「内蔵グラフィックスで、どこまで快適にゲームが遊べるのだろうか?」
「AMD Radeon 680Mの性能が気になるけど、具体的な実力がわからない…」
このように、ノートパソコンやミニPCに搭載されているCPU内蔵GPU(iGPU)の性能について、疑問や関心をお持ちの方は多いでしょう。
特にAMD Ryzen 6000/7000シリーズに搭載された「Radeon 680M」は、従来のiGPUの常識を覆すほどの性能を持つと話題です。
この記事では、AMD Radeon 680Mの実際の性能について、各種ベンチマークスコアや人気ゲームでのフレームレート計測結果を基に、徹底的に解説します。
ライバルとなるGPUとの性能比較や、動画編集などのクリエイティブな用途でどの程度使えるのかも明らかにしていきます。
この記事を読めば、あなたの使い方にRadeon 680Mが最適な選択肢なのか、明確に判断できるようになるはずです。
AMD Radeon 680Mの性能はどのくらい?まずは結論から
【総評】設定次第で人気ゲームも遊べる!内蔵GPUの常識を変えた革命的性能
AMD Radeon 680Mは、CPU内蔵グラフィックスとしては画期的な性能を持っています。
結論から言うと、これまで専用のグラフィックボード(dGPU)が必須だった多くの人気ゲームを、画質設定の調整次第で十分にプレイ可能です。
特に、フルHD(1920×1080)解像度であれば、軽量~中量級のゲームなら快適なフレームレートを維持できます。
この性能は、グラフィックボード非搭載の薄型ノートPCやコンパクトなミニPCでも、気軽にPCゲームを楽しみたいというニーズに応えるものであり、まさに革命的と言えるでしょう。
Radeon 680Mで「できること」「できないこと」早見表
Radeon 680Mの性能で、具体的にどのようなことが可能で、何が難しいのかを以下の表にまとめました。
| 用途 | できること(〇) | 難しいこと(△) |
|---|---|---|
| 軽量級ゲーム | 快適にプレイ可能(高設定も可) | 特になし |
| (DQ10, CS:GOなど) | ||
| 中量級ゲーム | フルHD・低~中設定でプレイ可能 | フルHD・最高設定での安定した60FPS維持 |
| (Apex, 原神, モンハンライズなど) | (平均60FPS前後) | |
| 重量級ゲーム | フルHD・最低設定で何とかプレイ可能 | フルHD・中~高設定での快適なプレイ |
| (エルデンリング, バイオRE:2など) | (平均30~40FPS程度) | |
| 超重量級ゲーム | 起動しない、またはプレイ困難 | ほぼ全ての状況で快適なプレイは不可能 |
| (サイバーパンク2077など) | ||
| 動画編集 | フルHD動画の編集 | 4K動画の本格的な編集(エフェクト多用時) |
| 普段使い | 非常に快適(オーバースペック気味) | 特になし |
| (ブラウジング, Officeなど) |
どんな人におすすめ?用途別の購入判断チャート
Radeon 680Mは、すべての人にとって最適な選択肢というわけではありません。
どのような方に特におすすめできるのか、以下にまとめます。
- 薄型ノートPCでたまにゲームを楽しみたい方:
普段は学業や仕事で使いつつ、息抜きにApex Legendsや原神などをプレイしたい場合に最適です。 - コストを抑えてPCゲーム環境を構築したい方:
高価なゲーミングPCは不要でも、ある程度のゲーム性能は欲しいというニーズにぴったりです。 - 省スペースなミニPCを求めている方:
設置場所に困らないコンパクトなPCで、ゲームや動画視聴、軽い動画編集までこなしたい方におすすめします。
一方で、最新の重量級ゲームを最高画質・高フレームレートでプレイしたい場合は、GeForce RTX 4060以上の専用グラフィックボードを搭載したゲーミングPCを選ぶべきでしょう。
一目でわかる!Radeon 680Mのスペックとベンチマークスコア
Radeon 680Mの主なスペック一覧(RDNA 2アーキテクチャ)
Radeon 680Mの性能の源泉は、ゲーミングコンソールにも採用されている最新の「RDNA 2アーキテクチャ」にあります。
これにより、旧世代の内蔵GPUとは比較にならないほどの性能向上を実現しました。
| 項目 | スペック |
|---|---|
| アーキテクチャ | RDNA 2 |
| GPUコア数 | 12 |
| シェーダー数 | 768 |
| 最大クロック周波数 | 最大 2.4GHz (CPUによる) |
| メモリ | システムメモリと共有 (DDR5/LPDDR5) |
| バス幅 | 128bit |
| 対応API | DirectX 12 Ultimate, Vulkan |
| レイトレーシング | 対応 |
3DMarkベンチマーク結果で見るグラフィックス性能
グラフィックス性能を測る定番ベンチマークソフト「3DMark」のFire Strikeスコアを見てみましょう。
このスコアは、ゲーム性能の指標となります。
HP Pavilion Aero 13-be2000での計測では、旧モデル(Radeon RX Vega 8搭載)と比較して約1.6倍ものスコア向上を記録しています。
この数値は、一世代前のエントリー向けデスクトップ用グラフィックボードである「GeForce GTX 1650 Super」や「GeForce GTX 1050 Ti」に匹敵するもので、内蔵GPUとしては驚異的な結果です。
旧世代(Vega)やIntel Iris Xeと比べてどれくらい進化した?
