3Dプリンターの世界は日々進化しており、より速く、より高品質なモデルが次々と登場しています。
特に「Creality K1C」は、前モデルK1の成功を基に、多くの改良が加えられた注目の高速3Dプリンターです。
しかし、「具体的に何が変わったの?」「カーボン素材って本当に使えるの?」「実際の評判や口コミはどうなの?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、Creality K1Cのレビュー解説として、その特徴やスペック、価格、そしてユーザーが気になる注意点まで、複数の実機レビューや口コミ情報を基に徹底的に掘り下げていきます。
前モデルK1との詳細な比較も交えながら、K1Cがどのようなユーザーにおすすめなのかを明らかにします。
Creality K1Cはどんな3Dプリンター?まずは結論から
K1Cレビューの総まとめ:高速・高品質を両立したカーボン対応機
Creality K1Cは、最大600mm/sの高速印刷性能を維持しつつ、カーボンファイバーフィラメントへの対応やAIカメラの標準搭載など、多くの改良が施された3Dプリンターです。
前モデル「K1」のマイナーチェンジ版と位置づけられており、ユーザーからのフィードバックを反映した細かなアップグレードが特徴です。
特に、詰まりにくい一体型ノズルや強化されたエクストルーダーにより、印刷の安定性が向上しています。
初心者でも簡単な自動レベリング機能はそのままに、より幅広い素材で高品質な造形物を手軽に作成したいユーザーにとって、非常に魅力的な選択肢となっています。
Creality K1Cのメリット・デメリットは?
Creality K1Cには多くのメリットがありますが、一方でいくつかのデメリットも存在します。
メリットとしては、カーボンファイバーなどの高機能素材が使えること、AIカメラによる遠隔監視やエラー検知が標準で可能なこと、そして組み立て不要ですぐに使える手軽さが挙げられます。
一方、デメリットとしては、高速印刷に伴う振動やファンの音が大きいという点が多くのレビューで指摘されています。
また、密閉型筐体のためノズル周りのメンテナンスがしにくいことや、日本語のUIや説明書が一部不自然で分かりにくい場合があることも注意点として挙げられます。
前モデルK1との違いは?買うならどっち?
Creality K1Cは、K1をベースに多くの点が改善されています。
最大の違いは、カーボンファイバーに対応した硬化鋼ノズルと、AIカメラの標準搭載です。
他にも、詰まりにくい一体型ノズル、強化されたフルメタルエクストルーダー、静音モードの追加、防振パッドの標準装備など、安定性と使いやすさを向上させるための細かな改良が多数施されています。
これから新規で購入を検討しているのであれば、これらの改良点を考慮すると、価格差以上の価値があるためCreality K1Cを選ぶことを強くおすすめします。
Creality K1Cの6つの主要な特徴と進化したポイント
特徴①:カーボンファイバーフィラメントへの正式対応
K1Cの最も大きな特徴は、PLA-CFやPETG-CFといったカーボンファイバー配合フィラメントに正式対応したことです。
これは、先端に硬化鋼を採用した新しい一体型ノズルを搭載したことで実現しました。
カーボンファイバーは摩耗性が高いため従来の真鍮ノズルでは削れてしまう問題がありましたが、K1Cでは耐久性の高いノズルによって安心して使用できます。
これにより、従来のPLAやABSでは得られなかった高い強度と、積層痕が目立ちにくいマットで美しい質感を両立した造形が可能になりました。
特徴②:AIカメラが標準搭載で失敗を防ぐ
前モデルK1ではオプション扱いだったAIカメラが、K1Cでは標準搭載となりました。
このカメラにより、PCやスマートフォンアプリから印刷状況をリアルタイムで監視できるだけでなく、スパゲッティ現象(フィラメントの絡まり)などの印刷エラーをAIが自動で検知してくれます。
エラー発生時には印刷を一時停止し、高価なフィラメントの無駄遣いを防ぐことが可能です。
また、印刷過程を自動で記録するタイムラプス機能も手軽に利用できるため、制作の記録やSNSでの共有にも役立ちます。
特徴③:詰まりにくい一体型「ユニコーンノズル」で交換も簡単
K1Cでは、ノズルとヒートブレイクが一体化した新しい「ユニコーンノズル」が採用されました。
この構造により、従来ノズルとヒートブレイクの隙間からフィラメントが漏れるといったトラブルを防ぎ、詰まりのリスクを大幅に低減しています。
また、メンテナンス性も向上しており、常温のままノズルの取り外しが可能です。
これまでのようにノズルを加熱して増し締めするといった手間が不要になり、誰でも簡単にノズル交換ができるようになりました。
特徴④:進化したフルメタルエクストルーダーで安定供給
