TANCHJIM ORIGIN LOST MANORレビュー解説!限定版の違いと音質

TANCHJIMの10周年を飾る記念碑的モデル、ORIGIN LOST MANOR。

通常版ORIGINの高い評価を背景に、世界観と音質をさらに突き詰めたこの限定モデルは、多くのオーディオファンを魅了してやみません。

しかし、7万円を超える価格や個性的なデザインに、購入を迷っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、実機の特徴を徹底的に分析し、通常版との決定的な違いや、このモデルでしか味わえない「至高の音」について詳しく解説します。

限定生産という希少性だけでなく、そのサウンドがあなたの音楽体験をどう変えるのか、具体的なイメージを持てるようになるでしょう。

目次

TANCHJIM ORIGIN LOST MANORとは?10周年記念の「聖典」を解説

世界3000台限定!浅野てんき(Asano Tanch)コラボモデルの概要

TANCHJIM ORIGIN LOST MANORは、ブランド創立10周年を記念して作られた全世界3000台限定の特別モデルです。

最大の特徴は、TANCHJIMの公式マスコットキャラクターである「浅野てんき(Asano Tanch)」を全面的にフィーチャーしている点にあります。

単なるキャラクターグッズの域を超え、製品全体が一つの物語「LOST MANOR(失われた荘園)」として構築されています。

パッケージからイヤホン本体のデザイン、同梱される画集に至るまで、徹底した世界観の作り込みがなされており、ファンの間では製品そのものが「聖典」とも呼ばれるほどの熱量を帯びています。

発売日と価格|7万円超えでも即完売する理由とは

日本国内では2025年11月下旬頃から流通が始まり、価格はおよそ72,900円(税込)前後で販売されています。

通常版のORIGINが3万円台であることを考えると、倍以上の価格設定となっているハイエンドモデルです。

それでも発売直後から各販売店で売り切れが続出した理由は、価格差を納得させるだけの圧倒的な「物量」と「音質の進化」にあります。

コレクターズアイテムとしての希少価値はもちろんのこと、ドライバーユニットの刷新や筐体加工のグレードアップなど、コストを度外視したような設計思想がオーディオファンの所有欲を刺激しました。

スペック一覧表|DMT5 Ultraドライバーと新技術の投入

本機には、通常版とは異なる新開発のドライバー「DMT5 Ultra」が搭載されています。

このドライバーは、より強力な磁気回路と最適化された振動板を持ち、音響性能の限界を押し広げるために開発されました。

主なスペックは以下の通りです。

項目仕様
ドライバー構成10mm ダイナミック型 (DMT5 Ultra)
振動板DLCドーム + PUサスペンション複合振動板
インピーダンス16Ω
感度124dB/Vrms
再生周波数帯域2Hz – 48,000Hz
ケーブル銅銀合金ケーブル(リッツ構造・同軸)
プラグ3.5mm / 4.4mm / USB-C 交換式
歪み率0.04% @1kHz, 94dB

特筆すべきは歪み率の低さと、再生周波数帯域の広さです。

これにより、微細な音のニュアンスまで正確に描写する高い解像度を実現しています。

開封レビュー:圧倒的な世界観と豪華すぎる付属品

単なるオマケではない!100P超えの画集「LOST MANOR」とグッズ

パッケージを開封した瞬間、まず目に飛び込んでくるのはその圧倒的なボリューム感です。

中でも注目すべきは、同梱されている100ページを超えるフルカラーの画集「LOST MANOR」でしょう。

これは製品のオマケというレベルを遥かに超えており、複数のイラストレーターとアートディレクターが数ヶ月をかけて制作した本格的なアートブックです。

文字情報に頼らず絵だけで物語を語るスタイルをとっており、ユーザーはページをめくるごとに「LOST MANOR」の世界観へ深く没入することになります。

さらに、海外版や一部のセットではアクリルスタンドや缶バッジなども付属し、ファンにとってはたまらない構成となっています。

筐体デザイン|レーザー刻印とダイヤパターンの美学

イヤホン本体のデザインにも、限定版ならではの美学が貫かれています。

フェイスプレートには精緻なレーザーエングレービング技術が用いられ、浅野てんきの肖像とエンブレムが刻まれています。

光の当たり方によって立体的なダイヤパターンが浮かび上がる仕様になっており、見る角度で表情を変えるその様はまさに工芸品です。

通常版の鏡面仕上げとは異なり、サンドブラスト処理が施されたマットな質感は、落ち着いた高級感を演出しています。

付属品の質|T-APBイヤーピースと専用レザーケースの完成度

実用面での付属品のクオリティも非常に高い水準にあります。

イヤーピースには、TANCHJIM独自の「T-APB(気圧バランスイヤーピース)」が標準で付属します。

これは耳の中の気圧を調整し、長時間のリスニングでも疲れにくい装着感と、安定した音質を提供する優れたイヤーピースです。

また、収納ケースは浅野てんきデザインの専用PVCレザー製となっており、内部にはスエード調の生地が使われています。

傷防止のためのシリコン製筐体カバーまで同梱されており、メーカーの「製品を長く大切に使ってほしい」という愛情が感じられます。

TANCHJIM ORIGIN LOST MANORの音質評価|「戦闘メイド」の響きとは

音質傾向の全体像|通常版ORIGINとは異なる「ウォーム&リスニング寄り」

一聴して感じるのは、その外見の可憐さとは裏腹な、芯の太い力強いサウンドです。

通常版ORIGINがニュートラルでモニターライクな音作りだったのに対し、LOST MANORはより音楽的で情緒豊かな「ウォーム&リスニング寄り」のチューニングが施されています。

