Bluetoothが勝手にペアリングされる原因と対策を全解説

「あれ、何もしてないのにBluetoothイヤホンが勝手に繋がった…」

「車に乗ったら、自分のじゃなくて家族のスマホに接続されてしまった」

こんな経験はありませんか。

ワイヤレスで便利なBluetoothですが、意図せず勝手にペアリングされると、少し不便で、時には「誰かに乗っ取られた?」と不安に感じることもあるでしょう。

特に、iPhoneやAndroidのスマートフォン、車、テレビ、イヤホンなど、私たちの身の回りにはBluetooth機器が溢れています。

実はこの現象、多くはBluetoothの便利な機能が原因で起こっています。

しかし、中にはセキュリティ上のリスクが潜んでいる可能性もゼロではありません。

この記事では、Bluetoothが勝手にペアリングされる原因を、iPhoneやAndroid、車やテレビといった状況別に徹底的に解説します。

さらに、他人に接続されるリスクや、乗っ取りの可能性、そして具体的なペアリングさせない方法まで、あなたの不安を解消するための情報を網羅的にお届けします。

この記事を読めば、なぜ勝手にペアリングが起こるのかが分かり、今日からできる具体的な対策を身につけることができるでしょう。

目次

Bluetoothが勝手にペアリングされる5つの状況

iPhoneでbluetoothが勝手にペアリングされる

iPhoneでBluetoothが勝手にペアリングされる主な原因は、iOSに搭載されている「自動再接続機能」にあります。

これは一度ペアリングしたイヤホンやスピーカー、車のカーナビなどを記憶し、次回以降はBluetoothがオンになっているだけで自動的に接続してくれる便利な機能です。

しかし、この機能が意図しないタイミングで接続されてしまう「勝手なペアリング」と感じられることがあります。

例えば、自宅でiPhoneを使っているときに、家族が使っているBluetoothスピーカーの電源が入ると、自動でそちらに接続されてしまうケースなどが挙げられます。

また、複数のイヤホンを使い分けている場合、使おうとしていたイヤホンではなく、カバンの中に入っている別のイヤホンに繋がってしまうことも少なくありません。

AirPods特有の「自動切り替え」機能

特にApple製のAirPodsや一部のBeats製品では、さらに高度な「自動切り替え」機能が搭載されています。

これは、同じApple IDでサインインしているiPhone、iPad、Macの間で、ユーザーが使おうとしているデバイスを検知して、AirPodsの接続先を自動で切り替える機能です。

例えば、iPadで動画を観ている最中にiPhoneに電話がかかってくると、AirPodsは自動的にiPhoneに接続を切り替えてくれます。

非常に便利な機能ですが、意図せずデバイス間の切り替えが頻繁に発生すると、勝手にペアリングが切り替わっているように感じられるかもしれません。

対策:不要なデバイスの登録を解除する

もし特定のデバイスとの自動接続をやめさせたい場合、最も確実な方法はペアリング情報を削除(登録解除)することです。

  1. iPhoneの「設定」アプリを開きます。
  2. 「Bluetooth」をタップします。
  3. 接続をやめたいデバイス名の横にある「i」マークをタップします。
  4. 「このデバイスの登録を解除」を選択し、確認画面で再度タップします。

これを実行すれば、そのデバイスとは自動的に接続されなくなります。

再度接続したい場合は、改めてペアリング操作を行う必要があります。

また、AirPodsの自動切り替えを止めたい場合は、Bluetooth設定の「i」マークから「このiPhoneに接続」の項目を「このiPhoneに前回接続していた場合」に変更することで、勝手な切り替えを抑制できます。

アンドロイドでbluetoothが勝手にペアリングされる

AndroidスマートフォンでBluetoothが勝手にペアリングされる現象も、iPhoneと同様に「自動再接続機能」が主な原因です。

過去に一度でも接続したことがあるデバイスは、Bluetoothが有効になっていると自動で再接続を試みます。

この仕様により、例えば自宅にいるときに以前公園で使ったきりのポータブルスピーカーの電源を誤って入れてしまうと、スマートフォンが自動で接続してしまい、意図せず音楽がスピーカーから流れてしまうといった事態が起こり得ます。

