静かでコンパクトなPCを求める声が高まる中、ASUSから登場したミニPC「ExpertCenter PN42」が注目を集めています。
特に、ファンレス設計による静音性や、Intel N100プロセッサ搭載という点で、多くの方がその性能や使い勝手に関心を寄せています。
しかし、実際に購入を検討するとなると、具体的なスペックやベンチマーク、ユーザーからの評判、そして注意すべき点まで、詳しく知りたいと思うのは当然のことです。
この記事では、「ASUS PN42」について、各種レビューサイトや公式情報を徹底的に調査し、その特徴から実際の評価、購入前に知っておきたいデメリットまで、網羅的に解説していきます。
あなたのPC選びの助けとなれば幸いです。
ASUS PN42をレビュー解説!特徴と基本スペック
ASUS PN42の際立った特徴
ASUS ExpertCenter PN42の最も際立った特徴は、なんといっても「完全ファンレス設計」による圧倒的な静音性です。
内部に冷却ファンを持たないため、動作音がほとんど発生しません。
これにより、深夜の書斎や静寂が求められるオフィス、寝室など、場所を選ばずに快適なPC環境を構築できます。
ファンがないことは、ホコリの侵入を防ぐというメリットにも繋がります。
長期間使用しても内部が汚れにくく、故障のリスクやメンテナンスの手間を大幅に軽減してくれるでしょう。
また、そのコンパクトさも大きな魅力です。
本体サイズは幅127.5mm×奥行132mm×高さ57.6mmと、非常に小さく、デスクの僅かなスペースにも設置可能です。
さらに、VESAマウントに対応しているため、モニターの背面に取り付けて、まるで一体型PCのように使うこともできます。
この設置の自由度の高さは、デスク周りをすっきりとさせたい方にとって、非常に価値のあるポイントと言えるでしょう。
接続性の高さも特筆すべき点です。
USBポートは合計7つ(USB 3.2 Gen2×2、USB 3.2 Gen1×2、USB 2.0×3)も備えており、USBハブを使わなくても多数の周辺機器を同時に接続できます。
映像出力もHDMI、DisplayPort、そして映像出力対応のUSB Type-Cポートを備え、最大3台のディスプレイに同時出力が可能です。
この豊富なインターフェースにより、マルチタスク作業も効率的にこなせます。
加えて、双方向AIノイズキャンセリング機能も搭載しており、Web会議などでのクリアな音声通信を実現します。
このように、ASUS PN42は静音性、省スペース性、そして高い接続性を兼ね備えた、非常にユニークで実用的なミニPCなのです。
ASUS PN42の詳しいスペック一覧
ASUS ExpertCenter PN42のスペックを理解することは、その性能を正しく評価する上で不可欠です。
ここでは、日本国内で主に流通しているモデル「PN42-SN044AU」の仕様を中心に、詳細なスペックを表にまとめました。
購入を検討している方は、ご自身の用途と照らし合わせながらご確認ください。
項目 | スペック詳細 |
---|---|
製品名 | ASUS ExpertCenter PN42 (PN42-SN044AU) |
OS | Windows 11 Pro |
CPU | Intel Processor N100 (4コア/4スレッド, 最大3.4GHz) |
GPU | Intel UHD Graphics (CPU内蔵) |
メモリ | 4GB DDR4-3200 SO-DIMM (スロット×1, 最大16GB) |
ストレージ | 128GB M.2 NVMe PCIe 3.0 SSD |
無線通信 | Wi-Fi 6E (802.11ax), Bluetooth 5.2 |
有線LAN | 2.5G LAN ×1 (Realtek RTL8125) |
前面I/Oポート | USB 3.2 Gen2 ×2, マイク入力端子, オーディオジャック, IRレシーバー |
背面I/Oポート | USB 3.2 Gen1 ×2, USB 2.0 ×3, DisplayPort 1.4, HDMI, USB Type-C(映像出力対応), 2.5G RJ45 LAN, DC-in |
映像出力 | 最大3画面出力 (HDMI, DisplayPort, USB Type-C) |
冷却方式 | ファンレス設計 |
サイズ (幅×奥行×高さ) | 127.5 × 132 × 57.6 mm |
重量 | 約0.85 kg (840g) |
主な付属品 | VESAマウントキット, ACアダプター, 電源コード |
補足事項
- メモリとストレージ: 初期搭載のメモリは4GB、ストレージは128GBと、現在のPCとしては最小限の構成です。WebブラウジングやOfficeソフトの利用が中心であれば問題ありませんが、より快適な動作を求める場合は、メモリを8GBや16GBに増設、SSDをより大容量のものに換装することをおすすめします。幸い、ケースの開閉は工具不要で、SSDの換装も容易に行える設計になっています。
