3Dプリンターに興味はあるけれど、「組み立てが難しそう」「価格が高い」「置き場所がない」といった理由で、なかなか一歩を踏み出せないでいる方も多いのではないでしょうか。
そんな3Dプリンター入門のハードルをぐっと下げてくれるのが、今回ご紹介するEntina社の「TINA2」シリーズです。
この記事では、コンパクトで初心者にも扱いやすいと評判の「TINA2」について、その特徴やスペック、実際の使い勝手に関するレビューや口コミを徹底的に解説していきます。
TINA2が本当に自分に合った一台なのか、この記事を読めばきっと判断できるはずです。
Entina TINA2のレビュー解説【特徴とスペック】
TINA2のセットアップと使いやすさ
Entina TINA2の最大の魅力は、その圧倒的な使いやすさにあります。
3Dプリンターと聞くと、複雑な組み立てや専門的な知識が必要なイメージを持つかもしれませんが、TINA2はそうした心配を一切不要にしてくれます。
TINA2は「完全組み立て済み」で届けられるため、箱から出して、いくつかの保護材を取り外すだけで、すぐに使用を開始できます。
具体的には、カップリングの保護シェルを外し、フィラメントチューブを所定の位置に差し込むといった簡単な作業のみです。
この手軽さは、メカニックな作業が苦手な方や、すぐにでもプリントを始めたい方にとって、非常に大きなメリットと言えるでしょう。
さらに、初心者にとって最初の関門となる「レベリング」作業も、TINA2なら自動で行ってくれます。
オートレベリング機能が搭載されており、プリンターが自動でノズルとプラットフォームの距離を測定・調整してくれるため、手動での面倒な調整は必要ありません。
これにより、最初の印刷で失敗するリスクが大幅に軽減され、安定した品質での造形が可能になります。
付属のmicroSDカードには、すぐに印刷できるサンプルデータや、スライサーソフト「Wiibuilder」が入っているため、PCに接続すれば自作のモデルも印刷できます。
また、日本語の取扱説明書や本体の操作パネルも日本語に対応しているため、英語が苦手な方でも安心して操作を進められるでしょう。
上位モデルではWi-Fi接続にも対応しており、PCやスマホアプリからデータを転送して印刷することも可能です。
このように、TINA2は開封から印刷開始までのハードルが極めて低く、まさに3Dプリンター初心者にとって理想的な一台と言えます。
TINA2の主な特徴
Entina TINA2は、初心者が3Dプリンターに求める「手軽さ」と「使いやすさ」を凝縮したような特徴を持っています。
ここでは、その代表的な特徴をいくつかご紹介します。
驚異的なコンパクトさ
TINA2の本体サイズは、幅21cm x 奥行21cm x 高さ29cmと非常にコンパクトです。
一般的な3Dプリンターと比較してもその小ささは際立っており、机の片隅にもすっきりと収まります。
「3Dプリンターを置くスペースがない」という住宅事情の悩みを見事に解決してくれるサイズ感です。
組み立て不要の親切設計
前述の通り、TINA2は組み立てが一切不要です。
箱から取り出して簡単な初期設定を済ませるだけで、すぐにプリントを始めることができます。
購入してから使えるようになるまでの時間と手間が最小限に抑えられている点は、大きな魅力です。
図書館並みの静音性
TINA2は動作音が非常に静かであることも特筆すべき点です。
実際の騒音値は40dB台前半とされており、これは「図書館の中」と同等の静けさに相当します。
夜間に稼働させても家族の迷惑になりにくく、リビングや自室など、生活空間にも気兼ねなく設置できるでしょう。
オートレベリング機能
初心者がつまずきやすいレベリング作業を自動化。
電源を入れるたびにプリンターが最適な状態に調整してくれるため、ユーザーは難しい設定を意識することなく、常に安定したプリントが可能です。
便利なLEDライト搭載(S/Plusモデル)
TINA2SとTINA2 Plusモデルには、造形エリアを照らすLEDライトが標準で搭載されています。
これにより、暗い場所でもプリントの進捗状況をはっきりと確認でき、作業性が向上します。
2万円台のモデルでLEDが搭載されているのは、非常にコストパフォーマンスが高いと言えるでしょう。
剥がしやすいマグネット式プレート
造形物が完成した後、それをプラットフォームから剥がす作業も意外と手間がかかるものですが、TINA2はマグネット式の柔軟なプレートを採用しています。
印刷後にプレートを取り外し、軽く曲げるだけで、造形物を簡単かつ綺麗に剥がすことができます。
TINA2のスペックを徹底解説