Androidの「Fast Pair」機能に注意

Androidには、周辺のBluetoothデバイスを素早く簡単に見つけてペアリングするための「Fast Pair」という機能があります。

これは、対応するイヤホンなどの電源を入れると、スマートフォンの画面にポップアップが表示され、ワンタップでペアリングが完了するという非常に便利な仕組みです。

しかし、この機能がオンになっていると、近くにあるペアリング待機状態のFast Pair対応デバイスを常にスキャンします。

そのため、家族が新しいイヤホンを開封した際や、お店で展示されている対応機器の近くを通った際に、自分のスマートフォンにペアリングを促す通知が突然表示され、「勝手に何かを検知している」と感じることがあります。

これはペアリングそのものではありませんが、意図しない通知がきっかけで誤ってペアリングしてしまう可能性は否定できません。

対策:ペアリングの解除とFast Pairの無効化

Androidで特定のデバイスとの自動接続を解除する方法は以下の通りです。

  1. スマートフォンの「設定」アプリを開きます。
  2. 「接続済みのデバイス」や「Bluetooth」といった項目をタップします。
  3. 以前接続したデバイスの一覧から、接続を解除したいデバイスの横にある歯車マーク(設定アイコン)をタップします。
  4. 「削除」や「ペア設定を解除」といった項目を選択します。

これで、次回からそのデバイスに自動で接続されることはなくなります。

また、意図しないFast Pairの通知を止めたい場合は、以下の手順で設定をオフにできます。

  1. 「設定」アプリを開きます。
  2. 「Google」 > 「デバイス、共有」 > 「デバイス」と進みます。
  3. 「付近のデバイスのスキャン」という項目のスイッチをオフにします。

これにより、Fast Pairによる自動的なデバイスの検出が行われなくなり、意図しないペアリング通知を防ぐことができます。

車でbluetoothが勝手にペアリングされる問題

車に乗るたびに、Bluetoothが勝手に意図しないスマートフォンにペアリングされてしまう問題は、多くのドライバーが経験するストレスの一つです。

これは主に、カーナビやディスプレイオーディオに搭載されている「エンジン始動時の自動接続機能」が原因で発生します。

この機能は、エンジンをかけると前回接続していたスマートフォンに自動でBluetooth接続し、ハンズフリー通話や音楽再生をすぐに行えるようにするためのものです。

非常に便利ですが、家族など複数の人が同じ車を利用する場合、問題が起こりやすくなります。

例えば、あなたが運転席に乗り、奥様が助手席に乗っているとします。

もし前回、奥様のスマートフォンがカーナビに接続されていた場合、エンジンをかけるとカーナビは優先的に奥様のスマートフォンに接続しようとします。

そのため、あなたが音楽を聴こうとしても、奥様のスマートフォンが接続されてしまい、自分のスマートフォンから音楽を流せないといった状況が発生するのです。

複数のデバイス登録が原因

最近のカーナビは、複数台(多くは5台程度)のスマートフォンをペアリング情報として登録しておくことができます。

しかし、どのデバイスに優先的に接続するかという設定が明確でない場合、カーナビは単純に「電波を最初に見つけたデバイス」や「最後に接続したデバイス」に接続しようとします。

これが、乗るたびに接続先が変わったり、意図しない方のスマートフォンに繋がったりする「勝手なペアリング」問題の正体です。

対策:接続の優先順位を設定し、不要なペアリングは削除

この問題を解決するための最も効果的な方法は、カーナビ側で「優先的に接続するデバイス」を設定することです。

メーカーによって呼称は異なりますが、「メイン機器設定」や「自動接続設定」といった項目から、自分のスマートフォンを一番に接続するように設定できます。

一般的な設定手順:

  1. カーナビの「設定」メニューを開きます。
  2. 「Bluetooth設定」や「電話設定」を選択します。
  3. 「登録機器一覧」や「ペアリングリスト」を開きます。
  4. 自分のスマートフォンを選択し、「自動接続をオン」にしたり、「優先デバイスに設定」したりします。
  5. 他の登録済みデバイスは「自動接続をオフ」にするか、今後使わないのであればペアリング情報自体を「削除」します。

トヨタやパナソニック、ケンウッド、パイオニア(カロッツェリア)など、主要なメーカーのカーナビには同様の機能が備わっています。

もしご自身の車でこの問題に悩んでいる場合は、一度カーナビの取扱説明書を確認し、Bluetoothの接続設定を見直してみることを強くお勧めします。

テレビでbluetoothが勝手にペアリングされるケース

最近のテレビは、Bluetooth機能を搭載しているモデルが増え、サウンドバーやヘッドホン、イヤホンなどをワイヤレスで接続して迫力のあるサウンドを楽しめるようになりました。

