Nintendo Switch 2(Switch2)を手に入れ、PCの大画面でゲームを楽しみたい、あるいは配信や録画を行いたいと考えている方は多いのではないでしょうか。
しかし、手持ちのケーブルでノートPCに接続しても画面が映らなかったり、必要な機材が分からずに困ってしまうケースが少なくありません。
この記事では、Switch2とPCを正しく接続するための手順から、推奨される機材、そして「画面が映らない」「音が出ない」といったよくあるトラブルの解決策までを網羅的に解説します。
正しい接続方法と設定を理解し、快適なSwitch2のPCプレイ環境を構築しましょう。
Switch2はPCに直接ケーブルで接続して映せるのか?
Switch2の映像をPCに表示させたいと考えたとき、多くの方が最初に試そうとするのが、USB-CケーブルやHDMIケーブルを使った直接接続です。
しかし、一般的なPC環境において、ケーブル一本で接続するだけではゲーム画面を映すことはできません。
ここでは、なぜ直接接続では映らないのか、その理由と検証結果について解説します。
結論:USB-CやHDMIの直結ではノートPCに映らない理由
結論から申し上げますと、一般的なノートPCやデスクトップPCに、Switch2をHDMIケーブルで直接繋いでも画面は映りません。
その理由は、PCに搭載されているHDMI端子のほとんどが「出力専用」だからです。
PCのHDMI端子は、PCの画面を別のモニターやプロジェクターに映し出すために設計されています。
そのため、外部からの映像信号を受け取る「入力」の機能を持っていないのです。
一部の特殊なノートPCを除き、物理的にケーブルが刺さったとしても、PC側で映像を受け取ることはできません。
検証結果:Switch2のUSB-Cポートからの映像出力は不可(ドック必須)
Switch2にはUSB Type-Cポートが搭載されていますが、このポートから変換ケーブル等を使って直接映像を出力することは、現時点ではできない仕様となっています。
USB-Cケーブル一本で外部モニターに出力できる「DisplayPort Alt Mode」に対応したデバイスもありますが、Switch2に関しては、ドックを経由しない接続では映像信号が出力されません。
これは、映像出力を行うためにドック側での認証や、ACアダプターからの十分な電力供給が必要となるためと考えられます。
したがって、PCに映像を取り込むためには、必ず「純正ドック」を使用し、そこからHDMIケーブルで出力する必要があります。
PCでSwitch2をプレイするには「キャプチャーボード」が必須な理由
前述の通り、PCのHDMI端子は映像を入力することができません。
そこで必要になるのが「キャプチャーボード(ビデオキャプチャカード)」と呼ばれる周辺機器です。
キャプチャーボードは、Switch2から出力されたHDMIの映像信号を、PCが理解できるデジタルデータ(USB信号など)に変換する役割を担っています。
この機器をPCとSwitch2の間に接続することで初めて、PCの画面上にゲーム映像を表示(キャプチャ)したり、録画・配信を行ったりすることが可能になります。
PCでSwitch2を遊ぶためには、このキャプチャーボードが必須アイテムとなります。
【図解】Switch2をPCに接続して遊ぶための必要機材と準備
Switch2の映像をPCに取り込むためには、正しい機材を揃えることがスタートラインです。
特にSwitch2は前世代機よりも映像性能が向上しているため、その性能を活かすための機材選びが重要になります。
ここでは、接続に必要なアイテムと、選び方のポイントについて解説します。
必須アイテム:Switch2本体、純正ドック、HDMIケーブル、キャプチャーボード
Switch2をPCに接続するために最低限必要な機材は以下の通りです。
- Switch2本体: ゲーム機本体です。
- 純正ドック: 映像出力を行うために必須です。
- ACアダプター: ドックに電力を供給するために必要です。必ず純正品を使用してください。
- HDMIケーブル: ドックとキャプチャーボードを接続するために1本必要です。
- キャプチャーボード: 映像をPCに取り込むための機器です。USBケーブルが付属していることが一般的です。
