iTunesバックアップ容量不足を解消!外付けHDDへ保存する全手順

iPhoneのデータをパソコンに保存しようとした際、iTunesで「容量不足」のエラーが表示されてしまい、バックアップが進まずに困ってしまうケースは非常に多く見られます。

パソコンのメインストレージであるCドライブは、システムやアプリケーションですでに容量が圧迫されていることが多く、近年大容量化しているiPhoneのデータをすべて保存する余裕がないことが主な原因です。

しかし、この問題は適切な手順を踏むことで確実に解決できます。

具体的には、不要なデータを整理して空き容量を確保する方法や、Windowsの「シンボリックリンク」という機能を使ってバックアップの保存先を大容量の外付けHDDやSSDに変更する方法があります。

この記事では、iTunesのバックアップ時に発生する容量不足の原因から、初心者でも実践できる基本の対処法、そしてコマンドプロンプトやターミナルを使用した保存先変更の高度なテクニックまでを網羅的に解説します。

パソコンの容量不足に悩まされることなく、大切なiPhoneのデータを安全に管理できる環境を整えましょう。

目次

iTunesバックアップで「容量不足」のエラーが出る原因とは?

iPhoneのデータ容量がPCのCドライブ空き容量を超えている

バックアップができない最大の原因は、単純にiPhoneに保存されているデータ量が、パソコンの保存先であるCドライブの空き容量を上回っていることです。

近年のiPhoneは、写真や動画の高画質化に伴い、ストレージ容量が128GB、256GB、512GB、さらには1TBと非常に大きくなっています。

一方で、多くのノートパソコンに搭載されているSSDの容量は256GBや512GB程度が主流であり、OSやアプリケーションですでに半分以上使用されていることも珍しくありません。

そのため、iPhoneのデータを丸ごと保存しようとすると、物理的にスペースが足りず、エラーが発生してしまうのです。

バックアップ作成に必要な空き容量の目安(iPhone使用量の約1.5倍?)

バックアップを成功させるためには、iPhoneの使用済みデータ容量と同じだけではなく、それ以上の空き容量がパソコン側に必要となります。

一般的には、iPhoneで使用しているデータ容量の約1.5倍程度の空き容量を確保しておくのが安全な目安と言われています。

これは、バックアップ処理中に一時ファイルが生成されたり、データの圧縮や展開などの作業領域が必要になったりするためです。

たとえば、iPhoneで100GBのデータを使用している場合、パソコン側にはギリギリ100GBではなく、150GB程度の余裕がないと、処理の途中で容量不足により中断されてしまうリスクがあります。

【Windows/Mac】PCのストレージ容量を確認する方法

まずは現在のパソコンの空き容量を正確に把握することが解決への第一歩です。

Windowsの場合は、タスクバーにあるフォルダアイコンの「エクスプローラー」を開き、左側のメニューから「PC」を選択します。

「デバイスとドライブ」の欄に「Windows(C:)」などのドライブが表示されており、ここで空き領域と合計サイズを確認できます。

Macの場合は、画面左上のAppleメニュー(リンゴマーク)から「システム設定」(または「このMacについて」)を選択し、「一般」から「ストレージ」をクリックすることで、使用状況と空き容量をグラフで確認できます。

まず試したい!PCの空き容量を今すぐ増やす3つの基本対処法

iTunesに残っている「古いバックアップデータ」を削除する手順

最も手軽で効果的な方法は、iTunesに残っている過去の不要なバックアップデータを削除することです。

過去に使っていた古いiPhoneのデータや、何ヶ月も前の古いバックアップが複数残っていると、それだけで数十GBから数百GBもの容量を無駄に消費していることがあります。

WindowsのiTunesでは、メニューバーの「編集」から「環境設定」を開き、「デバイス」タブを選択するとバックアップの一覧が表示されます。

ここで不要なバックアップを選択し、「バックアップを削除」をクリックすることで、即座にPCの空き容量を増やすことができます。

Macの場合も同様に、FinderまたはiTunes(macOSのバージョンによる)から管理画面へアクセスし、古いデータを削除可能です。

PC内の不要な一時ファイルやアプリケーションを整理・削除する

パソコンのシステム自体が抱えている不要なデータを掃除することで、バックアップ用のスペースを捻出できます。

Windowsには「ディスククリーンアップ」や「ストレージセンサー」という機能があり、これらを使用することで、一時ファイル、ゴミ箱の中身、システムログなどの不要ファイルをまとめて削除できます。

また、長期間使用していない大容量のアプリケーションやゲームをアンインストールすることも、容量確保には非常に有効です。

特に動画編集ソフトや高解像度のゲームは多くの容量を占有しているため、これらを整理するだけで数十GBの空きを作れる場合があります。

iPhone内の写真・動画を整理してバックアップサイズ自体を減らす

パソコンの容量を増やすのが難しい場合は、iPhone側のバックアップ対象データを減らすというアプローチが有効です。

iPhoneのストレージを最も圧迫しているのは、多くの場合、写真や動画データです。

不要な写真や長い動画を削除したり、それらをGoogleフォトやAmazon Photosなどのクラウドサービスへ移動させてからiPhone本体から削除したりすることで、バックアップすべきデータ総量を大幅に減らすことができます。

