「ゲームも仕事も、この一台で完結させたい」そんな理想を追い求めるユーザーにとって、GPD社のUMPC(超小型ノートPC)は常に注目の的です。
その中でも、クラムシェルノートPCの形状を持ちながら、本格的なゲームコントローラーを内蔵する異色のモデル「GPD WIN Max 2」の2024年版が登場しました。
最新のAMD Ryzen 7 8840Uを搭載し、その性能は折り紙付きですが、実際のところ、そのユニークな形状は使いやすいのか、価格に見合う価値はあるのか、気になる点は多いはずです。
この記事では、「GPD WIN Max 2 2024」について、その特徴から詳細なスペック、各種ベンチマークによる性能評価、そしてユーザーからのリアルな評判や購入前の注意点まで、あらゆる情報を網羅的にレビュー解説していきます。
この一台が、あなたの理想のモバイルPCライフを実現する鍵となるか、その答えがここにあります。
GPD WIN Max 2 2024のレビュー解説|特徴とスペック
GPD WIN Max 2 2024の主な特徴
GPD WIN Max 2 2024は、単なる小型ノートPCや携帯ゲーム機という枠には収まらない、唯一無二のコンセプトを持つデバイスです。
この製品の最大の特徴は、10.1インチのコンパクトなクラムシェルノートPCでありながら、最新のハイエンドCPUを搭載し、さらに本格的なゲームパッドを内蔵している点に集約されます。
その理由は、GPD社が「ゲーム用とオフィス用の一体型PC」という明確なコンセプトを掲げているからです。
CPUには、AI処理能力も強化されたAMDの最新プロセッサ「Ryzen 7 8840U」を採用。
これにより、最新のAAAタイトルのゲームから、動画編集のようなクリエイティブな作業まで、デスクトップPCに匹敵するレベルで快適にこなすことが可能です。
また、特筆すべきはその拡張性です。
高速なデータ転送を実現するUSB4ポートに加え、2023年モデルから引き続き、外付けGPUボックス「GPD G1」の性能を最大限に引き出すための「OCuLink」ポートを搭載。
これにより、自宅ではデスクトップ級のゲーミング環境を構築し、外出先では高性能なモバイルPCとして活用するという、柔軟な使い方ができます。
さらに、フルサイズのSDカードスロットやmicroSDカードスロットを両方搭載している点も、カメラマンやクリエイターにとっては非常に大きな魅力と言えるでしょう。
このように、GPD WIN Max 2 2024は、携帯性、生産性、そしてゲーミング性能を極めて高いレベルで融合させた、欲張りなユーザーの要求に応えるための特徴的な機能を数多く備えています。
GPD WIN Max 2 2024のスペック詳細
GPD WIN Max 2 2024は、そのコンパクトな筐体の中に、現行のモバイルPCとして最高クラスのスペックを凝縮しています。
2023年モデルからの主な変更点はCPUの刷新ですが、それに伴いメモリ規格なども最新のものに対応しており、全体として非常に高いパフォーマンスを発揮します。
心臓部であるCPUには、AI処理性能が向上した「AMD Ryzen 7 8840U」を搭載。
内蔵GPUも強力な「AMD Radeon 780M」であり、多くのPCゲームを快適にプレイ可能です。
メモリには、超高速な「LPDDR5x-7500」を32GBまたは64GBと、潤沢に搭載。
ストレージもPCIe 4.0対応の高速NVMe SSDを2TB標準搭載しており、拡張スロットによってさらに増設することもできます。
以下に、GPD WIN Max 2 2024の主要なスペックをまとめました。
項目 | スペック詳細 |
---|---|
OS | Windows 11 Home |
CPU | AMD Ryzen 7 8840U (8コア/16スレッド) |
GPU | AMD Radeon 780M |
RAM | 32GB / 64GB (LPDDR5x-7500) |
ストレージ | 2TB M.2 NVMe SSD (PCIe 4.0) |
拡張ストレージ | M.2 2230 SSDスロット×1 |
ディスプレイ | 10.1インチ IPS液晶、タッチ対応 |
解像度 | 2560×1600 (アスペクト比 16:10) |
インターフェース | USB4 (Type-C)×1, USB3.2 Gen2 (Type-C)×1, USB3.2 Gen2 (Type-A)×2, HDMI 2.1, OCuLink, SD/microSDカードリーダー, 3.5mmオーディオジャック |
無線通信 | Wi-Fi 6, Bluetooth 5.2 |
カメラ | 200万画素Webカメラ |
バッテリー | 67Wh (100W PD急速充電対応) |
本体サイズ | 227 × 160 × 23 mm |