フィラメントをノズルへ送り出すエクストルーダー(押出機)も、オールメタル製にアップグレードされました。
K1の初期ロットではエクストルーダー関連の問題が指摘されていましたが、K1Cではこの部分が強化され、フィラメントの送り出しがより安定しました。
最大600mm/sという超高速印刷を安定して行うためには、確実なフィラメント供給が不可欠であり、この改良は印刷品質の安定に大きく貢献しています。
特徴⑤:「サイレントモード」搭載で騒音を軽減
高速3Dプリンターの課題であった印刷時の騒音に対応するため、K1Cには「サイレントモード」が搭載されました。
このモードを使用すると、印刷速度は若干低下しますが、動作音を大幅に抑制することが可能です。
実測レビューでは、通常モードの60dB前後から50dB前半まで騒音が低減するという結果も出ています。
夜間や静かな環境で印刷を行いたい場合に非常に役立つ機能です。
特徴⑥:組み立て不要ですぐに印刷開始できる
K1Cは、工場でほぼ完全に組み立てられた状態で届くため、ユーザーによる面倒な組み立て作業は必要ありません。
開封後、輸送用の固定ネジを数本取り外し、タッチスクリーンやフィラメントホルダーを取り付けるといった簡単な作業だけでセットアップが完了します。
初心者の方でも15分から20分程度で最初の印刷を開始できる手軽さは、大きな魅力の一つです。
Creality K1Cの評判・口コミを徹底分析
良い評判・口コミ:印刷速度と品質の両立に満足
多くのユーザーから最も高く評価されている点は、圧倒的な印刷速度と、それを感じさせない高い印刷品質です。
「今まで一晩かかっていたモデルが1~2時間で終わる」「16分で出力したBenchy(ベンチマークモデル)が非常にきれい」といった声が多数寄せられています。
これは、高速なCoreXY構造と、振動を補正するインプットシェーピング機能が高性能であることの証です。
速さと美しさを両立している点が、多くのユーザーを満足させている最大の要因と言えるでしょう。
良い評判・口コミ:初心者でも簡単な自動レベリング機能
従来の3Dプリンターで最も手間がかかり、初心者がつまずきやすいポイントであったベッドの水平調整(レベリング)が、K1Cでは完全に自動化されています。
「ハンズフリーオートレベリング」機能により、ユーザーは何もしなくてもプリンターが最適な調整を行ってくれます。
「開封してすぐに高品質な印刷ができた」「細かい設定を省いてすぐに作業に取り掛かれる」といった口コミが多く、初心者でも安心して使える点が高く評価されています。
気になる評判・口コミ:印刷時の振動と騒音は大きい?
一方で、多くのユーザーが指摘しているのが、高速印刷時の振動と騒音です。
「机がガタガタ揺れる」「ファンの音が掃除機のように大きい」といった口コミが見られます。
これらは高速プリンターの特性上、ある程度は避けられない部分です。
K1Cには防振パッドが標準装備されており、静音モードも搭載されていますが、設置環境によってはコンクリートブロックや厚手のゴムマットを敷くなどの追加の振動対策が必要になる場合があります。
気になる評判・口コミ:日本語UIや説明書が分かりにくい?
タッチスクリーンの操作画面(UI)やスライサーソフト、説明書などの日本語訳が不自然で分かりにくいという指摘もあります。
「翻訳が怪しい」「誤訳や意味が推測しにくい部分がある」といった声が一部で見られます。
このため、英語での操作に抵抗がないユーザーは、言語設定を英語のまま使用することを推奨するレビューもあります。
Creality Printソフトウェアはバージョンアップにより日本語対応が進んでいますが、まだ改善の余地があるようです。
Creality K1Cのスペックを前モデルK1と比較
K1CとK1のスペック比較表
Creality K1CとK1の主なスペックの違いを以下の表にまとめました。
スペック項目 | K1C | K1 |
---|---|---|
対応フィラメント | PLA-CF, PA-CF, PET-CF等を追加 | PLA, PETG, ABS, TPU等 |
AIカメラ | 標準搭載 | オプション |
エクストルーダー | オールメタル・ダイレクトドライブ | デュアルギア ダイレクトドライブ |
ノズル | 一体型硬化鋼ノズル | 分離型真鍮ノズル |
空気清浄機 | 〇 | × |
その他 | 静音モード、防振パッドなど | – |
プリントエリア | 220x220x250mm | 220x220x250mm |
印刷速度 | ≤600mm/s | ≤600mm/s |
加速度 | ≤20000mm/s² | ≤20000mm/s² |
ノズル温度 | ≤300℃ | ≤300℃ |
ヒートベッド温度 | ≤100℃ | ≤100℃ |
本体サイズや印刷エリア、重量の違いは?
