ASUSから発売された「Zenfone 10」は、コンパクトなボディにハイエンドな性能を凝縮した、近年では希少なスマートフォンとして大きな注目を集めています。
多くのスマートフォンが大型化する中で、片手で操作できるサイズ感を維持しつつ、最新のSoCや高性能カメラを搭載しているのが大きな特徴です。
しかし、実際に購入を検討するにあたり、その詳細なスペックや実際の使用感、バッテリー性能、そしてユーザーからの評判は気になるところでしょう。
この記事では、ASUS Zenfone10の購入を検討している方に向けて、その特徴からスペック、ベンチマークによる性能評価、そして実際のユーザーからの評判や口コミまで、あらゆる情報を網羅的にレビュー解説していきます。
ASUS Zenfone10をレビュー解説!特徴とスペック
ASUS Zenfone10の主な特徴
ASUS Zenfone 10は、「コンパクトさと高性能の両立」をコンセプトに開発された、非常にユニークなスマートフォンです。
その最大の特徴は、5.9インチという片手で扱いやすいサイズ感でありながら、現行最高峰クラスのSoC(CPU)である「Qualcomm Snapdragon 8 Gen 2」を搭載している点にあります。
これにより、日常的な操作はもちろん、負荷の高い3Dゲームや動画編集といった作業もストレスなくこなせる、圧倒的なパフォーマンスを実現しました。
また、カメラ機能も大きな魅力の一つで、メインの広角カメラには「6軸ハイブリッドジンバルスタビライザー2.0」を内蔵しています。
この強力な手ブレ補正機能により、歩きながらの動画撮影などでも、驚くほど滑らかで安定した映像を記録することが可能です。
さらに、近年のスマートフォンでは省略されがちな3.5mmイヤホンジャックを搭載している点も、有線イヤホンにこだわるユーザーにとっては見逃せないポイントです。
その他にも、IP68の防水・防塵性能、おサイフケータイ(FeliCa)への対応、最大15Wのワイヤレス充電機能など、日本のユーザーが求める便利な機能が余すところなく詰め込まれています。
ASUS Zenfone10のスペック詳細
ASUS Zenfone 10は、そのコンパクトな筐体からは想像できないほど、充実したスペックを備えています。
メモリ(RAM)とストレージ(ROM)の組み合わせによって複数のモデルが用意されており、ユーザーは自身の使い方に合わせて最適な構成を選択できます。
以下に、Zenfone 10の主要なスペックを一覧表にまとめました。
項目 | スペック詳細 |
---|---|
OS | Android 13 (ZenUI) |
CPU | Qualcomm Snapdragon 8 Gen 2 |
メモリ(RAM) | 8GB / 16GB (LPDDR5X) |
ストレージ(ROM) | 128GB / 256GB / 512GB (UFS 4.0) |
ディスプレイ | 5.9型ワイド AMOLED, 2,400×1,080 (フルHD+), 最大144Hz |
アウトカメラ | ・広角: 5,000万画素 (F値1.9) ・超広角: 1,300万画素 (F値2.2) |
インカメラ | 3,200万画素 (F値2.4) |
バッテリー容量 | 4,300mAh |
充電 | 有線: 最大30W, ワイヤレス: 最大15W (Qi規格) |
SIMカード | nanoSIM × 2 (DSDV対応) |
防水・防塵 | IP65/IP68 |
おサイフケータイ | 対応 |
生体認証 | 指紋認証(電源ボタン一体型), 顔認証 |
イヤホンジャック | 搭載 |
サイズ | 約146.5mm × 約68.1mm × 約9.4mm |
重量 | 約172g |
カラー | 5色 (ミッドナイトブラック, スターリーブルー, オーロラグリーン, エクリプスレッド, コメットホワイト) |
このスペックからもわかるように、CPUだけでなく、データの読み書き速度に影響するストレージも最新規格の「UFS 4.0」を採用するなど、細部に至るまで高性能なパーツで構成されています。
ディスプレイのリフレッシュレートは最大144Hzに対応しており、非常に滑らかな画面表示が可能です(144Hzはゲームプレイ中のみ有効)。
コンパクトモデルでありながら、バッテリー容量も4,300mAhと十分な量を確保している点も注目すべきポイントです。
コンパクトで洗練されたデザイン
Zenfone 10のデザインは、前モデルのZenfone 9のコンセプトを継承しつつ、より洗練された印象を与えます。
最大の特徴である横幅68.1mmというサイズは、多くの成人男性・女性が片手でしっかりと握り込み、画面の端まで親指が届く絶妙な設計です。
他の主要な小型ハイエンドスマートフォンと比較しても、そのコンパクトさが際立ちます。
機種名 | 横幅(mm) | 高さ(mm) | 厚さ(mm) | 重量(g) |
---|---|---|---|---|
Zenfone 10 | 68.1 | 146.5 | 9.4 | 172 |
iPhone 15 Pro | 70.6 | 146.6 | 8.25 | 187 |
