「一体型PC」を検討しているものの、インターネットで「やめとけ」「後悔する」といった否定的な意見を目にして、購入をためらってはいませんか。
デザインがスタイリッシュで、省スペースに見える一体型PCは確かに魅力的です。
しかし、その構造的な特性を知らずに選んでしまうと、数年後に「こんなはずではなかった」と後悔につながるケースが少なくありません。
この記事では、なぜ一体型PCが多くの人におすすめできないのか、その致命的な理由を徹底的に解説します。
さらに、後悔しないためのPC選びのポイントと、より満足度の高い代替案まで具体的に提案します。
あなたのPC選びが失敗に終わらないよう、ぜひ最後までご覧ください。
結論:「一体型PCはやめとけ」と言われる5つの致命的な理由

一体型PCの購入を避けるべきだと言われるのには、明確な理由が存在します。
その多くは、製品の構造的な限界に起因するものであり、購入後にユーザーが直面する現実的な問題点です。
理由1:性能が低い|デスクトップPCに見える「非力なノートPC」という実態
一体型PCはデスクトップPCのような見た目をしていますが、その中身(性能)はノートPCと同等、あるいはそれ以下であることがほとんどです。
省スペース設計を実現するため、内部には発熱や消費電力を抑えたモバイル(ノートPC)向けのCPUが搭載されています。
これにより、同じ価格帯のタワー型デスクトップPCと比較した場合、処理性能が大幅に劣ってしまいます。
Webサイトの閲覧や簡単な書類作成程度なら問題なくとも、少しでも負荷のかかる作業をすると、動作が遅くストレスを感じる場面が増えるでしょう。
理由2:拡張性が絶望的|購入後にメモリ増設やグラボ交換はほぼ不可能
PCの性能は数年で陳腐化しますが、デスクトップPCであればメモリ増設やストレージ交換、グラフィックボード(グラボ)の追加などで性能を強化し、長く使い続けることが可能です。
しかし、一体型PCは内部にパーツを追加するスペースがほとんどなく、拡張性は絶望的と言えます。
メモリさえも基板に直接取り付けられ、交換できないモデルも少なくありません。
購入時の性能が数年後の性能となり、「動作が遅くなってきたから性能アップしたい」と思っても、買い替える以外の選択肢がなくなってしまうのです。
理由3:故障リスクが高い|モニターが壊れたら修理費は高額、PCごと使用不能に
一体型PCの最大の弱点は、PC本体とモニターが一体化している点にあります。
これは、どちらか一方が故障しただけで、全体が使用不能になることを意味します。
特に液晶モニターの故障は致命的です。
保証期間が過ぎた後のモニター修理は非常に高額になる傾向があり、修理費用を考えると新しいPCが買えてしまうことも珍しくありません。
「モニターが映らない」というだけのトラブルで、中身のデータは無事でもPCごと買い替えを迫られるリスクを常に抱えているのです。
理由4:コストパフォーマンスが悪い|同じ性能ならデスクトップやノートPCの方が安い
一体型PCは、同程度の性能を持つデスクトップPCやノートPCと比較して、価格が割高に設定されています。
これは、特殊な形状のパーツや大型モニターを一体化させるための設計・製造コストが価格に上乗せされているためです。
同じ予算を出すのであれば、タワー型デスクトップPCならより高性能なモデルが購入できますし、ノートPCと外部モニターを揃えてもお釣りがくる可能性があります。
性能に対する価格、つまりコストパフォーマンスの観点では、最も選びにくい選択肢と言えるでしょう。
理由5:省スペースは幻?|キーボードとマウスを置けばノートPCと大差ない
一体型PCのメリットとして「省スペース」が挙げられますが、これも絶対的な優位点とは言えません。
もちろん、タワー型の本体がない分、足元はスッキリします。
しかし、デスクの上にはモニター本体に加え、キーボードとマウスを設置する必要があり、結局のところ占有する作業スペースは「ノートPC+外部モニター」の構成と大差なくなります。
配線が電源ケーブル1本で済む点はメリットですが、そのために性能や拡張性、コスパを犠牲にする価値があるかは慎重に考えるべきです。
【徹底比較】一体型PC vs デスクトップ vs ノートパソコン、あなたに合うのはどれ?

