中華イヤホン界隈で「平面駆動型ドライバー搭載の傑作」として名高いLETSHUOER S12シリーズ。
その最新モデルとして登場した「S12 Ultra」は、シリーズの集大成とも呼べる完成度を誇っています。
しかし、既存のS12やS12 Proと比べて具体的に何が進化したのか、音質の傾向はどう変わったのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
「価格に見合う価値はあるのか」「自分の好みの音なのか」という疑問を解消するために、詳細な情報が必要です。
この記事では、S12 Ultraの実機レビュー解説を中心に、旧モデルとの比較やスペック、評判までを徹底的に深掘りします。
LETSHUOER S12 Ultra 実機レビュー解説:S12シリーズの「完成形」とは?
結論:S12 Ultraはどんな音がする?音質の特徴を徹底解説
LETSHUOER S12 Ultraの音質を一言で表現するなら、「解像度と聴き心地の良さを高次元で両立させたW字型サウンド」です。
従来のS12シリーズが持っていた平面駆動型特有のクリアで明瞭な高音域はそのままに、中低音域の厚みと量感が大幅に強化されています。
一聴して感じるのは、音がリッチになり、音楽全体を包み込むような温かみが加わった点です。
初代S12のような鋭いキレ味重視のサウンドとは異なり、各帯域がバランスよく主張し合うことで、長時間のリスニングでも疲れにくいチューニングに仕上がっています。
特に、ボーカルの存在感が増し、楽器の音色が生々しく再現される点は、シリーズの進化を最も如実に感じられる部分でしょう。
外観とデザイン:アルミ合金筐体の質感とモカ・グレーの色味
S12 Ultraの筐体には、耐久性と軽量性を兼ね備えた高精度のアルミ合金が採用されています。
デザインは従来のS12シリーズのシルエットを踏襲しつつも、より洗練されたモダンな印象へと変化しました。
カラーバリエーションは、深みのある「モカ」と、シックで工業的な美しさを持つ「ガンメタルグレー」の2色が展開されています。
表面はサンドブラスト加工のようなマットな質感で仕上げられており、指紋が付きにくく、手に持った時の高級感も十分です。
S12 Proと比較すると、コネクタ周辺やフェイスプレートのカッティングが微調整されており、角度によって光の反射が変わる美しい造形となっています。
装着感はどう?耳へのフィット感と遮音性をチェック
装着感については、これまでのS12シリーズ同様、多くのユーザーの耳に馴染みやすい形状を維持しています。
筐体は金属製ですが軽量で、耳への負担は少なく、長時間の使用でも痛くなりにくい設計です。
耳のくぼみにすっぽりと収まるデザインのため、安定感があり、歩行時や軽い運動時でもズレ落ちる心配は少ないでしょう。
遮音性に関しては、カナル型イヤホンとして標準的か、それ以上のレベルを確保しています。
付属のイヤーピースを適切に選ぶことで密閉性が高まり、周囲の騒音を適度にカットしつつ、音楽の世界に没入することが可能です。
ただし、筐体にはベント(通気孔)が設けられているため、完全な静寂を作り出すわけではありませんが、音漏れを過度に気にする必要はないレベルです。
S12 Ultraの音質評価:低音・中音・高音のバランスはどう変わった?
高音域:S12特有の刺さりを抑えつつクリアな伸びを実現
S12シリーズといえば、煌びやかで伸びのある高音域が特徴でしたが、同時に「刺さり」を感じるという意見もありました。
S12 Ultraでは、この高音域のチューニングが見直され、角が取れた滑らかな質感へと進化しています。
シンバルの金属音や女性ボーカルの高音部などは、依然としてクリアで高い解像度を誇りますが、耳に痛い刺激成分は上手く抑えられています。
これにより、高音の透明感を楽しみつつも、聴き疲れしにくい上質なサウンドを実現しています。
金属筐体特有の硬質さを残しながらも、どこか艶やかさを感じさせる高音は、本機の大きな魅力の一つです。
中低音域:厚みと粘り気のあるリッチな低音へ進化
今回のアップデートで最も変化が大きいのが、中低音域の表現力です。
これまでのシリーズは比較的スッキリとした低音でしたが、S12 Ultraでは深く沈み込むような量感と、粘り気のあるグルーヴ感が加わりました。
ベースラインやバスドラムのアタック感がより力強く表現され、楽曲の土台をしっかりと支えます。
LETSHUOERの上位モデルであるS15やエントリーモデルのS08に見られるような、豊かな響きと余韻を感じさせる低音です。
しかし、単に量が増えただけでなく、平面駆動型らしい歪みの少なさは維持されているため、ボワつくことなくタイトな質感も兼ね備えています。
解像度と音場:分離感の高さと立体的な空間表現
解像度に関しては、14.8mmの大口径平面駆動ドライバーの恩恵により、非常に高いレベルを維持しています。
音数が多く複雑な楽曲であっても、各楽器の音が団子にならず、一つひとつが明瞭に分離して聴こえます。
音場については、横方向への広がりだけでなく、奥行き方向への立体感が増した印象です。
ボーカルやメイン楽器が目の前に定位し、その背後に伴奏が広がるような、レイヤー感のある空間表現が可能になっています。
広大というよりは、正確な定位と密度感のある濃密な音場を楽しむタイプのイヤホンと言えるでしょう。
徹底比較:S12 UltraとS12 / S12 Pro / S12 2024の違いは?
