Anycubic Kobra 3 Max Combo レビュー解説!注意点もあり

Anycubic Kobra 3 Max Comboは、その巨大な造形サイズと多色印刷機能で注目を集める3Dプリンターです。

ヘルメットのような大きなモデルを一括で印刷したい、あるいはカラフルで複雑な作品を手軽に作りたいという願望を抱いている方にとって、そのスペックは非常に魅力的に映るでしょう。

しかし、圧倒的な性能の裏で「実際の印刷品質はどうなのか?」「何か落とし穴や注意点はないのか?」といった評判や口コミに関する疑問も生まれます。

この記事では、Anycubic Kobra 3 Max Comboの詳しい特徴やスペック、価格はもちろん、実際のユーザーレビューや考えられるデメリットまで、あらゆる情報を網羅的に解説します。

購入後に後悔しないための判断材料として、ぜひ最後までご覧ください。

目次

結論:Anycubic Kobra 3 Max Comboは買うべき?【レビュー解説】

結論から言うと、Anycubic Kobra 3 Max Comboは「3Dプリンターの経験があり、大型造形や多色印刷という明確な目的を持つユーザー」にとって、非常にコストパフォーマンスの高い選択肢です。

一方で、完全な初心者や手厚いサポートを最優先する方には、いくつかの注意点があります。

【早見表】Kobra 3 Max Comboのメリット・デメリット

このプリンターの全体像を素早く把握するために、まずはメリットとデメリットをまとめます。

メリットデメリット
420mm四方の超大型造形が可能設置には広大なスペースが必要
最大8色の多色印刷に対応オートレベリングが不安定な場合がある
最大600mm/sの高速印刷を実現高速印刷時の振動と騒音が大きい
印刷しながらフィラメントを乾燥できる部品の耐久性に個体差があるとの報告も
完全自動レベリングでセットアップが容易サポート体制の評価が分かれる

結論!このプリンターはこんな人におすすめ

以下の項目に当てはまる方には、Kobra 3 Max Comboは大きな満足感をもたらす可能性が高いです。

  • とにかく大きなモデルを分割せずに印刷したい方
  • 多色印刷を手軽に始めてみたいクリエイター
  • ある程度の3Dプリンター使用経験があり、簡単なトラブルシューティングができる方
  • 最新スペックのプリンターを、比較的リーズナブルな価格で手に入れたい方

逆に購入を慎重に検討すべき人は?

一方で、以下のような方は購入を慎重に検討した方が良いかもしれません。

  • 3Dプリンターに全く触れたことがない完全な初心者の方
  • 設置スペースに十分な余裕がない方
  • 静かな環境での使用を前提としている方
  • 手厚く迅速な日本語サポートを必須と考える方

Anycubic Kobra 3 Max Comboの5つの怪物級スペックとは?

Anycubic Kobra 3 Max Comboが多くのユーザーを惹きつける理由は、その圧倒的なスペックにあります。

ここでは、特に注目すべき5つの特徴を詳しく解説します。

①【超大型】ヘルメットも一括印刷!420×420×500mmの巨大造形エリア

最大の特徴は、420 × 420 × 500 mmという広大なビルドボリュームです。

これは一般的な家庭用3Dプリンターをはるかに凌駕するサイズであり、これまで分割して印刷する必要があったコスプレ用のヘルメットや建築模型、実用的な大型パーツなども一度で造形できます。

これにより、接着や組み立ての手間が省け、より強度と精度の高い作品制作が可能になります。

②【マルチカラー】最大8色対応!ACE Proでカラフルな作品を自動印刷

「Combo」モデルに付属するマルチカラーシステム「ACE Pro(Anycubic Color Engine Pro)」が、このプリンターの価値を大きく高めています。