Radeon 680Mは、前世代のRyzenプロセッサーに搭載されていた「Radeon Vega」グラフィックスから飛躍的な進化を遂げています。
多くのゲームで約1.8倍から2倍近いフレームレートを記録しており、これまで「プレイ困難」だったタイトルが「プレイ可能」なレベルになりました。
また、競合となるIntelの「Iris Xe Graphics」と比較しても、ほとんどのゲームでRadeon 680Mが30%以上高い性能を示しており、内蔵GPUとしての優位性は明らかです。
【ゲーム別】Radeon 680Mのゲーミング性能を徹底レビュー
原神(Genshin Impact)は快適にプレイできる?画質設定と平均FPS
人気オープンワールドRPG「原神」は、Radeon 680Mで十分にプレイ可能です。
フルHD(1920×1200)解像度・低画質設定でフィールドを探索した際、平均フレームレートは約50FPSを記録しました。
目標となる60FPSには一歩届きませんが、カクつきを感じることは少なく、十分に楽しめるパフォーマンスと言えるでしょう。
Apex Legendsのフレームレートは?低画質なら60FPS以上は可能か
人気のバトルロイヤルFPS「Apex Legends」も、設定次第で快適にプレイできます。
フルHD(1920×1200)解像度・最低画質設定の射撃訓練場では、平均60FPSを達成しました。
画質は少し粗くなりますが、対戦がメインのゲームであることを考えれば、十分実用的なレベルです。
エルデンリング(ELDEN RING)は動く?最低設定でのプレイ検証
非常に高いグラフィック性能を要求される「エルデンリング」ですが、Radeon 680Mでもプレイは不可能ではありません。
フルHD解像度・最低設定であれば、平均して30FPS~40FPS程度で動作するという報告があります。
家庭用ゲーム機のような滑らかさはありませんが、「とりあえずストーリーを進めたい」という目的であれば、十分に遊べる範囲です。
FF14やモンハンライズなど、その他人気タイトルの動作目安
他の人気タイトルについても、良好な結果が得られています。
- ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ:
フルHD・標準品質(ノートPC)設定で、ベンチマークスコアは「快適」、平均61FPSを記録。 - モンスターハンターライズ:
フルHD・中画質設定でフィールドを移動した際、平均83FPSと非常に快適な動作を見せました。 - ストリートファイターV:
画質設定「中」であれば、ほぼ60FPSに張り付き、快適な対戦が可能です。
サイバーパンク2077など、重量級ゲームの限界はどこまで?
Radeon 680Mの性能は高いものの、限界も存在します。
特にグラフィック負荷が極めて高い「サイバーパンク 2077」のようなゲームでは、最低設定でも快適なプレイは困難です。
検証によっては、ゲームが起動しないという結果も報告されており、こうした超重量級タイトルを遊びたい場合は、やはり高性能な専用グラフィックボードが必要になります。
【性能比較】Radeon 680MとライバルGPU、選ぶべきはどれ?
Radeon 680M vs GeForce GTX 1650 / 1050 Ti:どちらが上?
Radeon 680Mの性能は、デスクトップ用のエントリー向けグラフィックボード「GeForce GTX 1050 Ti」とほぼ同等か、それに近いレベルです。
GeForce GTX 1650と比較すると、ゲームによってはやや劣る場合もありますが、内蔵GPUでありながらこれらの単体GPUと競える性能を持っている点は特筆すべきでしょう。
消費電力やコストを考えると、Radeon 680Mの効率の良さが際立ちます。
Radeon 680M vs Radeon 780M:後継モデルとの性能差は?
