3Dプリンターの世界は日々進化しており、特に家庭用モデルの性能向上には目を見張るものがあります。
中でも、ELEGOO社の「Neptune 4」は、その圧倒的な印刷速度とコストパフォーマンスで大きな注目を集めています。
購入を検討している方の中には、実際の性能や特徴、価格、そしてユーザーからの評判が気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、「ELEGOO Neptune 4」のレビュー解説として、そのスペックや特徴、おすすめな点から注意点まで、複数の情報源を基に網羅的にまとめました。
高速印刷の実力や、導入する上でのメリット・デメリットを詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
ELEGOO Neptune 4の性能をレビュー解説
ELEGOO Neptune 4の主な特徴
ELEGOO Neptune 4は、近年の3Dプリンタートレンドである「高速化」と「高機能化」を、優れたコストパフォーマンスで実現したモデルです。
その最大の特徴は、Klipperファームウェアを標準で搭載している点にあります。
これにより、従来機をはるかに凌ぐ印刷速度を可能にしました。
また、ただ速いだけでなく、印刷品質を維持するための機能も充実しています。
例えば、高速印刷時に発生する熱を効率的に逃がすための大型冷却ファンをプリントヘッド後部に搭載しています。
これは、オーバーハングやブリッジ部分の造形品質を向上させる上で重要な役割を果たします。
さらに、利便性を高めるための細やかな配慮も魅力の一つです。
暗い場所でも作業がしやすいように、ガントリーとノズルの2か所にLEDライトを装備しており、タッチパネルから簡単にオンオフできます。
オートレベリング機能も121点と多点計測に対応し、より精密な初期設定が可能です。
これらの特徴により、Neptune 4は初心者から中級者まで、幅広いユーザーが満足できる性能を持つ3Dプリンターとして評価されています。
ELEGOO Neptune 4の圧倒的な印刷速度
ELEGOO Neptune 4が注目される最大の理由は、その驚異的な印刷速度にあります。
スペック上の最大印刷速度は500mm/s、推奨速度でも250mm/sと、一世代前の家庭用3Dプリンターの平均的な速度(約50-60mm/s)と比較して、約5倍から10倍の高速化を実現しています。
この高速印刷を支えているのが、前述の通り、プリインストールされたKlipperファームウェアです。
Klipperは、複雑な計算を高性能なプロセッサー(ARM 64-bitクアッドコア)に担当させることで、プリンター本体の制御基板の負荷を軽減し、より高速で精密なモーター制御を可能にする技術です。
さらに、高速でヘッドを動かした際に発生する振動を抑制する「Input Shaping」や、フィラメントの吐出量を最適化して角をシャープに仕上げる「Pressure Advance」といった機能もサポートしており、速度と品質の両立を図っています。
実際に、多くのレビューでベンチマークモデルである「3DBenchy(船のモデル)」が、わずか18分程度で印刷完了したと報告されており、その実力は確かです。
これまで数時間かかっていた造形が1時間以内に終わるなど、試作品の製作や多数のパーツ印刷において、この速度は圧倒的なアドバンテージとなるでしょう。
ELEGOO Neptune 4の造形サイズ
ELEGOO Neptune 4の標準モデルにおける造形サイズは、幅225mm × 奥行225mm × 高さ265mmです。
これは、家庭用FDM方式3Dプリンターとしては非常にスタンダードなサイズであり、多くのユーザーにとって十分な作業領域を提供します。
日常的な小物やフィギュア、実用的なパーツの製作にはまず困らないサイズ感といえるでしょう。
例えば、スマートフォンスタンドや小型の収納ケース、キャラクターフィギュアなどを印刷するには十分な大きさです。
もし、このサイズでは物足りない、ヘルメットや大きなコスプレ用具、複数のパーツを一度に印刷したいといったニーズがある場合は、Neptune 4シリーズの大型モデルを検討することをおすすめします。
Neptune 4シリーズのサイズ展開
Neptune 4シリーズには、標準モデルの他に、より大きな造形サイズを持つ「Plus」と「Max」の2機種がラインナップされています。
- Neptune 4 Plus: 320 x 320 x 385 mm
- Neptune 4 Max: 420 x 420 x 480 mm
これらのモデルは、基本的な性能や高速印刷機能は標準モデルと共通しており、純粋に造形サイズだけをスケールアップさせたものです。
自身の製作したいものの大きさに合わせて、最適なモデルを選択することが重要です。
標準モデルは設置スペースも比較的コンパクトに収まるため、一般的な家庭環境での導入に適しています。
ELEGOO Neptune 4の詳しいスペック
ここでは、ELEGOO Neptune 4の詳細なスペックを、上位モデルである「Neptune 4 Pro」と比較しながら表にまとめました。