また、「最近削除した項目」からも完全にデータを消去することを忘れないようにしましょう。

【Windows】iTunesのバックアップ先を外付けHDD/SSDに変更する方法(シンボリックリンク)

【重要】iTunesが「Microsoft Store版」か「デスクトップ版」か確認する

iTunesのバックアップ先を変更するには、現在インストールされているiTunesの種類を特定する必要があります。

Windowsには、Apple公式サイトからインストーラーをダウンロードする「デスクトップ版」と、Microsoft Storeアプリからインストールする「Microsoft Store版(ストア版)」の2種類があり、それぞれバックアップデータの保存場所(パス)が異なります。

見分け方として、iTunesのヘルプメニューからバージョン情報を確認するか、バックアップフォルダが以下のどちらにあるかを確認してください。

デスクトップ版は通常 Users\[ユーザー名]\AppData\Roaming\Apple Computer\MobileSync\Backup に保存されます。

一方、ストア版は Users\[ユーザー名]\Apple\MobileSync\Backup に保存されることが一般的です。

このパスの違いは、後の手順で非常に重要になるため、必ず事前に確認しておきましょう。

手順1:現在のバックアップフォルダの場所を確認し、データを外付けへ移動する

まずは、現在Cドライブにあるバックアップフォルダを見つけ出し、それを保存先としたい外付けHDDやSSDへ移動させます。

エクスプローラーのアドレスバーに %APPDATA% と入力してEnterキーを押すと、デスクトップ版の保存場所に近いフォルダへアクセスできます。

そこから Apple Computer > MobileSync と進むと Backup というフォルダが見つかります(ストア版の場合は、ユーザーフォルダ直下の Apple > MobileSync を探してください)。

この Backup フォルダを、外付けドライブ(例:DドライブやEドライブ)の中に作成した新しいフォルダ(例:D:\iTunesBackup)へ移動、またはコピーします。

移動が完了したら、元のCドライブにある Backup フォルダは、名前を Backup_Old などに変更するか、バックアップがあることを確認した上で削除し、その場所に Backup フォルダが無い状態にします。

手順2:コマンドプロンプトを「管理者権限」で起動する

フォルダの移動ができたら、Windowsに「ここにあったフォルダはあちらに移動しました」と認識させるためのリンク機能を使用します。

この操作には「コマンドプロンプト」というツールを使用しますが、必ず「管理者権限」で実行する必要があります。

Windowsの検索ボックスに「cmd」または「コマンドプロンプト」と入力し、表示された検索結果を右クリックして「管理者として実行」を選択してください。

黒い画面が表示され、左上に「管理者:コマンドプロンプト」と表示されていれば準備完了です。

手順3:mklinkコマンドを入力して「シンボリックリンク」を作成する

コマンドプロンプトで、Windowsの「シンボリックリンク」を作成するコマンド mklink /d を入力します。

構文は mklink /d "元の場所のパス" "新しい保存先のパス" となります。

例えば、デスクトップ版iTunesで、ユーザー名が「User」、移動先が「D:\iTunesBackup」の場合、以下のようなコマンドになります。

mklink /d "C:\Users\User\AppData\Roaming\Apple Computer\MobileSync\Backup" "D:\iTunesBackup"

それぞれのパスは、スペースが含まれる場合のエラーを防ぐために、ダブルクォーテーション(””)で囲むことを推奨します。

コマンドを入力してEnterキーを押し、「シンボリックリンクが作成されました」というメッセージが表示されれば成功です。

手順4:バックアップが外付けドライブに作成されるかテストする

リンクの作成が成功したかどうかを実際に確認します。

元の場所(MobileSyncフォルダ内)を見ると、矢印のついたショートカットのようなアイコンの Backup フォルダが作成されているはずです。

これをダブルクリックして開き、外付けドライブの中身が表示されればリンクは正常に機能しています。

最後にiTunesを起動してバックアップを実行し、エラーが出ずに外付けドライブへデータが書き込まれていくかを確認してください。

シンボリックリンク作成で「アクセスが拒否されました」と出る場合の対処法

コマンド実行時に「アクセスが拒否されました」や「既に存在するファイルを作成することはできません」というエラーが出ることがあります。

これは、元の場所にまだ Backup フォルダが残っていることが主な原因です。

シンボリックリンクは「何もない場所」に「偽の入り口」を作る機能であるため、元の場所に実体のフォルダが存在していると作成できません。

元の Backup フォルダを確実に削除するか、リネーム(名前変更)してから、再度コマンドを実行してください。

また、コマンドプロンプトが管理者権限で起動されていない場合もアクセスが拒否されるため、起動方法を再確認しましょう。

【Mac】iPhoneのバックアップ先を外付けHDD/SSDに変更する方法

Macのターミナルを使ってシンボリックリンクを作成する手順

Macの場合もWindowsと同様に、シンボリックリンクを使って保存先を変更できます。

まず、Finderの「移動」メニューから「フォルダへ移動」を選択し、~/Library/Application Support/MobileSync/Backup/ へアクセスして、既存のバックアップフォルダを外付けドライブへ移動(コピー)します。