後継にあたる「Radeon 780M」は、アーキテクチャが「RDNA 3」に刷新され、さらなる性能向上を果たしています。
ベンチマークの集計結果では、Radeon 780Mは680Mに対して約80%も高いスコアを記録しており、性能差は明確です。
より高いグラフィックス性能を求めるのであれば、Radeon 780Mを搭載した最新モデルを検討する価値は十分にあります。
Radeon 680M vs Intel Iris Xe Graphics:内蔵GPU対決の勝者は?
Intel製CPUに内蔵されている「Iris Xe Graphics」は、Radeon 680Mの直接的なライバルです。
しかし、実際のゲーミング性能では、Radeon 680Mが圧倒的な差をつけています。
多くのゲームベンチマークで、Radeon 680MはIris Xe Graphicsに対して30%~50%以上高いフレームレートを記録しており、内蔵GPUでゲームをプレイするならRadeon 680M搭載モデルが明らかに優位です。
ゲームだけじゃない!動画編集などクリエイティブ用途での性能は?
フルHD動画編集はサクサク?Premiere Proでの動作感
Radeon 680Mは、ゲームだけでなく動画編集などのクリエイティブな作業もこなせます。
Adobe Premiere ProやDaVinci Resolveといったソフトを使用した場合、フルHD(1080p)解像度の動画編集であれば、カット編集やテロップ挿入、簡単なエフェクト適用といった作業は比較的スムーズに行うことが可能です。
GPUアクセラレーションが有効に働き、快適な編集環境を提供します。
4K動画編集は厳しい?実用レベルで使えるのかを検証
4K解像度の動画編集になると、Radeon 680Mの性能では少々力不足を感じる場面が出てきます。
単純なカット編集であれば可能ですが、複数のエフェクトを重ねたり、カラーグレーディングを施したりすると、プレビューがカクついたり、書き出しに時間がかかったりするでしょう。
あくまで簡易的な4K編集までが実用範囲と考えた方が良さそうです。
普段使い(ブラウジング・Office)ならオーバースペック?
Webサイトの閲覧、YouTubeなどの動画視聴、Officeソフトでの資料作成といった日常的な用途においては、Radeon 680Mの性能はオーバースペック気味です。
これらの作業はCPU性能に依存する部分が大きく、グラフィックス性能がボトルネックになることはほとんどありません。
結果として、あらゆる操作が非常にスムーズで、ストレスのない快適なPC環境を実現できます。
目的のゲームを快適に遊ぶための画質・解像度設定のコツ
フルHD(1920×1080)が基本!解像度とパフォーマンスの関係
Radeon 680Mでゲームをプレイする際の基本となる解像度は、フルHD(1920×1080)またはWUXGA(1920×1200)です。
これ以上の解像度(WQHDや4K)に設定すると、グラフィックスへの負荷が急激に高まり、フレームレートが大幅に低下するため、快適なプレイは難しくなります。
まずはフルHD解像度を基準に、画質設定を調整していくのがおすすめです。
フレームレートを稼ぐためのゲーム内おすすめ設定とは
安定したフレームレートを維持するためには、ゲーム内のグラフィック設定を調整することが不可欠です。
一般的に、以下の項目を「低」または「中」に設定することで、パフォーマンスが大きく向上します。
- シャドウ(影)
- アンチエイリアシング
- テクスチャ品質
- エフェクト品質
まずはプリセットで「低」や「中」を選び、そこから好みに合わせて個別の設定を調整していくと良いでしょう。
FSR(FidelityFX Super Resolution)は活用すべき?
