FYNE AUDIO F501S レビュー解説|元Tannoy技術者が手がける高コスパフロア型

「30万円台で本格的なフロアスタンディングスピーカーが欲しい」

「コストパフォーマンスに優れたオーディオファイル向けスピーカーを探している」——そんな悩みを持つ方に注目してほしいのが、スコットランドのFyne Audioが手がけるF501Sです。

本記事では、元Tannoyの技術者たちが設計したIsoFlareポイントソース・ドライバーの実力、実際のレビュアーや購入者の評価、そしてアンプとの相性など購入前に知っておくべきポイントまで、F501Sの全貌を徹底解説します。

目次

FYNE AUDIO F501Sの特徴・概要

Tannoyの遺伝子を継ぐスコットランド生まれのスピーカーブランド

Fyne Audioは2017年、スコットランドのグラスゴーで誕生した比較的新しいスピーカーメーカーです。

しかし「新しい」といっても、その実態は老舗ブランドTannoyで長年要職を務めた技術者たちが集結して立ち上げた会社であり、200年以上の合計経験を持つプロフェッショナル集団が製品開発を担っています。

テクニカルディレクターのポール・ミルズ氏をはじめとする主要スタッフは、Tannoyのデュアルコンセントリック技術を熟知した上で、その弱点を克服し、さらに進化させた独自技術を開発しました。

2024年にはグラスゴーに新工場を開設し、研究開発から生産まで一貫して自社で行える体制を整えています。

F501Sは、受賞歴のあるF500シリーズの後継モデルとして位置づけられ、先代F501の技術を継承しながらドライバーや音響処理を刷新した意欲作です。

シリーズの中心モデルとして、サイズ感、音質バランス、コストパフォーマンスの最適化が図られています。

IsoFlareポイントソース・ドライバーが生み出す自然な音場

F501Sの心臓部となるのが、Fyne Audio独自開発のIsoFlare(アイソフレア)ポイントソース・ドライバーです。

これはTannoyのデュアルコンセントリック・ユニットを発展させた同軸型ドライバーで、25mmマグネシウムドーム・ツイーターを150mmミッド/バスドライバーの中心に配置しています。

従来のデュアルコンセントリック設計と大きく異なるのは、高域ユニットのホーン開口部に非対称リブを配したウェーブガイドを採用している点です。

このウェーブガイドがイコライザーの役目を果たし、高音域のエネルギーを均等に拡散・放射することで、指向特性を大幅に改善しています。

結果として、スイートスポットが広がり、リスニングポジションを選ばず自然な音場を楽しめるようになりました。

ツイーターにはネオジウム磁気回路とベント・リアチャンバーを採用し、共振を抑制。

軽量なマグネシウム振動板により、高域固有共振を30kHz以上の可聴帯域外へ逃がす設計となっています。

BassTraxトラクトリックス・ディフューザーによる360度バス拡散

F501Sのもう一つの大きな特徴が、キャビネット底面に搭載されたBassTrax Tractrix Diffuser(ベーストラックス・トラクトリックス・ディフューザー)です。

