GPD WIN Max 2021は、持ち運べるコンパクトなサイズでありながら、PCゲームが快適に遊べる性能を詰め込んだ「ハンドヘルドゲーミングPC」として注目を集めています。
この一台で、外出先では携帯ゲーム機のように、自宅ではノートPCとして、あらゆるシーンに対応できるのが大きな魅力です。
しかし、実際に購入を検討するとなると「Intel版とAMD版、どちらが良いのか?」「実際のゲームはどのくらい快適に動くのか?」「何か注意点はないのか?」といった疑問が浮かぶことでしょう。
この記事では、「GPD WIN Max 2021」について、特徴やスペック、各種ベンチマークの結果、そして実際に使った人たちの評判や口コミに至るまで、調査した情報を網羅的に解説していきます。
購入後に後悔しないためにも、ぜひ最後までご覧ください。
GPD WIN Max 2021のレビュー解説【特徴とスペック】
GPD WIN Max 2021の主な特徴
GPD WIN Max 2021の最大の特徴は、携帯ゲーム機とノートパソコンの機能を一台に凝縮した、その高い汎用性にあります。
このデバイスは、単なる小型PCではなく、ゲームプレイに特化した設計が随所に施されています。
具体的には、本体に高品質なゲームパッドが一体化されており、別途コントローラーを用意することなく、購入してすぐにPCゲームを楽しめます。
このゲームパッドは、多くのPCゲームで標準となっているXInput形式に対応しており、Xbox 360コントローラーとしてOSに認識されるため、互換性の心配もほとんどありません。
また、8インチというUMPC(ウルトラモバイルPC)としては大きめのディスプレイを搭載し、ゲームの迫力を損なうことなく、文字情報も視認しやすいバランスを実現しています。
さらに、このサイズのPCでありながら、ブラインドタッチも可能なシザー式キーボードを備えている点も特筆すべきです。
これにより、ゲーム内のチャットはもちろん、レポート作成やメールの返信といった一般的なPC作業も快適に行えます。
インターフェースも非常に豊富で、USB Type-A、Thunderbolt 4対応のUSB Type-C(Intel版)、HDMI、そして有線LANポートまで備えており、外部モニターやマウス、キーボードなどを接続すれば、デスクトップPCのような環境を構築することも可能です。
これらの特徴により、GPD WIN Max 2021は、移動中はゲーム機として、カフェやオフィスでは高性能なノートPCとして、ユーザーのあらゆるニーズに応える万能デバイスとなっています。
GPD WIN Max 2021のスペックを解説
GPD WIN Max 2021は、ユーザーの用途に合わせて選択できるよう、Intel版とAMD版という2つの異なるCPUを搭載したモデルが用意されています。
どちらのモデルも、当時のUMPCとしては非常に高いスペックを誇ります。
以下に、両モデルの主なスペックをまとめました。
スペック項目 | Intel Core i7-1195G7版 | AMD Ryzen 7 4800U版 |
---|---|---|
CPU | Core i7-1195G7 (4コア/8スレッド) | Ryzen 7 4800U (8コア/16スレッド) |
GPU | Intel Iris Xe Graphics | AMD Radeon Graphics |
メモリ | 16GB LPDDR4x-4267 | 16GB LPDDR4x-4266 |
ストレージ | 1TB / 2TB NVMe SSD (PCIe 4.0対応) | 1TB / 2TB NVMe SSD (PCIe 3.0) |
ディスプレイ | 8インチ H-IPS液晶、1280×800、光沢、10点マルチタッチ | 8インチ H-IPS液晶、1280×800、光沢、10点マルチタッチ |
インターフェース | Thunderbolt 4 ×2, USB 3.2 Gen1 ×2, HDMI 2.0b, 有線LAN, microSDXC | USB 3.2 Gen2 Type-C ×2, USB 3.0 ×2, HDMI 2.0b, 有線LAN, microSDXC |
無線通信 | Wi-Fi 6, Bluetooth 5.0 | Wi-Fi 5, Bluetooth 4.2 |
バッテリー | 57Wh | 57Wh |
サイズ | 207×145×26mm | 207×145×26mm |
重量 | 公称:790g / 実測:約880g | 公称:790g / 実測:約898g |
両モデルに共通しているのは、高速なLPDDR4xメモリを16GB搭載している点です。
これにより、CPU内蔵グラフィックスの性能を最大限に引き出し、ゲームプレイを快適にしています。
ストレージも1TBまたは2TBの大容量NVMe SSDを搭載しており、多くのゲームをインストールできます。