重量 | 約1,005g |
特筆すべきは、10.1インチというサイズにも関わらず、2560×1600という高解像度ディスプレイを搭載している点です。
これにより、ゲームや動画を高精細に楽しめるだけでなく、Webブラウジングや書類作成時にも広い作業領域を確保できます。
また、豊富なインターフェースは、あらゆる周辺機器との接続を可能にし、この一台で完結できる汎用性の高さを物語っています。
ゲームと仕事を両立する2-in-1デザイン
GPD WIN Max 2 2024の最もユニークで魅力的な点は、その「2-in-1」とも言える変身ギミックにあります。
これは、一台のデバイスが、シーンに応じて本格的な「ポータブルゲーミングPC」と、実用的な「クラムシェルノートPC」という二つの顔を使い分けられる、画期的なデザインです。
ゲーミングモード
キーボード上部には、ホール効果センサーを採用した高精度なアナログスティック、十字キー、ABXYボタンといった、本格的なゲームパッドが配置されています。
ホール効果センサーは、物理的な接触がないため、長期間使用してもスティックが勝手に動いてしまう「ドリフト現象」が起こりにくいという大きなメリットがあります。
リニアアナログトリガーや背面のカスタムボタンも搭載しており、あらゆるジャンルのゲームで快適な操作が可能です。
ラップトップPCモード
そして、このゲームパッド部分は、付属のマグネット式カバーを取り付けることで、完全に覆い隠すことができます。
カバーを取り付けた状態では、一見するとゲームパッドが内蔵されているとは分からない、洗練されたミニノートPCへと姿を変えます。
これにより、カフェやオフィス、クライアント先といったビジネスシーンでも、気兼ねなく使用することができます。
キーボードは、キーピッチ約16mmとコンパクトながら、無理のない配列で設計されており、慣れればタッチタイピングも可能です。
この変身ギミックにより、「日中は仕事用のPCとして使い、仕事が終わればカバーを外してゲームを楽しむ」といった、まさに夢のような使い方を一台で実現できるのです。
この汎用性の高さこそが、他のゲーミングUMPCや小型ノートPCにはない、GPD WIN Max 2 2024だけの強力なアイデンティティと言えるでしょう。
GPD WIN Max 2 2024のおすすめな点
GPD WIN Max 2 2024は、その多機能性と高性能から、特定の目的を持つユーザーにとって、他に代えがたい最高のパートナーとなり得ます。
特に、「一台であらゆる用途をこなしたい」と考える、欲張りなガジェット好きやパワーユーザーに強くおすすめします。
こんなユーザーに最適
- ゲームも仕事も妥協したくないビジネスパーソン:
出張先や移動中にPCゲームを楽しみたいけれど、ビジネス文書の作成やプレゼンテーションも快適に行いたい、というニーズに完璧に応えます。ゲームパッドを隠せるデザインは、TPOを選びません。 - 写真や動画を扱うクリエイター:
UHS-II対応の高速SDカードスロットとmicroSDカードスロットを両方搭載しているため、撮影現場で撮ったデータをその場で確認・バックアップし、高性能なCPUでRAW現像や簡単な動画編集までこなせます。この一台で撮影から編集までのワークフローを完結させることも可能です。 - 究極のポータブル環境を求めるPCゲーマー:
OCuLinkポートを活用し、別売りのeGPUボックス「GPD G1」を接続すれば、グラフィックス性能を飛躍的に向上させることができます。自宅ではデスクトップPCに匹敵するゲーミング環境を、外出先では高性能なUMPCとして、シームレスに使い分けることが可能です。 - ロマンを求めるガジェット愛好家:
10.1インチというコンパクトな筐体に、最新のハイエンドパーツとユニークなギミックを詰め込んだGPD WIN Max 2 2024は、それ自体が所有欲を満たしてくれるロマンの塊です。自分で設定を詰めていく楽しさも味わえます。
このように、GPD WIN Max 2 2024は、その尖ったコンセプトと高い性能を理解し、使いこなすことで、ユーザーのクリエイティビティと遊び心を最大限に引き出してくれる、非常に魅力的なデバイスです。
GPD WIN Max 2 2024のレビュー解説|性能と評価
GPD WIN Max 2 2024のベンチマークスコア
GPD WIN Max 2 2024の心臓部であるAMD Ryzen 7 8840Uは、そのコンパクトな筐体からは想像できないほどの高いパフォーマンスを発揮します。
各種ベンチマークテストの結果は、本機が単なる小型PCではなく、ハイエンドなデスクトップPCに迫る実力を持っていることを明確に示しています。
CPU性能 (Cinebench R23)
