デンマークの高級オーディオブランドBang & Olufsenから登場した、完全ワイヤレスイヤホンの最新モデル「Beoplay Eleven」。
洗練されたデザインと「聴く宝石」とも称される美しさに、心を奪われている方も多いのではないでしょうか。
一方で、約7万8千円という価格を前にして、「本当に価格に見合う価値があるのか」「音質やノイズキャンセリング性能は期待通りか」と購入を迷っている方もいるはずです。
この記事では、Beoplay Elevenのスペックや特徴、音質の傾向から実際の使い勝手までを徹底的に解説します。
前作からの進化点や競合モデルとの違いも比較しながら、あなたがこのイヤホンを手にするべきかを判断するための情報をお届けします。
Beoplay Elevenのレビュー解説:結論、7万円の価値はあるか?
Beoplay Elevenの魅力とは?「聴く宝石」と呼ばれる理由
Beoplay Elevenの最大の魅力は、所有欲を極限まで満たしてくれる圧倒的な「美しさ」と「ブランド哲学」にあります。
単なるオーディオ機器の枠を超え、まるで高級ジュエリーのような輝きを放つデザインは、Bang & Olufsenの真骨頂といえるでしょう。
アルミニウムとガラスを組み合わせた筐体は、光の当たり方で表情を変え、耳元を上品に飾ります。
また、見た目だけでなく、再生されるサウンドも「透明感」と「温かみ」を両立した独自のチューニングが施されており、聴く人の感性に訴えかける仕上がりです。
機能スペックの数値競争とは一線を画す、芸術品のような佇まいこそが、このモデルが「聴く宝石」と呼ばれる所以です。
結論:音質・デザイン重視派には最高だが、コスパ重視派には向かない
結論から申し上げますと、Beoplay Elevenは「音の美しさ」と「デザインの満足度」を最優先する方にとっては、7万円を支払う価値が十分にあります。
特に、日常の喧騒から離れてリラックスしたい、上質な音楽体験で心を癒やしたいというニーズには、これ以上ない選択肢となるでしょう。
一方で、コストパフォーマンスを重視する方や、最強のノイズキャンセリング性能を求める方には、必ずしもベストな選択とは言えません。
機能面だけで比較すれば、半額以下で購入できる他社製品でも同等のスペックを持つものは存在します。
しかし、Beoplay Elevenにしかない「唯一無二の世界観」と「心地よい音色」に価値を見出せるなら、決して高い買い物ではないはずです。
Beoplay Elevenの発売日と価格情報は?
Beoplay Elevenは、カラーによって発売日が異なります。
「Natural Aluminium(ナチュラル・アルミニウム)」は2024年11月26日、「Copper Tone(カッパー・トーン)」は2024年12月17日に発売されました。
メーカー希望小売価格は、約77,900円(税込)となっています。
ハイエンドモデルの中でも特に高価格帯に位置しますが、長く愛用できる設計思想や保証期間(最大3年)を考慮すれば、長期的なパートナーとして検討できる価格設定です。
Beoplay Elevenの基本スペックとデザインの特徴
スペック一覧表:バッテリー交換可能設計への対応
Beoplay Elevenの主な仕様は以下の通りです。
| 項目 | スペック詳細 |
| ドライバー | 9.2mm ネオジウム・ダイナミックドライバー |
| 再生時間 | ANCオン:最大6時間(ケース込み最大20時間) ANCオフ:最大8時間(ケース込み最大28時間) |
| 充電時間 | イヤホン:約1.5時間 ケース:約1.5時間(USB-C) ※Qiワイヤレス充電対応 |
| Bluetooth | バージョン5.2 |
| 対応コーデック | SBC, AAC, aptX Adaptive |
| 防水防塵 | IP57等級 |
| 重量 | イヤホン:約6g(片側) ケース:約53g |
| マルチポイント | 対応(最大2台同時接続) |
特筆すべき点は、将来的な「バッテリー交換」を見据えた設計がなされていることです。
2027年以降のEU規制に対応するため、メーカーのサービスを通じてバッテリー交換が可能な構造になっており、製品寿命が来ても使い捨てにせず、修理して使い続けられるサステナビリティへの配慮がなされています。