しかし、この便利な機能が原因で、テレビの音声が意図せずBluetooth機器から出てしまう「勝手にペアリングされる」という問題が起こることがあります。

この現象の主な原因は、テレビとBluetooth機器の両方が「自動再接続機能」を持っているためです。

例えば、夜にテレビの音を静かに聞くためにBluetoothヘッドホンを使い、そのまま電源を切ったとします。

翌日、家族がテレビをつけた際に、あなたが近くに置いていたBluetoothヘッドホンの電源も入っていると、テレビは自動的にヘッドホンに接続しようとします。

その結果、テレビ本体のスピーカーからは音が出ず、「故障したのでは?」と勘違いしてしまうケースが少なくありません。

周辺機器との接続競合

もう一つの原因として、周辺機器との接続の競合が挙げられます。

特に、サウンドバーとBluetoothイヤホン(またはヘッドホン)の両方を同じテレビにペアリングしている場合に問題が起きやすいです。

多くのテレビは、一度に一つのBluetoothオーディオ機器にしか音声を送信できません。

そのため、普段はサウンドバーに接続しているのに、イヤホンの電源を入れたことで接続がイヤホンに切り替わってしまい、サウンドバーから音が出なくなる、という事態が発生します。

これはテレビが「後から電源が入った、あるいは近くにあるデバイス」を優先して接続しようとすることが原因で起こります。

対策:接続の切り替えと不要なペアリングの削除

テレビで意図しないBluetooth接続が起きた場合の対策は、まずテレビ側の設定で音声の出力先を正しく選択し直すことです。

  1. テレビのリモコンの「設定」ボタンを押します。
  2. 「音声設定」や「サウンド」メニューに進みます。
  3. 「音声出力」や「スピーカー選択」といった項目を探します。
  4. 出力先を「テレビスピーカー」にするか、接続したいBluetooth機器(例:サウンドバー)を明示的に選択します。

ソニーのブラビアやシャープのアクオス、パナソニックのビエラなど、多くのスマートテレビ(Android TV/Google TVなど)では、設定メニューから現在接続されているBluetooth機器を確認し、接続を解除することも可能です。

根本的な解決策としては、あまり使わないBluetooth機器のペアリング情報はテレビから削除しておくのが最も効果的です。

これにより、意図しないタイミングで自動接続されることを防ぎ、使いたい時だけペアリング操作を行うという運用が可能になります。

bluetoothイヤホンが勝手にペアリングされる時

Bluetoothイヤホンが勝手にペアリングされる、あるいは接続先が意図せず切り替わってしまうという問題は、多くの場合、イヤホンに搭載された便利な機能が裏目に出ることで発生します。

最も一般的な原因は、ケースから取り出した際の「自動ペアリング・自動接続機能」です。

これは、イヤホンをケースから取り出すだけで、最後に接続していたデバイス(スマートフォンなど)に自動で接続してくれる機能です。

しかし、例えばスマートフォンで音楽を聴くつもりでイヤホンをケースから出したのに、近くにあったタブレットやパソコンに先に接続されてしまう、といったことが起こります。

マルチポイント機能による意図しない切り替え

近年、高性能なイヤホンに搭載されている「マルチポイント機能」も、勝手なペアリングの原因となり得ます。

マルチポイントとは、一台のイヤホンを同時に二台のデバイス(例:スマートフォンとパソコン)に接続しておける機能です。

これは、パソコンで音楽を聴いている最中にスマートフォンに電話がかかってきたら、自動で接続が切り替わって通話できるなど、非常に便利な機能です。

しかし、この機能が意図しない切り替えを引き起こすことがあります。

例えば、スマートフォンで大事なWeb会議に参加している最中に、もう一台接続しているパソコンが通知音を鳴らしただけで、イヤホンの接続がパソコンに奪われてしまい、会議の音声が聞こえなくなってしまう、といったトラブルです。

AppleのAirPods、ソニーのWF-1000Xシリーズ、AnkerのSoundcoreシリーズなど、多くの人気イヤホンがこのマルチポイント機能に対応しています。

