2025年9月に発売されたAppleの最新ワイヤレスイヤホン「AirPods Pro 3」。
前モデルのAirPods Pro 2から約3年ぶりのメジャーアップデートとなり、その進化点に大きな注目が集まっています。
「音質はどれくらい良くなったのか?」「ノイズキャンセリングは本当に2倍も強力になったのか?」「新機能の心拍数センサーやライブ翻訳は実用的なのか?」そして何より、「Pro 2から買い替える価値はあるのか?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
この記事では、AirPods Pro 3の音質、性能、新機能、そして注意点まで、Pro 2との比較を交えながら、レビュー解説をお届けします。
購入を迷っている方が判断するために必要な情報を網羅的にまとめました。
【結論】AirPods Pro 3は買うべき?Pro 2からの買い替え判断を徹底解説
結論:音質・ノイキャン・機能は確実に進化。ただしPro 2ユーザーは焦る必要なし
結論から言うと、AirPods Pro 3は前モデルから「確実に進化」しています。
特に、音質の明瞭感、ノイズキャンセリング性能の向上、心拍数センサーの搭載、IP57への防水防塵強化、イヤホン単体のバッテリー延長は大きな魅力です。
一方で、AirPods Pro 2(特にUSB-Cモデル)も依然として非常に高性能なイヤホンです。
もしPro 2のバッテリーが劣化している、あるいは初代Proから買い替えるのであれば、Pro 3は最高の選択肢となります。
しかし、Pro 2を購入したばかりで現状に満足している場合、急いで買い替える必要はないかもしれません。
AirPods Pro 3への買い替えを強くおすすめする人
以下の条件に当てはまる方には、AirPods Pro 3への買い替えを強くおすすめします。
- 初代AirPods ProやAirPods(第1〜3世代)を使用している
- AirPods Pro 2のバッテリーが劣化してきた
- 少しでも強力なノイズキャンセリング性能を求めている
- Apple Watchなしでワークアウトの心拍数を計測したい
- イヤホン単体でのバッテリー持続時間(最大8時間)を重視する
- 汗や雨、水没のリスクに備え、高い防水防塵性能(IP57)が欲しい
AirPods Pro 2からの買い替えを待つべき人
以下の場合、AirPods Pro 2(特にUSB-Cモデル)から急いで買い替える必要性は低いかもしれません。
- AirPods Pro 2を購入して間もない
- 現在のPro 2の音質やノイズキャンセリング性能に十分満足している
- ケース込みの総再生時間が短くなる(30時間→24時間)点が許容できない
- 心拍数センサーやライブ翻訳などの新機能に魅力を感じない
AirPods 4や他社製(Bose, SONY)と迷う場合の選び方
AirPods Pro 3は万能選手ですが、用途によっては他の選択肢が優れる場合もあります。
- AirPods 4(オープンイヤー型): 装着感の快適さ、圧迫感のなさを最優先するならこちら。
- Bose QuietComfort Ultra Earbuds: ノイズキャンセリング性能を最重要視するなら、引き続き強力なライバルです。
- SONY WF-1000XM5: Androidスマートフォンがメインで、LDACなどの高音質コーデックや音質のカスタマイズ性を重視するならこちら。
- AirPods Pro 3: iPhoneユーザーで、Apple製品とのシームレスな連携、高性能なノイキャン、音質、新機能(心拍計)のすべてを高いレベルで求めるなら、Pro 3が最適解となります。
Androidユーザーは買うべきか?
