コマンドプロンプトで「adb devices」と入力したものの、肝心のデバイスが表示されず途方に暮れていませんか。
「List of devices attached」の下が空欄だったり、「unauthorized」や「offline」と表示されたりする問題は、多くの開発者やAndroidユーザーが直面する共通の課題です。
原因はUSBケーブルやスマホの設定、PCのドライバーなど多岐にわたるため、どこから手をつけていいか分からなくなりがちです。
この記事では、adb devicesで認識しない原因を一つずつ切り分け、誰でも試せる基本的なチェックリストから、Windows 11/10、Mac、UbuntuといったOS別の専門的な対処法、エラーメッセージごとの具体的な解決策まで、網羅的に解説します。
この記事を最後まで読めば、あなたの環境で発生している問題の根本原因を特定し、スムーズにADB接続を確立できるようになるでしょう。
「adb devices」で認識しない?まず試すべき5つの基本チェックリスト
ADB接続がうまくいかない時、原因は意外と単純なことかもしれません。
専門的な対処法を試す前に、まずは基本となる5つの項目を確認してみてください。
多くの場合、これらの基本的な見直しだけで問題は解決します。
チェック1:そのUSBケーブル、データ転送用ですか?充電専用ケーブルとの見分け方
まず、PCとAndroid端末を接続しているUSBケーブルが「データ転送」に対応しているか確認してください。
安価なケーブルの中には、充電機能しか持たない「充電専用ケーブル」が存在し、これを使用しているとPCはデバイスを認識できません。
見分ける最も簡単な方法は、PCに接続した際にスマートフォンの通知欄を確認することです。
通知に「ファイル転送」や「MTP」といった選択肢が表示されれば、そのケーブルはデータ転送に対応しています。
もし「充電のみ」としか表示されない場合は、充電専用ケーブルの可能性が高いでしょう。
確実なのは、スマートフォン購入時に付属していた純正のUSBケーブルを使用することです。
チェック2:USBデバッグは本当にオン?開発者向けオプションを再確認する手順
ADB接続を利用するための大前提として、Android端末側で「USBデバッグ」が有効になっている必要があります。
設定したつもりでも、何かの拍子にオフになっている可能性も考えられます。
まず、「設定」アプリから「開発者向けオプション」の項目を探し、その中の「USBデバッグ」のスイッチがオンになっていることを改めて確認しましょう。
もし「開発者向けオプション」自体が見当たらない場合は、後述する方法で有効化してください。
チェック3:「USBデバッグを許可しますか?」の承認ダイアログを見逃していませんか?
初めてPCに接続してUSBデバッグを有効にすると、スマートフォン側で「USBデバッグを許可しますか?」というポップアップが表示されます。
このダイアログで「OK」または「許可」をタップしない限り、ADB接続は「unauthorized(未承認)」状態となり、デバイスとして認識されません。
画面ロックを解除した状態でケーブルを接続し、このダイアログが表示されるか確認してください。
もし見逃してしまった場合は、一度USBケーブルを抜き、再度接続し直すと表示されることがあります。
チェック4:PCのUSBポートは正常?別のポートに接続してみる
問題がPC側にある可能性も考えられます。
使用しているUSBポートの不調や、USBハブを経由していることによる電力不足・通信不安定が原因で、デバイスを正しく認識できない場合があります。
一度、別のUSBポートにケーブルを差し替えてみてください。
特に、USBハブを使用している場合は、PC本体に直接接続することで問題が解決することがよくあります。
デスクトップPCの場合は、前面ポートではなく、マザーボードに直結している背面のUSBポートを試すことも有効な手段です。
チェック5:スマホのUSB設定が「ファイル転送(MTP)」になっているか確認する方法
USBケーブルを接続すると、Android端末の通知領域にUSBの接続モードを選択するオプションが表示されます。
この設定が「充電のみ」になっていると、ADBはデバイスを認識できません。
通知をタップし、接続モードを「ファイル転送」または「MTP(Media Transfer Protocol)」に変更してください。
この設定に変更することで、PCがデバイスをストレージとしてだけでなく、デバッグ対象としても認識できるようになります。
【Androidスマホ側】ADB接続がうまくいかない時の設定見直しガイド

基本的なチェック項目で解決しない場合、次はAndroid端末側の設定をもう少し詳しく見直してみましょう。