対策:専用アプリでの設定変更と機能の理解

こうした問題を解決するためには、まずお使いのイヤホンにどのような機能が搭載されているかを理解することが重要です。

  1. マルチポイント機能が原因の場合:多くのイヤホンでは、専用のスマートフォンアプリ(例:Sony | Headphones Connect, Anker Soundcore)でマルチポイント機能のオン/オフを切り替えることができます。意図しない切り替えに悩まされている場合は、この機能を一時的にオフにすることをお勧めします。
  2. 特定の機能の誤作動:ソニーのイヤホンに搭載されている「スピーク・トゥ・チャット」(会話を始めると自動で音楽を停止する機能)などが、自分の咳やくしゃみに反応して意図せず作動することがあります。これもアプリからオフに設定可能です。
  3. 接続デバイスの管理:イヤホンに接続するデバイスを一台に絞るのが最も確実な対策です。パソコンやタブレットなど、普段あまりイヤホンで使わないデバイスについては、そのデバイス側のBluetooth設定からイヤホンのペアリング情報を削除しておくと、意図しない接続を防ぐことができます。

勝手なBluetoothペアリングを防ぐ安全対策

Bluetoothでペアリングさせない方法は?

Bluetoothが勝手にペアリングされるのを防ぎ、意図したデバイスとのみ快適に接続するためには、いくつかの基本的な方法があります。

これらは特別な知識がなくても誰でも簡単に行える対策ですので、ぜひ試してみてください。

最もシンプルで確実な方法は、使わないときはBluetooth機能をオフにすることです。

スマートフォンやパソコンのBluetoothをオフにしておけば、当然ながら他のどのデバイスとも勝手に接続されることはありません。

バッテリーの節約にも繋がるため、一石二鳥の方法と言えます。

ペアリング情報の削除と「検出不可」設定

前述の通り、一度ペア級したデバイスの情報が残っていると自動再接続の原因になります。

そのため、もう使わなくなった古いイヤホンや、友人宅で一度だけ接続したスピーカーなど、不要なデバイスのペアリング情報はこまめに削除することが重要です。

さらに、自分のデバイスを他の機器から見えないようにする「検出不可(非表示)」設定も非常に有効です。

Bluetooth機器は、ペアリングを行う際に「検出可能な状態(ペアリングモード)」になり、周囲に自身の存在を知らせます。

しかし、ペアリングが完了した後もこの状態が続いていると、意図しないデバイスからペアリングを要求される可能性があります。

iPhoneはペアリング時以外は自動的に検出不可になりますが、AndroidやWindowsでは手動で設定が必要な場合があります。

OS・デバイス別の具体的な設定方法

以下の表は、主要なOSやデバイスでペアリングさせないための具体的な設定方法をまとめたものです。

デバイス/OS不要なペアリングの削除方法検出(可視性)をオフにする方法
iPhone/iPad (iOS)「設定」>「Bluetooth」> デバイス横の「i」マーク >「このデバイスの登録を解除」ペアリング時以外は自動で検出不可になるため、特別な設定は不要です。
Android「設定」>「接続済みのデバイス」> デバイス横の歯車マーク >「削除」or「ペア設定を解除」「設定」>「Bluetooth」メニューを開いている間だけ検出可能になる機種が多いです。明示的にオン/オフできる機種もあります。
Windows 11「設定」>「Bluetooth とデバイス」> デバイスの「︙」>「デバイスの削除」「設定」>「Bluetooth とデバイス」>「デバイス」>「Bluetooth デバイスの検出」を「オフ」または「既定」に設定します。
macOS「システム設定」>「Bluetooth」> デバイス横の「i」マーク >「このデバイスの登録を解除」「システム設定」>「一般」>「共有」内の「Bluetooth共有」をオフにすることで、検出されにくくなります。

これらの設定を適切に行うことで、Bluetoothの利便性を損なうことなく、勝手なペアリングというストレスから解放されるでしょう。

他人とbluetoothが勝手にペアリングされる?

「自分の知らないうちに、他人のBluetooth機器と勝手にペアリングされてしまうのではないか」という不安を抱く方もいるかもしれません。

結論から言うと、あなたが許可しない限り、全く知らない他人のデバイスと勝手にペアリングが完了することは、通常ありえません。

Bluetoothのペアリングプロセスは、セキュリティを考慮して設計されており、必ずデバイスの所有者による「承認」または「PINコードの入力」といった操作が必要になるからです。

例えば、誰かがあなたのスマートフォンにペアリングを要求してきた場合、画面には「ペアリング要求:デバイス『〇〇』とペアリングしますか?」といったポップアップが表示されます。