AndroidスマートフォンでもAirPods Pro 3をBluetoothイヤホンとして使用すること自体は可能です。
優れた音質やノイズキャンセリング性能は体験できます。
しかし、「パーソナライズされた空間オーディオ」「Appleデバイス間の自動切り替え」「探す」機能の全機能、そして「ライブ翻訳」などのApple Intelligence連携機能は利用できません。
すべての機能を最大限に活用するためには、iPhoneとの連携が前提となる点に注意が必要です。
AirPods Pro 3のスペックとPro 2からの変更点まとめ
AirPods Pro 3 / Pro 2のスペック比較表
AirPods Pro 3とAirPods Pro 2(USB-Cモデル)の主なスペックを比較しました。
機能 | AirPods Pro 3 | AirPods Pro 2 (USB-C) |
チップ | H2チップ | H2チップ |
ANC性能 | 最大2倍 (Pro 2比) | – |
再生時間 (単体) | 最大8時間 (ANCオン) | 最大6時間 (ANCオン) |
再生時間 (ケース込) | 最大24時間 (ANCオン) | 最大30時間 (ANCオン) |
防水防塵性能 | IP57 (本体・ケース) | IP54 (本体・ケース) |
センサー | 心拍数センサー、肌検出センサー等 | 肌検出センサー等 |
イヤーチップ | 5サイズ (XXS, XS, S, M, L) / フォーム材入り | 4サイズ (XS, S, M, L) |
ケースボタン | 前面タッチ式 | 背面物理ボタン |
ケーブル | 非同梱 | USB-Cケーブル同梱 |
価格 (税込) | 39,800円 | 39,800円 |
外観とデザインの変更点(ケースサイズ、本体形状、ボタン位置)
一見するとPro 2と見分けがつきにくいですが、細部が変更されています。
充電ケースは、高さがわずかに大きくなりました。
また、Pro 2の背面に搭載されていたペアリング用の物理ボタンがなくなり、Pro 3ではケース前面のLEDインジケーター部分がタッチ式ボタンに変更されています。
イヤホン本体も、耳へのフィット感を高めるために形状やノズルの角度が見直されました。
最も分かりやすい外観の違いは、内側に新しく搭載された「心拍数センサー」の存在です。
新素材イヤーチップ(フォーム材)導入とサイズ追加(XXS)
イヤーチップは大きな進化点の一つです。
従来のシリコン製イヤーチップに、新たに「微粒子を注入したフォーム材の層」が追加されました。
この新しい構造により、装着時の密閉性が高まり、ノイズキャンセリング性能と音質の向上に寄与しています。
さらに、Pro 2の4サイズ(XS, S, M, L)に加え、より小さな耳にもフィットする「XXSサイズ」が追加され、合計5サイズ展開となりました。
旧型イヤーチップとの互換性は?(結論:互換性なし)
AirPods Pro 3は、イヤホン本体のノズル(イヤーチップの接続部分)の形状がPro 2から変更されています。
そのため、残念ながらAirPods Pro 2用のイヤーチップ(純正・サードパーティ製含む)をAirPods Pro 3で使用することや、その逆もできません。
イヤーチップは世代専用となり、互換性はないため注意が必要です。
【音質レビュー】Pro 2から劇的進化!聴き比べた本音の感想
AirPods Pro 3の音質はPro 2と比べてどう変わった?(明瞭感・解像度の向上)
AirPods Pro 3の音質は、Pro 2と比較して「明瞭感」と「解像度」が著しく向上しています。
多くのレビューで、Pro 2は「良質だがやや平板」と評されていましたが、Pro 3ではその印象が払拭されました。
音の輪郭がはっきりし、一つ一つの楽器やボーカルがよりクリアに聞こえる「立体的」なサウンドへと進化を遂げています。
チップはPro 2と同じH2チップを搭載していますが、内部の音響設計(アーキテクチャ)の改善が音質向上に大きく貢献していると考えられます。
低音の深みと高音のクリアさ(「平板」から「立体的」へ)
音質向上は全音域で感じられます。
内部の「空気の通り道」が最適化されたことにより、低音は一層深く、響きが豊かになりました。
同時に、高音域はPro 2よりも「キラびやか」「鮮やか」になり、シンバルなどの音がよりクリアに伸びるようになりました。
低音から高音までの調和が見事で、聴いていて素直に「良い音だ」と感じられるサウンドに仕上がっています。
空間オーディオ(ドルビーアトモス)の没入感と分離は進化したか
空間オーディオ(ドルビーアトモス)の体験も、ベースとなる音質が向上した恩恵を受けています。
音の分離が良くなったことで、空間オーディオ再生時の音の定位(どこから音が鳴っているか)がより明確になりました。
レビュアーからは「3m先でベースが鳴っている」「1m後ろでフルートが鳴っている」といった、Pro 2以上に具体的な距離感を感じられるようになったとの声も上がっており、没入感はさらに高まっていると言えます。
【性能レビュー】ノイズキャンセリング(ANC)は本当に「最大2倍」になった?
