ノートパソコンの性能に満足しているけれど、「もう少しグラフィック性能が高ければゲームやクリエイティブな作業が快適になるのに」と感じたことはありませんか。
そんな悩みを解決するデバイスとして注目を集めているのが、外付けGPU(eGPU)ボックスの「GPD G1 2024」です。
この製品は、世界最小クラスのコンパクトなボディにAMD Radeon RX 7600M XTというパワフルなGPUを内蔵し、ケーブル1本でノートパソコンのグラフィック性能を劇的に向上させることができます。
この記事では、GPD G1 2024の購入を検討している方に向けて、その特徴から詳細なスペック、ベンチマークによる性能評価、そして実際のユーザーからの評判や口コミに至るまで、あらゆる情報を網羅的にレビュー解説していきます。
GPD G1 2024をレビュー解説!特徴とスペック
GPD G1 2024の主な特徴
GPD G1 2024は、単なるeGPUボックスではなく、ポータビリティと高性能を両立させた画期的なデバイスです。
その最大の特徴は、AMDの最新アーキテクチャ「RDNA 3」を採用したGPU「Radeon RX 7600M XT」を、約225×111×30mmという驚異的な小型ボディに内蔵している点にあります。
これにより、従来の大掛かりなeGPUシステムとは一線を画し、デスクの省スペース化はもちろん、カフェや出張先へ持ち運んで使用することも現実的な選択肢となります。
2024年モデルでは、新たに「サイレントモード」と「通常モード」を切り替える物理スイッチが搭載されました。
これにより、静かな環境で作業したい時は消費電力を60Wに抑えた静音動作、ゲームなどで高いパフォーマンスが必要な時は100Wで動作させるといった使い分けが可能です。
また、USB4接続時のホストPCへの給電能力が65Wに向上し、対応するノートPCであれば、GPD G1から充電しながら使用できる利便性も高まっています。
さらに、HDMI、DisplayPort、USB-A、SDカードリーダーといった豊富なポート類を備え、ドッキングステーションとしても機能する多才さも兼ね備えています。
GPD G1 2024のスペック詳細
GPD G1 2024は、そのコンパクトな筐体にデスクトップPCに迫る性能を秘めています。
内蔵されているGPUは、ゲーミングノートPCにも採用されるモバイル向けながら、多くのPCゲームを快適にプレイできる実力を持っています。
以下に、GPD G1 2024の主要なスペックを一覧表にまとめました。
項目 | スペック詳細 |
---|---|
GPU | AMD Radeon RX 7600M XT |
GPUアーキテクチャ | RDNA 3 |
ビデオメモリ | 8GB GDDR6 |
接続インターフェース | ・OCuLink (SFF-8612) ×1 ・USB4 ×1 (65W PD給電対応) |
映像出力ポート | ・HDMI 2.1 ×1 ・DisplayPort 1.4a ×2 |
拡張ポート | ・USB 3.2 Type-A ×3 ・SD4.0 カードスロット ×1 |
内蔵電源 | 240W (窒化ガリウム GaN) |
TGP (総グラフィックス電力) | ・通常モード: 100W ・サイレントモード: 60W |
本体サイズ | 約225 × 111 × 30 mm |
本体重量 | 約920g |
筐体素材 | 6061アルミニウム・マグネシウム合金 |
特筆すべきは、240Wの窒化ガリウム(GaN)電源を内蔵している点です。
これにより、eGPUとしては非常に小型・軽量ながら、安定した電力供給を実現しています。
また、OCuLinkとUSB4という2種類の高速接続に対応しており、幅広いデバイスでその性能を発揮できるポテンシャルを持っています。
3系統の映像出力と複数のUSBポート、SDカードリーダーを備えているため、これ一台でマルチモニター環境やデスクトップPCのような作業環境を構築することも可能です。
世界最小クラスのコンパクトなデザイン
GPD G1 2024の最も際立った特徴の一つが、そのデザインとポータビリティです。