これは元々造船工学で開発された技術をオーディオに応用したもので、Fyne Audioの特許技術となっています。

通常のバスレフポートは後方や前方に開口しているため、壁との距離によって低域の量感や質感が大きく変化します。

BassTraxでは、下向きに配置されたバスレフポートの開口部にトラクトリックスカーブで加工された円錐状のディフューザーを設置。

ポートから出た低域エネルギーを90度向きを変えて水平方向360度に均一に放射します。

この設計により、スピーカーの設置位置による低域への影響が最小化され、部屋のどこに座っても一貫した低域再現が得られます。

従来のポート設計で起こりがちな「ブーミング」や「低域の濁り」を回避し、タイトでクリアな低音再生を実現しています。

FYNE AUDIO F501Sのスペック・仕様

基本スペックと構成

F501Sは2.5ウェイ構成のフロアスタンディング・スピーカーです。

2.5ウェイとは、2つのドライバーのうち1つがフルレンジ(ミッド/バス)を担当し、もう1つが低域のみを受け持つ構成を指します。

周波数特性は36Hz〜34kHz(-6dB、実使用環境)と、コンパクトなフロア型としては十分な低域再生能力を持っています。

感度は90dBと高能率で、インピーダンスは8Ωの標準的な値です。

推奨アンプ出力は30〜150W RMSとされており、小出力のアンプから中〜大出力のアンプまで幅広く対応します。

クロスオーバー周波数は250Hzと1.7kHzに設定されています。

専用バスドライバーは250Hz以下の低域のみを担当し、IsoFlareドライバーは1.7kHz以下のミッド/バスと1.7kHz以上の高域を受け持つ構成です。

クロスオーバーには低損失のラミネートコア・インダクターとプレミアム・ポリプロピレンフィルム・キャパシターが使用されています。

ドライバー・クロスオーバーの詳細

IsoFlareポイントソース・ドライバーは150mm(6インチ)口径で、中心に25mmマグネシウムドーム・コンプレッション・ツイーターを搭載しています。

コーンにはマルチファイバー・ペーパーを採用し、FyneFlute(ファインフルート)と呼ばれる独自のロールサラウンド(エッジ)を組み合わせています。

FyneFluteは、高度なコンピュータ解析により溝(フルート)を刻み込んだエッジで、従来の単純な湾曲エッジで発生しがちな固有周波数共振を抑制します。

これによりトランジェント・レスポンス(過渡応答)が向上し、音の立ち上がりと消え際がより自然になっています。

フレームにはアルミダイキャストを採用し、不要振動を抑制しています。

専用バスドライバーも同じく150mm口径で、IsoFlareドライバーと同様のコーン素材とFyneFluteエッジを採用しています。

外観・仕上げ・サイズ

F501Sの外形寸法は984×250×317mm(高さ×幅×奥行き)で、重量は1本あたり18.6kgです。

コンパクトなフロアスタンダーとして、多くのリビングルームやリスニングルームに無理なく設置できるサイズ感となっています。

キャビネットは高剛性MDFにクロスブレース(内部補強)を施した構造で、内部を二分したツインキャビティ・チューニングにより定在波を低減しています。

大型フロアスパイクと台座が付属し、安定した設置と低域再現を実現します。

仕上げはブラックオーク、ナチュラルウォールナット、ピアノグロスブラックの3色展開です。

ブラックオークとナチュラルウォールナットは本物の木突板仕上げで、特にウォールナットの上質感は価格帯を超えた高級感があると評価されています。

グリルはマグネット着脱式で、取り外したグリルは背面に装着できる実用的な設計です。

背面には中高域の質感や音場感を調整できるプレゼンス・コントロールを搭載しています。

2.5〜5.0kHz帯を対象に0dB(標準)/+3dB/-3dBの3段階で切り替えられ、使用アンプや設置環境に合わせた微調整が可能です。

スピーカー端子はバイワイヤリングに対応しています。

FYNE AUDIO F501Sのおすすめポイント

価格を超えた中域の親密さと広大なサウンドステージ

F501Sの最大の魅力は、価格帯を大きく超えた音質クオリティにあります。

特に中域の「親密さ(intimacy)」は多くのレビュアーが絶賛するポイントで、ボーカルやアコースティック楽器の再現において、より高価格帯のスピーカーに匹敵する表現力を持っています。

女性ボーカルの再現は特に秀逸で、艶やかでありながら色付けや荒さがなく、歌手がどのようにフレーズを歌い込み、感情を込めているかまで伝わってくるような表現力があります。