一体型PCの立ち位置をより明確にするため、タワー型デスクトップPC、ノートPCとそれぞれの特徴を比較してみましょう。
どのタイプが自分の使い方に最も合っているかを確認してください。
性能で選ぶならデスクトップPC一択の理由とは?
最高のパフォーマンスを求めるなら、選択肢はタワー型デスクトップPC一択です。
内部スペースに余裕があるため、高性能なパーツを搭載でき、冷却性能も高いため、パーツの性能を最大限に引き出すことができます。
ゲーム、動画編集、3DCG制作など、高負荷な作業をストレスなくこなしたいユーザーにとって、これ以上の選択肢はありません。
持ち運びと柔軟性で選ぶならノートPCが最適な理由
場所を選ばずにPCを使いたいのであれば、ノートPCが唯一の選択肢となります。
自宅内での移動はもちろん、外出先やカフェ、出張先でも同じ環境で作業できる携帯性は大きな魅力です。
近年は性能も向上しており、外部モニターに接続すれば、自宅では大画面で快適なデスクワークも可能です。
一体型PCは「デスクトップとノートの悪いとこ取り」って本当?
残念ながら、多くの側面でそのように評価されても仕方がないのが現実です。
一体型PCは、デスクトップPCの「高い性能と拡張性」を持たず、ノートPCの「携帯性」もありません。
結果として、性能はノートPCレベルなのに持ち運べず、拡張性もないという、両者のデメリットを併せ持ったような存在になってしまっています。
一目でわかる比較表|性能・価格・拡張性・省スペース性の違い
各PCタイプの特徴を以下の表にまとめました。
特徴 | タワー型デスクトップPC | ノートPC | 一体型PC |
性能 | ◎ (非常に高い) | △ (中程度) | △ (中程度) |
コストパフォーマンス | ◎ (非常に高い) | ◯ (高い) | × (低い) |
拡張性・修理の容易さ | ◎ (非常に高い) | × (ほぼ不可) | × (ほぼ不可) |
省スペース性 | × (場所を取る) | ◎ (非常に優れる) | ◯ (優れる) |
携帯性 | × (不可) | ◎ (可能) | × (不可) |
一体型PCにメリットは本当にないの?購入前に知るべき真実

ここまでデメリットを強調してきましたが、一体型PCにもメリットとされる点は存在します。
ただし、そのメリットが本当に自分の求める価値と合致しているかを冷静に判断する必要があります。
「デザインがおしゃれで配線がスッキリ」は本当か?
これは一体型PCの最大のメリットであり、多くのユーザーが惹かれる点です。
電源ケーブル一本で済むため、デスク周りが非常にクリーンな印象になります。
インテリアに馴染むスタイリッシュなデザインの製品も多く、生活空間の美観を重視する方にとっては魅力的に映るでしょう。
「購入後すぐに使える」は初心者にとって本当にメリット?
箱から出して電源を繋げばすぐに使える手軽さは、PCに詳しくない初心者にとって安心材料かもしれません。
しかし、現代のノートPCやBTO(受注生産)のデスクトップPCもセットアップは非常に簡単になっています。
初期設定の手軽さという短期的なメリットと、性能不足や拡張性のなさといった長期的なデメリットを天秤にかける必要があります。
これらのメリットを享受できるのはごく一部のユーザーだけ
結論として、一体型PCのメリットがデメリットを上回るのは、「PCの性能や将来性を一切求めず、とにかく見た目のスッキリ感を最優先したい」という、ごく限られたユーザーのみと言えるでしょう。
多くの人にとっては、他の選択肢の方が高い満足度を得られる可能性が高いのです。
【用途別】この使い方、一体型PCで後悔しませんか?