本体サイズ、印刷エリア(220×220×250mm)、重量に関しては、K1CとK1でほとんど違いはありません。
引き続きコンパクトな筐体で、デスク上にも設置しやすいサイズ感を維持しています。
K1CはK1と比較して、製品寸法がわずかに異なり、重量が0.1kg軽くなっていますが、使用感に影響を与えるほどの差ではないでしょう。
印刷速度やノズル温度は変わった?
最大印刷速度(600mm/s)、最大加速度(20000mm/s²)、最高ノズル温度(300℃)、最高ヒートベッド温度(100℃)といった基本的な印刷性能に関するスペックは、K1CとK1で変更はありません。
K1が持つ高い基本性能はそのまま継承されています。
ただし、前述の通りノズルの材質と構造が変更されたことで、対応できるフィラメントの種類が広がっています。
対応フィラメントの種類と違い
スペック上での大きな違いが、対応フィラメントの種類です。
K1Cは、K1が対応するPLA、PETG、ABS、TPUなどに加えて、新たに「PLA-CF」「PA-CF」「PET-CF」といったカーボンファイバー配合フィラメントが公式にサポートされています。
これにより、より高い強度や耐熱性が求められる機能的なパーツの造形も可能になりました。
Creality K1Cの印刷品質を素材別に検証
PLA-CF(カーボンファイバー):質感と強度はどう?
実際にK1CでPLA-CFを印刷したレビューでは、その仕上がりの美しさが際立っています。
カーボンファイバーが配合されていることで光沢が抑えられ、積層痕がほとんど目立たないマットで滑らかな質感が得られます。
見た目が良いだけでなく、通常のPLAよりも強度や耐衝撃性が向上するため、フックや治具など、ある程度の負荷がかかる実用的なパーツの作成にも適しています。
Hyper PLA:高速印刷での仕上がりをチェック
Creality純正の高速印刷用フィラメント「Hyper PLA」を使用すると、K1Cの性能を最大限に引き出すことができます。
レビューでは、ベンチマークモデルである#3DBenchyをわずか16分で印刷し、それでもなお細部のディテールまでしっかりと再現された高品質な仕上がりを見せています。
高速印刷時に起こりがちなリンギング(表面の波打ち)も、インプットシェーピング機能によって効果的に抑制されており、速度と品質を高いレベルで両立していることがわかります。
ABS / PETG:反りや糸引きは発生する?
密閉型の筐体を持つK1Cは、ABSやPETGといった反りやすい素材の印刷にも適しています。
庫内温度が安定するため、オープンタイプのプリンターよりも反りを抑えやすいです。
ただし、ABSを印刷する際には、定着性を高めるためにビルドプレートにスティックのりを使用することが推奨されています。
適切な設定を行えば、PETGで若干の糸引きが見られる場合があるものの、全体的に良好な品質で印刷することが可能です。
サポート材はきれいに剥がせる?設定のコツ
サポート材の剥がしやすさは、使用するフィラメントやスライサーソフトの設定に依存します。
特にカーボンファイバーフィラメントは、サポート材が強固に固着しやすい傾向があります。
レビューでは、デフォルト設定では剥がしにくい場合があるものの、スライサーソフト「Creality Print」でモデルとサポート材の隙間(Support Top Distance)を0.2mmから0.4mmに広げることで、手で簡単にパキパキと剥がせるようになったという報告があります。
適切なパラメータ調整を行うことで、サポート材の問題は解決可能です。
Creality K1Cの注意点と購入前に知っておくべきこと
設置場所は重要?振動対策は必要か
はい、設置場所は重要です。
K1Cは高速で動作するため、かなりの振動が発生します。
不安定な机の上に置くと、机全体が揺れてしまい、印刷品質に影響が出たり、騒音の原因になったりする可能性があります。
できるだけ頑丈で安定した台の上に設置することが推奨されます。
レビューでは、より振動を抑制するために、プリンターの下に厚いゴムマットやコンクリートブロックを敷くといった対策を行っているユーザーもいます。
密閉型ならではのメンテナンスのしにくさ
K1Cは密閉型の筐体を採用しており、これにより印刷環境が安定するというメリットがあります。
しかしその反面、ノズル周りやプリントエリア内部へのアクセスがしにくいというデメリットも生じます。
フィラメントの詰まりを解消する際やノズル交換を行う際に、オープンタイプのプリンターに慣れていると、少し窮屈で作業しにくいと感じるかもしれません。
PLA印刷時は上蓋を開けるべき?
