ノートパソコンのスペック表でよく見かける「Intel Iris Xe グラフィックス」について、その性能がどの程度なのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。
「GeForceなどのグラフィックボードと比較してどうなの?」「ゲームや動画編集は快適にできるの?」といった疑問を持つのは当然です。
この記事では、Intel Iris Xe グラフィックスの実際の性能について、具体的な比較や用途別の向き不向きを徹底的に解説します。
この記事を読めば、あなたの使い方に合ったパソコン選びができるようになります。
結論:Intel Iris Xe グラフィックスの性能はどのくらい?
CPU内蔵グラフィックスの中では高性能だが、単体グラボには及ばない
Intel Iris Xe グラフィックス(以下、Iris Xe)は、CPUに内蔵されたグラフィックス機能としては非常に高性能です。
従来のCPU内蔵グラフィックスと比較すると飛躍的に性能が向上しており、Webサイトの閲覧や動画視聴、事務作業といった日常的な用途では十分すぎるほどのパフォーマンスを発揮します。
しかし、NVIDIA GeForceシリーズのような単体で搭載されるグラフィックボード(GPU)と比較すると、性能面では大きく劣るのが実情です。
あくまで「内蔵グラフィックスの中では優秀」という位置づけになります。
GeForceで例えるなら?GTX 1030~GTX 1050 Ti相当の性能
Iris Xeの性能をNVIDIAのGeForceシリーズで例えるなら、エントリークラスの「GeForce GT 1030」から、少し上の「GeForce GTX 1050 Ti」に相当するレベルです。
これにより、一昔前のCPU内蔵グラフィックスでは難しかった、比較的軽い3Dゲームのプレイや、簡単な動画編集もこなせるようになりました。
ただし、これらは数年前に発売されたグラフィックボードであり、最新のゲームを快適にプレイするための性能には達していません。
RTX 3060との性能差は?5~6倍以上の差があり全くの別物
ゲーミングPCで人気の高い「NVIDIA GeForce RTX 3060」と比較すると、Iris Xeの性能は天と地ほどの差があります。
各種ベンチマークスコアでは、RTX 3060がIris Xeの5倍から6倍以上高い数値を示すことも珍しくありません。
Iris XeとRTX 3060が同等レベルの性能であるという認識は誤りであり、これらは全く異なるカテゴリの製品だと理解しておく必要があります。
そもそもIntel Iris Xe グラフィックスとは?初心者にも分かりやすく解説
CPUに内蔵されたグラフィック機能(iGPU)のこと
Intel Iris Xe グラフィックスは、グラフィックボードのように独立した部品ではなく、パソコンの頭脳であるCPUに組み込まれている画像処理機能のことです。
これを「内蔵グラフィックス」や「iGPU(Integrated Graphics Processing Unit)」と呼びます。
映像をモニターに表示するための基本的な役割を担っており、グラフィックボードを別途搭載していない多くのノートパソコンで採用されています。
従来のIntel UHDグラフィックスとの違いは?性能が大幅に向上
Iris Xeが登場する前は、「Intel UHD グラフィックス」が主流でした。
UHDグラフィックスは、主に画面表示を目的とした最低限の機能であり、ゲームやクリエイティブな作業には不向きでした。
それに対してIris Xeは、設計を刷新しグラフィック性能を大幅に強化したことで、従来の約2倍以上のパフォーマンスを発揮します。
この進化により、CPU内蔵グラフィックスの可能性が大きく広がりました。