デザインレビュー:アルミニウムとガラスが織りなす高級感
ケースを手にした瞬間に感じるのは、ひんやりとしたアルミニウムの質感と、適度な重厚感です。
充電ケースにはパールブラスト仕上げのアルミニウムが採用されており、プラスチック製のケースとは一線を画す高級感が漂います。
イヤホン本体のフェイスプレート部分は硬化ガラス製で、鏡面仕上げのような輝きを持っています。
ロゴの配置や曲線の処理など、細部に至るまで妥協のないクラフトマンシップが感じられ、デスクに置いているだけでも絵になる美しさです。
カラーバリエーション(Natural Aluminium / Copper Tone)の質感
カラーバリエーションは、以下の2色展開が中心となっています。
- Natural Aluminium(ナチュラル・アルミニウム):シルバーの輝きとブラックのコントラストが美しい、B&Oのクラシックとも言えるカラーです。クールで知的な印象を与え、どんなファッションにも合わせやすい万能さがあります。
- Copper Tone(カッパー・トーン):温かみのある銅色(カッパー)を取り入れた、よりラグジュアリーで華やかなカラーです。アクセサリーのような存在感があり、肌馴染みも良いため、エレガントな雰囲気を好む方におすすめです。
Beoplay Elevenの音質評価:「聴き疲れしない」極上の透明感
音の傾向:北欧ブランドらしい「温かみのある透明感」とは?
Beoplay Elevenのサウンドは、一言で表現するなら「温かみのある透明感」です。
解像度は非常に高いものの、耳に突き刺さるようなカリカリとした鋭さは皆無で、音の粒子が空気に溶け込むような滑らかさを持っています。
長時間聴いていても聴き疲れしにくく、音楽が自然と体に染み渡るような感覚を覚えるでしょう。
「迫力」や「重低音」で圧倒するのではなく、音の余韻や繊細なニュアンスを丁寧に描写する、大人のためのチューニングと言えます。
高音・中音・低音のバランス解説:刺さらない高音と上品な低音
各帯域のバランスは非常に優れています。
- 高音域:非常にクリアで伸びやかです。シンバルやピアノの高音が煌びやかに響きますが、サ行が刺さるような不快感はありません。「上品な華やかさ」を感じさせる音作りです。
- 中音域:ボーカルが自然に前に出てくる印象です。息遣いや声の質感がリアルに伝わり、アーティストの感情表現まで感じ取れるような生々しさがあります。アコースティックギターやピアノの音色も美しく響きます。
- 低音域:前作よりも力強さが増していますが、決してブーミーで支配的な低音ではありません。タイトで深みがあり、楽曲の土台をしっかりと支える「質の良い低音」です。音の輪郭がはっきりしているため、他の帯域を邪魔することなく共存しています。
音場(空間表現)の広さと定位感:立体的なステージ感
インイヤー型のイヤホンとは思えないほど、音場(サウンドステージ)は広く設計されています。
音が頭の中で鳴っているような閉塞感が少なく、まるで目の前にステージが広がっているかのような立体的な空間表現を楽しめます。
左右の広がりだけでなく奥行きも感じられるため、オーケストラやライブ音源などを聴くと、楽器の位置関係(定位感)が手に取るように分かります。
この開放的な響きが、Beoplay Elevenならではの「癒やし」の体験を生み出しています。
ノイズキャンセリングと外音取り込み性能の真実
ANC性能は弱い?前作Beoplay EXからの進化(低周波ノイズ2倍低減)の実力
アクティブノイズキャンセリング(ANC)性能に関しては、前作Beoplay EXから確実に進化しています。
メーカー公称値では、低周波ノイズの低減能力が約2倍に向上したとされています。
実際に、電車やバスの走行音、空調のゴーッという音などの低域ノイズはしっかりとカットされ、音楽に没入できる静寂を作り出してくれます。
ただし、業界最高クラスの強力なANCを持つソニーやBoseの最新モデルと比較すると、絶対的な消音性能では及びません。
「完全な無音」を作り出すというよりは、「不快なノイズを自然に抑えて、音楽を聴きやすくする」というチューニングです。
外音取り込み(トランスペアレンシー)の自然さ
外音取り込み(トランスペアレンシーモード)の性能は非常に高く、実用的です。
マイクで拾ったような機械的な強調感が少なく、イヤホンを着けていないかのような自然な感覚で周囲の音を聞くことができます。
