テレビの映像技術は年々進化し、美しい4K映像が当たり前の時代になりました。
しかし、その一方で、薄型化されたテレビ本体に内蔵されたスピーカーの音質に、物足りなさを感じている方も少なくないのではないでしょうか。
映画の迫力ある効果音や、音楽ライブの繊細な音の広がりを、もっと豊かに楽しみたい。
そんな思いに応えてくれるのが「サウンドバー」です。
数ある製品の中でも、今回注目するのはLGのサウンドバー「S75QC」。
このモデルは、大手会員制倉庫型店舗「コストコ」で主に取り扱われている限定モデルとして知られ、その高いコストパフォーマンスから人気を集めています。
この記事では、LGのサウンドバーS75QCについて、その特徴やスペック、気になる音質から、実際に使用したユーザーの評判・口コミ、そして購入前に知っておくべき注意点まで、あらゆる角度から徹底的にレビュー解説していきます。
一般モデルである「SN7CY」との違いにも触れながら、S75QCがあなたのリビングをどのように変えてくれるのか、その実力に迫ります。
LGサウンドバーS75QCをレビュー解説!基本性能と特徴
LG S75QCのコストコ限定モデルとしての特徴
LGサウンドバーS75QCは、一般的な家電量販店では見かけることの少ない、コストコを中心とした特定店舗向けの限定モデルです。
この販売戦略こそが、S75QCの最大の特徴である「高いコストパフォーマンス」を生み出す鍵となっています。
限定された販路で展開することにより、広告宣伝費などを抑え、その分を製品の品質向上や価格設定に還元しているのです。
そのため、同価格帯の他の製品と比較しても、優れた機能を搭載している点が魅力と言えるでしょう。
具体的には、以下のような特徴が挙げられます。
英国の高級オーディオブランド「Meridian」監修のサウンド
S75QCは、高級車やハイエンドオーディオに技術提供を行うことで知られる、英国の名門ブランド「Meridian(メリディアン)」がサウンドチューニングを監修しています。
これにより、価格を抑えたモデルでありながら、音のプロフェッショナルが認めるクリアでバランスの取れたサウンドを実現しました。
立体音響技術「Dolby Atmos」と「DTS:X」に対応
映画館で採用されているような立体音響技術「Dolby Atmos」と「DTS:X」の両方に対応しています。
サウンドバー本体の上部には、天井に音を反射させて高さ方向のサウンドを表現する「イネーブルドスピーカー」を搭載。
これにより、雨音や飛行機の移動音などが、まるでその場にいるかのような臨場感で楽しめます。
サブウーファーなしでも迫力ある3.0.2ch構成
S75QCは、重低音を専門に担当するサブウーファーが付属しない、ワンボディタイプのサウンドバーです。
お部屋のスペースを圧迫せず、スッキリと設置できるのが利点です。
チャンネル構成は3.0.2chとなっており、これは左右の音を担当する2つのチャンネル、セリフなどをクリアに再生するセンターチャンネル、そして前述の高さ方向を表現する2つのイネーブルドスピーカーで構成されていることを意味します。
サブウーファーがない分、腹に響くような重低音は控えめですが、ニュースやドラマの音声から映画鑑賞まで、幅広いコンテンツを十分に楽しめる迫力を備えています。
このように、S75QCは「コストコ限定」という特別な立ち位置だからこそ実現できた、高品質と低価格を両立させた戦略的なモデルなのです。
LG S75QCの詳しいスペックを一覧で確認
LG S75QCがどのような性能を持つのか、具体的な仕様を把握することは製品選びにおいて非常に重要です。
ここでは、公式サイトの情報を基に、S75QCの主要なスペックを表にまとめました。
項目 | スペック詳細 |
チャンネル数 | 3.0.2 チャンネル |
スピーカー構成 | 7個(フロントL/R、センター、ハイトL/R) |
最大出力 | 160 W |
対応音響フォーマット | Dolby Atmos, DTS:X, Dolby Digital, DTS Digital Surround |
ハイレゾオーディオ | 対応 (サンプリング: 24bit/96kHz) |
接続端子 | HDMI In (1), HDMI Out (1), 光デジタル入力 (1), USB (1) |
HDMI機能 | eARC, ARC, 4Kパススルー, HDR10, Dolby Vision |
ワイヤレス接続 | Bluetooth 4.2 (コーデック: SBC/AAC) |
サウンドモード | AIサウンドプロ, シネマ, ミュージック, ゲーム, クリアボイスプロ 他 |
連携機能 | WOW Orchestra, テレビサウンドモード共有 |
外形寸法 (幅×高さ×奥行) | 890 × 65 × 119 mm |