ACE Proを1台接続することで最大4色、さらにハブを介して2台接続すれば最大8色のフィラメントを自動で切り替えながら印刷できます。

これにより、塗装の手間なく、デザインした通りのカラフルなフィギュアやロゴ、多色パーツを直接作り出すことが可能です。

③【超高速】最大600mm/s!従来の数倍速で印刷時間を大幅短縮

最大印刷速度600mm/s、推奨印刷速度300mm/sというスペックは、業界でもトップクラスの速さです。

特に巨大なモデルを印刷する場合、従来のプリンターでは数日かかっていた作業が、半分以下の時間で完了することもあります。

振動を抑制する機能も搭載されており、速度と品質の両立を目指した設計になっています。

試作品を素早く作りたい場合や、短期間で多くのパーツを生産したい場合に絶大な効果を発揮します。

④【初心者にも優しい】LeviQ 3.0で完全自動レベリングを実現

3Dプリントで最も手間がかかり、失敗の原因ともなるベッドの水平出し(レベリング)を、ボタン一つで全自動で行う「LeviQ 3.0」を搭載しています。

センサーがベッドの傾きや凹凸を精密に測定し、印刷時に自動で補正してくれます。

これにより、面倒な手動調整から解放され、初心者でも安定した第一層の定着を実現しやすくなっています。

⑤【乾燥機能付き】印刷しながら湿気対策!ACE Proのインテリジェント乾燥

ACE Proには、フィラメントを湿気から守るための乾燥機能が内蔵されています。

密閉された庫内でフィラメントを温めながら印刷できるため、特に湿気に弱いPETGやTPUといった素材でも、糸引きや造形不良のリスクを低減できます。

長時間の多色印刷ではフィラメントが外気に晒される時間も長くなるため、この乾燥機能は印刷品質を維持する上で非常に重要な役割を果たします。

【実機レビュー】セットアップから実際の印刷品質まで徹底検証

スペックが優れていても、実際の使い勝手や印刷品質が伴わなければ意味がありません。

ここでは、海外のレビュー動画やユーザー報告を基に、セットアップから実際の印刷物に至るまでのリアルな使用感を解説します。

開封と組み立てはどのくらい簡単?【所要時間も解説】

Kobra 3 Max Comboは、半完成品の状態で梱包されています。

主な作業は、ガントリー(門型のフレーム)を土台に固定し、サポートロッドやスクリーン、プリントヘッドなどを取り付けるだけです。

多くのレビューで、付属の説明書に従えば30分から1時間程度で組み立てが完了すると報告されており、比較的簡単な部類に入ります。

ただし、本体が非常に大きく重いため、作業には十分なスペースと二人以上での作業が推奨されます。

初期設定とキャリブレーションで注意すべき点

組み立て後、電源を入れるとタッチスクリーンに表示される指示に従って、Wi-Fi接続や初回キャリブレーション(自動レベリングや振動補正など)を行います。

このプロセスはほぼ自動で進行するため、特に難しい操作は必要ありません。

ただし、後述するレベリングの不安定さも報告されているため、最初のテストプリントではノズルとベッドの距離(Zオフセット)に異常がないか、注意深く観察することが重要です。

実際の印刷速度は?ベンチマークテストの結果を公開

標準的なベンチマークモデルである「#3DBenchy(船のモデル)」の印刷では、高速設定で15分前後という驚異的なタイムが報告されています。

これは、従来のプリンターが1時間以上かかっていたことと比較すると、その速度性能の高さを明確に示しています。

ただし、最高の品質を求める場合は、推奨速度である300mm/s以下に設定するのが一般的で、それでも十分な速さを体感できます。

マルチカラー印刷の品質とフィラメント交換の仕組みは?

マルチカラー印刷では、色を切り替える際にプリントヘッドが専用のワイパーに移動し、前の色のフィラメントを排出し(パージ)、新しい色のフィラメントを装填します。

このプロセスは全自動で行われ、色の切り替え自体はスムーズです。

完成したモデルは、色の境界も比較的クリーンで、手軽に多色造形を楽しめます。

ただし、色の切り替えごとにフィラメントのロス(パージブロックやゴミ)が発生し、単色印刷に比べて印刷時間が大幅に長くなる点には注意が必要です。

印刷物のクオリティは高い?【成功例と失敗例の写真付き解説】

適切に設定されていれば、印刷品質は非常に高いと評価されています。

積層痕が目立ちにくく、滑らかな表面の造形が可能です。

特に大型のモデルを一体で出力できるため、分割線がなく美しい仕上がりになります。

一方で、ベッドへの定着不良や、高速印刷に起因する層のズレ、サポート材がうまく機能しないといった失敗例も報告されています。

これらの多くは、ベッドのクリーニング不足やスライサーソフトの設定見直しによって改善されることが多いようです。

【評判・口コミ】ユーザーのリアルな声からわかる本当の実力

購入を検討する上で最も参考になるのが、実際に製品を使っているユーザーの生の声です。

ここでは、AmazonやRedditなどのコミュニティから集めた良い評判と悪い評判を包み隠さず紹介します。

【良い評判】印刷速度とサイズ、価格以上の品質に満足の声

多くのユーザーが絶賛しているのは、やはり「圧倒的な印刷速度」と「巨大な造形サイズ」です。

「これまで諦めていた大きなプロジェクトに挑戦できるようになった」「試作品作りが捗る」といった満足の声が多数見られました。

また、「この価格帯で、このサイズの多色印刷ができるのは驚異的だ」「適切に調整すれば、非常に美しいプリントができる」など、コストパフォーマンスの高さを評価する意見も多くあります。