ノイキャン性能の体感(Pro 2比で1.2〜1.5倍?Boseとの比較)
AppleはPro 2比で「最大2倍」のノイズキャンセリング性能を謳っていますが、実際の体感としては「1.2倍から1.5倍程度」の向上と感じるレビューが多数派です。
とはいえ、性能が向上していることは確かで、特にPro 2が得意としていた低音域(電車の走行音やエアコンの音など)のノイズ除去がさらに強力になっています。
この進化により、Boseの「QuietComfort Ultra Earbuds」など、業界最高水準とされてきた他社製品と肩を並べる、あるいは同等レベルの非常に強力なノイズキャンセリング性能を手に入れたと言えるでしょう。
外部音取り込み機能の自然さは過去最高レベル
AirPods Proシリーズが従来から得意としていた「外部音取り込み機能」は、Pro 3でさらに磨きがかかりました。
Pro 2の時点でも「イヤホンをしていない状態とほぼ同じ」と評されていましたが、Pro 3では声や周囲の音がさらにクリアかつ自然に聞こえます。
外部音取り込み機能に関しては、間違いなく業界最高峰のクオリティです。
マイク・通話品質は向上した?(雑音環境での比較テスト)
マイクの品質も向上しています。
実際の比較テスト動画では、駅の騒音のような雑音が多い環境下において、AirPods Pro 3の方がPro 2よりも相手の声をクリアに拾い、雑音を効果的に抑えていることが確認されています。
通話性能やボイスメモ録音時の品質も、着実にアップデートされていることが分かりました。
AirPods Pro 3の「おすすめな点」(メリット)
メリット①:新搭載「心拍数センサー」の精度とワークアウト連携
AirPods Pro 3の最大の目玉機能の一つが、新搭載の「心拍数センサー」です。
これにより、Apple Watchを装着していなくても、iPhoneのフィットネスアプリと連携してワークアウト中の心拍数や消費カロリーを計測・記録できるようになりました。
あるレビューでは、専門の計測器(Whoop)と比較しても「驚くほど正確」な数値が計測できたと報告されており、フィットネス目的での実用性は非常に高いようです。
メリット②:イヤホン単体のバッテリー持続時間が最大8時間に延長(Pro 2は6時間)
イヤホン単体でのバッテリー持続時間が、Pro 2の最大6時間(ANCオン時)から、Pro 3では最大8時間へと2時間も延長されました。
これは33%の向上であり、長時間のフライトやオンライン会議、集中して作業したい場合などに大きなメリットとなります。
メリット③:シリーズ初の「IP57」防塵防水性能(ケースも対応)
Pro 2の防水性能はIPX4(防沫性能)でしたが、Pro 3では「IP57」等級へと大幅に進化しました。
これは「防塵」性能(”5″)が追加されたことに加え、防水性能(”7″)も「一時的に水中に沈めても問題ない」レベルまで強化されたことを意味します。
さらに、イヤホン本体だけでなく「充電ケースもIP57に対応」した点は大きな進化であり、汗や突然の雨、アウトドアシーンでもより安心して使用できます。
AirPods Pro 3の「注意点」(デメリット・残念なポイント)
デメリット①:ケース込みの総再生時間が「減少」(30時間 → 24時間)
イヤホン単体のバッテリー持続時間は伸びた一方で、充電ケースを併用した場合の総再生時間は、Pro 2の最大30時間(ANCオン時)から、Pro 3では最大24時間へと6時間も減少しています。
これは、ケースのバッテリー容量がPro 2よりも少なくなったことを示唆しており、ケースを充電する頻度が上がる可能性がある点はデメリットと言えます。
デメリット②:装着感が合わない可能性(圧迫感・耳の痛み)
新しい本体形状とフォーム材入りのイヤーチップは、多くの人に高いフィット感を提供する一方で、一部のユーザーからは「Pro 2より圧迫感が強くなった」「長時間つけていると耳が痛くなる」といった声も上がっています。
装着感には個人差が大きいため、可能であれば購入前に試着してみることをおすすめします。
デメリット③:イヤーチップが外しにくい(ちぎれる報告も)
新しいイヤーチップは、Pro 2のものと比べて「非常にはずしにくい」という報告が複数のレビュワーから寄せられています。
力を入れすぎて、イヤーチップのシリコン部分がちぎれてしまったという事例もあるため、サイズ交換や掃除の際には細心の注意が必要です。
デメリット④:充電ケーブルが付属しない
環境への配慮からか、AirPods Pro 3のパッケージにはUSB-C充電ケーブルが同梱されていません。
付属品はイヤーチップ(5サイズ)と説明書類のみとなっているため、別途USB-Cケーブルを持っていない場合は用意する必要があります。
AirPods Pro 3の新機能「ライブ翻訳」は買いの理由になるか?