仕様の違いを比較し、どちらがご自身の用途に適しているか判断する際の参考にしてください。
スペック項目 | ELEGOO Neptune 4 | ELEGOO Neptune 4 Pro |
---|---|---|
フレーム素材 | CNC削り出しアルミニウム | CNC削り出しアルミニウム |
モデリング技術 | FFF (FDM) | FFF (FDM) |
造形サイズ | 225 x 225 x 265 mm | 225 x 225 x 265 mm |
本体サイズ | 475 x 445 x 515 mm | 475 x 445 x 515 mm |
本体重量 | 8.3 kg | 8.9 kg |
最大印刷速度 | 500 mm/s | 500 mm/s |
推奨印刷速度 | 250 mm/s | 250 mm/s |
ファームウェア | Klipper | Klipper |
レベリング方式 | 121点オートレベリング | 121点オートレベリング |
エクストルーダー | デュアルギアダイレクト式 | デュアルギアダイレクト式 |
最大ノズル温度 | 300℃ | 300℃ |
最大ヒートベッド温度 | 110℃ | 110℃ |
ヒートベッド機能 | 通常加熱 | Intelligent Segmented Heatbed |
プラットフォーム | PEIマグネットスチール | PEIマグネットスチール |
接続方法 | USB, LAN | USB, LAN |
ディスプレイ | 4.3インチ 取り外し可能タッチ式 | 4.3インチ 取り外し可能タッチ式 |
対応フィラメント | PLA, ABS, TPU, PETG, ナイロン等 | PLA, ABS, TPU, PETG, ナイロン等 |
Neptune 4とNeptune 4 Proの主な違いは、ヒートベッドの加熱方式にあります。
Proモデルに搭載されている「Intelligent Segmented Heatbed」は、造形物のサイズを認識し、小さいモデルの場合はベッド中央部のみを加熱することで消費電力を抑える機能です。
その他、細かな部品の仕様に違いはありますが、基本的な印刷性能に大きな差はありません。
この機能に魅力を感じるかどうかが、モデル選択の一つのポイントになるでしょう。
ELEGOO Neptune 4の評価をレビュー解説
ELEGOO Neptune 4のおすすめな点
ELEGOO Neptune 4を実際に使用したユーザーやレビューから見えてくる「おすすめな点」は、主に5つ挙げられます。
第一に、やはり「圧倒的な高速プリント」です。
これまで数時間を要していた造形が、半分以下の時間で完了する体験は、一度味わうと元には戻れないほどのインパクトがあります。
試行錯誤のサイクルを速く回せるため、作品作りの効率が飛躍的に向上します。
第二に、「LAN経由でのリモート操作」の利便性です。
KlipperのWebインターフェース「fluidd」を利用することで、PCのブラウザからgcodeファイルの転送、印刷開始、温度や速度のモニタリングが可能です。
これにより、USBメモリを抜き差しする手間から解放され、スマートなワークフローを構築できます。
第三に、「充実した情報表示と操作しやすいインターフェース」です。
4.3インチのタッチスクリーンには、印刷の残り時間だけでなく、ノズルの移動速度やファンの稼働率といった詳細な情報がリアルタイムで表示されます。
設定画面も直感的で分かりやすく、日本語にも対応しているため、初心者でも安心して操作できます。
第四に、「2か所のLEDライト」の存在です。
ガントリー(門型のフレーム)とノズル部分に搭載されたLEDライトは、暗い環境下での印刷状況の確認や、細かなメンテナンス作業時に非常に役立ちます。
第五に、「省スペースな設計」です。
フィラメントスプールを本体上部に設置する構造のため、横方向の設置幅が抑えられています。
限られたスペースに設置したいユーザーにとっては、この設計は大きなメリットとなるでしょう。
ELEGOO Neptune 4の注意点
多くのメリットがある一方で、ELEGOO Neptune 4を導入する際にはいくつかの注意点も存在します。
これらを事前に理解しておくことで、購入後のギャップを減らすことができます。
一つ目は、「オートレベリングが完全自動ではない」点です。
Neptune 4のレベリングは、121点の自動計測の前に、プラットフォーム下にある4つのノブを手で回して大まかな水平を出す「補助レベリング」という手動作業が必要です。
A4用紙などを挟みながら感覚で調整するこの作業を、手間に感じるユーザーもいるようです。
一度設定すれば頻繁に行うものではありませんが、完全なワンタッチ自動調整を期待している場合は注意が必要です。
二つ目は、「スライサーソフトは独自版の『ELEGOO Cura』が推奨される」ことです。
2023年時点では、広く使われている標準の「Ultimaker Cura」にNeptune 4の公式プロファイルが含まれていません。