本体重量 | 3.75 kg |
消費電力 | 38 W |
付属品 | リモコン, 単4形乾電池2本, HDMIケーブル, 壁掛けブラケット, 保証書 |
スペックから読み解くS75QCの実力
このスペック表から、S75QCが単なるエントリーモデルではないことがわかります。
まず、最大出力160Wは、一般的なリビングで迫力あるサウンドを楽しむには十分なパワーです。
また、HDMI端子が「eARC(エンハンスドオーディオリターンチャンネル)」に対応している点は大きなポイントです。
これにより、テレビとHDMIケーブル1本で接続するだけで、Dolby Atmosのような高音質な音声データを劣化させることなく伝送できます。
さらに、テレビリモコンでサウンドバーの電源オンオフや音量調整が可能になるため、操作が非常にシンプルになります。
ハイレゾオーディオに対応しているため、CDを超える高解像度の音楽ファイルを再生できるのも魅力です。
Bluetooth接続だけでなく、USB端子にメモリを接続して音楽ファイルを直接再生することも可能です。
多彩なサウンドモードが用意されているため、視聴するコンテンツに合わせて最適な音響効果を選べる点も、使い勝手の良さに繋がっています。
一般モデルSN7CYとのスペックの違いを比較
S75QCを検討する際に、比較対象として名前が挙がるのが、一般の家電量販店などで販売されていたモデル「SN7CY」です。
この2つのモデルは、基本的な設計思想を共有していますが、いくつかの点で仕様が異なります。
どちらのモデルが自分に合っているのか判断するために、主な違いを比較してみましょう。
機能 | S75QC (コストコモデル) | SN7CY (一般モデル) | 備考 |
Bluetoothバージョン | 4.2 | 5.0 | SN7CYの方が新しい規格 |
ハイレゾオーディオ | 対応 (24bit/96kHz) | 対応 (24bit/96kHz) | 両モデルとも対応 |
eARC | 対応 | 対応 | 両モデルとも対応 |
主な販売チャネル | コストコなど特定店舗 | 家電量販店など | 入手経路が異なる |
Bluetoothバージョンの違い
最も明確な違いは、Bluetoothのバージョンです。
SN7CYがバージョン5.0を搭載しているのに対し、S75QCは4.2となっています。
バージョン5.0は、4.2に比べて通信速度や範囲、安定性が向上しています。
しかし、室内でスマートフォンから音楽を再生するような一般的な使い方であれば、バージョン4.2でも実用上の問題を感じることはほとんどないでしょう。
音質面での直接的な差も、基本的にはありません。
その他の仕様
一部のブログなどではeARCやハイレゾ対応に違いがあるかのような記述も見られますが、公式な情報やユーザーの報告を確認すると、両モデルともeARCおよびハイレゾオーディオには対応しています。
言ってしまえば、両者の間には決定的な性能差はなく、S75QCは一般モデルであるSN7CYの仕様をベースに、コストコという特別な販路に合わせて最適化されたモデルと考えるのが妥当です。
基本的な音響体験は同等レベルでありながら、S75QCはセール時などに非常に魅力的な価格で提供されることが多く、コストパフォーマンスの面で大きなアドバンテージを持っています。
Meridian監修のクリアな音質
LG S75QCの音質を語る上で欠かせないのが、英国のハイエンドオーディオブランド「Meridian(メリディアン)」の存在です。
S75QCは、Meridian社が開発した高度なデジタル信号処理技術を搭載し、サウンドチューニングも同社が監修しています。
これにより、ただパワフルなだけでなく、繊細で解像度の高いサウンドを実現しているのです。
具体的な音質の傾向
多くのユーザーレビューで共通して評価されているのは、その「クリアさ」と「バランスの良さ」です。
テレビ内蔵のスピーカーではこもりがちだったり、BGMに埋もれてしまったりするニュースのアナウンスやドラマのセリフが、S75QCを通すことで驚くほど明瞭に聞こえるようになります。
これは、左右のスピーカーとは独立した「センターチャンネル」の恩恵が大きく、人の声の帯域を的確に再生してくれます。
音楽鑑賞においては、特定の音域が不自然に強調されることがなく、高音から低音までバランスの取れたサウンドを奏でます。
特に、YouTubeなどでミュージックビデオやライブ映像を視聴すると、その違いは歴然です。
テレビ内蔵スピーカーでは感じられなかった音の広がりや奥行き、楽器一つひとつの音が分離して聞こえるような解像度の高さを体感できるでしょう。
サブウーファー非搭載でも満足できる低音
前述の通り、S75QCには独立したサブウーファーがありません。
