スマホ新法なぜ施行?危険性とiPhoneへの影響をわかりやすく解説

「スマホ新法」という言葉をニュースやSNSで目にして、なぜ急にこのような法律が施行されたのか疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

2025年12月18日に施行されたこの法律は、iPhoneやAndroidといった私たちのスマートフォン環境に大きな変化をもたらすものです。

アプリが安くなるかもしれないという期待の一方で、セキュリティが低下して危険になるのではないかという不安の声も上がっています。

この記事では、スマホ新法がなぜ作られたのかという背景から、私たちユーザーにとっての具体的なメリットやデメリット、そして必要な対策までをわかりやすく解説します。

正しい知識を身につけることで、変化に惑わされず、安全かつ便利にスマホを使い続けることができるようになります。

目次

スマホ新法はなぜ作られたのか?背景にある「2強独占」の問題点

スマホ新法が施行された最大の理由は、スマートフォン市場における競争環境を健全化するためです。

これまで長年にわたり、スマホの世界は特定の巨大IT企業による支配が続いてきました。

ここでは、法律が必要とされた背景にある3つの主要な問題点について解説します。

AppleとGoogleによる市場独占(寡占)の是正が最大の目的

スマホ新法が導入された根本的な原因は、Apple(iOS)とGoogle(Android)の2社による市場の複占状態にあります。

スマートフォンの基本ソフト(OS)はこの2社がほぼ100%のシェアを握っており、他社が参入する余地がありませんでした。

この圧倒的なシェアを背景に、自社のアプリストアやブラウザを優遇し、他の事業者を排除するような動きが問題視されてきたのです。

市場の独占は、ユーザーの選択肢を奪い、サービスの質や価格競争を停滞させる要因となります。

そこで政府は、法律によって強力な規制をかけ、公正な競争環境を強制的に作り出す必要があったのです。

高額な「アプリ手数料(通称:Apple税)」を引き下げる狙い

多くのユーザーが知らない間に負担していたかもしれないのが、高額なアプリ手数料の問題です。

これまで、iPhoneアプリの開発者はApp Store以外の場所でアプリを配布することが実質的に認められていませんでした。

そのため、開発者は売上の15%から30%という決して安くない手数料をAppleやGoogleに支払う必要があったのです。

このコストは、アプリの有料料金やゲームの課金アイテムの価格に上乗せされ、最終的には私たちユーザーの負担となっていました。

スマホ新法によって競争が生まれれば、この手数料が引き下げられ、結果として消費者の利益につながることが期待されています。

新規参入を促してサービス競争とイノベーションを活性化させるため

独占状態が続くと、新しい技術やサービスが生まれにくくなるという弊害があります。

もし優れた技術を持つベンチャー企業が現れても、プラットフォーム側から不当な制限を受ければ、サービスを世に出すことすらできません。

スマホ新法は、こうした「壁」を取り払い、誰でも自由にアプリストアや決済システムを提供できるようにすることを目指しています。

多様なプレイヤーが参入し、互いに切磋琢磨することで、これまでにない革新的なサービスや便利な機能が次々と生まれる土壌を作ることが、この法律の大きな目的の一つです。

スマホ新法とは?いつから施行で何が変わるのか【わかりやすく解説】

名前は聞いたことがあっても、具体的にどのような法律なのか理解している人は少ないかもしれません。

ここでは、法律の概要と対象企業、そして日本独自のルールについて、専門用語を避けながら要点を整理します。

2025年12月18日施行!法律の正式名称と概要まとめ

この法律の正式名称は「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」といいます。

非常に長い名称ですが、通称「スマホ新法」や「スマホソフトウェア競争促進法」と呼ばれています。

2025年12月18日に全面施行され、日本のデジタル市場における歴史的な転換点となりました。

法律の骨子は、スマホのOSやアプリストアを提供する巨大IT企業に対し、競合他社のサービスを妨害することを禁じ、ユーザーが自由にサービスを選べるよう義務付けるものです。