そのため、最適な印刷設定を利用するには、ELEGOOが配布している独自のスライサーソフトをインストールする必要があります。
複数の3Dプリンターを使い分けるユーザーにとっては、ソフトの管理が少し煩雑になる可能性があります。
三つ目は、「冷却ファンの騒音」です。
高速印刷を支える大型の背面冷却ファンは、最大出力で稼働するとかなりの音量になります。
レビューでは「爆音」と表現されることもあり、静かな環境での使用や夜間の稼働を考えている場合は、ファンの回転数をスライサー設定で調整するなどの対策が必要になるでしょう。
四つ目は、「筐体の剛性」への懸念です。
最大500mm/sという高速動作に対して、フレーム構造がやや華奢ではないかという指摘があります。
推奨速度の250mm/sで運用する分には問題ないとの意見が多数ですが、最高のパフォーマンスを常に求める場合は、将来的な補強などを検討する余地があるかもしれません。
ELEGOO Neptune 4の評判・口コミ
ELEGOO Neptune 4に関するユーザーからの評判や口コミをまとめると、全体的にコストパフォーマンスの高さを評価する声が多く見られます。
ポジティブな評判
- 「組み立てが簡単」:主要なパーツがモジュール化されており、付属の工具と説明書(または動画)を見ながら20~30分程度で組み立てられたという報告が多数あります。初心者でもつまずくポイントが少ないようです。
- 「印刷品質が良い」:高速印刷でも積層痕が目立たず、綺麗な仕上がりに満足しているという評価が多くあります。特に側面のスムーズさを称賛する声が見られます。
- 「価格が安い」:Klipper搭載の高速プリンターが3万円台から購入できる点について、「驚異的なコストパフォーマンス」「この価格でこの性能は十分すぎる」といった意見が目立ちます。
- 「ベッドの定着が良い」:標準搭載されているPEIマグネットプラットフォームは、造形物の食いつきが良く、冷却後には簡単に剥がせるため使いやすいと好評です。
ネガティブな評判
- 「ファンの音が大きい」:前述の通り、冷却ファンの騒音は多くのユーザーが指摘する点です。特に静音性を重視するユーザーからは、改善を望む声が上がっています。
- 「情報が少ない」:比較的新しい機種であるため、トラブルシューティングに関する日本語の情報がまだ少ないという意見もあります。
- 「初期不良や調整不足」:一部のユーザーからは、エクストルーダーのフィラメント送り量がずれていた、電源の電圧設定が出荷時に日本仕様(115V)になっていなかったといった報告があります。基本的な性能確認と調整は、使用開始時に行うことが推奨されます。
総じて、いくつかの注意点や調整が必要な部分はあるものの、その価格を大きく上回る性能と機能を持つ、非常に満足度の高いモデルとして評価されていると言えるでしょう。
ELEGOO Neptune 4の価格
ELEGOO Neptune 4の価格は、購入する販売店によって異なりますが、非常に競争力のある設定になっています。
2024年初頭時点での主な販売価格の目安は以下の通りです。
- ELEGOO公式サイト: セール時などには大幅に割引され、2万円台後半から購入可能な場合があります。ただし、海外からの発送となるため、配送期間やサポート体制を確認する必要があります。
- Amazon.co.jp: 37,000円前後で販売されていることが多く、プライム配送に対応しているため迅速に入手できます。タイムセールなどで割引されることもあります。
- 国内正規代理店(SK本舗など): 4万円台で販売されていることが多いですが、日本語での手厚いサポートや保証が受けられるという大きなメリットがあります。初心者の方や、万が一のトラブル時に安心して相談したい方には、代理店からの購入がおすすめです。
価格は常に変動するため、購入を検討する際は、複数の販売サイトを比較することをおすすめします。
Klipperを搭載した同等スペックの他社製品が5万円以上することを考えると、どの販売チャネルで購入しても、Neptune 4のコストパフォーマンスの高さは際立っています。
まとめ:ELEGOO Neptune 4のレビュー解説と購入のポイント
- ELEGOO Neptune 4はKlipperファームウェアを標準搭載した高速3Dプリンターである
- 最大印刷速度500mm/s、推奨速度250mm/sという圧倒的なスピードを実現する
- 造形サイズは標準的な225 x 225 x 265mmで、日常使いには十分な大きさである
- 大型の冷却ファンを搭載し、高速印刷時の品質低下を防ぐ
- LAN経由でPCからファイルを転送・リモート操作が可能で利便性が高い
- 価格は3万円台からと、高速プリンターとしては非常にコストパフォーマンスに優れる
- 注意点として、レベリングに一部手動作業が必要なこと、冷却ファンの騒音が大きいことが挙げられる
- スライサーソフトは独自版の「ELEGOO Cura」の使用が推奨されている
- ユーザーからの評判は、価格以上の性能と印刷品質を評価する声が多い
- 初心者から中級者まで、3Dプリンターの「速度」を重視するすべての人におすすめできるモデルである