- PC(パソコン): 映像を表示・録画するためのPCです。
- PCモニター(推奨): 遅延なくゲームをプレイするために、パススルー機能を使う場合は別途モニターが必要です。
これらの機材が全て揃って初めて、PCへの接続が可能になります。
推奨スペック:Switch2の4K・120fps性能を引き出すキャプチャーボードの選び方
Switch2は、4K解像度や最大120fpsの高フレームレート表示、HDR(ハイダイナミックレンジ)に対応しています。
この高い映像美や滑らかな動きを損なわずにPCで楽しむためには、キャプチャーボードのスペックもそれに見合ったものを選ぶ必要があります。
具体的には、以下のスペックを持つ製品が推奨されます。
- パススルー出力: 4K60fps または 1080p120fps 以上に対応していること。
- 録画解像度: 少なくとも1080p60fps以上、画質にこだわるなら4K録画対応モデル。
- 接続インターフェース: 高速なデータ転送が可能なUSB 3.0(USB 3.2 Gen1)以上。
特にFPSやアクションゲームをプレイする場合は、120fpsのパススルーに対応しているかどうかを確認することが重要です。
注意点:安価なUSB2.0接続製品と有名メーカー(Elgato/AVerMedia)の違い
市場には数千円で購入できる安価なキャプチャーボードも多数存在しますが、これらは「USB 2.0」接続であることが多く、性能に限界があります。
USB 2.0接続の製品はデータ転送速度が遅いため、高画質な映像をそのまま送ることができず、画質を落として圧縮(MJPEGなど)して転送します。
その結果、画質が粗くなったり、操作してから画面が動くまでの「遅延」が大きくなったりすることがあります。
一方、ElgatoやAVerMediaといった有名メーカーの製品は、USB 3.0以上を採用しており、高画質かつ低遅延での表示が可能です。
快適にゲームをプレイしたい、きれいな画質で配信したいという場合は、信頼できるメーカーの製品を選ぶことを強くお勧めします。
Switch2をパソコンに映す手順と設定方法(OBS Studio編)
機材が揃ったら、実際に接続してPC画面に映像を表示させましょう。
ここでは、最も一般的な配信ソフトである「OBS Studio」を使用した設定手順を解説します。
ハードウェアの接続からソフトウェアの設定まで、順を追って進めてください。
ハードウェア接続:ドック・キャプチャーボード・PCの正しいつなぎ方
まずは物理的なケーブルの接続を行います。
以下の手順で接続してください。
- Switch2本体を純正ドックにセットします。
- 純正ACアダプターをドックの「AC ADAPTER」端子に接続し、コンセントに挿します。
- HDMIケーブルの一方をドックの「HDMI OUT」端子に接続します。
- HDMIケーブルのもう一方を、キャプチャーボードの「HDMI IN(入力)」端子に接続します。
- ※「HDMI OUT」に接続しないよう注意してください。
- キャプチャーボードとPCを、付属のUSBケーブルで接続します。
- ※PC側は必ず青色の「USB 3.0」ポートに接続してください。
これでハードウェアの準備は完了です。
ソフトウェア設定:OBSでSwitch2の映像を表示させる手順
次に、PC上でOBS Studioを起動し、映像を表示させる設定を行います。
- OBS Studioを起動し、「ソース」ウィンドウの下にある「+」ボタンをクリックします。
- メニューから「映像キャプチャデバイス」を選択します。
- 新規作成で適当な名前(例:Switch2)を入力し、「OK」をクリックします。
- プロパティ画面が開くので、「デバイス」の項目から接続したキャプチャーボードの名前を選択します。
- Switch2の電源を入れると、プレビュー画面にゲーム映像が表示されます。
- 解像度やフレームレートの設定が必要な場合は、「解像度/FPSタイプ」を「カスタム」に変更し、適切な値(例:1920×1080、60fpsなど)を選択して「OK」をクリックします。
これでPC画面上にSwitch2の映像が表示されるはずです。
遅延対策:アクションゲームを快適に遊ぶためのパススルー機能とは