ライブ翻訳機能の使い方と仕組み
AirPods Pro 3は、Apple Intelligenceと連携した「ライブ翻訳」機能に対応しています。
イヤホンのステム(軸)を長押しすることで機能を起動でき、目の前の相手が話した言葉をAirPodsが拾い、翻訳された音声がリアルタイムで耳元に流れます。
自分が話す際は、iPhoneの画面に自分の言葉が翻訳されてテキスト表示され、それを見せることでコミュニケーションをとる仕組みです。
注意点:Pro 3専用機能ではない(Pro 2/AirPods 4も対応)
この「ライブ翻訳」機能は、AirPods Pro 3だけの独占機能ではありません。
iOS 26とApple Intelligenceを搭載したiPhoneがあれば、AirPods Pro 2やAirPods 4でもファームウェアアップデートによって利用可能になることが発表されています。
したがって、ライブ翻訳機能だけを目当てにPro 3へ買い替える必要はありません。
日本語対応はいつから?(年内対応予定)
発売時点(2025年9月)では、英語、スペイン語、フランス語など一部の言語のみに対応しており、日本語はまだサポートされていません。
Appleによると、日本語を含む追加言語への対応は、2025年内に行われる予定です。
AirPods Pro 3の価格と評判
価格はいくら?(税込39,800円)
AirPods Pro 3のApple Storeでの販売価格は39,800円(税込)です。
これは、AirPods Pro 2の発売時価格(39,800円)から据え置きとなっており、円安が続く中で大幅な値上げがなかった点は評価されています。
ネット上の「良い」評判・口コミまとめ
インターネット上では、以下のような肯定的な評判や口コミが見られます。
- 「ノイズキャンセリング性能がPro 2より明らかに強くなっている」
- 「音がすごくクリアになり、Pro 2の不満点だった平板さが解消された」
- 「心拍数センサーが思ったより正確で、ランニング時にWatchがいらなくなった」
- 「IP57対応でケースごと水洗いできるのが安心」
- 「単体で8時間もつようになったのは素晴らしい」
ネット上の「悪い」評判・口コミまとめ
一方で、以下のような否定的な評判や注意点の指摘もあります。
- 「ケース込みのバッテリーが24時間に減ったのは残念」
- 「装着感がPro 2よりきつくなり、耳が痛くなった」
- 「イヤーチップが硬すぎて外せない、ちぎれそうで怖い」
- 「Pro 2からの進化は体感1.2倍くらい。買い替えるほどではないかも」
- 「充電ケーブルが入っていないのは不便」
まとめ:Apple AirPods Pro 3 レビュー解説
AirPods Pro 3の性能と進化点を総まとめ
今回のApple AirPods Pro 3 レビュー解説をまとめます。
Pro 3は、Pro 2の正統進化モデルとして、音質、ノイズキャンセリング性能、フィットネス機能、耐久性の面で着実なアップグレードを遂げています。
特に、よりクリアで立体的になった音質、Boseに迫る強力なノイキャン、Apple Watchなしでも使える心拍数センサー、ケースごとIP57に対応した防水防塵性能、そして単体で最大8時間に伸びたバッテリーは大きな魅力です。
その一方で、ケース込みの総再生時間が30時間から24時間に減少した点や、装着感の個人差、ケーブルが付属しない点などは注意が必要です。
Pro 2ユーザー(特にUSB-Cモデル)は急いで買い替える必要はないかもしれませんが、初代Proユーザーやバッテリーが劣化したPro 2ユーザーにとっては、間違いなく「買い」と言える製品です。
- AirPods Pro 3はPro 2から音質とノイキャンが確実に進化
- 価格は39,800円(税込)でPro 2から据え置き
- 音質はPro 2の平板な印象から明瞭かつ立体的に向上
- ノイキャン性能は公称最大2倍、体感では1.2~1.5倍程度
- 新たに心拍数センサーを搭載しワークアウト連携が可能
- 防水防塵性能がIP57に向上しケースも同等レベル
- イヤホン単体のバッテリーは最大8時間(Pro 2は6時間)に延長
- 注意点としてケース込み総再生時間は30時間から24時間に減少
- 新イヤーチップはフォーム材入りでXXSが追加、Pro 2との互換性なし
- ライブ翻訳機能はPro 3専用ではなくPro 2やAirPods 4でも利用可能