- メモリスロット: メモリスロットは1つのみです。そのため、デュアルチャネル動作には対応していません。
- LANポート: 発売当初、一部の製品画像でLANポートが2つあるように表示されていましたが、国内モデル「PN42-SN044AU」の仕様はシングルLANです。この点はASUSからも訂正の発表がありましたので、購入時にはご注意ください。
ASUS PN42のベンチマークスコア
ASUS PN42に搭載されているCPU「Intel N100」が、どの程度の処理性能を持つのかをベンチマークスコアを基に解説します。
このスコアは、PCの基本的な性能を客観的に知るための重要な指標となります。
CPU性能:Intel N100
Intel N100は、開発コードネーム「Alder Lake-N」として知られる、省電力を重視したエントリー向けのプロセッサです。
CPUの総合的な性能を測る「PassMark」のスコアを見ると、Intel N100は「約5,600点」前後を記録しています。
このスコアがどの程度のレベルかというと、数世代前のノートPC向けCPUである「Core i5-8250U」や「Core i7-6700HQ」に匹敵します。
つまり、5年ほど前のメインストリームクラスのノートPCと同等の処理性能を持っていると考えることができます。
これにより、ウェブサイトの閲覧、メールの送受信、Officeソフト(Word, Excel)での書類作成、YouTubeなどの動画視聴といった日常的な作業は、ストレスなく快適にこなすことが可能です。
ただし、ファンレス設計のため、高負荷が長時間続くと性能が抑制される可能性は考慮しておく必要があります。
GPU性能:Intel UHD Graphics
グラフィック性能に関しては、CPU内蔵の「Intel UHD Graphics」が担います。
ある検証レビューによれば、ASUS PN42のGPUスコアは、他のIntel N100搭載ミニPCと比較して高い数値を記録したと報告されています。
これは、一般的な事務作業やブラウジングだけでなく、軽い画像編集やグラフィック処理においても、一定の性能を発揮することを示唆しています。
しかし、あくまでエントリークラスのGPUであるため、本格的な3Dゲームのプレイや、高解像度の動画編集といった重い作業には向きません。
「フォートナイト」や「Apex Legends」のような人気の3Dゲームを快適にプレイするのは難しく、設定を大幅に下げてようやく動くレベルだと考えておくのが無難です。
総じて、ASUS PN42の性能は「軽作業を静かな環境で快適に行う」という目的に特化していると言えるでしょう。
ASUS PN42の価格を比較
ASUS PN42の購入を検討する上で、価格は非常に重要な要素です。
ここでは、主要なオンラインストアでの販売価格と、競合製品との比較について解説します。
主要オンラインストアでの価格
2025年7月時点において、ASUS PN42(PN42-SN044AU)は、主に以下のオンラインストアで販売されています。
- Amazon: 41,000円台
- 楽天市場: 45,000円台
- Yahoo!ショッピング: 45,000円台
価格は常に変動しますが、おおむね4万円台前半から後半が相場となっています。
この価格には、Windows 11 Proのライセンスも含まれています。
競合製品との価格比較
ASUS PN42の価格を評価する上で、同じIntel N100プロセッサを搭載した、いわゆる「中華系ミニPC」との比較は避けられません。
MINISFORUMやBeelinkといったメーカーから販売されているN100搭載ミニPCは、メモリ8GB、SSD 256GBといった、PN42よりも優れた構成でありながら、価格は2万円台から3万円台前半で販売されていることが多くあります。
単純なスペックと価格だけで見れば、ASUS PN42は割高に感じられるかもしれません。
では、この価格差はどこから来るのでしょうか。
その理由は、ASUS PN42が持つ付加価値にあります。
- ブランドの信頼性とサポート: ASUSは世界的に有名なPCメーカーであり、製品の品質管理や、購入後の保証・サポート体制が充実しています。万が一のトラブルの際にも、日本語でのサポートが受けられる安心感は大きなメリットです。
- ファンレス設計: 完全なファンレス設計は、静音性を極限まで高めるためのコストが掛かっています。この静音性は、他社の安価なモデルでは得難い大きな特徴です。
- 豊富なインターフェース: 合計7つのUSBポートや3画面出力対応など、ビジネス用途も想定した豊富なポート類を備えています。
- Windows 11 Pro搭載: 標準でPro版のOSが搭載されており、ビジネスで必要となる高度なセキュリティ機能や管理機能を利用できます。
これらの付加価値に2万円前後の価格差を見出せるかどうかが、ASUS PN42を選ぶかどうかの大きな判断基準となるでしょう。
ASUS PN42をレビュー解説!実際の評判と評価