開発者向けオプションに関連する設定が、ADB接続の成否を左右することがよくあります。
そもそも開発者向けオプションは有効?有効化する手順を解説
USBデバッグをオンにするためには、まず「開発者向けオプション」という隠しメニューを有効化する必要があります。
このメニューが表示されていない場合、以下の手順で有効化してください。
- スマートフォンの「設定」アプリを開きます。
- メニューの一番下にある「デバイス情報」や「タブレット情報」をタップします。
- 「ソフトウェア情報」などの項目に進み、「ビルド番号」という項目を見つけます。
- 「ビルド番号」を7回連続でタップします。
- 「これでデベロッパーになりました!」というメッセージが表示されれば成功です。
この操作により、「設定」メニュー内に「開発者向けオプション」が表示されるようになります。
USBデバッグの許可を一度リセット(取り消し)して再接続する方法
過去に接続許可のダイアログで誤って「キャンセル」を押したり、「常にこのパソコンからの接続を許可する」のチェックを外してしまったりした場合、PCの情報が正しく保存されていない可能性があります。
このような場合は、一度デバッグ許可の設定をリセットするのが効果的です。
「開発者向けオプション」の中にある「USBデバッグ許可の取り消し」や「デバッグ認証をすべて取り消す」といった項目をタップしてください。
その後、再度USBケーブルを接続し直すと、新品のPCに接続した時と同じように「USBデバッグを許可しますか?」のダイアログが表示されるはずです。
「デフォルトのUSB設定」を確認・変更する
一部のAndroid端末では、「開発者向けオプション」内に「デフォルトのUSB設定」という項目があります。
この設定をあらかじめ「ファイル転送」に指定しておくことで、USBケーブルを接続するたびに手動でモードを切り替える手間を省き、接続を安定させることができます。
毎回接続モードの選択を求められて面倒に感じている場合や、接続が不安定な場合に、この設定を見直してみると良いでしょう。
【PC側】OS別!ADBデバイスが認識しない主な原因とドライバー問題の解決策

スマートフォン側の設定に問題がない場合、原因はPC側、特にデバイスドライバーにある可能性が高いです。
お使いのOS(Windows, Mac, Ubuntu)ごとに、適切な対処法が異なります。
Windows 11 / 10で認識しない場合の対処法(Google USB Driverのインストール・更新)
WindowsでADBデバイスが認識されない最大の原因は、適切なUSBドライバーがインストールされていないことです。
この問題を解決するには、Googleが提供する公式の「Google USB Driver」をインストールまたは更新する必要があります。
まず、デバイスマネージャーを開き、「ほかのデバイス」や「Android Device」といった項目に、感嘆符(!)マークが付いた不明なデバイスがないか確認してください。
もし該当するデバイスがあれば、それを右クリックして「ドライバーの更新」を選択し、手動でダウンロードしたGoogle USB Driverのフォルダを指定してインストールします。
ドライバーはAndroid StudioのSDK Managerから入手するのが最も安全で簡単です。
Macで認識しない場合の対処法(ターミナルの権限と設定の確認)
Macは通常、特別なドライバーを必要とせずに多くのAndroidデバイスを認識しますが、それでもうまくいかない場合があります。
まず、Android File Transferなどの他のAndroid関連アプリが起動していないか確認してください。
これらのアプリがADB接続を妨害することがあります。
また、ターミナルで ~/.android/adb_usb.ini という設定ファイルに、デバイスのベンダーIDを追記することで認識されるようになるケースもあります。
ベンダーIDは、「このMacについて」→「システムレポート」→「USB」から確認できます。
Ubuntu (Linux) で認識しない場合の対処法(udevルールの設定方法)
UbuntuをはじめとするLinux環境では、USBデバイスへのアクセス権限が原因でADBがデバイスを認識できないことがよくあります。
この問題を解決するには、「udevルール」を設定する必要があります。
まず、lsusb コマンドで接続されているデバイスのベンダーIDを調べます。
次に、/etc/udev/rules.d/ ディレクトリに、そのベンダーIDを記述したルールファイル(例: 51-android.rules)を作成します。
ファイルを作成後、udevサービスを再読み込みし、ユーザーをplugdevグループに追加することで、一般ユーザーでもADB接続が可能になります。