Galaxy S23 | 70.9 | 146.3 | 7.6 | 167 |
Xperia 5 V | 68 | 154 | 8.6 | 182 |
表を見ると、厚みは他のモデルよりありますが、総合的に見て非常にコンパクトな設計であることがわかります。
本体の背面素材には、環境に配慮したバイオマス由来のポリカーボネートが採用されており(一部カラーを除く)、サラサラとした独特の質感が特徴です。
この素材は指紋が付きにくく、適度なグリップ感があるため、ケースを付けずに使用したいユーザーにも適しています。
カラーバリエーションは全5色と豊富で、ユーザーの好みに合わせて選べるのも嬉しい点です。
また、電源ボタンには指紋認証センサーが統合されており、自然な動作でロック解除が可能です。
このボタンは「ZenTouch 2.0」という機能にも対応しており、スワイプ操作で通知を確認したり、Webページをスクロールしたりといったショートカット操作を割り当てることができます。
6軸ジンバル搭載のカメラ性能
Zenfone 10のカメラは、コンパクトなボディに妥協のない性能を搭載している点が大きな魅力です。
アウトカメラは、5,000万画素の広角カメラと1,300万画素の超広角カメラからなるデュアルカメラ構成です。
特筆すべきは、広角カメラに搭載された「6軸ハイブリッドジンバルスタビライザー2.0」です。
これは、カメラモジュール自体が物理的に動くことで手ブレを補正する光学式手ブレ補正(OIS)と、電子式手ブレ補正(EIS)を組み合わせた強力なシステムです。
この機能により、歩きながらの動画撮影や、暗い場所での写真撮影時に発生しがちな手ブレを劇的に抑制し、プロが撮影したかのような滑らかでクリアな映像・写真を得ることができます。
さらに、ソフトウェア面でも進化しており、AIによる被写体検出機能が搭載されています。
これにより、風景や人物、料理など、撮影シーンに応じてAIが最適な画質調整を自動で行い、誰でも簡単に美しい写真を撮影することが可能です。
動画撮影においては、新たに「アダプティブEIS」機能が追加されました。
これは、ジャイロセンサーで端末のブレを検知し、リアルタイムで電子手ブレ補正の範囲を最適化する技術です。
これにより、画質の劣化を最小限に抑えながら、安定した動画撮影を実現します。
夜景モードや、車のライトの光跡などを撮影できるライトトレイルモードなど、多彩な撮影モードも用意されており、クリエイティブな写真表現を楽しむことができます。
ASUS Zenfone10をレビュー解説!性能と評判
ASUS Zenfone10のベンチマーク結果
ASUS Zenfone 10の心臓部である「Snapdragon 8 Gen 2」が、実際の使用環境でどれほどのパフォーマンスを発揮するのかを、各種ベンチマークテストのスコアから見ていきましょう。
ベンチマークは、スマートフォンの処理性能を客観的な数値で示す指標となります。
ベンチマークソフト | スコア |
---|---|
AnTuTu Benchmark v10 | 約1,549,421点 |
Geekbench 6 (Single-Core) | 約1,925 – 2,021点 |
Geekbench 6 (Multi-Core) | 約5,431 – 5,634点 |
3DMark (Wild Life Extreme) | 約3,727点 |
AnTuTuベンチマークのスコアは150万点を超えており、これは2023年に発売されたAndroidスマートフォンの中でもトップクラスの数値です。
CPUの性能を測るGeekbench 6のスコアも非常に高く、シングルコア・マルチコア共に、あらゆるアプリケーションを快適に動作させるのに十分なパワーを持っていることがわかります。
グラフィック性能を示す3DMarkのスコアも優秀で、人気の3Dゲーム「原神」なども、画質設定を調整すれば快適にプレイすることが可能です。
ただし、コンパクトな筐体のため、高負荷な処理を長時間続けると本体が熱を持つ傾向があります。
複数のレビューで、ベンチマークテストを連続して行うと、後半にかけて熱による性能低下(サーマルスロットリング)が見られるとの報告があります。
とはいえ、これは多くのハイエンドスマートフォンに共通する現象であり、Zenfone 10のパフォーマンスが極端に低いわけではありません。
日常的な使用や短時間のゲームプレイであれば、発熱が問題になることはほとんどないでしょう。
ASUS Zenfone10のおすすめな点
ASUS Zenfone 10は、多くのユーザーにとって魅力的な「おすすめポイント」を数多く備えています。
まず最大の魅力は、前述の通り「コンパクトなサイズ感とハイエンドな性能の両立」です。
ポケットにすっぽり収まるサイズでありながら、最新のゲームやアプリをストレスなく楽しめるパフォーマンスは、他のスマートフォンでは得難い体験を提供します。
次に、バッテリー持ちの良さも特筆すべき点です。
4,300mAhというバッテリー容量は、近年の大型スマートフォンと比較すると標準的ですが、電力効率に優れたSnapdragon 8 Gen 2とASUSの最適化により、多くのレビューで「1日以上余裕で持つ」と高く評価されています。