【悪い評判】不安定なオートレベリングと部品の信頼性への懸念

一方で、最も多く指摘されている問題点が「オートレベリングの信頼性」です。

「キャリブレーションの度にZオフセットの値がズレる」「ノズルがベッドを傷つけた」といった報告が散見されます。

これはセンサーの個体差やファームウェアの問題である可能性が考えられ、安定した印刷のためには手動での微調整が必要になるケースもあるようです。

また、「数回の使用でベルトが切れた」「センサーが故障した」など、一部の部品の耐久性に対する不安の声も上がっています。

カスタマーサポートの対応は良い?悪い?【当たり外れがある?】

Anycubicのカスタマーサポートについては、評価が大きく二分されています。

「問い合わせに迅速に対応してくれ、交換部品をすぐに送ってくれた」という好意的なレビューがある一方で、「返信がない、または解決に至らなかった」という厳しい意見も見られます。

海外メーカーであるため、コミュニケーションのタイミングや内容によって対応にばらつきがある可能性は否めません。

購入の際は、ある程度の自己解決能力や、フォーラムなどで情報を探す姿勢も必要になるかもしれません。

スライサーソフトの使い勝手はどう?【Anycubic Slicer vs Orca Slicer】

公式のスライサーソフト「Anycubic Slicer」は、リリース当初はバグが多く、特にマルチカラー機能の使い勝手に課題があったという指摘がありました。

その後のアップデートで改善はされていますが、より高機能で安定しているとして、多くの経験豊富なユーザーはオープンソースの「Orca Slicer」の使用を推奨しています。

Orca SlicerはKobra 3 Max Combo用のプロファイルもコミュニティによって提供されており、より詳細な設定で印刷品質を追求することが可能です。

購入前に知るべき5つの落とし穴(注意点)

Anycubic Kobra 3 Max Comboは魅力的なプリンターですが、購入してから「こんなはずではなかった」と後悔しないために、事前に知っておくべき注意点が存在します。

注意点① 想像以上に巨大?設置に必要な本当のスペースとは

本体サイズは公表されていますが、実際に必要なスペースはそれ以上です。

このプリンターはベッドが前後に大きく動く「ベッドスリンガー方式」のため、奥行き方向には本体サイズ+約30cmの可動域が必要です。

さらに、横にはACE Proを置くスペースも確保しなければなりません。

公式サイトの情報などから、少なくとも幅90cm × 奥行き70cm × 高さ80cm程度の空間を確保する必要があると考えるべきでしょう。

しっかりとした、揺れに強い頑丈なテーブルも必須です。

注意点② 高速印刷の代償?振動と騒音レベルはどのくらいか

最大600mm/sという高速印刷は魅力的ですが、その代償として大きな振動と騒音が発生します。

巨大で重いプリントベッドが高速で前後に動くため、テーブルが揺れ、その振動が床や壁に伝わることもあります。

動作音も、掃除機や洗濯機に近いレベルになることがあるため、集合住宅での夜間の使用や、リビングなど生活空間での設置は慎重に検討する必要があります。

注意点③ ABSやASAの印刷は難しい?エンクロージャーがない問題

Kobra 3 Max Comboには、本体を覆うエンクロージャー(外装カバー)がありません。

PLAやPETGといった一般的な素材は問題なく印刷できますが、ABSやASAのように温度変化に敏感で、冷却時に大きく収縮する(反りやすい)素材を安定して印刷するのは困難です。

これらの素材で大きなモデルを印刷したい場合は、自作するか、サードパーティ製のエンクロージャーを別途用意するといった工夫が必要になります。

注意点④ ACE Proの乾燥機能に限界は?温度と湿度管理のポイント

ACE Proの乾燥機能は非常に便利ですが、専用のフィラメントドライヤーと同等の性能を期待するのは禁物です。

加熱温度は55℃までとなっており、ナイロンなどより高温での乾燥が推奨される素材には不十分な場合があります。

また、庫内の湿度を表示する機能はないため、乾燥が十分に行われているかを正確に把握することはできません。

あくまで印刷中の湿気対策という補助的な機能と捉え、シビアな湿度管理が必要な場合は、別途専用の乾燥機を併用するのが賢明です。

注意点⑤ カメラは別売り!リモート監視には追加投資が必要

商品ページでは「AIモニタリング」や「アプリでの遠隔操作」が謳われていますが、これらを活用するために必要なカメラは標準では付属していません。

印刷の失敗(スパゲッティ現象)をAIが検知する機能や、スマートフォンで印刷状況をリアルタイムに確認するためには、別途カメラを購入して取り付ける必要があります。

これらの機能をフル活用したい場合は、本体価格に加えて追加のコストがかかることを念頭に置いておきましょう。

Anycubic Kobra 3 Max Comboの価格と購入方法

ここでは、Anycubic Kobra 3 Max Comboの価格情報と、どこで購入するのが最適かについて解説します。

モデル別の価格一覧【Comboあり/なしの違いは?】

Anycubic Kobra 3 Maxは、主に2つのモデルで販売されています。

モデル名特徴参考価格(税込)
Kobra 3 Max3Dプリンター本体のみ約90,000円~
Kobra 3 Max Combo本体 + ACE Pro(多色印刷ユニット)約100,000円~130,000円