効果てきめん!ADBサーバーを強制的に再起動するコマンド(adb kill-server)
ADBのプロセス(サーバー)が不安定になったり、フリーズしたりして、デバイスを正しく認識できなくなることがあります。
このような状況では、ADBサーバーを一度完全に停止させてから再起動するのが非常に効果的です。
コマンドプロンプトやターミナルで、以下の2つのコマンドを順番に実行してください。
adb kill-server(ADBサーバーを停止します)adb start-server(ADBサーバーを再起動します)
この操作の後、再度 adb devices を実行すると、正常にデバイスが認識されることが多くあります。
表示されるエラーメッセージから原因を特定!状況別のトラブル解決法

adb devicesコマンドの実行結果に表示されるメッセージは、問題解決のための重要なヒントです。
表示されるステータスに応じて、原因と対処法を切り分けましょう。
デバイス名の横に「unauthorized」と表示される原因と解決策
「unauthorized」というステータスは、PCからのUSBデバッグ接続がスマートフォン側で許可されていないことを意味します。
これは、セキュリティ上の仕組みであり、知らないPCから勝手に操作されるのを防ぐためのものです。
解決策は非常にシンプルで、スマートフォンの画面に表示されている「USBデバッグを許可しますか?」というダイアログで、「このパソコンからのUSBデバッグを常に許可する」にチェックを入れて「OK」をタップするだけです。
もしダイアログが表示されない場合は、前述の「USBデバッグの許可を一度リセット」する方法を試してください。
デバイス名の横に「offline」と表示される原因と解決策
「offline」と表示される場合、PCはデバイスの存在を認識しているものの、通信が正常に行えない不安定な状態にあることを示しています。
この原因は多岐にわたりますが、USBケーブルの接触不良や、ADBサーバーの不調、PCのUSBポートの問題などが考えられます。
まずは、USBケーブルを抜き差ししたり、別のポートに接続し直したりしてみてください。
それでも改善しない場合は、前述の adb kill-server と adb start-server コマンドを実行してADBサーバーを再起動するのが有効です。
「device not found」または「no devices/emulators found」と表示される場合
これらのメッセージは、ADBが接続されている物理デバイスやエミュレーターを一切見つけられなかったことを意味します。
adb devicesコマンドでデバイス一覧が空欄になるのと同じ状況です。
原因は、これまで解説してきたUSBケーブルの問題、USBデバッグがオフになっている、ドライバーがインストールされていない、など物理的または設定上の根本的な問題である可能性が高いです。
最初の「基本チェックリスト」から一つずつ見直していく必要があります。
「’adb’は内部コマンドまたは外部コマンドとして認識されていません」と表示される時の対処法
このエラーメッセージは、ADB接続の問題以前に、PCが adb というコマンド自体を見つけられていない状態を示しています。
これは、ADB(Android SDK Platform-Tools)のパスが、システムの環境変数に設定されていないことが原因です。
解決するには、Platform-Toolsがインストールされているフォルダのパス(例: C:\platform-tools)をコピーし、システムのプロパティから環境変数の「Path」に追加する必要があります。
設定後、コマンドプロンプトを再起動すれば adb コマンドが実行できるようになります。
【上級編】基本を試しても認識しない…考えられる原因と最終チェック項目
基本的な対処法をすべて試しても問題が解決しない場合、より深い階層に原因が隠れている可能性があります。
ここでは、少し専門的な視点からのチェック項目を紹介します。
ADB Platform-Toolsのバージョンが古くないか確認・更新する方法
使用しているADBのバージョンが古いと、新しいバージョンのAndroid OSを搭載したデバイスを正しく認識できないことがあります。
Androidの開発は日進月歩であり、ADBもそれに合わせて更新されています。
コマンドプロンプトで adb --version を実行して現在のバージョンを確認し、Android Developersの公式サイトから最新のPlatform-Toolsをダウンロードして差し替えることを検討してください。
特に、長期間同じ開発環境を使い続けている場合は、この見直しが有効です。
PCのセキュリティソフトや常駐アプリが接続を妨害していないか?