ここであなたが「ペア設定をする」をタップしない限り、接続が確立することはありません。

ペアリング要求が来るケースとは

では、なぜ見知らぬデバイスからペアリング要求が来ることがあるのでしょうか。

これは、あなたのデバイスが「検出可能」な状態になっているときに、近くにある別のデバイスがペアリング相手を探していて、偶然あなたのデバイスを見つけてしまった、というケースがほとんどです。

特に、以下のような状況では注意が必要です。

  • 混雑した場所: 電車内やカフェ、イベント会場など、多くの人が集まる場所では、多種多様なBluetooth電波が飛び交っています。誰かが新しいイヤホンを設定しようとしている際に、あなたのスマートフォンが候補として表示されてしまう可能性があります。
  • 集合住宅: アパートやマンションなど、隣の部屋との距離が近い環境では、隣人がペアリング操作をしている際に、その電波が壁を越えてあなたのデバイスに届いてしまうことがあります。

もし見知らぬデバイス名からのペアリング要求が届いた場合は、慌てずに「キャンセル」を選択し、拒否してください。

誤って許可してしまわない限り、実害が発生することはありません。

頻繁に要求が来るようであれば、前述したように、一時的にBluetoothをオフにするか、デバイスを「検出不可」に設定するのが有効な対策となります。

Bluetoothは他人に接続されるリスク

前項で、許可なく勝手にペアリングが完了することはないと説明しましたが、それはあくまで「正規のペアリング手順」を踏んだ場合の話です。

残念ながら、悪意を持った第三者がBluetoothの仕組みを利用して、他人のデバイスに干渉しようとするリスクはゼロではありません。

ただし、これらの行為は比較的古いBluetoothの仕様や、デバイスの脆弱性を狙ったものが多く、最新のデバイスとソフトウェアを使っていれば過度に心配する必要はありません。

しかし、リスクを知っておくことは、より安全にBluetoothを利用するために重要です。

ブルージャッキング (Bluejacking)

ブルージャッキングは、比較的古くから知られている迷惑行為で、攻撃者が匿名でターゲットのデバイスにメッセージや画像、連絡先情報などを一方的に送りつける行為を指します。

これは、Bluetoothの「オブジェクトプッシュプロファイル(OPP)」という、名刺交換などに使われる機能を悪用したものです。

ペアリングは不要で、相手のデバイスが「検出可能」な状態であれば、10メートル程度の範囲内から実行できてしまいます。

これにより、不快なメッセージが送りつけられたり、スパムサイトへのリンクが送られてきたりすることがあります。

直接的なデータ盗難などには繋がりませんが、非常に不快な体験と言えるでしょう。

対策は「検出不可」設定

ブルージャッキングのような迷惑行為から身を守る最も簡単で効果的な方法は、ペアリング時以外はデバイスを「検出不可(非表示)」に設定しておくことです。

攻撃者は、まずターゲットとなるデバイスを見つける必要があるため、検出不可になっていれば、そもそも攻撃の対象になりません。

公共の場など、不特定多数の人がいる環境では、特にこの設定を意識することが重要です。

見知らぬ人からファイルやメッセージの受信要求があった場合は、絶対に許可しないようにしてください。

怖い!Bluetoothは乗っ取られる?

「他人に接続される」というレベルを超えて、「Bluetooth経由でスマートフォン自体が乗っ取られる」という事態は起こりうるのでしょうか。

これは多くの人が抱く最も大きな不安かもしれませんが、結論としては「可能性はゼロではないが、最新のOSとデバイスを使っていれば、そのリスクは極めて低い」と言えます。

過去には、Bluetoothの脆弱性を利用した深刻な攻撃手法がいくつか報告されましたが、現在ではそのほとんどがOSのアップデートによって対策されています。

過去に発見された深刻な脆弱性

  1. ブルースナーフィング (Bluesnarfing):これはブルージャッキングよりも悪質で、攻撃者がターゲットのデバイスに不正に接続し、ペアリングなしでアドレス帳やカレンダー、メールなどの個人情報を盗み出す攻撃です。古い携帯電話などで問題となりましたが、現在のスマートフォンでは対策済みです。
  2. ブルーボーン (BlueBorne):2017年に発見された非常に深刻な脆弱性で、ペアリング操作を一切必要とせず、Bluetoothがオンになっているだけでデバイスを完全に制御できてしまう可能性がありました。Android、iOS、Windows、Linuxなど、多くのOSに影響がありましたが、発見後すぐ各社からセキュリティパッチが配布され、メジャーなOSでは既に対応済みです。
  3. KNOB攻撃 (Key Negotiation of Bluetooth):ペアリング中の暗号化キーの強度を意図的に弱め、通信内容を解読・改ざんする攻撃です。これも、OSやデバイスメーカー側のアップデートで対策が進んでいます。