本体サイズは約225×111×30mm、重量は約920gと、一般的なeGPUボックスが大型のデスクトップPCケースほどの大きさがあるのに対し、GPD G1はまさに「世界最小クラス」と言えるコンパクトさを実現しています。
このサイズ感は、スマートフォンを二回りほど大きくした程度で、ビジネスバッグやバックパックにも容易に収納できます。
この小型化を可能にしたのが、前述の通り、高効率な窒化ガリウム(GaN)電源の採用です。
筐体の素材には、軽量でありながら剛性の高い6061アルミニウム・マグネシウム合金が使用されており、持ち運び時の安心感と高級感を両立しています。
デザイン面では、天板がスーツケースのような凹凸のあるデザインになっており、これが冷却のための吸気口も兼ねています。
また、底面には滑り止めのゴム足がしっかりと配置されており、縦置きでの使用も想定されています。
デスクのスペースを有効活用したいユーザーにとって、この縦置き対応は非常に嬉しいポイントです。
ケーブル1本でノートPCと接続できる手軽さと相まって、GPD G1はデスク周りをすっきりと保ちたいユーザーや、場所を選ばずに高性能なグラフィック環境を構築したいユーザーにとって、理想的なデザインと言えるでしょう。
USB4とOculinkの接続インターフェース
GPD G1 2024は、PCとの接続方法として「USB4」と「OCuLink」という2種類の高速インターフェースに対応しています。
どちらのポートを使用するかによって、性能や利用できる機能が異なるため、その違いを理解しておくことが重要です。
USB4 (Thunderbolt 3/4互換) 接続
USB4は、Thunderbolt 3およびThunderbolt 4と互換性のある、現在広く普及している高速インターフェースです。
最大40Gbpsのデータ転送速度を誇り、多くの最新ノートPCやミニPCに搭載されています。
GPD G1をUSB4で接続する最大のメリットは、その汎用性の高さです。
ケーブル1本でグラフィック性能の向上、最大3画面への映像出力、そしてUSBハブ機能(USB-Aポート、SDカードリーダー)の利用、さらにPCへの65W給電まで、すべてを同時に行うことができます。
まさに、GPD G1を高性能なドッキングステーションとして活用できる接続方法です。
OCuLink接続
OCuLinkは、PCI Express信号を直接ケーブルで伝送するための比較的新しい規格で、USB4を上回る最大63Gbpsという非常に高速なデータ転送が可能です。
これにより、GPUの性能を最大限に引き出すことができ、特にGPD社のポータブルゲーミングPC(GPD WIN Max 2 2023など)や一部のミニPCで採用されています。
ただし、OCuLink接続には注意点があります。
この接続はグラフィックデータの転送に特化しているため、OCuLinkケーブルのみを接続した場合、GPD G1のUSBポートやSDカードリーダーは機能しません。
これらの拡張ポートを使用するには、OCuLinkとUSB4の両方のケーブルを同時にPCに接続する必要があります。
また、OCuLinkポートを搭載しているPCはまだ限定的であるため、この接続方法の恩恵を受けられるユーザーは限られます。
ご自身のPCがどちらのポートに対応しているかを確認し、最適な接続方法を選択することが、GPD G1の性能をフルに活かす鍵となります。
GPD G1 2024をレビュー解説!性能と評判
GPD G1 2024のベンチマーク結果
GPD G1 2024を接続することで、ノートパソコンのグラフィック性能がどれほど向上するのか、各種ベンチマークソフトのスコアで見ていきましょう。
多くのレビューで、ノートPC単体の場合と比較して3倍から5倍という劇的な性能向上が報告されています。
3DMark
3Dグラフィックス性能を総合的に測定する「3DMark」では、その効果が顕著に表れます。
テスト名 (DirectXバージョン) | ノートPC単体 (参考値) | GPD G1 接続時 (参考値) | 性能向上率 |
---|---|---|---|
Time Spy (DX12) | 約1,800 | 約9,000 | 約5.0倍 |