イヤホンを装着したまま会話をしたり、駅のアナウンスを聞いたりする際も、違和感なくスムーズに行えます。
ガラス面のタッチ操作で瞬時にモードを切り替えられるため、レジでの会計時などにも便利です。
風切り音対策「Wind Guard」機能の効果
屋外での使用時に気になる「風切り音」に対しても、しっかりとした対策が施されています。
アプリから「Wind Guard(ウィンドガード)」機能を有効にすることで、マイクに当たる風の音を効果的に低減できます。
また、ハードウェア的にもマイク部分にパッド入りのメッシュを採用するなど、風の影響を受けにくい構造になっています。
これにより、風の強い日の散歩やランニング中でも、風切り音に邪魔されることなく音楽や通話を楽しむことが可能です。
装着感・操作性・通話品質の使い勝手チェック
装着感レビュー:長時間つけても痛くなりにくいステム形状
装着感は非常に良好です。
耳栓のような形状ではなく、うどん型とも呼ばれる「ステム(軸)」がある形状を採用しているため、重量バランスが良く、耳への収まりが安定しています。
付属のイヤーチップ(シリコン製4サイズ、Comply製フォームチップ1サイズ)から自分に合うものを選べば、長時間着けていても耳が痛くなりにくい設計です。
頭を振っても落ちにくい安定感があるため、通勤・通学はもちろん、軽い運動時にも安心して使用できます。
操作性とアプリの使い勝手:タッチ感度と指紋の目立ちやすさについて
操作は左右のフェイスプレート(ガラス面)をタップして行います。
タッチ感度は良好で、再生・停止、曲送り、ANC切り替えなどの操作をストレスなく行えます。
ただし、美しいガラス面であるがゆえに、操作するたびに「指紋」が付きやすく、目立ちやすいという点は注意が必要です。
また、専用アプリ「Bang & Olufsen」については、イコライザー調整などの機能は優秀ですが、端末によっては接続に時間がかかったり、認識が不安定になったりする場合があるようです。
通話品質テスト:6マイク搭載とクリアな音声
通話品質は非常に高く、ビジネス用途にも十分対応できます。
左右合わせて6基の高性能マイクを搭載しており、ビームフォーミング技術によって自分の声を的確に拾い上げます。
周囲の雑音を抑えつつ、声をクリアに相手に届けてくれるため、Web会議や騒がしい屋外での通話でもスムーズなコミュニケーションが可能です。
「自分の声がこもって聞こえる」といった不満を感じることは少ないでしょう。
Beoplay Elevenと前作Beoplay EX、他社ライバル機との違いを比較
Beoplay Eleven vs Beoplay EX:買い替えるべき進化点はあるか?
前作「Beoplay EX」との主な違いは、ANC性能の強化(低周波ノイズ低減2倍)、バッテリー交換可能設計への対応、そしてデザインの微調整です。
音質の傾向自体は大きく変わっておらず、EXも依然として非常に高音質なイヤホンです。
そのため、現在すでにBeoplay EXを愛用していて不満がないのであれば、急いで買い替える必要性は低いかもしれません。
しかし、より静かな環境で音楽を楽しみたい方や、バッテリー寿命を気にせず長く一つの製品を愛用したいという方にとっては、Elevenへのアップグレードは意味のある選択となります。
Beoplay Eleven vs B&W Pi8 / Devialet Gemini II:ハイエンド対決
同じハイエンド帯のライバル機と比較してみましょう。
- Bowers & Wilkins (B&W) Pi8:ウォームで濃厚、かつパワフルな低音が特徴です。音の厚みや迫力を求めるならPi8が好適ですが、透明感や繊細さを求めるならBeoplay Elevenが勝ります。
- Devialet Gemini II:独自の技術による強力なノイズキャンセリングと、深みのある低音が魅力です。機能的な先進性を求めるならDevialetですが、デザインの美しさや装着感の軽快さではBeoplay Elevenに分があります。
Beoplay Eleven vs SONY / Bose:ノイキャン性能の決定的な差
市場で人気のあるSony(WF-1000XM5)やBose(QuietComfort Ultra Earbuds)と比較すると、ノイズキャンセリング性能には明確な差があります。