Entina TINA2シリーズは、その手頃な価格帯からは想像できないほど、入門機として十分なスペックを備えています。
ここでは、TINA2シリーズの基本的な性能を、表を交えながら詳しく見ていきましょう。
スペック項目 | TINA2 Basic | TINA2S | TINA2 Plus |
---|---|---|---|
本体サイズ(mm) | 210x210x290 | 210x210x290 | 210x210x290 |
本体重量 | 3kg | 3kg | 3kg |
造形サイズ(mm) | 100x120x100 | 100x105x100 | 100x105x100 |
最大印刷速度 | 40mm/s (推奨) | 200mm/s | 250mm/s |
最大ノズル温度 | 約245℃ | 245℃ | ≦245℃ |
ヒートベッド温度 | 非対応 | ≦60℃ | ≦80℃ |
対応フィラメント | PLA | PLA, TPU | PLA, PLA+, TPU, PETG, ABS |
操作パネル | ノブ式LCD | ノブ式LCD | ノブ式LCD |
接続方法 | microSD | microSD, Wi-Fi | microSD, Wi-Fi, USB |
オートレベリング | 搭載 | 搭載 | 搭載 |
LEDライト | 非搭載 | 搭載 | 搭載 |
その他 | – | アプリ連携 | クイックリリースノズル |
造形サイズ
TINA2シリーズの造形サイズは、約10cm四方とコンパクトです。
大きなものを作るのには向きませんが、小物やフィギュア、自作ガジェットのケースなど、趣味の範囲で楽しむには十分なサイズと言えるでしょう。
印刷速度
モデルによって印刷速度は大きく異なります。
Basicモデルは推奨40mm/sと比較的ゆっくりですが、Sモデルでは最大200mm/s、Plusモデルでは最大250mm/sと高速印刷に対応しています。
短時間で造形を終えたい場合は、S以上のモデルを選択するのがおすすめです。
ヒートベッドと対応フィラメント
ヒートベッドは、造形物の反りを防ぎ、プラットフォームへの定着を助ける重要な機能です。
Basicモデルには搭載されていませんが、Sモデルでは60℃、Plusモデルでは80℃まで対応しています。
特に、Plusモデルはヒートベッドの温度が高いため、一般的なPLAフィラメントに加え、ABSやPETGといった、より多様な素材での造形が可能になります。
作りたいものの幅を広げたい場合は、Plusモデルが最適です。
操作性と接続方法
操作は全モデル共通で、ノブを回して選択・決定する方式のLCDパネルを採用しています。
タッチパネルではありませんが、シンプルな操作で直感的に使えます。
接続方法については、SとPlusモデルがWi-Fiに対応しており、PCやスマートフォンアプリからのデータ転送が可能です。
これにより、microSDカードを抜き差しする手間が省け、よりスマートな運用ができます。
TINA2シリーズのモデル比較
Entina TINA2には、主に「TINA2 Basic」「TINA2S」「TINA2 Plus」という3つのモデルが存在します。
それぞれ機能や価格が異なるため、ご自身の目的や予算に合ったモデルを選ぶことが重要です。
ここでは、各モデルの違いと、それぞれどのような人におすすめなのかを解説します。
TINA2 Basic:とにかく安く始めたい方向け
TINA2 Basicは、シリーズの中で最も価格が安く、基本的な機能に絞られたエントリーモデルです。
ヒートベッドやWi-Fi機能、LEDライトは搭載されていませんが、オートレベリング機能は備わっており、組み立て不要ですぐに使えるというTINA2の根本的な魅力は健在です。
対応フィラメントは主にPLAに限られますが、「まずは3Dプリンターがどんなものか試してみたい」「とにかく初期費用を抑えたい」という方には最適な選択肢となるでしょう。
TINA2S:利便性とコスパを両立したい方向け
TINA2Sは、Basicモデルに「Wi-Fi接続」「LEDライト」「ヒートベッド(最大60℃)」といった便利な機能を追加した、シリーズの中核をなすモデルです。
Wi-Fi経由でデータを転送できるため、microSDカードの抜き差しが不要になり、作業効率が格段に向上します。
また、LEDライトによって造形の進捗が確認しやすくなるなど、使い勝手が大幅に改善されています。
価格と機能のバランスが非常に良く、「快適に3Dプリントを楽しみたいけれど、価格も重視したい」という、最も多くの方におすすめできるコストパフォーマンスに優れたモデルです。
TINA2 Plus:速度と多様な素材を求める方向け