「グラフィックボード(単体GPU)」との根本的な違いと見分け方
グラフィックボード(単体GPU)は、画像処理のためだけに設計された専門のパーツです。
これに対し、CPU内蔵のIris Xeは、CPUの機能の一部を間借りしている状態です。
そのため、性能や専用メモリの有無など、根本的な構造が異なります。
| 項目 | Intel Iris Xe グラフィックス | グラフィックボード(単体GPU) |
|---|---|---|
| 種類 | CPU内蔵グラフィックス(iGPU) | 独立した拡張ボード(dGPU) |
| 主な用途 | 日常利用、軽い動画編集、軽めのゲーム | 本格的なゲーム、動画編集、3DCG制作 |
| 性能 | 限定的 | 高性能 |
| 消費電力 | 低い | 高い |
お使いのパソコンにどちらが搭載されているかは、Windowsの設定から「ディスプレイの詳細設定」を見ることで確認できます。
【ゲーム編】Iris Xeでどこまで遊べる?人気タイトル10選で性能を徹底検証
【快適に遊べる】VALORANT・マインクラフト・LoLのフレームレート
Iris Xeは、比較的負荷の軽いeスポーツタイトルや人気ゲームであれば、設定次第で快適にプレイ可能です。
- VALORANT: 低設定で平均160fps以上、高設定でも平均90fps前後と、非常に快適にプレイできます。
- マインクラフト (Java版): 最高設定でも平均70fps前後を維持でき、ストレスなく遊べます。
- リーグ・オブ・レジェンド (LoL): 非常に高い設定でも平均150fpsと、全く問題なく動作します。
これらのゲームが主目的であれば、Iris Xeでも十分楽しむことができるでしょう。
【設定を下げれば遊べる】Apex Legends・フォートナイトのフレームレート
世界的に人気のバトルロイヤルゲームも、グラフィック設定を大きく下げることでプレイ可能な範囲に入ります。
- Apex Legends: 全ての項目を最低設定にすることで、平均58fps前後となり、プレイ自体は可能です。ただし、乱戦時にはフレームレートが低下する可能性があります。
- フォートナイト: レンダリングモードを「パフォーマンス」に設定すれば、平均58fps前後で動作します。こちらも場面によってはカクつきを感じることがあります。
快適とは言えないものの、「とりあえず遊べる」レベルには達しています。
【プレイは難しい】モンスターハンター・スト6など重量級ゲーム
グラフィックにこだわった最新のゲームや、高い処理能力を要求する重量級のタイトルをIris Xeでプレイするのは非常に困難です。
「モンスターハンター」シリーズや「ストリートファイター6」のようなゲームは、最低設定にしてもフレームレートが安定せず、まともにプレイすることはできません。
これらのゲームを遊びたい場合は、GeForce RTXシリーズなどを搭載したゲーミングPCが必須となります。
【人気ゲーム】原神はどのくらいの設定でプレイできる?
スマートフォンでも人気のオープンワールドRPG「原神」は、Iris Xeでもプレイ可能です。
グラフィック設定を「低」にすれば、フレームレートの上限である60fpsで安定して遊ぶことができます。
「中」設定にすると45fps前後まで落ちるため、快適さを求めるなら「低」設定以下でのプレイがおすすめです。
【用途別】動画編集やクリエイティブ作業は快適にできる?
フルHD画質の簡単なカット・テロップ編集なら可能
Iris Xeは動画編集にもある程度対応できます。
具体的には、フルHD(1920×1080)解像度の動画であれば、カットやテロップ挿入といった基本的な編集作業は問題なくこなせます。
外出先で撮影した動画を少し編集する、といったサブ機としての使い方であれば十分に活躍できる性能です。
4K動画の編集や長時間の書き出しは厳しい?