PCにインストールされているセキュリティソフト(ウイルス対策ソフト)や、特定のメーカー製PCにプリインストールされている管理ツールなどが、USB経由の通信を監視・ブロックしていることがあります。
これにより、ADBの通信が妨害され、デバイスを認識できなくなるケースがあります。
問題の切り分けとして、一時的にセキュリティソフトを無効にしてからADB接続を試してみてください。
もしこれで接続できるなら、セキュリティソフトの設定でADB関連のプロセスを除外リストに追加する必要があります。
特定のスマホ機種で発生しやすい問題と注意点(Samsung/Galaxy, Xiaomi, Huaweiなど)
一部のスマートフォンメーカーは、独自にカスタマイズしたAndroid OSや専用のPC連携ソフトを提供しており、それが標準のADB接続と競合することがあります。
例えば、Samsungの「Smart Switch」、Huaweiの「HiSuite」などがそれに該当します。
これらのソフトがPCにインストールされている場合は、一度完全に終了させるか、アンインストールを試してみてください。
また、Xiaomi端末では「MIUI最適化」をオフにする、OnePlus端末では追加のUSB設定が必要になるなど、メーカー固有の設定が求められる場合もあります。
複数のAndroidデバイス接続時に特定の端末を認識しない問題
複数のAndroidデバイスやエミュレーターを同時にPCへ接続している場合、ADBが混乱して特定のデバイスを認識できなくなることがあります。
まずは、接続したいデバイス以外のUSBケーブルをすべて抜き、1台だけの状態で adb devices を実行して認識されるか確認してください。
もし複数台を同時に操作したい場合は、-s <デバイスID> オプションを使って、コマンドを実行する対象のデバイスを明示的に指定する必要があります。
ADB接続に関するよくある質問(FAQ)
ここでは、ADB接続に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
そもそも「adb devices」コマンドとは何ですか?
「adb devices」は、Android Debug Bridge(ADB)ツールの一部で、現在PCに接続され、ADBによって認識されているAndroidデバイスおよびエミュレーターの一覧を表示するための基本的なコマンドです。
このコマンドを実行することで、デバイスとの接続が正常に確立されているかを最初に確認します。
Google USB Driverはどこからダウンロードすれば安全ですか?
Google USB Driverは、Googleが開発者向けに提供している公式サイト「Android Developers」からダウンロードするのが最も安全かつ確実です。
または、Android Studioに付属の「SDK Manager」を通じてインストール・管理する方法も推奨されています。
信頼性の低い第三者のサイトからのダウンロードは、マルウェアのリスクがあるため避けるべきです。
USBケーブルなしでADB接続(ワイヤレスデバッグ)する方法はありますか?
はい、可能です。
Android 11以降では、開発者向けオプションに「ワイヤレスデバッグ」という機能が搭載されています。
これを有効にすることで、同一のWi-Fiネットワークに接続しているPCとスマートフォンを、USBケーブルなしでADB接続できます。
ただし、初回設定時や、より安定した接続が求められる場面では、依然としてUSBケーブル経由での接続が基本となります。
まとめ:adb devicesで認識しない問題の解決
adb devicesでデバイスが認識されない問題は、焦らず一つずつ原因を切り分けることが解決への近道です。
本記事で解説したチェック項目を参考に、あなたの環境に合った対処法を見つけてください。
- まずUSBケーブルがデータ転送用かを確認する
- Android端末のUSBデバッグが有効になっているか再確認する
- PCからのUSBデバッグ接続許可ダイアログを承認しているか確認する
- Windows環境ではGoogle USB Driverのインストールが不可欠である
- MacやLinuxでは専用ドライバー不要だが権限やudevルールの設定が必要な場合がある
- 「unauthorized」はスマホ側の接続許可がされていない状態を示す
- 「offline」は接続が不安定な状態でありケーブルやポートの見直しが有効である
- ADBサーバーが不調な場合は「adb kill-server」コマンドで再起動する
- PCの環境変数にADBのパスが通っていないとコマンド自体が実行できない
- 問題の原因がスマホ側かPC側かを methodical に切り分けて考えることが重要である