TINA2 Plusは、TINA2Sの機能をさらに強化した最上位モデルです。
最大の特徴は、最大250mm/sという高速印刷と、最大80℃まで昇温可能なヒートベッドです。
印刷速度が向上することで、造形にかかる時間を大幅に短縮できます。
さらに、ヒートベッドの温度が上がったことにより、PLAやTPUに加えて、ABSやPETGといった、より強度や耐熱性に優れた素材の利用が可能になりました。
また、ノズル交換が簡単に行える「クイックリリースノズル」も搭載しており、メンテナンス性も向上しています。
「より速く、より多様な素材で造形を楽しみたい」という、一歩進んだ使い方を想定している方におすすめのモデルです。
Entina TINA2のレビュー解説【評判と購入のポイント】
TINA2の評判・口コミまとめ
Entina TINA2シリーズは、その手軽さとコストパフォーマンスの高さから、多くのユーザーレビューが寄せられています。
ここでは、様々なレビューサイトやECサイトから集めた良い評判と、少し気になる評判の両方を客観的にご紹介します。
良い評判・口コミ
多くのユーザーが絶賛しているのは、やはりその「手軽さ」と「使いやすさ」です。
- 「箱から出してすぐに使えた。組み立て不要なのが本当に楽」
- 「オートレベリングのおかげで、初心者でも失敗なくプリントできた」
- 「動作音が非常に静かで、夜に動かしていても気にならない」
- 「この価格でこの性能は驚き。コストパフォーマンスが最高」
- 「コンパクトで置き場所に困らないのが良い」
- 「不具合があった際のメーカーサポートの対応が迅速で丁寧だった」
このように、特に3Dプリンター初心者からの評価が非常に高く、「入門機として最適」という声が多数を占めています。
また、価格の安さだけでなく、静音性やサポート体制の良さも高く評価されているポイントです。
気になる評判・口コミ
一方で、価格相応のデメリットを指摘する声もいくつか見られます。
- 「印刷速度が遅く、完成までに時間がかかる」(特にBasicモデル)
- 「造形物の表面に、積層痕や糸引きが目立つことがある」
- 「造形サイズが10cm角なので、作りたいものが収まらないことがある」
- 「1kgの大きなフィラメントが本体のホルダーに乗らない」
- 「操作パネルがノブ式なので、少し慣れが必要」
これらの点は、TINA2を選ぶ上で理解しておくべきトレードオフと言えるでしょう。
特に、印刷品質に関しては、数十万円するような高価格帯の機種と比較すると、どうしても見劣りする部分があるのは事実です。
しかし、多くのユーザーは「価格を考えれば十分な品質」と納得しており、手軽さを重視する方にとっては大きな問題にはなっていないようです。
TINA2のおすすめな点
これまで解説してきた特徴や評判を踏まえ、Entina TINA2が特にどのような方におすすめできるのか、その魅力を改めて整理します。
TINA2の最大の強みは、3Dプリンターを始める上でのあらゆるハードルを徹底的に低くしている点にあります。
圧倒的な手軽さで、すぐに始められる
「組み立て不要」と「オートレベリング機能」の組み合わせは、初心者にとってこれ以上ないほどの安心材料です。
購入後に難しい作業でつまずくことなく、誰もが簡単に3Dプリントの世界を体験できます。
付属のSDカードにはサンプルデータも入っているため、届いたその日から造形を楽しむことが可能です。
家庭環境に優しいコンパクトさと静音性
「置き場所がない」「動作音がうるさそう」というのは、家庭で3Dプリンターを導入する際の大きな懸念点です。
TINA2は、デスクの片隅に置けるコンパクトなサイズと、図書館並みの静音性を実現しており、これらの問題をクリアしています。
生活空間に自然に溶け込む設計は、家庭用として非常に優れていると言えるでしょう。
驚きのコストパフォーマンス
TINA2シリーズは、最も安価なBasicモデルであれば2万円前後から購入可能です。
オートレベリングなどの必須機能を備えた3Dプリンターがこの価格で手に入るというのは、数年前では考えられませんでした。
「まずは試してみたい」という方でも、気軽に購入を検討できる価格設定は、TINA2の大きなアドバンテージです。
初心者に安心のサポート体制
海外メーカーの製品でありながら、日本語の取扱説明書が付属し、万が一の不具合に対するメーカーのサポート対応も迅速で丁寧だと評判です。
「問い合わせたらすぐに新しい部品を送ってくれた」といった口コミも多く、購入後も安心して使用できる体制が整っています。
これらの点から、TINA2は「3Dプリンターに興味はあるけれど、何から始めたらいいかわからない」という方に、自信を持っておすすめできる一台です。
TINA2の注意点とデメリット