OBSのプレビュー画面に映っている映像は、PCで処理を行っているため、実際の操作からわずかな「遅延(ラグ)」が発生します。
RPGなどでは気にならないレベルかもしれませんが、スマブラやスプラトゥーンなどのアクションゲームでは、この遅延がプレイに支障をきたすことがあります。
そこで活用したいのが「パススルー機能」です。
キャプチャーボードの「HDMI OUT」端子と、別のテレビやモニターをHDMIケーブルで接続することで、遅延のない映像をそのモニターに映し出すことができます。
プレイ自体はパススルー先のモニターを見ながら行い、OBS側の映像は録画や配信に使用する、という使い分けが、快適なプレイ環境の基本となります。
トラブル解決:Switch2の音がPCから出ない・聞こえない時の対処法
映像は映ったけれど、「ゲームの音が聞こえない」「配信に乗らない」というトラブルは非常に多く発生します。
Switch2の仕様やキャプチャーボードとの相性が原因となることが多いです。
ここでは、音声トラブルの代表的な原因と解決策を紹介します。
原因と対策①:Switch2本体の「テレビのサウンド」設定をステレオに固定する
Switch2を高機能なキャプチャーボードに接続した際、自動的に「サラウンド(5.1chなど)」で音声が出力されることがあります。
しかし、多くのキャプチャーボードや配信ソフトは2chステレオ入力にしか対応していないため、サラウンド音声の一部しか取り込めず、結果として音が聞こえなくなったり、セリフだけ聞こえなかったりする現象が起きます。
これを防ぐためには、Switch2本体の設定を変更します。
Switch2のホーム画面から「設定」→「テレビ出力」→「テレビのサウンド」と進み、設定を「自動」や「サラウンド」から「ステレオ」に変更して固定してください。
原因と対策②:OBSの「音声モニタリング」設定をオンにする方法
OBSに映像と音声が入力されていても、初期設定ではPCのスピーカーやヘッドホンから音が出ない仕様になっています(配信には乗っています)。
PCでゲーム音を聞きながらプレイしたい場合は、以下の設定が必要です。
- OBSの「音声ミキサー」にある、Switch2の映像キャプチャデバイスの歯車アイコンをクリックします。
- 「オーディオの詳細プロパティ」を選択します。
- 該当デバイスの「音声モニタリング」の項目を、「モニターオフ」から「モニターと出力」に変更します。
これで、PCに接続したヘッドホンやスピーカーからゲーム音が聞こえるようになります。
特定のキャプチャーボード(UGREEN等)で発生するEDIDと音声出力の不具合
一部の安価なキャプチャーボード(UGREEN製など)では、接続機器の情報を正しく伝える機能(EDID)が不十分な場合があります。
このため、Switch2側が接続先を「音声に対応していないデバイス」と誤認したり、意図しないサラウンド信号を送り続けたりして、音が出なくなることがあります。
この問題の対策としては、前述の「ステレオ固定」が有効ですが、それでも解決しない場合は、間に「EDID保持機能付きのHDMI分配器」や「EDIDエミュレーター」を挟むことで改善するケースがあります。
機材の相性問題が発生しやすいポイントですので、キャプチャーボード選びの際は注意が必要です。
トラブル解決:Switch2の画面がPCモニターに映らない・真っ暗な場合
すべて接続したはずなのに画面が真っ暗なまま、あるいは「No Signal」と表示される場合のチェックポイントを解説します。
単純な接続ミスから、著作権保護機能の干渉まで、いくつかの原因が考えられます。
接続ポートの確認:USB3.0ポートに正しく接続されているか
USB 3.0対応のキャプチャーボードを使用している場合、PC側のUSB 2.0ポートに接続すると、電力不足や帯域不足で動作しないことがあります。
PCのUSBポートの中を覗いて、端子が青色になっているポート(USB 3.0/3.1/3.2)に接続されているか確認してください。
また、USBハブを経由している場合も動作が不安定になりやすいため、PC本体のポートに直接接続することをお勧めします。
HDCP(コピーガード)や他ソフトの干渉を確認する