一方で、4Kのような高解像度の動画編集や、エフェクトを多用した複雑な作業、長時間の動画の書き出し(エンコード)には性能が追いつきません。
処理に非常に時間がかかったり、アプリケーションが強制終了したりする可能性があるため、本格的な動画編集のメイン機として使うのは現実的ではありません。
結論:本格的な動画編集なら単体GPU(GeForce等)搭載PCが必須
結論として、趣味で短い動画を作る程度であればIris Xeでも可能ですが、仕事として動画編集を行う場合や、より快適な作業環境を求めるのであれば、単体のグラフィックボードを搭載したパソコンを選ぶべきです。
CPUだけでなくGPUの力も借りることで、プレビューの滑らかさや書き出し速度が劇的に向上します。
Intel Iris Xe グラフィックスの技術的な性能と仕組み
専用VRAMは何GB?メインメモリと共有する仕組みを解説
Iris Xeには、グラフィックボードが持つような専用のビデオメモリ(VRAM)がありません。
その代わり、パソコン本体のメインメモリの一部を借りて、VRAMとして使用する「メモリ共有」という仕組みになっています。
そのため、搭載されているメインメモリの容量や速度が、Iris Xeの性能に直接影響します。
十分な性能を引き出すには、16GB以上のメモリを搭載していることが望ましいです。
Intel Arcグラフィックスとの性能差は?
Intel Arcは、Iris Xeと同じインテルが開発したグラフィックスですが、こちらはGeForceやRadeonと同じ単体のグラフィックボードです。
そのため、CPU内蔵であるIris Xeとは性能が大きく異なり、Arcの方が圧倒的に高性能です。
Iris Xeはエントリー向け、Arcは本格的なゲームやクリエイティブ用途向け、という棲み分けになっています。
自分のPCのグラフィックスを確認する方法
ご自身のパソコンに搭載されているグラフィックスを確認するのは簡単です。
- デスクトップで右クリックし、「ディスプレイ設定」を選択します。
- 「関連設定」の中から「ディスプレイの詳細設定」をクリックします。
- 「ディスプレイ情報」の項目に、現在使用しているグラフィックスの名前(例: Intel(R) Iris(R) Xe Graphics)が表示されます。
この手順で、簡単にスペックを確認することが可能です。
まとめ:インテル Iris Xe グラフィックスの性能を総括
【おすすめな人】事務作業がメインで、たまに軽いゲームで遊びたい人
Intel Iris Xe グラフィックスは、主にWordやExcelでの書類作成、Web会議、動画視聴といったビジネスや日常用途が中心の方に最適です。
それに加えて、「VALORANT」や「マインクラフト」のような比較的軽いゲームを息抜きに楽しみたい、というニーズにも応えてくれます。
【おすすめしない人】本格的にPCゲームをプレイしたい人や動画クリエイター
最新の3Dゲームを高画質・高フレームレートでプレイしたい方や、4K動画編集など高いグラフィック性能を必要とするクリエイティブな作業をメインにする方には、Iris Xeは性能不足です。
このような用途を考えている場合は、NVIDIA GeForce RTXシリーズやAMD Radeon RXシリーズといった単体のグラフィックボードを搭載したパソコンが必須となります。
Iris Xeグラフィックス搭載のおすすめノートPCモデルは?
Iris Xeを搭載したノートパソコンは、多くのメーカーから発売されており、価格と性能のバランスが取れたモデルが豊富です。
CPUに「Core i5」または「Core i7」を搭載し、メモリが16GB以上、ストレージがSSDのモデルを選ぶと、日常的な作業から軽いエンターテイメントまで、幅広い用途で快適に使用できるでしょう。
- Intel Iris Xe グラフィックスはCPU内蔵グラフィックスの中では高性能
- 単体のグラフィックボード(GeForceなど)の性能には大きく及ばない
- 性能はGeForce GT 1030からGTX 1050 Tiに相当するレベル
- RTX 3060と比較すると5~6倍以上の性能差がある
- VALORANTやマインクラフトなど比較的軽いゲームは快適にプレイ可能
- Apex Legendsやフォートナイトはグラフィック設定を下げればプレイできる
- モンスターハンターなどの重量級ゲームを快適に遊ぶのは困難
- フルHD解像度での簡単な動画編集は可能だが、4K編集は厳しい
- 専用のVRAMは無く、パソコンのメインメモリを共有して動作する
- 事務作業がメインで、たまに軽いゲームをするユーザーに最適な選択肢である
