きく変化しているのが最大の特徴です。
コンセプトである「ナチュラルな低音とフラットな高音」を継承しつつ、音のキャラクターはむしろ同社の人気モデル「Kadenz」に近い、高解像度でフラットなチューニングが施されています。
そのため、「illumination光」の優しくかわいらしい音色を期待するのではなく、よりモニターライクで分析的なサウンドに進化したモデルと捉えるのが適切でしょう。
発売日は2025年8月1日!価格と販売情報を紹介
水月雨 illustrious 光輝の日本国内での発売日は2025年8月1日です。
e☆イヤホンなどの国内正規代理店にて取り扱いが開始されています。
価格は126,000円(税込)となっており、ハイエンドイヤホンにふさわしい価格設定です。
高価な製品であるため、購入を検討する際は、後述する試聴可能な店舗で実際にそのサウンドを確かめてみることを強くおすすめします。
製品コンセプトは「リアルでナチュラルな音の再現」
「illustrious 光輝」の開発コンセプトは、音楽業界のプロフェッショナルな要求に応える「リアルでナチュラルな音の再現」です。
前作の基本設計を基盤としながらも、ドライバーの素材からフロントキャビティの構造に至るまで全てをブラッシュアップしています。
結果として、周波数帯域の拡大、非線形歪みの劇的な低減、そして中高音域のスムーズなレスポンスを実現しました。
これは、リスニング用途だけでなく、プロのモニタリングや音響解析といったシビアな現場でも通用する性能を目指した、水月雨の強い意志の表れと言えるでしょう。
illustrious 光輝の技術的な特徴は?音質の核となる3つのポイント
新開発「ta-Cダイヤモンドコーティング振動板」がもたらす高音質
illustrious 光輝の音質の核となるのが、新開発された「ta-C(テトラヘドラルアモルファスカーボン)ダイヤモンドコーティング振動板」です。
これは、LCP(液晶ポリマー)を基材とし、従来のDLC(ダイヤモンドライクカーボン)よりもさらに剛性が高く、内部損失に優れたta-C層をドーム部に形成したものです。
この先進的な振動板により、分割振動が効果的に抑制され、より滑らかで広がりのある、透明感の高い高音域の再現を可能にしました。
同時に、エッジ部分には柔軟なポリウレタン素材を採用し、豊かなダイナミクスと低歪みな低音域を両立させています。
DF-HRTF準拠のリアルなチューニングで実現する正確な音色
本作のチューニングは、DF-HRTF(拡散音場頭部伝達関数)に忠実に準拠している点が大きな特徴です。
DF-HRTFとは、人間が音の方向や距離を認識する仕組みをモデル化したもので、これに基づきチューニングすることで、非常に自然でリアルな音場と正確な音像定位を実現します。
意図的な低音の強調や音響的な脚色を極力排除し、高音のリンギング(不要な響き)も抑制されているため、制作者の意図した音をそのまま聴くことができるモニターライクな特性を持っています。
歪みを極限まで抑制するドライバーとチタン合金CNCケーシング
illustrious 光輝は、音の歪みを極限まで低減するための設計が随所に施されています。
前述の振動板やドライバー技術の刷新により、全高調波歪率(THD)は0.02%未満、特に音の質感に影響を与えやすい奇数次高調波歪みは0.01%以下という驚異的な数値を達成しました。
これにより、透明感があり、自然で立体的なサウンドを実現しています。
また、筐体には高精度CNC加工が施されたチタン合金を採用し、不要な共振を抑制。
音響フィルターには真鍮金メッキパーツを使用するなど、素材レベルから音質を追求する妥協のない姿勢が貫かれています。
【音質評価】水月雨 illustrious 光輝のサウンドを徹底レビュー
全体の音質傾向:Kadenz寄りの高解像度フラットサウンド
illustrious 光輝の音質を一言で表現するならば、「Kadenzの開放型バージョン」とも言える高解像度なフラットサウンドです。
前モデル「illumination光」の持つ、暖かみのある優しい音色とは一線を画し、音源をありのままに描き出すモニターライクな性格が強まっています。