S12 (初代) vs Ultra:キレの初代か、バランスのUltraか
初代S12とS12 Ultraの最大の違いは、「音の鋭さ」と「低音の量感」にあります。
初代S12は、硬質でキレのあるドンシャリ傾向が強く、スピード感のある楽曲や電子音との相性が抜群でした。
一方、S12 Ultraは低音の量感が増し、高音の刺さりがマイルドになったことで、より幅広いジャンルに対応できるバランス型へとシフトしています。
分析的に音を聴きたいなら初代S12、音楽全体を心地よく楽しみたいならS12 Ultraという選び分けができます。
S12 Pro vs Ultra:ボーカルの質感と付属品の差
S12 Proは、初代S12よりもややフラットで、モニターライクな傾向があるモデルでした。
S12 Ultraは、S12 Proと比較して中低域の厚みが増し、ボーカルがより前に出てくるようなリスニング寄りのチューニングになっています。
また、付属品の面でも大きな違いがあります。
S12 Ultraには、交換式プラグを採用したケーブルに加え、Type-C接続のDACケーブル「DT01 Pro」が標準で同梱されています。
これにより、スマホ直結でも高音質を楽しめる環境が最初から整っている点が、Ultraの大きなアドバンテージです。
S12 2024 Edition vs Ultra:限定版との共通点と違い
S12シリーズ8周年記念モデルである「S12 2024 Edition」は、チタン筐体を採用した限定モデルでした。
音質の傾向としては、S12 Ultraはこの2024 Editionに非常に近い特性を持っています。
どちらも低音の深みと高音の滑らかさを重視したチューニングですが、2024 Editionの方がチタン筐体の影響か、やや響きが硬質でクールな印象を受ける場合があります。
S12 Ultraはアルミ合金筐体を採用しており、より自然でウォームな響きを感じさせます。
限定版で入手困難だったサウンドが、S12 Ultraという形でレギュラーラインナップとして楽しめるようになったと言えます。
LETSHUOER S12 Ultraのスペックと豪華な付属品
進化した14.8mm平面駆動型ドライバーの技術的特徴
S12 Ultraには、LETSHUOERが誇る14.8mmの大口径平面駆動型ドライバーが搭載されています。
このドライバーは、従来のものから内部構造や製造工程が見直され、さらなる最適化が図られました。
具体的には、音の密度やダイナミクスレンジが向上し、微細な音のニュアンスまで正確に再現できるようになっています。
大型ドライバーならではの余裕のある鳴りっぷりと、平面駆動特有の応答速度の速さが、S12 Ultraの高音質を支える心臓部です。
スマホ直結可能!付属DAC「DT01 Pro」の実力と駆動力
本機の大きな特徴の一つが、高品質なUSB-DACケーブル「DT01 Pro」が付属している点です。
平面駆動型イヤホンは一般的に鳴らしにくく、スマホ直結では本来の性能を発揮しにくいとされてきました。
しかし、この付属DACを使用することで、駆動力不足を解消し、手軽に高解像度なサウンドを楽しむことができます。
別途ポータブルアンプを購入しなくても、パッケージを開けてすぐに最適な環境でリスニングを始められるのは、ユーザーにとって非常に大きなメリットです。
3.5mm/4.4mm交換式プラグ採用の高品質ケーブルについて
付属するケーブルもまた、グレードアップしています。
線材には392芯の単結晶銅銀メッキ線が採用されており、信号伝送のロスを最小限に抑え、クリアな音質に貢献しています。
さらに、プラグ部分は交換式となっており、3.5mmアンバランス接続と4.4mmバランス接続の両方に対応可能です。
4ピンコネクタでしっかりと固定し、さらにネジで留める構造のため、使用中に抜ける心配もなく、接続の安定性は抜群です。
リケーブルせずとも、DAPやアンプに合わせて接続方式を変更できる柔軟性は高く評価できます。
評判・口コミまとめ:S12 Ultraの良い評価と悪い評価
ユーザーが語るメリット:聴き疲れしない音と完璧なパッケージ
多くのユーザーから高く評価されているのは、やはりその「完成されたサウンドバランス」です。