「Combo」は、マルチカラーシステム「ACE Pro」がセットになったモデルを指します。

後からACE Proを単体で購入することも可能ですが、セットで購入する方が割安になる傾向があります。

多色印刷に少しでも興味があるなら、最初からComboモデルを選択することをおすすめします。

※価格はセールなどにより変動します。

どこで買うのが一番お得?公式サイトとAmazonの比較

主な購入先は「Anycubic公式サイト」と「Amazon」になります。

公式サイトでは先行販売や限定セールが実施されることがあり、最新情報をいち早く入手できます。

サポートも直接メーカーとやり取りすることになります。

一方、Amazonではプライム配送による迅速な納品や、万が一の際の返品・交換プロセスの手軽さが魅力です。

価格もセール時期によっては公式サイトより安くなる場合があるため、両方を比較検討するのが最も賢明な方法と言えるでしょう。

まとめ:Anycubic Kobra 3 Max Comboは「人を選ぶ」最強のハイスペックマシン

今回は、Anycubic Kobra 3 Max Comboについて、そのスペックから実際の評判、購入前の注意点までを徹底的にレビュー解説しました。

このプリンターは、超大型造形と多色印刷というロマンを、比較的手の届きやすい価格で実現してくれる画期的な一台です。

しかし、そのハイスペックを最大限に活かすためには、ある程度の知識や経験、そして設置環境が求められる「人を選ぶ」マシンであることも事実です。

この記事で紹介したメリットとデメリットを十分に理解し、ご自身の目的やスキルレベルと照らし合わせた上で、この怪物的プリンターとの付き合い方を検討してみてください。

Anycubic Kobra 3 Max Comboのスペック詳細一覧表

項目スペック
造形方式FDM(熱溶解積層法)
構造ベッドスリンガー
造形サイズ420 x 420 x 500 mm
最大印刷速度600 mm/s
推奨印刷速度300 mm/s
最大加速度10,000 mm/s²
レベリングLeviQ 3.0 完全自動レベリング
ノズル最高温度300℃
ホットベッド最高温度110℃
多色印刷(Combo)ACE Proにより最大4色(2台で最大8色)
接続方法USBメモリ, Wi-Fi
対応フィラメントPLA, PETG, ABS, TPU, ASAなど

改めて解説!このプリンターが最適な人とそうでない人

最適な人:
3Dプリンター経験者で、大型造形や多色印刷に明確な目的を持っている方。

コストを抑えつつ、プロ級のスペックを求めるクリエイター。

そうでない人:
完全な初心者で、手厚いサポートを前提としている方。

静音性や省スペースを重視する方。

よくある質問(FAQ)

Q1: 初心者でも本当に使えますか?
A1: 自動レベリングなど初心者向けの機能はありますが、本体の大きさや潜在的なトラブルシューティングを考えると、全くの未経験者にはハードルが高い可能性があります。

小さなプリンターで経験を積んでからのステップアップとしておすすめです。

Q2: どのフィラメントが使えますか?
A2: ノズルが300℃まで対応しているため、PLAやPETGはもちろん、ABSやASA、TPUなど多くの市販フィラメントが使用可能です。

ただし、多色印刷ユニットACE Proは、柔軟なTPUフィラメントには公式には対応していません。

Q3: 印刷の失敗は多いですか?
A3: オートレベリングの不安定さから、第一層の定着に失敗するという報告が最も多いです。

ベッドを常に綺麗に保ち、必要に応じてZオフセットを手動で微調整することで、失敗率は大幅に減少させることができます。

  • Anycubic Kobra 3 Max Comboは大型・多色印刷が可能な高性能3Dプリンターである
  • 420×420×500mmという家庭用では最大級の造形サイズを誇る
  • ACE Proユニットにより最大8色のマルチカラー印刷に対応する
  • 最大600mm/sの高速印刷が可能で、制作時間を大幅に短縮できる
  • LeviQ 3.0による完全自動レベリング機能を搭載している
  • 注意点として、非常に大きな設置スペースと頑丈な台が必要である
  • 高速印刷時は大きな振動と騒音が発生するため設置場所に配慮が必要だ
  • オートレベリングの不安定さや部品の耐久性に関する悪い評判も見られる
  • サポートの評価は分かれており、ある程度の自己解決能力が求められる
  • 3Dプリンター経験者で明確な目的を持つユーザーに最適な一台と言える
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