違反した場合には、売上高の20%という非常に高額な課徴金が科される厳しい内容となっています。

規制対象となる特定ソフトウェア事業者(Apple・Google)の義務

この法律はすべてのIT企業を規制するものではありません。

規制の対象となるのは、スマホ市場で圧倒的な影響力を持つ「特定ソフトウェア事業者」に指定されたAppleとGoogleの2社(および関連会社)です。

これらの企業には、主に以下の4つの分野での開放義務が課せられています。

  1. アプリストア: 他社のアプリストアの提供を認めること
  2. OS: 他社のアプリやストアがOSの機能を十分に使えるようにすること
  3. ブラウザ: デフォルト(標準)のブラウザをユーザーが自由に変更できるようにすること
  4. 検索エンジン: 検索サービスをユーザーが自由に選べるようにすること

これらを守ることで、自社サービスへの囲い込みを防ぐ仕組みになっています。

EUの「デジタル市場法(DMA)」との違いと日本の独自ルール

海外では、欧州連合(EU)が先行して「デジタル市場法(DMA)」という同様の規制を導入しています。

しかし、日本のスマホ新法はEUの法律をそのままコピーしたわけではありません。

EUのDMAは非常に厳格で、Appleの機能制限をほとんど認めない方針をとっています。

一方で日本のスマホ新法は、セキュリティやプライバシー保護、青少年の保護といった正当な理由がある場合には、例外的に制限を認める条項が盛り込まれています。

これは、開放によってiPhoneなどがウイルスだらけになってしまうリスクを防ぐための、日本独自の安全配慮といえるでしょう。

iPhoneとAndroidで何が変わる?ユーザーへの具体的な影響

法律の目的はわかったとしても、一番気になるのは「自分のスマホがどうなるのか」という点でしょう。

iPhoneユーザーにとっては特に大きな変化があり、Androidユーザーにとっても無関係ではありません。

ここでは、利用者の目線で具体的な変更点を3つ紹介します。

iPhoneで「外部アプリストア」からのダウンロードが可能に(サイドローディング)