「S12の高解像度はそのままに、低音が増して楽しく聴けるようになった」「高音が刺さらないので長時間聴いていられる」といった声が多く聞かれます。
また、付属品の豪華さについても満足度が高く、「DACや交換プラグまで付いてこの価格はコストパフォーマンスが高すぎる」という意見も散見されます。
デザインや質感についても、安っぽさがなく所有欲を満たしてくれるというポジティブな評価が目立ちます。
ユーザーが語るデメリット(注意点):低音のレスポンスやケーブルの重さ
一方で、いくつかの注意点やデメリットも指摘されています。
音質面では、低音の量感が増したことで、「初代S12のようなスピード感やキレが少し後退した」と感じるユーザーもいるようです。
特にBPMの速い楽曲や、ドライなサウンドを好む層からは、好みが分かれるポイントとなっています。
また、付属のケーブルは高品質ですが、芯数が多くしっかりとした作りであるため、「少し太くて重い」「取り回しが気になる」という声もあります。
装着感に関しては個人差がありますが、ケーブルの重さが耳への負担になる場合があるかもしれません。
LETSHUOER S12 Ultraはおすすめ?価格と購入前の判断基準
S12 Ultraをおすすめする人・しない人の条件
S12 Ultraは、以下のような方に特におすすめできるイヤホンです。
まず、平面駆動型イヤホンの繊細な解像感と、音楽を楽しく聴かせる低音の迫力を両立させたい方。
次に、スマホを中心に音楽を聴いており、追加機材なしで高音質化を図りたい方。
そして、幅広いジャンルの音楽を聴き疲れすることなく楽しみたい方です。
逆におすすめしないのは、とにかく高音の鋭いキレや、モニターライクなフラットさを最優先する方です。
また、極端に重いケーブルが苦手な方も、リケーブルを検討する必要があるかもしれません。
FPSなどのゲーミングイヤホンとしての実力は?
S12 Ultraは、音楽鑑賞だけでなく、FPSなどのゲーム用途でも高い実力を発揮します。
平面駆動型ドライバー特有の優れた定位感と分離能力により、足音の方向や距離感を正確に把握することが可能です。
特に、S12 Ultraは低音の量感が適度にありながらも解像度が高いため、爆発音などの迫力を感じつつ、重要な環境音を埋もれさせることなく聞き取ることができます。
付属のDACを使用すれば、PCやスマホ、タブレットに接続してすぐに高音質なゲーミング環境を構築できる点も魅力です。
S12 Ultraの価格とコストパフォーマンス総評
S12 Ultraの実勢価格は、約26,500円から27,500円前後で推移しています。
一見するとミドルクラスの価格帯ですが、14.8mmの高性能平面駆動ドライバー、交換式プラグ対応の高品質ケーブル、さらに単体でも価値のあるDACケーブルが付属することを考慮すると、コストパフォーマンスは極めて高いと言えます。
他社製品であれば、これだけのパッケージ内容を揃えるにはさらにコストがかかる場合が多いでしょう。
S12シリーズの進化を感じられる音質と、充実した付属品を含めた総合力で判断すれば、価格以上の価値を十分に提供してくれるモデルです。
まとめ:LETSHUOER S12 Ultra レビュー解説
- S12 Ultraはシリーズ集大成であり解像度と聴き心地を両立したW字型サウンドだ
- 14.8mm平面駆動型ドライバーを搭載し中低音の厚みと高音の滑らかさが特徴である
- アルミ合金筐体を採用しモカとガンメタルグレーの2色展開で高級感がある
- 装着感は良好で軽量な筐体が耳にフィットし遮音性も標準以上を確保している
- 初代S12と比較して低音の量感が増し高音の刺さりが抑制され聴きやすくなった
- 3.5mmと4.4mmの交換式プラグを採用した高品質な銀メッキ銅ケーブルが付属する
- Type-C接続のDAC「DT01 Pro」が同梱されスマホ直結でも高音質再生が可能だ
- 定位感が良く分離能力が高いためFPSなどのゲーミング用途にも適している
- 低音のレスポンスは初代より穏やかだが音楽全体の豊かさは向上している
- 約2.7万円という価格に対し付属品と音質を考慮するとコスパは極めて高い