ASUS PN42のおすすめな点
ASUS PN42は、多くのミニPCとは一線を画す、優れた点をいくつも持っています。
ここでは、特にユーザーにとってメリットとなる「おすすめな点」を具体的に解説します。
第一に、やはり「究極の静音性」が挙げられます。
前述の通り、本製品はファンレス設計を採用しているため、動作音が全くと言っていいほどありません。
これにより、集中力を要する作業や、静かな環境での映画鑑賞、音楽鑑賞の邪魔をすることがありません。
また、ファンがないことで内部にホコリが溜まりにくく、長期間にわたって安定した性能を維持しやすいという、メンテナンスフリーに近い利点も享受できます。
第二に、「卓越した省スペース性と設置の自由度」です。
非常にコンパクトな筐体は、デスクの僅かなスペースにも収まります。
さらに、付属のVESAマウントを使えば、モニターの背面や壁面に固定することができ、デスク上からPC本体を完全に消し去ることも可能です。
これにより、物理的な作業スペースを最大限に確保し、すっきりとした美しいデスク環境を実現できます。
第三のメリットは、「豊富な接続ポートによる高い拡張性」です。
小型の筐体にもかかわらず、合計7つものUSBポートを搭載している点は特筆に値します。
キーボード、マウス、Webカメラ、外付けドライブ、プリンターなど、多数の周辺機器をUSBハブなしで直接接続できるため、非常に便利です。
加えて、HDMI、DisplayPort、USB Type-Cによる最大3画面出力に対応しており、マルチタスクを行うユーザーの生産性を大きく向上させます。
最後に、「大手メーカー製ならではの信頼性と安心感」も忘れてはなりません。
ASUSは長年にわたり高品質なPCおよびPCパーツを提供してきた実績のあるメーカーです。
しっかりとした製品保証や、日本語でのサポートが受けられるため、PCに詳しくない方でも安心して購入・使用することができます。
これらの点から、ASUS PN42は単なるスペック以上の価値を提供する、非常に魅力的なミニPCであると言えるでしょう。
ASUS PN42の注意点とデメリット
ASUS PN42は多くの魅力を持つ一方で、購入前に必ず理解しておくべき注意点やデメリットも存在します。
これらを把握しないまま購入すると、後悔に繋がる可能性があります。
最も大きな注意点は、「初期スペックの低さ」です。
日本国内モデル(PN42-SN044AU)は、メモリが4GB、ストレージが128GBという構成です。
これは2025年現在のPCとしては最低限のスペックであり、複数のアプリケーションを同時に開いたり、多くのブラウザタブを開いたりすると、動作が遅くなる可能性があります。
特にメモリ4GBは、OSだけで一定量を消費するため、ユーザーが自由に使える領域はさらに少なくなります。
快適な利用を望むのであれば、購入後にメモリを8GB以上に増設し、ストレージも必要に応じて大容量のものに換装することが半ば前提となっている点を理解しておく必要があります。
次に、「拡張性の限界」もデメリットとして挙げられます。
メモリスロットは1つしかないため、メモリのデュアルチャネル動作には対応していません。
これにより、CPU内蔵グラフィックスの性能を最大限に引き出すことが難しくなります。
また、ストレージに関しても、2.5インチのSATA HDD/SSDを増設するスペースはなく、M.2 SSDを換装することしかできません。
データ保存用に大容量の安価なHDDを内蔵したい、といったニーズには応えられない構造です。
さらに、発売当初に問題となった「LANポートの仕様問題」も知っておくべきでしょう。
製品の公式画像ではLANポートが2つあるように見えましたが、実際の国内モデルは1つでした。
現在は公式情報も修正されていますが、この一件は、購入前に製品仕様をしっかりと確認することの重要性を示しています。
最後に、USB PD(Power Delivery)による給電に対応していない点も、一部のユーザーにとってはデメリットとなり得ます。
本製品は付属のACアダプターからの給電が必須であり、USB Type-Cケーブル1本でモニターからの給電と映像出力を同時に行う、といったスマートな運用はできません。
これらの注意点を総合すると、ASUS PN42は「そのまま使う」というよりは、ある程度の知識を持って「自分でカスタマイズする」ことを前提としたユーザー向けの製品という側面があると言えます。
ASUS PN42の評判・口コミまとめ
ASUS PN42が実際のユーザーからどのように評価されているのか、インターネット上の評判や口コミをまとめてみました。
肯定的な意見と否定的な意見の両方を見ることで、製品のリアルな姿が浮かび上がってきます。
肯定的な評判・口コミ
最も多く見られた肯定的な意見は、やはり「静音性」に関するものでした。
- 「本当に無音。動いているのか不安になるくらい静かで、集中できる」
- 「寝室に置いても全く気にならない。ファンレスは正義」
- 「Web会議中にPCのファンが唸ることがなくなり、ストレスが減った」