ピアノは触感が伝わるようなタッチ感があり、ギターはノートのアタック感(bite)がしっかりと出ます。

サウンドステージの広がりも印象的で、IsoFlareドライバーの均一な音場拡散により、スピーカーの存在を意識させない没入感のあるリスニング体験が得られます。

イメージの精度が高く、演奏者の配置が明確に把握できる立体的な音場を形成します。

高能率90dBで真空管アンプや小出力アンプでも駆動可能

F501Sの感度は90dBと、現代のスピーカーとしては比較的高能率です。

この高い感度により、小出力の真空管アンプやクラスAアンプでも十分に駆動することができます。

実際に8Wの真空管アンプでも問題なく駆動できたという報告があり、真空管アンプ愛好家にとっては魅力的な選択肢となります。

もちろん、より大出力のソリッドステートアンプと組み合わせれば、ダイナミックレンジの広い楽曲でも余裕を持って再生できます。

推奨アンプ出力は30〜150Wとされていますが、高能率ゆえに30W未満のアンプでも十分な音量が得られます。

これは、限られた予算の中でシステムを構築する場合や、省スペースな小型アンプを使いたい場合に大きなアドバンテージとなります。

プレゼンス・コントロールによる環境に合わせた音質調整

F501Sには背面にプレゼンス・コントロールスイッチが搭載されており、2.5kHz〜5.0kHzの帯域を±3dBの範囲で調整できます。

これは部屋の音響特性や使用するアンプの傾向に合わせて、音のバランスを微調整できる非常に実用的な機能です。

たとえば、明るめの傾向を持つアンプと組み合わせる場合は-3dBに設定することで、高域のきつさを抑えてバランスの取れた音に調整できます。

逆に、ウォーム系のアンプと組み合わせる場合は+3dBに設定することで、より明瞭感のある音を得ることも可能です。

この機能により、アンプの買い替えや部屋の模様替えをしても、スピーカー側で対応できる柔軟性が得られます。

多くのレビュアーは-3dB設定で最良の結果が得られたと報告しており、フラット設定ではボーカルが前に出すぎると感じる場合があるようです。

FYNE AUDIO F501Sの注意点・デメリット

アンプとの相性に要注意——ブライト系機器との組み合わせは避けるべき

F501Sを購入する際に最も注意すべき点は、アンプとの相性です。

IsoFlareツイーターは解像度が高く、上流機器の特性をそのまま反映する傾向があります。

そのため、明るめ(ブライト)の傾向を持つアンプや、高域がきつめのDACと組み合わせると、高域が刺激的になり、特に女性ボーカルで聴き疲れを感じる場合があります。

実際に、相性の悪いアンプと組み合わせた結果「1曲も聴けないほどハーシュ(きつい音)だった」という報告もあります。

一方で、ウォーム〜ニュートラル系のアンプに変更したところ「激変した」「サウンドステージが巨大になり、中域は表現豊か、低域は素晴らしかった」という声もあり、アンプ選びの重要性が強調されています。

推奨されるアンプブランドとしては、Rega、Arcam、Naim、Hegel、Leema Acousticsなどが挙げられています。

また、真空管アンプとの相性も良好で、40W以上の出力を持つPrima LunaやIcon Audioなどが好相性とされています。

解像度の高さゆえにソース機器の品質がそのまま反映される

F501Sは解像度が高いスピーカーであるため、ソース機器(DAC、ストリーマー、CDプレーヤー)の品質がそのまま音に反映されます。

これは良い面でもありますが、品質の低いソース機器を使用している場合は、その粗もはっきりと聴こえてしまうことを意味します。

質の低いDAC内蔵のストリーマーや、圧縮音源を多用する場合は、F501Sの本来の実力を発揮できない可能性があります。

ケーブルやアクセサリーへの反応も敏感で、スピーカーケーブルを高品質なものに変更すると「激変した」という報告もあります。

このことは、F501Sを購入する際には、スピーカー本体だけでなく、上流機器やケーブルにもある程度の投資が必要になる可能性があることを示唆しています。

予算配分を考える際には、この点を考慮に入れる必要があります。

プレゼンス・コントロールの設定次第でボーカルが前に出すぎる場合も

プレゼンス・コントロールは便利な機能ですが、設定によっては音のバランスが崩れる場合があります。

特にフラット(0dB)設定では、ボーカルが前に出すぎて不自然に感じるという報告が複数あります。

また、+3dB設定では高域が強調されすぎて、長時間のリスニングで疲労を感じることもあるようです。

多くの場合は-3dB設定が最適とされていますが、これは部屋の音響特性や使用機器によって異なるため、実際に試聴しながら最適な設定を見つける必要があります。

購入前に試聴できる環境がある場合は、プレゼンス・コントロールの各設定を試して、自分の好みや使用環境に合った設定があるかを確認することをおすすめします。

FYNE AUDIO F501Sの評判・口コミ

ユーザーが評価するおすすめな点

F501Sに対するユーザー評価で最も多く挙げられるのは、価格を超えた音質クオリティです。

「価格に対して驚くほどのサウンドクオリティ」「この価格でこの音が出るとは思わなかった」という声が多数あり、コストパフォーマンスの高さが広く認められています。

実際にStereoNETの「2026年 Product of the Year(フロアスタンディングスピーカー・アフォーダブル部門)」を受賞していることからも、その評価の高さがうかがえます。

音質面では、開放的で明瞭なサウンド、重厚かつ引き締まった低域、推進力のあるリズム感が高く評価されています。

「オーディオファイルの心をくすぐる何かがある」「スイング感と躍動感があり、音楽を楽しく聴かせる」といった感想も見られ、単に高解像度なだけでなく、音楽的な魅力を持つスピーカーであることが示されています。