Switch2自体はゲームプレイ時のHDCP(不正コピー防止技術)はオフになっていますが、YouTubeなどの動画アプリを開くとHDCPがオンになり、映像が映らなくなることがあります。
ゲーム画面だけが映らない場合は、一度Switch2を再起動してみてください。
また、PC上でカメラアプリや、他のキャプチャーソフト(Discordの画面共有設定など)がキャプチャーボードを既に使用していると、OBS側で映像を取得できません。
他のアプリを完全に終了させてから、OBSを再起動してみてください。
Switch2が「TVモード」として認識されているか(純正ACアダプタの使用)
Switch2が映像を出力するためには、ドックに十分な電力が供給され、「TVモード」として動作している必要があります。
スマホの充電器や、出力の低い非純正のACアダプターを使用していると、電力不足でTVモードに切り替わらず、映像が出力されません。
必ず任天堂純正のACアダプターをドックに接続して使用してください。
Switch2を「PCに映すだけ」で録画・配信しない場合の軽量な方法
「録画や配信はしないけれど、単にPCの画面でゲームを遊びたい」という場合、OBSのような多機能な配信ソフトは少し重たく感じるかもしれません。
ここでは、より手軽にPCに画面を映す方法について触れます。
OBSを使わない選択肢:PotPlayerなどで遅延を抑えて表示する方法
OBS Studio以外にも、キャプチャーボードの映像を表示できるソフトはあります。
例えば「PotPlayer」や「AmaRecTV」といった再生ソフトは、比較的動作が軽く、設定次第で遅延を抑えて表示することが可能です。
「見るだけ」であれば、Windows標準の「カメラ」アプリでも映像を表示できる場合があります(ただし機能は限定的です)。
用途に合わせて、使いやすいソフトを選択するのも一つの手です。
ノートPCをモニター代わりにするメリットとデメリット
ノートPCをモニター代わりにすることで、専用のテレビやモニターがない部屋でもSwitch2を遊べるようになります。
メリット:
- 省スペースで遊べる。
- Discordなどで通話しながら、同じヘッドホンでゲーム音を聞ける。
- PCで攻略サイトを見ながらプレイできる。
デメリット:
- キャプチャーボード経由のため、どうしてもわずかな遅延が発生する。
- PCを起動しておく必要がある。
- 高画質・高フレームレート表示にはそれなりのPCスペックが必要。
安価なキャプチャーボードでも「映すだけ」なら十分実用的か?
「とにかく映ればいい」「RPGやシミュレーションゲームしかしない」という場合であれば、2,000円〜3,000円程度の安価なUSB 2.0キャプチャーボードでも実用範囲内といえます。
画質は多少劣り、遅延も感じられますが、コストを抑えてPCに画面を取り込む手段としては有効です。
ただし、耐久性や安定性は有名メーカー製に劣る場合が多いので、あくまで「お試し」や「簡易的な用途」として割り切って使用するのが良いでしょう。
まとめ:Switch2 PC 接続完全ガイド
Switch2とPCを接続する方法と、トラブルへの対処法について解説しました。
重要なポイントをまとめます。
- Switch2はUSB-Cケーブル直結ではPCに映らないため、ドックとHDMI接続が必要。
- PCへの映像入力には「キャプチャーボード」が必須アイテムとなる。
- 快適なプレイには、パススルー機能やUSB 3.0対応のキャプチャーボードが推奨される。
- OBSなどのソフトで映像を表示し、アクションゲームをするならパススルーモニターを見る。
- 音が聞こえない場合は、Switch2本体設定を「ステレオ」にし、OBSのモニタリングをオンにする。
- 画面が映らない時は、純正ACアダプタの使用とUSB 3.0ポートへの接続を確認する。
- 「映すだけ」なら安価な製品や軽量ソフトも選択肢に入るが、画質と遅延には注意が必要。
- ノートPCをモニター化することで、省スペースかつマルチタスクなゲーム環境が実現できる。
- 自分のプレイスタイル(配信するか、遊ぶだけか)に合わせて機材を選ぶことが大切。
- 正しい知識と設定で、Switch2の高画質映像をPC環境で存分に楽しもう。