これまでiPhoneにアプリを入れる方法は、公式の「App Store」しかありませんでした。

しかしスマホ新法の施行により、App Store以外の場所からアプリをダウンロードすること(サイドローディング)が可能になります。

例えば、ゲーム会社が自社のWebサイトで直接アプリを配布したり、別の企業が運営する新しいアプリストアアプリが登場したりするでしょう。

これにより、App Storeの審査を通らなかったアプリや、独自の割引キャンペーンを行うアプリストアなどが利用できるようになります。

ただし、これを利用するにはユーザー自身が設定で許可を出す必要があり、勝手に外部ストアが入ってくるわけではありません。

初期設定でブラウザや検索エンジンを選べる「チョイススクリーン」の導入

スマホを新しく購入した際やOSのアップデート後に、「どのブラウザを使いますか?」という選択画面が表示されるようになります。

これを専門用語で「チョイススクリーン」と呼びます。

これまでは、iPhoneならSafari、AndroidならChromeが最初から標準として設定されていました。

今後は、この画面でMicrosoft EdgeやFirefox、Yahoo!検索など、自分が普段使いたいサービスを自分で選んで設定できるようになります。

これはAndroid 15以降や、iOS 26.2以降の端末で順次導入が進んでいます。

アプリ内課金以外の「外部決済」やWeb課金への誘導が解禁

ゲームのアイテム購入やサブスクリプションの支払い方法にも変化が現れます。

これまではApple IDやGoogleアカウントに紐付いた決済方法しか選べないことがほとんどでした。

しかし今後は、アプリ内に外部のWebサイトへ誘導するリンクを設置し、そこでクレジットカードやPayPayなどで支払うことが認められます。

ユーザーにとっては、決済の手間が少し増える場合もありますが、その分手数料が安くなり、お得にアイテムを購入できるケースが増えるでしょう。

スマホ新法のメリットは?アプリ価格と選択肢の変化

この法律によって、私たちユーザーにはどのような良いことがあるのでしょうか。

競争が促進されることによる、金銭的なメリットや利便性の向上について解説します。

手数料削減によりゲームやサブスク料金が安くなる可能性

最大のメリットは、アプリやコンテンツの価格が下がる可能性があることです。

前述の通り、開発者がプラットフォーマーに支払う手数料が安くなれば、その分をユーザーへの還元に回すことができます。

実際に、外部決済を利用することでアイテムを増量したり、月額料金を割引したりするサービスが登場し始めています。

特に毎月課金しているヘビーユーザーにとっては、長期的に見て大きな節約になるかもしれません。

独自のポイント経済圏や新サービスを利用できるチャンス拡大

決済手段が自由になることで、楽天ポイントやPayPayポイント、Vポイントといった、各社のポイント経済圏をスマホアプリ内で使いやすくなります。

「このアプリの課金でもポイントを貯めたい」「貯まったポイントで支払いたい」というニーズが満たされるようになるでしょう。

また、これまではApp Storeの厳しい規約によって実現できなかった新しいタイプのアプリやサービスが、外部ストア経由で登場する期待もあります。

自分好みのブラウザ・検索エンジンにカスタマイズしやすくなる

PCでは当たり前のように行っていた「ブラウザの使い分け」が、スマホでもより簡単になります。

「検索はGoogleよりもAI検索を使いたい」「プライバシー重視のブラウザを標準にしたい」といった個人の好みに合わせて、スマホをカスタマイズできるようになります。