解像度は極めて高いものの、分析的になりすぎず、音楽全体の雰囲気を大切にするバランスです。

「スリムだが筋骨隆々な戦闘メイド」と評されるように、繊細さと力強さが同居した、聴き応えのある音に仕上がっています。

低音域の評価|DMT5 Ultraがもたらす深みとパンチ感

新開発ドライバー「DMT5 Ultra」の恩恵を最も感じるのが低音域です。

通常版では「軽やかですっきり」としていた低域が、LOST MANORでは明確な厚みとパンチ感を持った音へと進化しています。

特にミッドベース(中低域)のアタック感が心地よく、ドラムのキックやベースラインが力強く楽曲を下支えします。

量感は増していますが、ボワつくことはなく、タイトで制動の効いた質の高い低音です。

中音域・ボーカル|女性ボーカルの艶めかしさと「余韻」の魔術

このイヤホンの真骨頂とも言えるのが、中音域におけるボーカル表現の美しさです。

ボーカルはやや前方に定位し、非常にクリアでありながら、温かみのある艶やかな質感を伴っています。

特筆すべきは「余韻」の表現力です。

音が消え入る瞬間の微細な残響音まで丁寧に描写するため、バラードやアコースティックな楽曲では、歌い手の感情が直接伝わってくるような生々しさを感じられます。

女性ボーカルの美しさは特筆もので、息遣いまでリアルに再現します。

高音域・音場|「領域」と呼べる広い空間表現と解像度

高音域は、刺さることなくどこまでも伸びやかに響きます。

解像度は高いですが、金属的な硬さは抑えられており、滑らかで聴き疲れしない音質です。

そして、音場の広さもこのモデルの大きな魅力の一つです。

単に音が横に広がるだけでなく、上下前後を含めた立体的な空間が頭の周りに展開される感覚があります。

この「領域」とも呼べる広い音場の中で、各楽器が明確に定位し、音が重なり合っても混濁しない分離の良さを保っています。

通常版ORIGINとLOST MANORの違いを徹底比較

音質の比較|モニターライクな無印 vs 音楽的なLOST MANOR

通常版ORIGINとLOST MANORの最大の違いは、目指している音の方向性にあります。

通常版は「原音忠実」を掲げたモニターサウンドで、音の粒立ちが良く、すっきりとした見通しの良さが特徴です。

一方、LOST MANORは「音楽の楽しさ」を追求したリスニングサウンドです。

低域の量感と中域の艶が増し、全体的にリッチで濃厚な音作りになっています。

分析的に音を聴きたいなら通常版、音楽の世界に没入して楽しみたいならLOST MANORという棲み分けが明確です。

外観・素材の違い|鏡面仕上げ vs サンドブラスト&刻印

見た目においても両者は大きく異なります。

通常版はステンレスの輝きを活かした美しい鏡面仕上げで、シンプルかつ洗練されたデザインです。

対してLOST MANORは、傷が目立ちにくいサンドブラスト加工が施され、フェイスプレートには複雑なレーザー刻印とダイヤパターンがあしらわれています。

どちらも高級感がありますが、シンプルさを好むか、装飾的な美しさを好むかで評価は分かれるでしょう。

どちらを買うべき?ユーザーのタイプ別おすすめ診断

もしあなたがコストパフォーマンスを重視し、すっきりとしたモニター音が好みなら、通常版ORIGINで十分に満足できるはずです。

通常版でもその完成度は非常に高く、価格以上の価値があります。

一方で、TANCHJIMのファンであり、より濃厚でエモーショナルなサウンドを求めているなら、迷わずLOST MANORを選ぶべきです。

価格差はありますが、それに見合うだけの「体験」と「所有感」がこの限定モデルには詰まっています。

機能性と使い勝手|USB-C DSPケーブルとアプリ活用術

付属ケーブルの実力|3.5mm/4.4mm/USB-Cのプラグ交換式

LOST MANORには、非常に高品質なケーブルが標準で付属します。

このケーブルはプラグ部分が交換式になっており、3.5mmアンバランス、4.4mmバランス、そしてUSB-Cプラグの3種類が同梱されています。

これにより、DAP(デジタルオーディオプレーヤー)やスマホ、PCなど、あらゆる再生機器にこれ一本で対応可能です。

ケーブル自体の線材もグレードアップしており、太くしなやかで取り回しが良く、音質向上に大きく寄与しています。

アプリ連携とDSP機能|スマホ直挿しでも高音質化する仕組み

付属のUSB-Cプラグを使用することで、専用アプリ「TANCHJIM」との連携が可能になります。

このプラグにはDACチップとDSP(デジタル信号処理)機能が内蔵されており、アプリ経由でイコライザー設定やプリセットの変更を行えます。

設定はケーブル側のメモリに保存されるため、一度設定すればアプリが入っていないPCやゲーム機に接続しても、自分好みの音質で楽しむことができます。