全体のバランスはフラットでありながら、各音の輪郭が非常にシャープで、見通しの良いクリアなサウンドステージが特徴です。
音楽を楽しむリスニング用途はもちろん、楽曲の細部まで分析的に聴き込みたいユーザーにとって、この上ない性能を発揮するでしょう。
高域・中高域の評価:より洗練され、繊細で伸びやかな表現力
高域および中高域の表現力は、本作で特に進化したポイントです。
新開発のta-Cダイヤモンドコーティング振動板の効果は絶大で、シンバルやハイハットの金属的な響きは非常に繊細かつリアルに、そしてどこまでもスムーズに伸びていきます。
ボーカルのサ行の刺さりや、高音楽器の耳障りなピーク感は皆無で、長時間のリスニングでも聴き疲れを感じさせません。
女性ボーカルのブレスや弦楽器の倍音など、微細な音のニュアンスまで余すことなく描き出す表現力は、まさに圧巻です。
低域の評価:過度な強調のない、自然でダイナミックな低音
低域は量感で圧倒するタイプではなく、質で聴かせるタイトでレスポンスの良いサウンドです。
過度な膨らみやブーミーさは一切なく、ベースラインの音階やドラムのアタック感を正確に描き分けます。
水平対向ダイナミック構造の恩恵か、大音量でも音が破綻することなく、低い重心を保ったまま力強いダイナミクスを表現できる能力を持っています。
あくまで全体のバランスを崩さない範囲での表現ですが、その解像度の高さとスピード感は、楽曲の土台をしっかりと支える上で重要な役割を果たしています。
解像度と音場:全帯域にわたる高い分離性能と開放的なサウンドステージ
解像度に関しては、前モデルはもちろん、その音質の方向性が近いとされる「Kadenz」と比較しても、明確に向上しているとの評価が多く見られます。
一つひとつの楽器やボーカルが混濁することなく、それぞれ明確な位置に定位し、分離して聴き取ることが可能です。
複雑な音源でもゴチャつくことなく、それぞれのパートを冷静に追うことができます。
音場は、開放型に近い設計思想もあってか、左右に広く、窮屈さを感じさせない開放的なサウンドステージを形成します。
【徹底比較】前モデル「illumination光」や「Kadenz」との違いは?
音色の違い:「illumination光」の優しい音とは別物?むしろ「Kadenz」寄りか
最も大きな違いは音色にあります。
「illumination光」が持っていた、ボーカルを優しく包み込むような、ある種の「可愛らしさ」や「甘さ」は、illustrious 光輝にはありません。
その代わりに手に入れたのは、「Kadenz」が持つような、音源をありのままに再現する高い忠実度と解像度です。
したがって、「illumination光」からの純粋なアップグレードを期待すると、音の方向性の違いに戸惑う可能性があります。
これは優劣の問題ではなく、どちらのサウンドが好きかという好みの問題と言えるでしょう。
解像度の進化:前モデルからの明確なアップグレード点
音の解像度という点においては、illustrious 光輝は「illumination光」から明確な進化を遂げています。
音の輪郭がよりシャープになり、これまで聴こえなかったような微細な音まで明瞭に拾い上げます。
特に中高域から高域にかけての分解能は素晴らしく、情報量の多い音源を聴いた際の差は歴然です。
この解像度の高さは、前述の通り「Kadenz」と比較してもさらに向上しているという評価があり、illustrious 光輝の大きなアドバンテージとなっています。
デザインとビルドクオリティの比較
デザイン面では、チタン合金製の筐体を持つillustrious 光輝は、非常に高級感のある仕上がりです。
一方、「illumination光」はコーティングが施されており、傷や汚れに強いという実用的なメリットがありました。
illustrious 光輝は、その美しい筐体を維持するために、取り扱いには少し気を使う必要があるかもしれません。
また、ケーブルに関しては、illustrious 光輝の付属ケーブルの方が耐久性が向上しているとの評判です。