最大の防御策は「常に最新の状態に保つこと」

これらの攻撃手法から分かるように、Bluetoothのセキュリティは、発見された脆弱性と、それに対するメーカーの対策の歴史でもあります。

つまり、私たちユーザーができる最も重要で効果的な防御策は、スマートフォンやパソコン、その他のBluetooth機器のOSやファームウェアを常に最新の状態にアップデートし続けることです。

ソフトウェア・アップデートには、新機能の追加だけでなく、こうしたセキュリティ上の欠陥を修正する重要な役割があります。

「アップデートが面倒だから」と後回しにしていると、既知の脆弱性を放置することになり、悪意のある攻撃者に狙われるリスクを高めてしまいます。

Bluetoothを安全に利用するためにも、アップデートの通知が来たら速やかに適用することを心がけましょう。

知恵袋で見るbluetoothの勝手なペアリング例

Yahoo!知恵袋のようなQ&Aサイトには、Bluetoothの勝手なペアリングに関するユーザーの生の声が数多く投稿されており、多くの人が同様の問題で悩んでいることが分かります。

これらは、私たちが直面する可能性のある具体的なトラブル事例の宝庫です。

よく見られる相談例としては、以下のようなものがあります。

  • 「家族のデバイスとの競合」「車に乗ると、いつも私のスマホではなく夫のiPhoneに繋がってしまいます。毎回設定を切り替えるのが面倒です」これは、本記事でも解説した、カーナビの自動接続と優先順位設定の問題の典型例です。
  • 「意図しないイヤホンの切り替え」「パソコンでTeams会議中に、突然イヤホンがスマホに接続されてしまい、会議の音声が聞こえなくなりました。どうすれば防げますか?」これは、マルチポイント機能が原因で発生する代表的なトラブルです。会議のような重要な場面で起こると、非常に焦ってしまいます。
  • 「見知らぬデバイスからの接続要求」「自宅マンションにいると、時々『BT-SPEAKER-X』のような知らないデバイスからペアリング要求が来ます。隣の家のものだと思うのですが、気味が悪いです」集合住宅で起こりがちな、電波の干渉によるケースです。許可しなければ問題ありませんが、気持ちの良いものではありません。

悩みの背景と解決策へのヒント

これらの知恵袋の投稿から見えてくるのは、多くのユーザーが「なぜそうなるのか」という原因を理解できていないまま、ただ現象に困惑しているという事実です。

「勝手に」という言葉の裏には、「自分のコントロール下にない何かが起きている」という漠然とした不安が隠されています。

解決策への回答としては、「使わないときはBluetoothをオフにする」「ペアリングを一度解除してやり直す」といった基本的なアドバイスが多く寄せられています。

これらは有効な応急処置ですが、根本的な解決のためには、この記事で解説してきたような「自動再接続」「マルチポイント」「Fast Pair」といった機能の仕様を理解し、それぞれの設定を適切に管理することが不可欠です。

もしあなたが同様の悩みをお持ちなら、それは決して特殊なことではありません。

多くの人が経験する問題であり、そしてそのほとんどは正しい知識と設定で解決できるのです。

まとめ:Bluetoothが勝手にペアリングされる問題を理解し安全に使おう

  • Bluetoothが勝手にペアリングされる主な原因は自動再接続機能である
  • iPhoneのAirPodsではApple ID連携による自動切り替えも一因となる
  • AndroidのFast Pair機能は意図しないペアリング通知を表示させることがある
  • 車での問題はカーナビの自動接続設定や優先順位が関係している
  • イヤホンのマルチポイント機能は意図しないデバイスへの接続切り替えを起こしうる
  • 対策の基本は不要なデバイスのペアリング情報を削除することである
  • 使わない時はBluetoothをオフにすることが最も確実な方法といえる
  • デバイスを「検出不可」に設定すれば他人からのペアリング要求を防げる
  • 許可なく他人にペアリングが完了されたり、乗っ取られたりするリスクは極めて低い
  • 最大のセキュリティ対策はOSやファームウェアを常に最新にアップデートすることである
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