「世界をシャットアウトするような静寂」を求めるのであれば、間違いなくSonyやBoseを選ぶべきです。
これらはBeoplay Elevenの半額近い価格で購入でき、機能面でのコスパは圧倒的です。
しかし、Beoplay Elevenは「音質の自然さ」「デザインの高級感」「所有する喜び」という、スペック表には現れない価値で勝負しています。
「機能のSony/Bose」か「感性のB&O」か、という選び方になるでしょう。
Beoplay Elevenの良い評判・悪い口コミまとめ(メリット・デメリット)
【メリット】所有欲を満たすデザインと癒やし系サウンド
ユーザーから多く寄せられるポジティブな評価は以下の通りです。
- 「とにかくデザインが美しい。持っているだけで気分が上がる」
- 「高音が刺さらず、いつまでも聴いていられる優しい音」
- 「音が空気と一緒に流れてくるような開放感がある」
- 「風切り音が低減されていて、外でも使いやすい」
- 「バッテリー交換を見据えた設計思想に好感が持てる」
【デメリット】価格の高さとアプリ接続の不安定さ
一方で、ネガティブな意見としては以下のようなものが見られます。
- 「価格が高すぎる。コスパで考えると他社製品の方が良い」
- 「ノイズキャンセリングは期待したほど強力ではない」
- 「アプリとの接続がうまくいかないことがあり、ストレスを感じる」
- 「指紋がベタベタ付くのが気になる」
Beoplay Elevenを購入する際の注意点
購入を検討する際は、以下の点に注意してください。
- 指紋対策:ガラス面は美しいですが汚れやすいので、気になる方はこまめに拭く必要があります。
- LDAC非対応:Androidユーザーでハイレゾ伝送コーデック「LDAC」を重視する方は注意が必要です(aptX Adaptiveには対応しています)。
- アプリの挙動:初期設定やアップデート時にアプリ接続が不安定になる場合があることを念頭に置いておきましょう。
Beoplay Elevenはどんな人におすすめ?
おすすめできる人:日常に「静寂と美しさ」を求める人
- デザインや質感にこだわりがあり、持ち物で妥協したくない人
- ドンシャリ系の派手な音よりも、自然で聴き疲れしない音を好む人
- クラシック、ジャズ、アコースティック、女性ボーカル曲をよく聴く人
- 一つの製品を長く大切に使いたいと考えている人
- 日々の生活の中で、心安らぐ音楽体験を求めている人
おすすめできない人:強力なノイキャンや重低音を求める人
- とにかく周囲の音を完全に消し去りたい人(SonyやBoseがおすすめ)
- EDMやヒップホップなどで、脳を揺らすような重低音が欲しい人
- コストパフォーマンスを最重視する人
- AndroidでLDACコーデックを使用したい人
Beoplay Elevenで得られる「感性まで癒やす」体験
Beoplay Elevenは、単に音楽を再生する道具ではありません。
忙しい日常の中で、ふと一息つきたい時に耳に装着すれば、そこには北欧の風を感じさせるような透明な音空間が広がります。
美しいデザインを目で楽しみ、優しい音色で心をほぐす。
そんな「感性まで癒やす」体験こそが、このイヤホンが提供してくれる最大の価値なのです。
まとめ:Beoplay Eleven レビュー解説の完全ガイド
- Beoplay Elevenは「聴く宝石」と呼ばれるほど美しいデザインと質感が最大の特徴である
- 価格は約7万8千円と高額だが、デザインと音質を重視する層には価値がある
- 将来的なバッテリー交換を見据えた設計で、長く使えるサステナビリティを実現している
- 音質は「温かみのある透明感」が特徴で、高音は刺さらず、低音は上品で質が高い
- 音場が広く立体的で、閉塞感が少ないため長時間聴いても疲れにくい
- ノイズキャンセリングは前作の2倍(低周波)に強化されたが、SonyやBoseには及ばない
- 外音取り込み機能は非常に自然で、装着したままでも会話がスムーズに行える
- 操作パネルのガラス面は指紋が付きやすいため、こまめな手入れが必要になる場合がある
- 強力なANCや重低音、コスパを求める人には不向きだが、感性を満たす体験を求める人には最適である
- 日常に「静寂と美しさ」を取り入れたいなら、最高のパートナーとなる一台である