「illumination光」のケーブルは緑化(酸化による変色)が早く、音質変化を招くという弱点があったため、この点は嬉しい改善点です。
購入前に知っておくべき注意点(デメリット)
「illumination光」の音色を期待するユーザーはミスマッチの可能性
これは繰り返しになりますが、最も重要な注意点です。
後継機という言葉から「illumination光」の音質をそのまま強化したモデルを想像している場合、その期待は裏切られる可能性が高いです。
illustrious 光輝は、あくまで高解像度でフラットなモニターサウンドを追求したモデルです。
購入を検討する際は、この音の方向性の違いを十分に理解しておく必要があります。
イヤーピースが外れやすい?ノズルの形状と推奨イヤピ
本機は前モデルと同様に、イヤホンノズル部分にイヤーピースを固定するための「返し」や「段差」がありません。
そのため、イヤーピースの種類や耳の形状によっては、イヤホンを耳から外す際にイヤーピースだけが耳の中に残ってしまう、いわゆる「イヤピ引っこ抜け」が発生しやすい傾向にあります。
純正イヤーピースで問題ない場合もありますが、もし外れやすいと感じた場合は、軸が硬めのイヤーピース(例:SednaEarfitシリーズなど)を試してみると改善されることがあります。
筐体にコーティングは無し?傷や指紋汚れへの注意
試聴機のレビューによると、illustrious 光輝の美しいチタン合金製筐体には、傷や汚れを防ぐための特別なコーティングが施されていない可能性が指摘されています。
指紋や皮脂汚れは拭けば綺麗になりますが、硬いものと擦れると傷がつく恐れがあります。
長く美しい状態を保つためには、付属のキャリングケースを活用し、丁寧に取り扱うことを心がけた方が良いでしょう。
ここが凄い!水月雨 illustrious 光輝のおすすめな点(メリット)
プロのモニタリングにも応える原音忠実性と圧倒的な低歪み
最大のメリットは、その圧倒的な原音忠実性です。
DF-HRTFに準拠したチューニングと、THD 0.02%未満という驚異的な低歪み性能により、録音された音源を極めて正確に再現します。
これは音楽制作を行うクリエイターやエンジニアにとって、信頼できるモニタリングツールとなり得ます。
もちろん、純粋に「良い音で音楽を聴きたい」と願うオーディオファンにとっても、アーティストが届けたかった音をそのまま体験できるという、この上ない価値を提供してくれます。
耐久性が向上した高品質な付属ケーブル
前モデルの弱点であったケーブルの耐久性が、illustrious 光輝では大幅に改善されている点も大きなメリットです。
被膜が強化され、酸化による音質変化のリスクが低減されているため、長期間にわたって安定したパフォーマンスを期待できます。
リケーブルせずとも標準で高品質なケーブルが付属しているのは、ユーザーにとって非常にありがたいポイントです。
3.5mm/4.4mm両対応の変換プラグで追加投資が不要
付属ケーブルはプラグ部分が交換可能な設計になっており、標準で3.5mmステレオミニプラグと4.4mmバランス接続プラグの両方が同梱されています。
これにより、使用するDAP(デジタルオーディオプレーヤー)やアンプに合わせて、別途ケーブルや変換アダプターを購入する必要がありません。
様々な再生環境に柔軟に対応できる実用性の高さも、本機の魅力の一つです。
水月雨 illustrious 光輝の評判・口コミまとめ
ポジティブな評判:「解像度が素晴らしい」「音がクリアで分離が良い」
市場の評判や試聴レビューを見ると、「圧倒的な解像度」や「音の分離の良さ」を称賛する声が数多く見られます。
「今まで聴こえなかった音が聴こえるようになった」「楽器一つひとつの音がハッキリと分かる」といった、その高い分析能力に驚く意見が中心です。
また、歪みのないクリアで透明感のあるサウンドも高く評価されており、音質面での満足度は非常に高いと言えるでしょう。
ネガティブ・懸念点:「illuminationとは別物」「イヤピが外れる」
一方で、ネガティブな意見や懸念点として挙げられるのは、やはり「illumination光とは音の方向性が全く違う」という点です。