自分に合ったツールを選ぶことで、日々のスマホ操作がより快適になるでしょう。

スマホ新法のデメリットと危険性「なぜ危ないと言われるのか」

メリットの裏には、必ずリスクも存在します。

特に「iPhoneは安全」という神話が崩れるのではないかと懸念する声が多く聞かれます。

ここでは、スマホ新法によって高まるセキュリティリスクについて詳しく解説します。

審査の緩い外部ストア経由でのウイルス・マルウェア感染リスク

公式のApp StoreやGoogle Playは、非常に厳しい審査基準を設けており、ウイルスや悪意のあるアプリを徹底的に排除してきました。

しかし、新しくできる外部のアプリストアが、同じレベルの安全性を確保できるとは限りません。

審査の甘いストアからアプリをダウンロードした場合、個人情報を抜き取るウイルスや、スマホを乗っ取るマルウェアに感染するリスクが高まります。

「無料」「改造版」などの甘い言葉で誘う不正アプリには、これまで以上に注意が必要です。

偽サイトへの誘導やフィッシング詐欺による個人情報流出の懸念

外部決済が解禁されると、支払いのためにアプリからWebブラウザへ移動する機会が増えます。

この仕組みを悪用し、正規の決済画面にそっくりな偽サイト(フィッシングサイト)へ誘導しようとする攻撃が増加すると予想されます。

ユーザーが気づかずにクレジットカード番号やパスワードを入力してしまうと、金銭的な被害に直結します。

アプリの画面なのか、Webの画面なのか、今アクセスしているURLは正しいのかを、常に自分自身で確認するリテラシーが求められます。

トラブル時の返金対応やサポートが「自己責任」になる可能性

これまでは、アプリでトラブルがあった場合、AppleやGoogleに連絡すれば返金対応をしてくれるケースがありました。

しかし、外部ストアや外部決済を利用してトラブルが起きた場合、AppleやGoogleはサポートしてくれません。

直接そのアプリの開発者やストア運営者とやり取りをする必要がありますが、中には連絡がつかない悪質な業者も存在するかもしれません。

自由度が高まるということは、その分「自己責任」の範囲が広がることを意味しています。

セキュリティ低下を防ぐために私たちがやるべき対策

リスクを知った上で、安全にスマホを使い続けるためにはどうすればよいのでしょうか。

決して難しい技術は必要ありません。

誰でも今日からできる、3つの基本的な対策を紹介します。

基本は公式ストア(App Store・Google Play)の利用を継続する

最も確実な安全対策は、これまで通り公式のストアを使い続けることです。

スマホ新法ができても、App StoreやGoogle Playがなくなるわけではありません。

特に理由がなければ、外部ストアには手を出さず、厳しい審査を通過した公式アプリのみを利用することをおすすめします。

「どうしてもそのアプリが必要」という場合以外は、設定で外部インストールを許可しないようにしておけば、従来通りの安全性を保てます。

ブラウザ選択画面で「よくわからない」場合はデフォルトを選択する

初期設定などでブラウザや検索エンジンの選択画面(チョイススクリーン)が表示された際、知らないサービス名が並んでいて戸惑うかもしれません。

もし、それぞれの違いや安全性がよくわからない場合は、無理に変更する必要はありません。

これまで使い慣れている「Safari」や「Chrome」、「Google検索」などをそのまま選択してください。

「なんとなく良さそう」という理由だけで、聞いたことのないブラウザを選ぶのは避けたほうが無難です。

子供や高齢者のスマホ設定とフィルタリング機能を再確認する

自分は大丈夫でも、家族が危険なアプリを入れてしまう可能性があります。

特に判断力の未熟な子供や、デジタル機器に不慣れな高齢者のスマホは注意が必要です。

iPhoneの「スクリーンタイム」やAndroidの「ファミリーリンク」などの機能を使い、勝手にアプリをインストールできないように設定を見直しましょう。

外部決済や外部ストアの利用を制限する設定が有効になっているか、今一度確認しておくことが家族を守ることにつながります。

スマホ新法に関するよくある質問(FAQ)

最後に、スマホ新法に関してユーザーが抱きやすい疑問にQ&A形式で答えます。

今まで通りiPhoneを使い続けても問題ありませんか?

はい、全く問題ありません。

スマホ新法は「選択肢を増やす」法律であり、これまでの使い方を禁止するものではありません。

ユーザーが自ら設定を変更したり、外部ストアを利用したりしない限り、使い勝手や見た目が勝手に変わることはありませんのでご安心ください。

アプリが勝手にインストールされることはありますか?

いいえ、勝手にインストールされることはありません。

外部からアプリを入れるには、ユーザーが明確に承認操作を行う必要があります。

Webサイトを見ているだけで勝手にアプリが入ったり、知らないストアが登録されたりすることはない仕組みになっています。

もしそのような警告が出たら、それは詐欺広告の可能性が高いので無視してください。

LINEやPayPayなどの主要アプリへの影響はありますか?

基本的には、これまで通りの使い方ができます。

ただし、これらのアプリが今後、手数料の安い独自の決済システムを導入する可能性はあります。

その場合、コインの購入方法などが少し変わるかもしれませんが、アプリ自体が使えなくなることはありません。

むしろ、ポイント還元などでお得に使えるようになる可能性のほうが高いと言えるでしょう。

まとめ:スマホ新法 なぜ施行されたのか要点整理

  • スマホ新法はAppleとGoogleの2強独占を是正し、競争を促すために施行された。
  • 2025年12月18日より開始され、iPhoneでの外部ストア利用などが解禁された。
  • 最大の目的はアプリ手数料の引き下げと、イノベーションの活性化である。
  • ユーザーは初期設定でブラウザや検索エンジンを自由に選べるようになる。
  • アプリの価格低下や、独自のポイント経済圏が使えるメリットがある。
  • 一方で、外部ストア経由でのウイルス感染や詐欺リスクへの警戒が必要である。
  • トラブル時のサポートが受けられない場合があり、自己責任の範囲が広がる。
  • 安全を最優先するなら、これまで通り公式ストアを利用するのが賢明である。
  • 子供や高齢者のスマホには、インストール制限などのフィルタリング設定が必須となる。
  • 「なぜ」を理解し、自分に必要な機能だけを選択して利用することが重要である。
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