ディスプレイは8インチの1280×800解像度で、H-IPSパネルを採用しているため視野角が広く、複数人で画面を覗き込むような使い方でも色相の変化が少ないのが特徴です。
一方で、重量については公称値の790gと実測値の約880g~898gとの間に100g近い差があり、この点は購入前に認識しておく必要があります。
Intel版とAMD版のスペック比較
GPD WIN Max 2021を選ぶ上で最も重要なのが、Intel版とAMD版のどちらを選択するかです。
この二つのモデルは、それぞれに得意な分野があり、ユーザーの主な用途によって最適な選択が異なります。
結論から言うと、ゲーム性能や将来的な拡張性を重視するならIntel版、複数のアプリケーションを同時に動かすマルチタスク性能を重視するならAMD版がおすすめです。
Intel版の最大の強みは、CPUに内蔵されたグラフィックス「Intel Iris Xe Graphics」の性能と、外部GPUを接続できる「Thunderbolt 4」ポートの存在です。
Iris Xe Graphicsは、多くのゲームでAMD版のRadeon Graphicsよりも高いフレームレートを記録する傾向にあります。
また、Thunderbolt 4ポートを使えば、別売りのeGPUボックスを接続して、デスクトップPC並みのグラフィック性能を得ることも可能です。
これにより、将来的により高性能なグラフィックカードが登場した際にも対応できる拡張性を持ちます。
一方、AMD版の魅力は、8コア16スレッドという圧倒的なマルチコア性能にあります。
動画編集やプログラミングのコンパイルなど、多くのCPUコアを同時に使用する作業では、4コア8スレッドのIntel版よりも優れたパフォーマンスを発揮します。
ゲームにおいても、CPUへの負荷が高いタイトルでは、AMD版が有利になる場面もあります。
ただし、インターフェースや無線LANの仕様には注意が必要です。
前述の通り、Thunderbolt 4はIntel版のみの特権です。
また、無線LANについても、Intel版が新しい規格であるWi-Fi 6に対応しているのに対し、AMD版はWi-Fi 5までの対応となる場合があります。
どちらのモデルも一長一短があるため、自身の使い方をよく考えた上で、最適な一台を選ぶことが重要です。
GPD WIN Max 2021のおすすめな点
GPD WIN Max 2021が多くのユーザーから支持される理由は、その卓越した万能性にあります。
この一台があれば、様々なシーンで高いパフォーマンスを発揮してくれる点が、最大のおすすめポイントと言えるでしょう。
例えば、UMPCでありながらブラインドタッチが可能なほど快適なキーボードを搭載しているため、外出先で急なレポート作成や長文のメール返信が必要になった場合でも、ストレスなく作業をこなせます。
また、豊富なインターフェースは、このデバイスの価値をさらに高めています。
自宅やオフィスでは、HDMIケーブルで外部モニターに接続し、USBポートにマウスやキーボードをつなげば、デスクトップPCと遜色ない作業環境を瞬時に構築できます。
有線LANポートがあるため、安定したネットワーク環境でオンラインゲームや大容量データのダウンロードを行えるのも嬉しいポイントです。
さらに、BIOS設定でTDP(CPUの消費電力)を調整できる機能も備わっています。
パフォーマンスを最大限に引き出したい時はTDPを上げ、静かな場所で使いたい時やバッテリーを長持ちさせたい時はTDPを下げる、といったように、状況に応じた最適な設定が可能です。
特に静音モードはファンの回転がかなり抑制され、図書館のような静かな場所でも周囲を気にせず使用できます。
ゲームの中断・再開がスムーズな点も、携帯ゲーム機としての使い勝手を向上させています。
スリープや休止状態からの復帰が非常に速いため、電車を待つ数分間だけゲームを進めるといった遊び方が手軽に実現できます。
これらの多岐にわたるおすすめな点により、GPD WIN Max 2021は、単なるゲーム機や小型PCという枠を超え、ユーザーのあらゆるデジタルライフを豊かにするパートナーとなり得る一台です。
GPD WIN Max 2021のレビュー解説【性能と評判】
GPD WIN Max 2021のベンチマーク結果
GPD WIN Max 2021の性能を客観的に評価するため、各種ベンチマークソフトの結果を見ていきましょう。
結論として、このデバイスはCPU内蔵グラフィックスとしては非常に高いスコアを記録しており、特に旧モデルであるGPD WIN Max 2020から飛躍的な性能向上を遂げています。
この高いパフォーマンスの背景には、高速なLPDDR4Xメモリの搭載が大きく貢献しています。
メモリの速度はCPU内蔵グラフィックスの性能に直結するため、GPD WIN Max 2021はグラフィック性能を最大限に引き出すことに成功しているのです。