あなたのPCの使い方が、一体型PCの性能で本当に満足できるのか、具体的な用途別に検証してみましょう。
ゲーム(APEXや原神など)をプレイしたい場合は?
最新の3Dゲームを快適にプレイすることは、ほぼ不可能です。
多くのゲームが必要とする高性能なグラフィックボードを搭載しておらず、後から追加することもできません。
CPU性能や冷却性能も不足しているため、仮に起動できたとしても、動作がカクカクしてゲーム体験を著しく損なうでしょう。
動画編集やデザイン、プログラミング作業は快適にできる?
簡単な写真の補正や短い動画のカット編集程度であれば可能ですが、本格的な作業には向きません。
複数のエフェクトを重ねたり、高解像度の動画を扱ったりすると、プレビューが遅延したり、書き出しに膨大な時間がかかったりします。
プログラミングにおいても、大規模な開発環境や仮想環境の実行には性能不足を感じる場面が多くなります。
Web会議やOfficeソフト、ネットサーフィンなどの一般的な用途なら問題ない?
これらの比較的負荷の軽い作業であれば、多くの一体型PCで問題なくこなせます。
ただし、ブラウザのタブを大量に開いたり、複数のアプリケーションを同時に動かしたりすると、動作が重くなることがあります。
あくまで「最低限の作業は可能」というレベルであり、快適な操作性を保証するものではありません。
一体型PCはテレビ代わりになる?
一部のモデルにはテレビチューナーが内蔵されており、テレビ番組の視聴や録画が可能です。
PC作業の合間にテレビを見たいといったニーズには応えられます。
しかし、画質や音質、操作性は専用のテレビに劣ることが多く、あくまで付加機能と捉えるのが妥当です。
「やめとけ」と言われても一体型PCが欲しい!後悔しないための選び方
ここまで解説したデメリットをすべて理解した上で、それでも一体型PCを選びたいという場合、後悔の可能性を少しでも減らすためのチェックポイントを解説します。
購入前にチェックすべき3つの重要スペック
最低限、CPU、メモリ、ストレージの3点は必ず確認してください。
CPUはPCの頭脳であり、可能な限り世代が新しく高性能なものを選びましょう。
メモリは複数の作業を同時に行う際の余裕につながるため、最低でも8GB、できれば16GB以上が推奨されます。
ストレージは起動速度に直結するSSDが必須で、容量は最低256GB、できれば512GB以上あると安心です。
CPUの型番に注意!末尾の「U」や「P」はモバイル向け性能の証
スペック表でCPUの型番を確認する際は、末尾のアルファベットに注目してください。
「Core i7」のように同じ名前がついていても、末尾に「U」や「P」といった文字が付いているものは、省電力なノートPC向けのCPUです。
これらのCPUは、デスクトップPC向けのCPUに比べて性能が大きく劣ることを覚えておきましょう。
HDMI「入力」端子の有無でモニターとして再利用できるかが決まる
これは非常に重要なポイントです。
PCとしての性能が時代遅れになっても、HDMI「入力」端子があれば、その一体型PCをただの外部モニターとして再利用できます。
新しいPCやゲーム機を接続して、大画面モニターとして第二の人生を歩ませることが可能です。
しかし、ほとんどのモデルはHDMI「出力」端子しか備えていないため、購入前に必ず仕様を確認してください。
修理費用はどれくらい?保証期間が切れた後のリスクとは
前述の通り、保証期間が切れた後の一体型PCの修理は高額です。
特にモニターの故障は、5万円から10万円以上の費用がかかることもあります。
購入時には、延長保証への加入を検討するか、数年で買い替えることを前提とした予算計画を立てておくことが賢明です。
一体型PCの代替案|後悔しないための賢い2つの選択肢

一体型PCの購入をやめて、他の選択肢を検討する場合、特におすすめしたい構成が2つあります。
これらは、一体型PCが抱える問題点の多くを解決してくれます。
選択肢1:ノートPC+外部モニター|最も柔軟でコスパの良い最強構成
現在のPC選びにおける「最適解」とも言える構成です。
外出時はノートPC単体で身軽に、自宅では外部モニターに接続して大画面で快適に作業できます。
性能と携帯性を両立でき、コストパフォーマンスにも優れています。
将来ノートPCを買い替えても、モニターはそのまま使い続けられるため、無駄がありません。
選択肢2:iMac|デザインと性能を両立したい唯一の選択肢
一体型PCのデザイン性に強く惹かれるのであれば、AppleのiMacが有力な選択肢となります。
iMacも拡張性や修理のしにくさといった一体型PC特有の弱点は抱えています。
しかし、Apple独自のMシリーズチップによる高いパフォーマンスと電力効率、そして高品質なディスプレイと洗練されたデザインは、他の製品とは一線を画します。
予算が許すのであれば、満足度の高い投資となるでしょう。
省スペースな小型デスクトップPC(ミニPC)という第3の選択肢
タワー型ほど場所を取らず、かつ一体型PCよりも高性能で拡張性のある選択肢として、ミニPCも注目されています。
手のひらサイズの小さな本体をモニターの背面に設置すれば、まるで一体型PCのようにスッキリとしたデスク環境を構築可能です。
メモリやストレージの交換が可能なモデルも多く、将来性も確保できます。
まとめ:一体型PCはやめとけ、と言われる理由の再確認
この記事では、「一体型PCはやめとけ」と言われる理由から、後悔しないための選び方、そして賢い代替案までを解説しました。
最後に、本記事の要点をまとめます。
- 一体型PCの中身はノートPC同等で性能が低い
- 購入後の性能アップ(拡張性)はほぼ不可能である
- モニターが故障するとPC全体が使用不能になるリスクがある
- 同性能の他タイプPCと比較してコストパフォーマンスが悪い
- 省スペース性はノートPC+外部モニターと大差ない
- ゲームや本格的な動画編集などの高負荷作業には不向き
- どうしても購入するならCPU型番とHDMI入力端子の有無を確認すべし
- 最も合理的で満足度の高い代替案は「ノートPC+外部モニター」である
- デザインと性能を両立したいならiMacが有力な選択肢となる
- ミニPCも省スペースと性能を両立する優れた代替案である