PLAフィラメントは、庫内の温度が高くなりすぎるとエクストルーダー内で熱変形し、詰まりの原因となることがあります。
この現象を「ヒートクリープ」と呼びます。
そのため、K1Cの上蓋には「PLAやTPUを使用する際は、庫内が高温になるのを避けるため、密閉しないように」という注意書きが記載されています。
PLAフィラメントを主に使用する場合は、上蓋を取り外すか、少し開けた状態で印刷することが推奨されます。
フィラメントのセットや交換方法のコツ
K1Cのフィラメントホルダーは、デフォルトでは本体背面に設置されています。
この位置はフィラメントの交換がしにくいため、多くのユーザーは付属のテストデータで治具を印刷し、ホルダーを側面に移設しています。
また、フィラメントをエクストルーダーに挿入する際は、少し引っかかった程度で止めず、ノズルの奥までしっかりと手で押し込むことが重要です。
この押し込みが不十分だと、フィラメントがうまく供給されずに印刷が開始できないことがあります。
Creality K1Cの価格とおすすめの購入方法は?
公式サイト・国内代理店・Amazonの価格比較
Creality K1Cの価格は、販売店によって異なります。
2024年6月時点の参考価格として、Creality公式ストアではセールやクーポン適用で6万円台から購入可能な場合があります。
国内正規代理店であるサンステラやSK本舗では、9万円台から11万円台で販売されています。
Amazonでは7万円台から購入できることが多いようです。
価格はセール時期などによって変動するため、購入前には各販売サイトを確認することをおすすめします。
セールやクーポンでお得に買う方法は?
最もお得に購入できる可能性が高いのは、Crealityの公式ストアです。
公式サイトでは、季節ごとのセールや初回購入者向けのクーポンが頻繁に発行されています。
これらの割引を組み合わせることで、国内代理店よりも大幅に安く購入できる場合があります。
Amazonでもプライムデーやブラックフライデーなどの大型セール時に価格が下がることが期待できます。
国内代理店から買うメリット(サポート体制)
価格面では公式ストアに劣る場合がありますが、サンステラやSK本舗といった国内正規代理店から購入する最大のメリットは、日本語での手厚いサポートが受けられる点です。
製品に関する質問や、万が一の初期不良、故障時の対応など、日本語でスムーズにやり取りできる安心感は大きな利点です。
特に3Dプリンター初心者で、トラブル発生時のサポートを重視する方にとっては、代理店からの購入がおすすめです。
まとめ:Creality K1C レビュー解説
Creality K1Cは、前モデルK1の高い基本性能を受け継ぎつつ、ユーザーの声を反映して多くの改良が施された、非常に完成度の高い高速3Dプリンターです。
特に、カーボンファイバーフィラメントへの対応とAIカメラの標準搭載は、造形の幅と利便性を大きく向上させています。
高速印刷に伴う振動や騒音といった課題は残るものの、それを補って余りある性能とコストパフォーマンスを実現しています。
カーボン素材や高強度な造形をしたい方
カーボンファイバー配合フィラメントを使って、軽量でありながら強度の高い機能的なパーツを作りたいと考えている方にとって、K1Cは最適な選択肢です。
硬化鋼ノズルを標準で搭載しているため、追加の投資なしでカーボン素材の印刷に挑戦できます。
初めてでも失敗の少ない3Dプリンターが欲しい方
組み立て不要ですぐに使え、面倒なレベリング作業も全自動で行ってくれるK1Cは、3Dプリンターが初めての方にもおすすめです。
AIカメラによるエラー検知機能も搭載されているため、印刷の失敗を未然に防ぎやすく、ストレスの少ない3Dプリント体験が可能です。
Creality K1からのアップグレードを検討している方
すでにK1を所有しており、カーボン素材への対応やAIカメラ機能に魅力を感じている方にとって、K1Cへの買い替えは検討の価値があります。
特に、K1の初期ロットで指摘されていたエクストルーダーの安定性などに不満を感じている場合は、改良されたK1Cによって満足度が大きく向上するでしょう。
- Creality K1Cは、高速印刷と高品質を両立させた3Dプリンターである
- 前モデルK1をベースに多くの改良が施されたマイナーチェンジ版である
- 最大の特徴はカーボンファイバー配合フィラメントへの正式対応である
- 摩耗に強い硬化鋼一体型ノズル「ユニコーンノズル」を新搭載した
- AIカメラが標準搭載され、エラー検知や遠隔監視が可能である
- エクストルーダーがオールメタル製に強化され、安定性が向上した
- 高速印刷時の騒音を低減する「サイレントモード」が追加された
- 組み立て不要で、初心者でも短時間でセットアップが完了する
- 高速印刷に伴う振動や騒音が大きいため、設置場所には注意が必要である
- これから購入するなら、多くの改良が施されたK1Cが推奨される