そのため、床が振動するような極端な重低音は出ません。
しかし、これは決して低音が弱いという意味ではありません。
本体の設計とMeridianのチューニングにより、ワンボディとは思えないほど豊かで締まりのある低音を再生します。
映画の効果音も、安っぽく響くことなく、しっかりと迫力を感じさせてくれます。
大音量で近隣に迷惑をかけたくない集合住宅などでは、むしろこのバランスの取れた低音が最適と評価する声も多いです。
音の好みは人それぞれですが、S75QCは特定のジャンルに偏ることなく、幅広いコンテンツをワンランク上の音質で楽しめる、非常に優秀なサウンドを提供してくれると言えます。
LGサウンドバーS75QCをレビュー解説!評判と購入のポイント
実際の評判・口コミからわかるメリット
製品の本当の実力を知るためには、実際に購入して使用したユーザーの声を聞くのが一番です。
LG S75QCには、そのコストパフォーマンスの高さを裏付ける、数多くの肯定的な評判や口コミが寄せられています。
ここでは、特に多く見られるメリットをいくつかご紹介します。
メリット1:価格以上の音質向上
「テレビ内蔵スピーカーとは次元が違う」という声が最も多く聞かれます。
特に、これまでサウンドバーを使ったことがなかったユーザーからは、「もっと早く買えばよかった」という満足の声が上がっています。
「ニュースやドラマのセリフが格段に聞き取りやすくなった」「映画の迫力が全く違う」「音楽ライブの映像に没入できるようになった」など、音質が向上したことでテレビの視聴体験そのものが豊かになったという評価が多数を占めています。
メリット2:接続と操作が非常に簡単
「接続はHDMIケーブルを一本つなぐだけだった」という手軽さも、高く評価されているポイントです。
eARC機能により、テレビと電源や音量が連動するため、普段の操作はテレビのリモコンだけで完結します。
複雑な設定が不要で、機械が苦手な方でも簡単に導入できる点は大きなメリットと言えるでしょう。
メリット3:コストパフォーマンスの高さ
「この価格でDolby Atmosに対応しているのは驚き」という、コストパフォーマンスを称賛する声も非常に多いです。
特にコストコのセール期間中にテレビとセットで購入したユーザーからは、「実質無料や格安で手に入った」という喜びの声も聞かれ、S75QCの満足度をさらに高める要因となっています。
メリット4:Bluetoothスピーカーとしての性能
テレビ用としてだけでなく、単体のBluetoothスピーカーとしても優秀であるという評価もあります。
スマートフォンやタブレットと簡単にペアリングでき、音楽配信サービスの楽曲をリビングで手軽に高音質で楽しめる点も、日常的な使い勝手の良さに繋がっています。
これらの口コミから、S75QCが多くのユーザーにとって「手軽に導入できて、確かな音質向上を実感できる、満足度の高い製品」であることがうかがえます。
LGテレビと連携するおすすめな点
LG S75QCは、どのメーカーのテレビと接続してもその性能を発揮しますが、同じLG製のテレビと組み合わせることで、その真価をさらに引き出すことができます。
LG独自の連携機能「WOW Orchestra(ワウ オーケストラ)」が、その代表例です。
WOW Orchestra:テレビとサウンドバーの音の融合
通常、サウンドバーを接続すると、テレビ本体のスピーカーからは音が出なくなります。
しかし、WOW Orchestraに対応したLGのテレビとS75QCを接続すると、テレビのスピーカーとサウンドバーのスピーカーの両方から同時に音を出すことができるのです。
これにより、サウンドバーが担当する前方や高さ方向の音に、テレビのスピーカーが再生する音が加わり、音の定位感や包み込むような感覚がさらに向上します。
まるでオーケストラのように、複数のスピーカーが協調して、より豊かで厚みのあるサウンド空間を創り出す。
これがWOW Orchestraの魅力です。
テレビサウンドモード共有
もう一つの便利な連携機能が「テレビサウンドモード共有」です。
LGテレビに搭載されているAIプロセッサーは、視聴している映像コンテンツの種類(映画、ニュース、スポーツなど)を自動で判別し、最適な画質と音質に調整してくれます。
この機能をオンにすると、テレビ側で選択されたサウンドモードが、S75QCにも自動的に適用されるのです。
コンテンツごとにリモコンでサウンドモードを切り替える手間がなく、常に最適な音響で視聴に集中できるのは、大きなメリットです。
これらの強力な連携機能があるため、LG製のテレビ、特に有機ELテレビの購入を検討している方にとって、S75QCは最も相性の良いパートナーの一つと言えるでしょう。
購入前に知っておきたい注意点とは?