Fire Strike (DX11) | 約4,500 | 約22,000 | 約4.9倍 |
Port Royal (レイトレーシング) | 非対応 | 約5,000 | – |
このように、特にDirectX 12を使用する最新のゲームで高い性能向上が見られます。
また、ノートPCの内蔵GPUでは対応していないことが多い「レイトレーシング」機能も利用可能になり、よりリアルで美しいグラフィック表現を楽しめるようになります。
GPD公式サイトのデータによれば、その性能はNVIDIA GeForce RTX 3070に迫り、一部のテストではRTX 4060(モバイル版)を上回るスコアを記録しています。
ゲームベンチマーク
実際のゲームを想定したベンチマークテストでも、その効果は絶大です。
ゲームタイトル (1920×1080 / 最高設定) | ノートPC単体 (参考値) | GPD G1 接続時 (参考値) | 評価 |
---|---|---|---|
ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー | 約3,500 (設定変更を推奨) | 約13,000 (快適) | 約3.7倍 |
ファイナルファンタジーXV | 約1,800 (動作困難) | 約7,000 (やや快適) | 約3.9倍 |
グラフィック負荷が高いことで知られる「ファイナルファンタジーXV」でも、GPD G1を接続することで「やや快適」という評価までスコアが向上します。
これは、画質設定を少し調整すれば、多くの重量級ゲームが快適にプレイできるレベルにあることを示しています。
これらの結果から、GPD G1 2024は、非力なモバイルノートPCを本格的なゲーミングPCへと変貌させるだけの十分なパワーを持っていることがわかります。
GPD G1 2024のおすすめな点
GPD G1 2024は、特定のニーズを持つユーザーにとって、非常に多くのメリットと魅力的な利点を提供します。
最大のおすすめポイントは、その「手軽さ」と「高いポータビリティ」です。
従来、ノートPCで本格的なゲームをプレイするには、重くて大きなゲーミングノートPCを購入するか、デスクトップPCを別途用意する必要がありました。
しかし、GPD G1があれば、普段使いの軽量なモバイルノートPCを、必要な時だけ高性能なゲーミングマシンに変えることができます。
USB4ケーブル1本で接続できる手軽さは、複雑な設定を好まないユーザーにとって大きな魅力です。
次に、その「コストパフォーマンス」も挙げられます。
新たにゲーミングPCを一台購入することと比較すれば、GPD G1の価格は十分に競争力があります。
特に、すでに高性能なCPUを搭載したノートPCを持っているユーザーであれば、GPD G1を追加するだけで、より安価に快適なゲーミング環境を構築できる可能性があります。
また、「ドッキングステーションとしての利便性」も見逃せません。
3つのUSB-Aポート、HDMI、DisplayPort、SDカードリーダーを備えているため、自宅やオフィスのデスクでは、GPD G1にモニターやキーボード、マウスなどを常時接続しておき、帰宅後にノートPCをケーブル1本で繋ぐだけで、すぐにデスクトップPCのような快適な作業環境へ移行できます。
2024年モデルで追加された「サイレントモード」も、静かな環境で作業したい際には非常に有効です。
パフォーマンスと静音性を物理スイッチで手軽に切り替えられる点は、ユーザーの多様な利用シーンに応える優れた機能と言えるでしょう。
GPD G1 2024の注意点
多くの魅力を持つGPD G1 2024ですが、その特殊な製品カテゴリーゆえに、購入前に理解しておくべきいくつかの注意点が存在します。
最も重要なのは「互換性」の問題です。
GPD G1の性能を最大限に引き出すには、PC側がUSB4またはOCuLinkポートを搭載している必要があります。
お使いのPCがこれらのポートを備えているか、事前に必ず確認してください。
特に、より高速なOCuLink接続は、GPD製品や一部のミニPCなど、対応機種がまだ限られています。
また、一部のPC(特にMinisforum製のミニPC)では相性問題が報告されており、メーカー側も動作保証の対象外としています。