これは製品の欠点ではなくキャラクターの違いですが、前作ファンからの戸惑いの声として散見されます。
また、実用面では「イヤーピースが外れやすい」という構造上の問題を指摘する声もあります。
これらは購入前に必ず認識しておくべきポイントです。
製品仕様(スペック)と付属品一覧
ドライバー構成やインピーダンスなど詳細スペック一覧表
水月雨 illustrious 光輝の公式な製品仕様は以下の通りです。
項目 | 内容 |
ドライバー構成 | 特許取得済みの11mmダイナミックドライバー |
振動板 | ta-C ダイヤモンドコーティング振動板 |
インピーダンス | 25Ω±15%(@1kHz) |
音圧感度 | 124dB/Vrms(@1kHz) |
再生周波数帯域 | 20Hz-20kHz (IEC61094, Free Field) |
筐体素材 | チタン合金 |
ケーブル仕様 | 高品質プラグ交換対応ケーブル |
コネクタ | 0.78mm 2Pin |
プラグ | 3.5mm ステレオ / 4.4mmバランス変換対応 |
付属品は何が入っている?イヤーピースからケースまで紹介
購入時に同梱されている付属品は以下の通りです。
- illustrious 光輝 本体
- 高品質プラグ交換対応ケーブル
- 3.5mmプラグ
- 4.4mmプラグ
- イヤーピース(S/M/L) 各4ペア
- キャリングケース
- 取扱説明書・保証書
豊富なイヤーピースと変換プラグにより、購入後すぐにあらゆる環境で最適なリスニング体験を始めることが可能です。
【結論】水月雨 illustrious 光輝はどんな人におすすめ?
原音に忠実なモニターサウンドを求めるプロやオーディオ上級者
水月雨 illustrious 光輝は、音源に込められた情報を余すところなく引き出し、正確に再現する能力に長けています。
そのため、音楽制作の現場で用いるプロフェッショナルな方々や、楽曲の隅々まで分析的に聴き込みたいオーディオ上級者に最もおすすめできるイヤホンです。
生半可な脚色のない、真にリファレンスとなりうるサウンドを求めているならば、最高の選択肢の一つとなるでしょう。
「Kadenz」のサウンドが好きで、さらなるアップグレードを目指す人
もしあなたが、水月雨の「Kadenz」が持つ高解像度でフラットなサウンドを気に入っているのであれば、illustrious 光輝はその正当なアップグレード機として非常に魅力的です。
Kadenzの基本的なキャラクターを継承しつつ、解像度や表現力をさらに一段階引き上げたサウンドは、きっとあなたを満足させるはずです。
より高いレベルでのモニターサウンドを体験したい場合に、最適な候補となります。
購入をおすすめしない人:前作「illumination光」の音色を求めている人
逆におすすめしないのは、前作「illumination光」の持つ、暖かく優しいボーカル表現や、リスニングライクな楽しい音色を求めている方です。
illustrious 光輝は、その対極にあるようなクールで分析的なサウンドです。
「illumination光」の音が好きで、その後継機を探している場合は、全く別のイヤホンとして捉え、必ず試聴した上で慎重に判断することをおすすめします。
まとめ:水月雨 illustrious 光輝 レビュー解説
- illustrious 光輝は「illumination光」の後継機だが音の方向性は異なる
- 音質は「Kadenz」に近い高解像度でフラットなモニターサウンド
- 新開発の「ta-Cダイヤモンドコーティング振動板」がクリアな高域を実現
- チューニングはDF-HRTFに準拠し、原音に忠実な再生能力を持つ
- 全高調波歪率は0.02%未満という驚異的な低歪み性能を誇る
- 前作と比較して解像度は明確に向上している
- 注意点として「illumination光」の音色を期待するとミスマッチになる
- ノズルに返しがなくイヤーピースが外れやすい構造は前作から継続
- 付属品のケーブルは耐久性が向上し、3.5mmと4.4mmの両プラグに対応
- プロのモニタリングや分析的なリスニングを求めるユーザーに最適