ビルドクオリティに関しても、「価格帯を超えた仕上げの美しさ」「特にウォールナット仕上げの上質感は素晴らしい」という声があり、音質だけでなく外観の満足度も高いことがわかります。

箱から出した直後でも「音楽的で開放感があり、低域もしっかり出る」という報告があり、エージング(慣らし運転)に長時間を要しないのも好評価のポイントです。

購入前に確認すべき注意点

一方で、購入前に知っておくべき注意点も複数報告されています。

最も多いのはアンプとの相性に関する指摘で、「相性の悪いアンプと組み合わせると高域がきつく、聴き疲れする」「Fyne/Tannoy系は明るいスピーカーなので、システムマッチングが重要」という意見が多く見られます。

特定のアンプとの組み合わせで「最初は非常にハーシュで1曲も聴けなかった」という極端な報告もあり、購入前の試聴や、既存のシステムとの相性確認が重要であることを示しています。

また、「解像度が高いため、上流機器の品質がそのまま反映される」という点も複数のユーザーから指摘されています。

安価なDACやストリーマーでは本来の実力を発揮できない可能性があり、システム全体での予算配分を考慮する必要があります。

「やや乾いた音になる場合がある」「特定の組み合わせでは女性ボーカルが刺さる」といった報告もあり、ウォーム系のアンプや真空管アンプとの相性が良いというアドバイスが多く見られます。

推奨されるアンプ・システム構成

ユーザーやディーラーから推奨されているアンプの組み合わせとしては、Rega Brio MK7、Rega Elex MK4、Hifi Rose RA280、Arcam A15、Yamaha A-S1200などが挙げられています。

これらはいずれもニュートラル〜ウォーム傾向のアンプで、F501Sの明るめの傾向とバランスが取れると評価されています。

真空管アンプとの相性も良好とされていますが、「20W程度では物足りない場合がある」という指摘もあり、40W以上の出力を持つモデルが推奨されています。

Prima LunaやIcon Audioなどが好相性のブランドとして挙げられています。

8Wの小出力真空管アンプでも駆動できたという報告もありますが、これは再生する音楽のジャンルや音量によって異なる可能性があるため、クラシックの大編成やロックなどダイナミックレンジの広い音楽を大音量で聴く場合は、より出力に余裕のあるアンプを選ぶことが推奨されています。

ケーブルに関しては、「高品質なスピーカーケーブルに変更すると音が激変した」という報告があり、スピーカーの能力を十分に引き出すためには、ケーブルにもある程度の投資が必要であることが示唆されています。

まとめ:FYNE AUDIO F501S

総合評価——誰におすすめできるスピーカーか

F501Sは、元Tannoyの技術者たちが立ち上げたFyne Audioの技術力と、コストパフォーマンスへのこだわりが凝縮されたスピーカーです。

IsoFlareポイントソース・ドライバーとBassTraxディフューザーという独自技術により、価格帯を超えた音質と使いやすさを実現しています。

このスピーカーは、以下のような方に特におすすめできます。

まず、真空管アンプや小出力アンプをお持ちで、相性の良いフロア型スピーカーを探している方。

高能率90dBの設計により、小出力でも十分な音量と品質が得られます。

また、広いスイートスポットを求める方や、設置位置の制約がある方にも適しています。

IsoFlareドライバーの均一な音場拡散とBassTraxの360度バス拡散により、リスニングポジションや設置位置に左右されにくい特性を持っています。

一方で、既にブライト傾向のアンプやシステムをお持ちの方は、事前の試聴や慎重な検討が必要です。

システム全体のバランスを考慮した機器選びが、F501Sの真価を引き出す鍵となります。

購入判断のポイントと最適な使用シーン

  • 元Tannoy技術者による設計で、200年以上の合計経験が注ぎ込まれた本格派スピーカー
  • IsoFlareポイントソース・ドライバーにより、広いスイートスポットと自然な音場を実現
  • BassTraxトラクトリックス・ディフューザーで設置位置の影響を最小化、360度均一なバス拡散
  • 周波数特性36Hz〜34kHzで、コンパクトながら十分な低域再生能力
  • 感度90dBの高能率で、8Wの真空管アンプでも駆動可能
  • プレゼンス・コントロール(±3dB)により環境に合わせた音質調整が可能
  • 中域の親密さと広大なサウンドステージは価格帯を大きく超えた水準
  • アンプとの相性に注意が必要で、ブライト系機器との組み合わせは避けるべき
  • 解像度が高くソース機器の品質がそのまま反映されるため、上流機器への投資も考慮が必要
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