以下に、代表的なベンチマークソフトのスコアをまとめました。
(スコアはレビューサイトによって計測環境が異なるため、あくまで目安としてご覧ください)
ベンチマークソフト | GPD WIN Max 2021 (Intel版) | GPD WIN Max 2020 (比較) |
---|---|---|
3DMark Time Spy (Graphics) | 約1700~1738 | 約771~801 |
3DMark Fire Strike (Graphics) | 約5500~5541 | 約2641~2693 |
CINEBENCH R23 (Multi Core) | 約4936~5225 | 約4100 |
CrystalDiskMark (Read) | 約2100 MB/s | 約2036 MB/s |
3Dグラフィック性能を測る3DMarkのスコアを見ると、Time Spy、Fire Strikeともに旧モデルから約2倍という驚異的な伸びを記録しています。
これにより、これまで設定を下げないと厳しかったゲームも、より高い画質で快適にプレイできるようになりました。
CPUの純粋な計算能力を測るCINEBENCH R23でも、旧モデルを上回るスコアを記録しており、PCとしての基本性能の高さがうかがえます。
ストレージの速度を測るCrystalDiskMarkでは、高速なNVMe SSDを搭載しているため、ゲームのロード時間やOSの起動時間も非常に短く、全体的な快適性に貢献しています。
これらのベンチマーク結果から、GPD WIN Max 2021は、小型の筐体からは想像できないほどの高い実力を秘めたデバイスであると言えます。
ゲームのベンチマークとフレームレート
GPD WIN Max 2021が実際のゲームでどの程度のパフォーマンスを発揮するのか、具体的なベンチマーク結果とフレームレートを見ていきましょう。
多くのPCゲームは、グラフィック設定を調整することで快適にプレイ可能です。
特に、本体ディスプレイの解像度が1280×800と、フルHDに比べてGPUへの負荷が低いことが、安定したフレームレートの維持に大きく貢献しています。
定番ゲームベンチマーク
ファイナルファンタジーXIVやXVといった定番のベンチマークソフトでは、良好な結果を示しています。
ゲームタイトル | 設定 | スコア/評価 |
---|---|---|
FF XIV: 暁月のフィナーレ | 1280×720 / 標準品質(ノートPC) | 10927~11498 (非常に快適) |
FF XV Windows Edition | 1280×720 / 軽量品質 | 3327~4561 (普通~やや快適) |
ドラゴンクエストX | 1280×720 / 最高品質 | 16693~17219 (すごく快適) |
FF XIVでは「非常に快適」、FF XVでも設定次第で「普通」以上の評価を得ており、多くの国産オンラインゲームは問題なく楽しめるでしょう。
人気タイトルのフレームレート
Apex Legendsやフォートナイトといった人気のeスポーツタイトルでは、競技性を重視してフレームレートを稼ぎたい場面が多いですが、GPD WIN Max 2021はここでも健闘しています。
ゲームタイトル | 解像度 | 品質設定 | 平均fps (Intel版) | 平均fps (AMD版) |
---|---|---|---|---|
Apex Legends | 1280×800 | 低設定 | 約84~87 fps | 約82 fps |
フォートナイト | 1280×800 | 低設定 | 約84~94 fps | – |
VALORANT | 1280×800 | 低設定 | 約150~162 fps | – |
いずれのタイトルも、グラフィック設定を「低」にすることで、快適なプレイの目安である60fpsを大幅に上回るフレームレートを達成しています。
一方で、「サイバーパンク2077」のような極めて高いスペックを要求する重量級のゲームでは、低設定でも平均30fpsを維持するのは難しい場面もあります。
しかし、「Forza Horizon 5」のように、最適化が進んでいるタイトルであれば、低設定で50fps以上でのプレイが可能です。
このように、GPD WIN Max 2021は、一部の超重量級タイトルを除けば、ほとんどのPCゲームを設定次第で快適に遊べるだけの十分な性能を持っていると言えます。
GPD WIN Max 2021の注意点
GPD WIN Max 2021は非常に魅力的なデバイスですが、購入後に「思っていたのと違った」とならないために、いくつか知っておくべき注意点があります。
第一に、本体の重量です。
公式サイトでは約790gと記載されていますが、複数のレビューサイトによる実測では880gから900g近い重さがあることが報告されています。