ヘビーな使い方をしなければ、2日間充電なしで過ごせる可能性もあります。
また、ユーザーの利便性を考えた機能が充実している点も大きなメリットです。
近年では珍しくなった3.5mmイヤホンジャックの搭載は、有線イヤホン派のユーザーから絶大な支持を得ています。
さらに、IP68の防水・防塵、おサイフケータイ、ワイヤレス充電といった、日本市場でニーズの高い機能に完全対応しているため、日常生活のあらゆるシーンで不便を感じることがありません。
ソフトウェア面でも、「ZenUI」はカスタマイズ性が高く、エッジツールや背面タップなどの便利なショートカット機能が豊富に用意されており、自分好みの使いやすいスマートフォンに設定することが可能です。
これだけの機能を備えながら、最小構成モデルが10万円を切る価格設定は、非常に高いコストパフォーマンスを実現していると言えるでしょう。
ASUS Zenfone10の注意点
多くの魅力を持つZenfone 10ですが、購入を検討する上で知っておくべき注意点もいくつか存在します。
まず、カメラ性能に関して、望遠カメラが搭載されていない点が挙げられます。
ズームはデジタルズームのみとなり、最大8倍まで可能ですが、高倍率では画質の劣化が目立ちます。
遠くの被写体を綺麗に撮影したいユーザーにとっては、物足りなさを感じるかもしれません。
次に、ストレージの拡張性です。
Zenfone 10はmicroSDカードスロットを備えておらず、内蔵ストレージを後から増やすことはできません。
また、SIMカードも物理的なnanoSIMを2枚挿入するデュアルSIM仕様で、eSIMには非対応です。
写真や動画を大量に保存する方や、eSIMを利用したい方は、購入時に十分なストレージ容量のモデルを選ぶ必要があります。
高負荷時の発熱も、一部のユーザーからは懸念点として挙げられています。
特に長時間のゲームプレイや動画撮影では本体が熱くなりやすく、パフォーマンスの低下につながる可能性があります。
冷却性能を重視する場合は、ゲーミングスマートフォンである同社の「ROG Phone」シリーズを検討するのも一つの手です。
その他、細かい点として、ディスプレイの輝度が屋外の直射日光下ではやや見づらく感じることがある、音量を上げると本体背面が共振しやすい、サードパーティ製のケースやアクセサリーの種類が少ない、といった点がレビューで指摘されています。
これらの注意点を理解した上で、自身の使い方と照らし合わせて検討することが重要です。
ASUS Zenfone10の評判・口コミ
ASUS Zenfone 10は、各種レビューサイトや実際のユーザーから、総じて高い評価を受けています。
特に、そのユニークなコンセプトである「コンパクトハイエンド」という点に満足している声が多数見られます。
価格.comのレビューでは、満足度の平均が5点満点中4.69点(2025年6月8日時点)と非常に高く、特に「携帯性」「レスポンス」「バッテリー」の項目で高評価が集まっています。
肯定的な口コミとしては、以下のような意見が多く見られます。
- 「片手で操作できるサイズ感が最高。もう大きなスマホには戻れない」
- 「Snapdragon 8 Gen 2搭載で動作はサクサク。どんなアプリも快適」
- 「バッテリー持ちが予想以上に良く、1日半は余裕で持つ」
- 「イヤホンジャックとおサイフケータイがあるのが決め手になった」
- 「ジンバル機能が優秀で、動画の手ブレが本当に少ない」
一方で、以下のような否定的な意見や改善を望む声も散見されます。
- 「カメラのレンズが出っ張っていて、机に置くとガタつく」
- 「高負荷時の発熱が気になる。夏場は特に心配」
- 「画面がもう少し明るければ、屋外でもっと見やすいのに」
- 「望遠カメラがないのが残念。ズーム画質は物足りない」
- 「SIMスロットの作りが少し不安。SIMカードを認識しなくなった」
総評として、Zenfone 10は「小型で高性能なスマートフォンが欲しい」という特定のニーズを持つユーザーにとっては、他に代えがたい魅力的な選択肢であると言えます。
いくつかの欠点はあるものの、それを上回る多くの長所と高いコストパフォーマンスが、多くのユーザーから支持されている理由でしょう。
まとめ:ASUS Zenfone10を徹底レビュー解説
- 5.9インチのコンパクトなボディに高性能を凝縮したスマートフォンである
- 最新のSoC「Snapdragon 8 Gen 2」を搭載し、動作は非常に快適である
- 6軸ジンバルスタビライザーによる強力な手ブレ補正機能がカメラの大きな特徴である
- バッテリー持ちは良好で、多くのユーザーが1日以上の使用が可能と評価している
- イヤホンジャックやおサイフケータイ、防水・防塵など便利な機能を網羅している
- ワイヤレス充電にも新たに対応し、利便性が向上した
- ベンチマークスコアは他のハイエンドモデルと比較しても遜色ない
- 高負荷時には本体が発熱しやすいという注意点がある
- 望遠カメラ非搭載、eSIM・microSD非対応という点がデメリットとして挙げられる
- コンパクトハイエンドを求めるユーザーにとって、コストパフォーマンスに優れた有力な選択肢である