このように、ファンレス設計がもたらす静寂な環境は、多くのユーザーから高く評価されています。
また、「コンパクトさ」や「ポートの豊富さ」についても好意的な声が多数ありました。
- 「デスクが驚くほどスッキリした。VESAマウントは素晴らしい」
- 「このサイズでUSBポートが7つもあるのはありがたい。ハブが不要になった」
- 「軽作業ならサクサク動くし、普段使いには十分すぎる性能」
否定的な評判・口コミ
一方で、否定的な意見も散見されます。その多くは「スペック」と「価格」に関連するものです。
- 「メモリ4GBはさすがに少なすぎる。すぐに8GBに換装した」
- 「同じN100搭載の中華PCがもっと安くて高スペック。コスパは悪い」
- 「高負荷な作業をさせると、さすがにもたつきを感じる」
特に、PCにある程度詳しいユーザーからは、初期構成のままでは性能不足であるという指摘が多く見られました。
また、発売当初の「デュアルLANポート問題」に言及する声もありました。
- 「デュアルLANだと思って購入したので残念。仕様は正確に記載してほしい」
総評
これらの評判を総合すると、ASUS PN42は「静かな環境で、Webブラウジングや事務作業といった軽作業を行う」という目的を持つユーザーからは、非常に高い満足度を得ています。
一方で、コストパフォーマンスを重視するユーザーや、ある程度の性能を求めるユーザーからは、スペック不足や価格の高さが不満点として挙げられています。
購入を検討する際は、ご自身の用途と価値観を明確にし、これらの評判を参考にすることが重要です。
ASUS PN42はどんな人におすすめ?
これまで解説してきた特徴、スペック、評判を総合的に判断し、ASUS PN42がどのような人に適しているのか、また、どのような人にはあまり向いていないのかを具体的に示します。
こんな人におすすめです
- 静かな作業環境を何よりも重視する人
ファンレス設計による無音動作は、本製品最大の魅力です。書斎での執筆作業、プログラミング、深夜の作業、あるいは寝室での利用など、少しの物音も気にしたくないという方には、最高の選択肢となるでしょう。 - PCの設置スペースを最小限に抑えたい人
コンパクトな筐体とVESAマウント対応により、デスク周りを極限まですっきりとさせたいミニマリストな方や、そもそもデスクが狭いという方に最適です。リビングのテレビに接続してメディアセンターとして使うのにも向いています。 - 事務作業やWebブラウジングがメインのライトユーザー
主な用途がMicrosoft Officeでの書類作成、Webサイトの閲覧、動画視聴、Web会議といった軽作業であれば、Intel N100の性能で十分快適に動作します。 - 信頼性とサポートを重視する人
安価な海外製品に不安を感じる方や、万が一の際にしっかりとした日本語サポートを受けたい方にとって、大手メーカーであるASUS製品の安心感は大きな価値があります。特にPC初心者の方におすすめできます。 - デジタルサイネージや組み込み用途を考えている法人
ファンレスによるメンテナンス性の高さや、豊富なポート類、Windows 11 Pro搭載といった特徴は、商業施設での情報表示端末や、特定の業務用機器への組み込みといった用途にも適しています。
こんな人にはおすすめできません
- 動画編集や3Dゲームなど、高い処理性能を求める人
Intel N100プロセッサと内蔵GPUでは、これらの高負荷な作業を快適に行うことは困難です。より高性能なCPUや、専用のグラフィックボードを搭載したPCを検討すべきです。 - コストパフォーマンスを最優先する人
同じCPUを搭載し、より大容量のメモリやストレージを備えたミニPCが、より安価に存在します。ブランドの信頼性や静音性よりも、価格に対するスペックの高さを求める方には不向きです。 - PCを大幅にカスタマイズして楽しみたい人
メモリスロットが1つ、2.5インチベイがないなど、拡張性には限りがあります。自作PCのように、パーツを交換しながら性能を追求していくような使い方には適していません。
ご自身の使い方やPCに求める価値が、どちらに近いかを考えることが、最適な選択への近道となるでしょう。
まとめ:ASUS PN42のレビュー解説
- ASUS PN42はファンレス設計により究極の静音性を実現している
- CPUはIntel N100を搭載し、日常的な軽作業は快適にこなせる
- 非常にコンパクトな筐体で、VESAマウントによる省スペース設置が可能である
- USBポートを合計7つ備え、接続性が非常に高い
- 最大3台のディスプレイに同時出力でき、マルチタスクに適している
- 国内モデルの初期メモリは4GB、ストレージは128GBと最小限の構成である
- 快適な利用にはメモリやストレージの増設・換装が推奨される
- 同スペックの中華系ミニPCより高価だが、ブランドの信頼性やサポートが魅力である
- メモリスロットが1つなど、拡張性には一定の制限がある
- 静音性と省スペース性を重視するライトユーザーに最適な一台である