次に、製品の「セットアップと動作の癖」についてです。
基本的にはケーブルを接続するだけで認識されますが、PCやドライバーの状況によっては、AMDのグラフィックドライバーの再インストールが必要になる場合があります。
また、レビューによれば、「GPD G1の電源を先に入れてからPCを起動しないと認識しない」といった、接続の順序にコツがいるケースも報告されています。
ある程度のPC知識があるユーザー向けの製品と言えるかもしれません。
「冷却性能とファンノイズ」も注意点の一つです。
コンパクトな筐体に高性能GPUを搭載しているため、高負荷時には冷却ファンが高速で回転し、その動作音は「小さいドライヤーのよう」と表現されるほど大きくなることがあります。
静かな環境での使用を重視する場合は、2024年モデルから搭載されたサイレントモードを活用するか、ヘッドホンの使用を前提と考える必要があります。
最後に、これはeGPU全般に言えることですが、「GPUの換装はできない」という点です。
GPD G1はGPUが本体に内蔵された一体型製品のため、将来的に新しいGPUが登場しても、中身を交換してアップグレードすることはできません。
長期的な性能向上を考える場合は、製品自体の買い替えが必要になります。
GPD G1 2024の評判・口コミ
GPD G1 2024は、そのユニークなコンセプトから、ガジェット好きや特定のニーズを持つユーザーを中心に様々な評判や口コミが寄せられています。
良い評判・口コミ
肯定的な意見の多くは、その劇的な性能向上とポータビリティに集中しています。
- 「非力なノートPCで3DCADが快適に動くようになり、非常に頼もしい」
- 「ミニPCに接続して、3Dゲームが余裕で動作するようになり満足」
- 「FF15ベンチマークが快適になり、ゲーミングノートPCが不要になった」
- 「出張先のホテルでゲームをするのに最適。軽量ノートPCとこれさえあれば良い」
- 「ケーブル1本で給電もハブ機能も使えるのが便利すぎる」
このように、普段使っているPCのグラフィック性能に不満を持っていたユーザーが、GPD G1を導入することでその問題が解決され、高い満足度を得ているケースが多く見られます。
手軽に「ゲーミング環境」を手に入れられる点を高く評価する声が目立ちます。
悪い評判・口コミ
一方で、その特殊な仕様からくる注意点や、改善を望む声も挙がっています。
- 「高負荷時のファンの音がかなりうるさく、ゲームに集中できないことがある」
- 「PCとの接続に癖があり、認識させるのに少し手間取った」
- 「ドライバーのインストールでトラブルがあった」
- 「一部のPCとの相性問題があるようで、自分の環境では安定しなかった」
- 「Oculinkケーブルが別売りなのが少し不便」
特にファンノイズと、PC環境によっては動作が不安定になる可能性があるという点が、主なマイナスポイントとして指摘されています。
誰でも簡単に、どんなPCでも完璧に動作するというわけではなく、ある程度の試行錯誤が必要になる場合があることを示唆しています。
総じて、GPD G1 2024は、そのコンセプトを理解し、互換性などの条件をクリアできるユーザーにとっては、他に代えがたい価値を提供する「ロマンあふれるデバイス」と言えるでしょう。
まとめ:GPD G1 2024 レビュー解説
- AMD Radeon RX 7600M XTを内蔵した世界最小クラスの外付けGPUである
- USB4またはOCuLinkでノートPC等のグラフィック性能を大幅に向上させる
- 2024年モデルはサイレントモードや65W給電に対応し機能が向上した
- ベンチマークでは内蔵GPU比で3~5倍の性能向上が見られる
- コンパクトで軽量(約920g)なため持ち運びも可能である
- 豊富なポート類を備えドッキングステーションとしても機能する
- OCuLink接続で最大のパフォーマンスを発揮するが対応PCは限定的である
- 高負荷時のファンノイズは大きいという注意点がある
- GPUの換装はできず、一部PCとの相性問題も報告されている
- 手持ちのPCを手軽にゲーミング環境にしたいユーザーにおすすめである