FSRは、AMDが開発したアップスケーリング技術で、低い解像度でレンダリングした映像を高画質に引き伸ばすことで、フレームレートを向上させることができます。
Radeon 680Mで重量級のゲームをプレイする際には、非常に有効な手段となります。
対応しているゲームであれば、FSRを「クオリティ」や「バランス」に設定することで、画質の低下を最小限に抑えつつ、パフォーマンスを大きく改善できる可能性があります。
Radeon 680M搭載のおすすめノートPC・ミニPCと選び方の注意点
【2024年版】Radeon 680M搭載のおすすめノートパソコン3選
Radeon 680Mの性能を活かせる、バランスの取れたおすすめノートPCをいくつかご紹介します。
- HP Pavilion Aero 13-be:
1kgを切る軽さが魅力のモバイルノート。携帯性とゲーム性能を両立したい方におすすめです。 - Lenovo Yoga 770:
有機ELディスプレイを搭載した2-in-1モデル。美しい画面でゲームやコンテンツ制作を楽しめます。 - ASUS Zenbook 15 OLED:
15.6インチの大画面有機ELディスプレイを搭載。迫力ある映像でゲームをプレイしたい場合に最適です。
省スペースでパワフル!おすすめミニPCモデル
デスクスペースを有効活用したいなら、Radeon 680Mを搭載したミニPCも優れた選択肢です。
Beelink SER6 ProやGMKtec NucBox M7など、多くのメーカーから高性能なモデルが発売されています。
これらのモデルは、コンパクトながらデスクトップPCに匹敵するパフォーマンスを発揮し、リビングのテレビに接続してゲーム機のように使うことも可能です。
性能を最大限に引き出すPC選びのポイント(CPU・メモリ・冷却性能)
Radeon 680Mの性能を最大限に引き出すためには、PC選びで以下の3つのポイントに注意する必要があります。
- CPU:
Radeon 680MはRyzen 7 6800U/HSやRyzen 7 7735U/HSなどのプロセッサーに内蔵されています。これらの高性能なCPUを選ぶことが前提です。 - メモリ:
内蔵GPUはシステムメモリをビデオメモリとして共有するため、メモリの速度と容量が性能に直結します。高速なDDR5またはLPDDR5規格のメモリを、最低でも16GB搭載したモデルを選びましょう。 - 冷却性能:
高性能なCPUとGPUは発熱も大きくなります。特に薄型ノートPCやミニPCでは、冷却性能が不十分だとサーマルスロットリング(熱による性能低下)が発生します。レビューなどを参考に、冷却システムがしっかりした製品を選ぶことが重要です。
まとめ:AMD Radeon 680M 性能の完全ガイド
Radeon 680Mのメリットとデメリットを再確認
最後に、AMD Radeon 680Mのメリットとデメリットを改めて整理します。
- メリット:
- 内蔵GPUとしては非常に高いゲーム性能
- 省電力でバッテリー駆動時間に優れる
- グラボ非搭載のため、薄型・軽量なPCを実現できる
- フルHD動画編集など、クリエイティブな作業も可能
- デメリット:
- 最新の重量級ゲームを高品質でプレイするのは困難
- 性能がシステムメモリ(RAM)の速度と容量に依存する
- 専用グラフィックボード(dGPU)には性能で及ばない
外付けグラボなしで気軽にゲームを楽しみたいライトゲーマーに最適
AMD Radeon 680Mは、高価なゲーミングPCを購入するほどではないけれど、PCで気軽にゲームを楽しみたい、というライトゲーマーやカジュアルゲーマーにとって、まさに理想的な選択肢と言えます。
普段使いの快適さを損なうことなく、多くの人気タイトルをプレイできるその性能は、ノートPCやミニPCの可能性を大きく広げました。
自分のプレイスタイルや用途と照らし合わせ、最適なPC選びに役立ててください。
よくある質問(FAQ)
- Q1: Radeon 680M搭載PCでメモリは8GBでも大丈夫ですか?
- A1: おすすめできません。Radeon 680Mはシステムメモリをビデオメモリとして使用するため、8GBでは性能を十分に発揮できず、ゲームプレイ中にメモリ不足になる可能性があります。最低でも16GBを推奨します。
- Q2: Radeon 680Mと660Mの違いは何ですか?
- A2: 主な違いはGPUコア数です。Radeon 680Mは12コアですが、下位モデルのRadeon 660Mは6コアと半分になっています。これにより、グラフィックス性能には大きな差があるため、ゲーム目的であれば680M搭載モデルを選ぶべきです。
- Q3: 「U」付きと「HS」付きのCPUでは、GPU性能に違いはありますか?
- A3: 「U」シリーズは省電力重視、「HS」シリーズはパフォーマンス重視の設計です。そのため、一般的には「HS」シリーズの方が高いTDP(熱設計電力)設定になっており、持続的に高いパフォーマンスを発揮しやすい傾向があります。ただし、PCの冷却性能にも大きく左右されます。
- AMD Radeon 680MはCPU内蔵GPUとしては画期的な性能を持つ
- 多くの人気ゲームがフルHD解像度・低~中設定でプレイ可能である
- 性能はデスクトップ用のGeForce GTX 1050 Tiに匹敵する
- Apex Legendsや原神は設定次第で平均50~60FPSでのプレイが可能
- エルデンリングのような重量級ゲームも最低設定ならプレイできる範囲
- サイバーパンク2077など超重量級ゲームの快適なプレイは困難
- フルHD動画編集は可能だが、本格的な4K編集には向かない
- 競合のIntel Iris Xe Graphicsを大きく上回るゲーミング性能
- 後継のRadeon 780Mには性能で明確な差をつけられている
- 性能を最大限に引き出すにはDDR5メモリ16GB以上が必須である