CPUの純粋なマルチスレッド性能を測る「Cinebench R23」において、GPD WIN Max 2 2024は「12,997」という非常に高いスコアを記録しました。
これは、前世代のRyzen 7 6800U(約10,390)から着実に性能が向上していることを示しており、動画エンコードや3DCGレンダリングといった重い処理も快適にこなせるレベルです。
CPU | マルチコアスコア | シングルコアスコア |
---|---|---|
Ryzen 7 8840U | 12,997 | 1,768 |
Ryzen 7 6800U | 10,390 | 1,497 |
総合性能 (PCMark 10)
Webブラウジングやオフィスソフトの利用など、日常的な作業の快適さを示す「PCMark 10」のスコアは「7,085」を記録。
これは、一般的なノートPCを大きく上回る数値であり、あらゆる作業をストレスなく行えることを意味します。
3Dグラフィックス性能 (3DMark)
内蔵GPUであるAMD Radeon 780Mの性能を測る「3DMark」では、以下の通りの結果となりました。
- Time Spy: 3,114
- Fire Strike: 7,307
このスコアは、一世代前のエントリー向け単体GPU「NVIDIA GeForce GTX 1660 Ti」を上回るほどの性能であり、多くのPCゲームをフルHD解像度で快適にプレイできるポテンシャルを持っていることを示しています。
これらのベンチマーク結果から、GPD WIN Max 2 2024は、ゲーム、クリエイティブ、ビジネスといったあらゆる用途において、ユーザーを満足させる高いパフォーマンスを提供できる、非常に強力なUMPCであると評価できます。
ゲーム性能とクリエイティブ性能を検証
GPD WIN Max 2 2024は、その高いベンチマークスコアが示す通り、実際のアプリケーションにおいても優れたパフォーマンスを発揮します。
特に、ゲームとクリエイティブ作業という、高いマシンパワーを要求される2つの領域で、その真価を体験することができます。
ゲーム性能
AMD Radeon 780Mという強力な内蔵GPUを搭載しているため、多くの最新ゲームを快適にプレイすることが可能です。
AMDの超解像技術「FSR (FidelityFX Super Resolution)」を活用すれば、フレームレートをさらに向上させることができます。
ゲームタイトル | 解像度 | グラフィック設定 | 平均フレームレート (参考値) |
---|---|---|---|
Forza Horizon 5 | 1920×1080 | 中~高 | 60fps以上 |
Shadow of the Tomb Raider | 1920×1080 | 高 | 60fps前後 |
Call of Duty: Modern Warfare III | 1920×1080 | バランス | 60fps以上 |
このように、AAAタイトルであっても、解像度や画質設定を調整することで、60fps以上での安定したプレイが可能です。
さらに、OCuLinkポート経由でeGPU「GPD G1」を接続すれば、デスクトップのハイエンドゲーミングPCに匹敵する環境を構築でき、あらゆるゲームを最高設定で楽しむことも夢ではありません。
クリエイティブ性能
GPD WIN Max 2 2024は、ゲームだけでなく、クリエイティブな作業においてもそのパワーを発揮します。
- 写真編集: 高速なUHS-II対応SDカードリーダーを搭載しているため、一眼レフで撮影した大容量のRAWデータもスムーズに取り込めます。Ryzen 7 8840Uの強力なマルチコア性能により、Adobe Lightroom Classicなどでの大量のRAW現像も快適に行えます。
- 動画編集: 4K動画の編集も、プロキシ作成などを活用すれば十分に可能です。10.1インチ2.5Kの高精細ディスプレイは、細部の確認にも役立ちます。
- プログラミング: 32GBまたは64GBという大容量メモリにより、複数の開発環境や仮想マシンを同時に立ち上げても、メモリ不足に陥ることなく快適に作業を進められます。
この一台で、場所を選ばずに本格的なクリエイティブワークや開発作業を行えるのは、GPD WIN Max 2 2024の大きな強みです。
GPD WIN Max 2 2024の評判・口コミ
GPD WIN Max 2 2024は、その尖ったコンセプトから、ユーザーの評価も多岐にわたります。
ここでは、実際に購入したユーザーからの良い評判と、購入を検討する上で参考になる気になる点をまとめました。
良い評判・口コミ
多くのユーザーが、その唯一無二のコンセプトと、コンパクトな筐体に詰め込まれた高い性能を絶賛しています。
- 「このサイズでデスクトップ並みの性能。まさにロマンの塊。」