Entina TINA2は非常に優れた入門機ですが、購入前に知っておくべき注意点やデメリットも存在します。
これらを理解した上で選ぶことで、購入後の「思っていたのと違った」という事態を防ぐことができます。
造形サイズが小さい
TINA2の最大造形サイズは、約100mm x 105mm x 100mmと、かなりコンパクトです。
手のひらサイズのフィギュアや小物、部品の作成には十分ですが、それ以上の大きさのものを一体で造形することはできません。
インターネット上で配布されているフリーの3Dモデルなども、サイズが大きくてそのままでは印刷できない場合があります。
大きなものを作りたい場合は、モデルを分割して印刷し、後で接着するといった工夫が必要になります。
対応フィラメントの種類が限られる
特にヒートベッドを搭載していない「TINA2 Basic」や、ヒートベッドの温度が60℃までの「TINA2S」では、使用できるフィラメントが実質的にPLAやTPUなどに限られます。
耐熱性や強度の高いABSやPETGといった素材を使いたい場合は、ヒートベッドの温度が80℃まで上がる「TINA2 Plus」を選ぶ必要があります。
1kgのフィラメントがそのまま使えない
一般的に販売されているフィラメントは1kg巻きが主流ですが、TINA2本体に付属しているフィラメントホルダーは、250gや500gといった小型のロールにしか対応していません。
そのため、市販の1kgフィラメントを使用する場合は、別途フィラメントスタンドを購入して、プリンターの横に設置する必要があります。
これは追加の出費と設置スペースが必要になるため、あらかじめ考慮しておくべき点です。
印刷品質は価格相応
TINA2は手軽さが魅力ですが、造形の精度や仕上がりの美しさは、高価格帯の機種には及びません。
レビューでも「積層痕が目立つ」「糸引きが発生しやすい」といった声が見られます。
もちろん、設定を調整したり、印刷後にヤスリがけなどの後処理を行ったりすることで品質は向上しますが、完璧な仕上がりを求める場合は、より上位の機種を検討する必要があるかもしれません。
TINA2の価格と購入方法
Entina TINA2シリーズの価格は、その大きな魅力の一つです。
ここでは、各モデルの価格帯と、主な購入方法について解説します。
各モデルの価格帯
TINA2シリーズの価格は、販売時期やセールによって変動しますが、おおよその目安は以下の通りです。
- TINA2 Basic: 約20,000円前後
- TINA2S: 約22,000円~28,000円
- TINA2 Plus: 約30,000円~45,000円
最も手頃なBasicモデルは2万円を切ることもあり、3Dプリンター入門のハードルを大きく下げています。
機能が充実したTINA2Sでも2万円台、さらに高性能なTINA2 Plusでも3万円台から購入できる場合があり、全体的に非常に高いコストパフォーマンスを誇ります。
主な購入方法
現在、TINA2シリーズを新品で購入する最も一般的な方法は、Amazonです。
Entina公式や、WEEFUNといったブランド名で販売されていますが、製品自体は基本的に同じものです。
Amazonでは、プライムデーやブラックフライデーといった大型セールの対象になることがあり、通常よりもかなりお得に購入できるチャンスがあります。
購入を検討している方は、こうしたセール期間を狙うのがおすすめです。
また、メルカリなどのフリマサイトで中古品が出品されていることもあります。
新品よりも安く手に入る可能性がありますが、保証がなかったり、消耗品の状態が不明だったりするリスクも伴います。
特に3Dプリンターが初めての方は、メーカーの保証やサポートが受けられる新品での購入が安心でしょう。
購入の際は、ご自身の予算と求める機能(Wi-Fiの有無、対応フィラメントの種類など)をよく比較検討し、最適なモデルを選んでください。
まとめ:Entina TINA2 レビュー解説
- TINA2は組み立て不要で初心者向けの3Dプリンターである
- オートレベリング機能で面倒な水平調整が不要
- 非常にコンパクトな設計で置き場所に困らない
- 図書館並みの静音性を実現し家庭での使用に適している
- Basic、S、Plusの3モデルがあり、機能や価格が異なる
- 上位モデルのPlusは高速印刷やABS素材にも対応する
- 価格は2万円台からと非常に手頃でコストパフォーマンスが高い
- 造形サイズが約10cm角と小さい点がデメリットとして挙げられる
- 印刷品質は価格相応で、高精細な造形には向かない場合がある
- 市販の1kgフィラメントの使用には別途スタンドの購入が必要である