スマホ直挿しでも高品位なサウンドを手軽に楽しめる点は、現代のリスニング環境に非常にマッチしています。

3種類の交換ノズルによる音質変化とチューニング

イヤホンのノズル先端部分も交換式になっており、3種類のフィルター(S/L/D)が付属します。

  • S (Standard): バランスの取れた標準的なサウンド。
  • L (Light): 高域の抜けを良くし、クリアさを強調。
  • D (Dynamic): 低域の迫力を増し、V字傾向の元気な音に。

これらのノズルを交換することで、楽曲のジャンルや好みに合わせて手軽に音質の微調整が可能です。

劇的な変化ではありませんが、自分だけのベストなバランスを探る楽しみがあります。

購入前に知っておきたい注意点とデメリット

装着感と重量|ステンレス筐体14gはずっしり重い?

本機はステンレス製の金属筐体であるため、片側約14g以上と、一般的なイヤホンに比べてかなりの重量があります。

手に持った時にはずっしりとした重みを感じますが、人間工学に基づいた優れたシェル形状により、耳に装着すると不思議と重さを感じにくい設計になっています。

とはいえ、長時間歩きながら使用する場合などは、耳への負担やズレが気になる可能性はゼロではありません。

デザインの好みが分かれる「痛イヤホン」要素について

フェイスプレートにキャラクターが刻印されているデザインは、人によっては使用する場所を選ぶかもしれません。

いわゆる「痛イヤホン」的な要素を含んでいるため、フォーマルな場や外での使用に抵抗を感じる方もいるでしょう。

ただし、デザイン自体はモノトーンでシックにまとめられており、遠目には幾何学模様のようにも見えるため、過度に目立つわけではありません。

FPSゲーム用途には向いているか?足音と環境音の分離感

音場の広さと定位の良さはゲームにも有利に働きますが、FPS(First Person Shooter)用途としては注意が必要です。

LOST MANORは低音域、特に爆発音などが含まれる帯域が豊かに鳴るため、足音のような重要な環境音が低音に埋もれてしまう可能性があります。

RPGやアクションゲームの没入感を高める用途には最適ですが、競技性の高いFPSで「勝つための音」を求める場合は、よりフラットな特性を持つ通常版ORIGINの方が適しているかもしれません。

アプリのEQで低域を抑える調整も可能ですが、基本的には音楽鑑賞に特化したチューニングと言えます。

TANCHJIM ORIGIN LOST MANORの口コミ・評判まとめ

良い口コミ|「世界観への没入感が凄い」「ボーカルが至高」

実際に購入したユーザーからは、やはりその音質と世界観に対する称賛の声が多く挙がっています。

「ボーカルの生々しさが段違いで、聴いていて鳥肌が立った」

「パッケージを開けた瞬間からの体験が特別で、価格以上の満足感がある」

「低音の質感が良く、クラシックやオーケストラを聴いた時の荘厳さが素晴らしい」

特に、中高音域の美しさと、所有欲を満たすパッケージングについては、多くのユーザーが最高評価をつけています。

悪い口コミ|「重くて疲れる」「価格が高い」「入手困難」

一方で、ネガティブな意見としては、物理的な重さと価格、入手性の悪さが挙げられます。

「音は最高だが、長時間着けていると耳が疲れてくる」

「通常版の倍以上の価格は流石に高いと感じる」

「限定品のため、欲しいと思った時には既に売り切れていた」

また、音質に関しても「モニター用途だと思って買うと、音が濃すぎてイメージと違う」といった、事前の期待とのギャップを指摘する声も見られました。

まとめ:TANCHJIM ORIGIN LOST MANORレビュー解説

TANCHJIM ORIGIN LOST MANORは、単なるイヤホンという枠を超え、メーカーの技術と情熱、そしてキャラクターへの愛が結晶化した芸術作品です。

  • 全世界3000台限定の希少な10周年記念モデルである
  • 通常版とは異なる新開発ドライバー「DMT5 Ultra」を搭載
  • 音質はウォームでリスニング寄り、低音の深みとボーカルの艶が特徴
  • 広大な音場と美しい余韻表現により、没入感の高い音楽体験が可能
  • 豪華な画集やグッズが付属し、世界観への没入感を高める
  • プラグ交換式ケーブルやアプリ連携など、機能性も非常に高い
  • ステンレス筐体はずっしりと重いが、装着感は良好
  • FPSゲームよりも、音楽鑑賞やRPGのプレイに適している
  • 通常版ORIGINとは明確に異なるキャラクターを持つ
  • 価格は高いが、唯一無二の体験を求めるなら買う価値は十分にある
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