この約100gの差は、手に持って長時間プレイする際には決して無視できない違いとなります。携帯ゲーム機のような軽快さを期待していると、ずっしりとした重さに驚くかもしれません。
第二に、ディスプレイの品質に関する問題です。
一部のレビューでは、旧モデル(2020)と比較して、色域が狭くなったり、画面の明るさが低下したりしているとの指摘があります。
特にsRGBカバー率が70%台と、クリエイティブな作業には不向きな水準です。ゲームや動画鑑賞がメインであれば大きな問題にはなりにくいですが、色の正確性を重視する方は注意が必要です。
第三に、Wi-Fiモジュールの仕様違いです。
これは特にクラウドファンディングの初期ロットなどで報告された問題ですが、本来Wi-Fi 6(ax規格)に対応しているはずのIntel版に、旧世代のWi-Fi 5(ac規格)のモジュールが搭載されていたケースがありました。
現在流通しているモデルでこの問題が発生するかは不明ですが、仕様と異なる部品が使われる可能性があることは念頭に置くべきでしょう。
第四に、キーボードの特殊な配列です。
UMPCとしては打ちやすいと評価されていますが、基本はUS配列であり、一部の記号の入力方法が日本語配列と異なります。
また、ゲームで多用されるWASDキーの段差が一般的なキーボードより大きく、慣れるまで違和感を覚える可能性があります。
最後に、SSDの換装には制約があります。
本体のスペースの都合上、基板の片面にのみチップが実装されている「片面実装SSD」しか物理的に取り付けることができません。
将来的にSSDの換装を考えている場合は、対応する製品が限られる点に注意してください。
これらの注意点を理解した上で、自身の使い方に合うかどうかを判断することが大切です。
GPD WIN Max 2021の評判・口コミ
GPD WIN Max 2021が実際にユーザーからどのように評価されているのか、様々なレビューサイトやECサイトの口コミから評判をまとめました。
全体的な傾向として、製品のコンセプトやパフォーマンスは高く評価されている一方で、いくつかの不満点も指摘されており、評価が分かれる製品であることがわかります。
良い評判・口コミ
肯定的な意見で最も多く見られたのは、やはりその「万能性」です。
「これ一台でゲームも仕事もこなせるのが素晴らしい」「UMPCと携帯ゲーム機の良いとこ取り」といった声が多数ありました。
また、旧モデル(2020)からの性能向上を評価する声も多く、「グラフィック性能が2倍近くになり、遊べるゲームの幅が格段に広がった」「CPU性能も高く、あらゆる動作がキビキビしている」といったレビューが目立ちます。
意外にも「キーボードがこのサイズにしては打ちやすい」という評価も散見されました。
ゲームパッドについても「ボタンの感触が良く、操作しやすい」と好評です。
豊富なインターフェースも「拡張性が高くて便利」と、多くのユーザーに評価されています。
悪い評判・口コミ
一方で、否定的な意見も少なくありません。
最も多く指摘されているのが、公称値と実測値が異なる「重量」の問題です。
「790gだと思って買ったら900g近くあって重すぎる」という不満の声が多数見受けられました。
ディスプレイの品質についても、「画面が暗い」「発色が悪い」といった厳しい意見があります。
前述のWi-Fi仕様違いの問題や、高負荷時のファンの音が大きいことを指摘する声もありました。
さらに、国内代理店のサポート対応に関する不満の口コミも複数見られます。
「初期不良の対応が悪い」「修理のやり取りがスムーズにいかない」といった内容は、高価な製品なだけに購入をためらわせる要因となり得ます。
eGPU接続時に充電ができないといった、特定の環境下での不具合報告もありました。
これらの評判・口コミから、GPD WIN Max 2021は、そのユニークなコンセプトと高い性能に魅力を感じる一方で、製品の品質管理やサポート体制にはある程度の割り切りが必要な、玄人向けのデバイスであると言えるかもしれません。
まとめ:GPD WIN Max 2021レビュー解説!購入前に知るべき全て
- GPD WIN Max 2021は携帯性と高性能を両立したUMPCである
- Intel版とAMD版の2モデルが存在し、用途に応じて選択可能
- ゲームパッドとキーボードが一体化し、多様なシーンで活躍する
- 旧モデルからグラフィック性能が約2倍に向上している
- 多くのPCゲームが設定次第で快適に動作する
- 公称重量より実測が100gほど重い点には注意が必要
- ディスプレイ品質やWi-Fi仕様はロットにより異なる可能性がある
- 豊富なインターフェースと拡張性の高さが魅力である
- キーボードは特殊配列だがUMPCとしては打ちやすいと評価されている
- 購入前にメリットとデメリット、評判をよく理解することが重要である