- 「ゲームパッドを隠せるギミックが秀逸。客先でも違和感なく使える。」
- 「キーボードが想像以上に打ちやすく、長文のメール返信も苦にならない。」
- 「SDカードスロットが2つあるのが神。カメラマンにとって最高のサブ機。」
- 「OCuLinkでeGPUを繋いだ時のパフォーマンスは圧巻。家でも外でもこれ一台でいい。」
このように、「ゲームも仕事も本気でやりたい」というユーザーのニーズに、GPD WIN Max 2 2024が見事にハマっていることがわかります。
気になる評判・口コミ
一方で、その特殊な設計ゆえのトレードオフや、改善を望む声も挙がっています。
- 「UMPCとしては重くて厚い。気軽に持ち運ぶというよりは、カバンにしっかり入れて運ぶ感じ。」
- 「キーボードのキーピッチが狭いので、フルサイズのキーボードに慣れているとタイプミスしやすい。」
- 「高負荷時のファン音が結構大きい。静かな場所で使うのは気になるかもしれない。」
- 「底面のカスタムボタンの位置が悪く、机に置いた時に誤爆しやすい。」
- 「バッテリーのいたわり充電機能がないので、ACアダプターを繋ぎっぱなしで使う際のバッテリー劣化が心配。」
これらの口コミから、GPD WIN Max 2 2024は、そのメリットとデメリットが非常に明確な製品であることがわかります。
自分の使い方に合うかどうかを、これらのリアルな声も参考にしながら慎重に判断することが重要です。
GPD WIN Max 2 2024の購入前に知るべき注意点
GPD WIN Max 2 2024は、多くの魅力を持つ一方で、その特殊な成り立ちから、購入前に理解しておくべきいくつかの重要な注意点があります。
これらを把握せずに購入すると、期待とのギャップを感じてしまう可能性があるため、しっかりと確認しておきましょう。
サイズと重量のトレードオフ
まず、本機は「UMPC(超小型ノートPC)」というカテゴリに属しますが、一般的なUMPCと比較すると、大きく、そして重いです。
重量は約1kg、厚さは23mmあり、7インチクラスの携帯ゲーム機のような手軽さはありません。
あくまで「10.1インチの高性能ノートPCにゲームパッドを内蔵した」デバイスと捉えるのが適切です。
日常的に持ち運ぶことは可能ですが、そのサイズと重量を許容できるかどうかが、まず最初の判断基準となります。
キーボードの操作性
次に、キーボードの使い勝手です。
キーピッチは約16mmと、フルサイズのキーボード(約19mm)に比べてかなり狭く設計されています。
ブラインドタッチに習熟している方でも、慣れるまでは窮屈に感じ、タイプミスが増える可能性があります。
短時間の文字入力や、ショートカットキーの操作には問題ありませんが、日常的に長文のレポート作成などを行う場合は、外付けキーボードの使用を検討した方が快適かもしれません。
発熱とファンノイズ
高性能なCPUをコンパクトな筐体に搭載しているため、発熱と、それを冷却するためのファンノイズは避けられません。
特に、AAAタイトルのゲームをプレイしたり、動画のエンコードを行ったりするような高負荷時には、ファンは高速で回転し、それなりの音が発生します。
GPD独自の管理アプリ「MotionAssistant」でTDP(消費電力)やファンカーブを調整することで、ある程度の静音化は可能ですが、図書館のような静かな環境での高負荷作業には向いていません。
サポートと保証
GPDは海外メーカーであり、国内の大手PCメーカーのような手厚いサポート体制を期待するのは難しい場合があります。
ただし、国内正規代理店(株式会社天空など)を通じて購入すれば、1年間の国内保証や日本語でのサポートが受けられるため、不安な方は正規代理店からの購入を強くおすすめします。
これらの注意点を理解した上で、それでもなお「この一台でなければならない」という強い魅力とロマンを感じるのであれば、GPD WIN Max 2 2024はあなたにとって最高の相棒となるでしょう。
まとめ:GPD WIN Max 2 2024 レビュー解説
- AMD Ryzen 7 8840Uを搭載し、デスクトップ級の性能を持つ
- ゲームと仕事を両立できる、カバー付きゲームパッド内蔵の2-in-1デザイン
- 10.1インチ2.5Kの高精細ディスプレイを搭載
- USB4、OCuLink、デュアルSDカードスロットなど豊富なインターフェース
- eGPU「GPD G1」と接続することでグラフィックス性能を大幅に強化可能
- キーボードは実用的だが、キーピッチが狭く慣れが必要
- UMPCとしては重く厚いが、10インチノートPCとしてはコンパクト
- 高負荷時のファン音は大きいが、TDP設定で調整可能
- クリエイターや開発者など、特定のニーズに深く刺さる一台
- 汎用性と高性能を小型筐体に詰め込んだロマンあふれるデバイスである