多くのメリットがある一方で、LG S75QCには購入前に把握しておくべきいくつかの注意点も存在します。
これらを事前に知っておくことで、購入後の「こんなはずじゃなかった」という後悔を防ぐことができます。
注意点1:本体の高さと設置スペース
S75QCの本体の高さは65mm(6.5cm)です。
これはサウンドバーとしては標準的なサイズですが、お使いのテレビのデザインやスタンドの形状によっては、画面の下部にサウンドバーがかかってしまったり、テレビのリモコン受光部を塞いでしまったりする可能性があります。
購入前には、必ずテレビ台からテレビ画面下部までの高さをメジャーで測定し、十分なスペースがあるかを確認することをおすすめします。
注意点2:アプリの操作性
S75QCは、スマートフォンの専用アプリ「LG Sound Bar」を使って、サウンドモードの切り替えや詳細な音質設定が可能です。
しかし、一部のユーザーからは「付属の取扱説明書にアプリの詳しい使い方の記載がなく、操作が分かりにくい」という声が上がっています。
直感的に使える部分も多いですが、全ての機能を使いこなすには、少し試行錯誤が必要になるかもしれません。
注意点3:特定の放送での音声問題(NHK副音声など)
これはS75QCに限った話ではなく、一部の海外メーカー製サウンドバーに共通して見られる現象ですが、NHKのニュース番組などで、主音声と副音声(英語など)が混ざって聞こえてしまうことがあります。
これは、日本の放送で採用されている特殊な音声フォーマットを、サウンドバー側が正しく処理できない場合に発生します。
もしこの現象が起きた場合は、テレビ側の設定で、音声デジタル出力を「ビットストリーム」や「オート」から「PCM」に変更することで解決することがほとんどです。
「PCM」にするとDolby Atmosなどのサラウンド音声は再生できなくなりますが、ニュース視聴時など、一時的に設定を切り替えることで対応可能です。
テレビの機種によっては「オート2」といった設定項目で解決する場合もあります。
この問題は少し技術的な内容になりますが、解決策があることを知っておくだけで、いざという時に慌てずに対処できるでしょう。
【総評】LG S75QCはどんな人におすすめか
これまで解説してきた特徴、スペック、評判、注意点を総合的に判断すると、LGサウンドバーS75QCがどのような方に適しているかが見えてきます。
結論として、S75QCは「オーディオにそれほど詳しいわけではないけれど、テレビの音を手軽に、そして確実に良くしたい」と考えている方に、最適な選択肢の一つです。
S75QCが特におすすめな人
- サウンドバーを初めて購入する方テレビ内蔵スピーカーの音に不満を感じ始めた方にとって、その音質向上の度合いは非常に大きく、満足度が高いでしょう。接続や操作が簡単な点も初心者向きです。
- 映画や音楽ライブの視聴をより楽しみたい方Dolby Atmos対応による立体的な音響は、映画への没入感を格段に高めてくれます。Meridian監修のクリアな音質は、ライブ映像の迫力を余すところなく伝えてくれます。
- コストパフォーマンスを重視する方同価格帯の製品と比較しても機能が充実しており、特にコストコのセールなどを利用できれば、非常にお買い得なモデルと言えます。
- LG製のテレビを使っている、または購入予定の方「WOW Orchestra」などの強力な連携機能により、他社製品との組み合わせでは得られない、ワンランク上のサウンド体験が可能です。
- 部屋をスッキリ見せたい方サブウーファーがないワンボディタイプのため、配線が少なく、テレビ周りをシンプルに保つことができます。
S75QCがあまりおすすめできない人
一方で、以下のような方には、S75QCはベストな選択ではないかもしれません。
- 腹に響くような重低音を最優先する方サブウーファーがないため、重低音の量感では、サブウーファー付きのモデルには及びません。映画の効果音などで、とにかく重低音を重視する場合は、サブウーファーがセットになったモデルを検討する方が良いでしょう。
- 設置スペースに制約がある方前述の通り、本体の高さがテレビと干渉しないか、事前の確認が必須です。
S75QCは、多くの人にとって「ちょうど良い」性能と価格を、高いレベルで両立させたサウンドバーです。
自分の視聴スタイルや環境に合っているかを見極め、賢い選択をしてください。
まとめ:LGサウンドバーS75QCレビュー解説!購入前に知りたい全て
- S75QCはコストコなどで販売される高コストパフォーマンスな限定モデルである
- 英国の高級オーディオブランドMeridianがサウンドを監修している
- Dolby AtmosとDTS:Xの両方に対応し立体的な音響を手軽に楽しめる
- サブウーファー非搭載のワンボディでテレビ周りをスッキリ設置できる
- 人の声がクリアに聞こえ、映画や音楽鑑賞に適したバランスの良い音質を持つ
- HDMI eARCに対応しており、ケーブル一本でテレビと簡単連携が可能
- LG製テレビと組み合わせると「WOW Orchestra」機能で音響がさらに強化される
- 本体の高さが65mmあるため、テレビ画面や受光部との干渉に注意が必要
- アプリの操作性が分かりにくいというユーザーの声がある
- 手頃な価格で確かな音質向上を実感したいサウンドバー初心者におすすめの一台である