その後、元の場所にあるフォルダを削除またはリネームします。

次に「ターミナル」アプリを起動し、以下の構文でコマンドを入力します。

ln -s "新しい保存先のパス" "元の場所のパス"

Windowsとは記述順序が逆(実体パスが先、リンクパスが後)である点に注意してください。

コマンドを実行し、元のMobileSyncフォルダ内に矢印付きのBackupフォルダアイコンが表示されれば成功です。

macOSの「フルディスクアクセス」設定が必要なケースと対処法

最新のmacOSでは、セキュリティ機能が強化されており、ターミナルからの操作がブロックされることがあります。

「Operation not permitted」などのエラーが出る場合は、システム設定の「プライバシーとセキュリティ」から「フルディスクアクセス」を開き、「ターミナル」アプリを追加して許可を与える必要があります。

この設定を行うことで、ターミナルがMac内の重要なフォルダへアクセスし、リンクを作成できるようになります。

外付けドライブのフォーマット形式に注意(APFS/Mac OS拡張)

Macでバックアップを行う際、外付けHDDやSSDのフォーマット形式がWindows用の「NTFS」になっていると、データの書き込みができない場合があります。

Macでバックアップ先として使用するドライブは、Apple製品に適した「APFS」または「Mac OS拡張(ジャーナリング)」でフォーマットされている必要があります。

「ディスクユーティリティ」を使用して、外付けドライブのフォーマット形式を確認し、必要であれば初期化(データは消えます)して形式を変更してください。

iPhoneバックアップ用に選ぶなら「外付けSSD」と「HDD」どっち?

転送速度と時短を優先するなら「外付けSSD」がおすすめ

バックアップの時間をできるだけ短縮したい場合は、迷わず外付けSSDを選ぶべきです。

SSDはHDDに比べてデータの読み書き速度が数倍から数十倍速く、特に数万枚の写真や大量のアプリデータなど、細かなファイルが多いiPhoneのバックアップにおいては圧倒的な速度差が出ます。

容量不足の解消だけでなく、日々のバックアップ作業のストレスを減らしたい方にはSSDが最適です。

安さと大容量保存を優先するなら「外付けHDD」がおすすめ

コストパフォーマンスを重視し、写真や動画の長期保存庫として大容量を確保したい場合は、外付けHDDが有利です。

SSDに比べて同じ価格で手に入る容量が非常に大きく、2TBや4TBといった大容量モデルも手頃な価格で購入できます。

バックアップの時間はかかりますが、頻繁に行わない場合や、夜寝ている間にバックアップを行うような運用であれば、HDDでも十分に役立ちます。

バスパワー対応などバックアップ用途に適したドライブの選び方

iPhoneのバックアップ用として選ぶなら、別途電源アダプタを必要としない「バスパワー対応」のポータブルタイプが便利です。

USBケーブル1本でパソコンと接続でき、場所を選ばずに作業ができます。

また、MacBookなどUSB Type-Cポートしかないパソコンを使用している場合は、変換アダプタなしで直接接続できるType-C接続対応のドライブを選ぶと、接続トラブルも少なく快適に使用できます。

コマンド操作が難しい・怖い場合の「代替案」と解決策

PCを使わずに「iCloudバックアップ」を利用する(ストレージ購入)

コマンド操作に不安がある場合、最も安全で簡単な解決策はApple純正のクラウドサービス「iCloud」を利用することです。

月額料金はかかりますが、50GB、200GB、2TBなどのプランへアップグレードすることで、パソコンを使わずにiPhone単体で自動的にバックアップを取ることができます。

Wi-Fi環境さえあれば、充電中に自動でデータが保存されるため、バックアップ忘れを防ぐこともでき、PCの容量不足問題とは無縁になります。

【簡単】保存先を指定できる専用ソフト(FoneTool等)を利用する

コマンドを使わずに、マウス操作だけでバックアップ先を自由に指定できるサードパーティ製の管理ソフトを利用するのも一つの手です。

例えば「FoneTool」などのソフトウェアは、iTunesの代わりとして機能し、インストール時にバックアップの保存先を外付けドライブに指定する機能を持っています。

技術的な知識がなくても、直感的な操作で容量問題を解決できるため、パソコン操作が苦手な方にとっては強力な選択肢となります。

GoogleフォトやAmazon Photosへ写真だけ退避させる

バックアップの目的が主に写真や動画の保存であるならば、iTunesでの完全バックアップにこだわらず、写真管理に特化したクラウドサービスを利用する方法もあります。

GoogleフォトやAmazon Photos(プライム会員は写真無制限)を活用して写真データをクラウドへアップロードし、iPhone本体から写真を削除すれば、iTunesバックアップのサイズ自体を劇的に小さくできます。

これにより、Cドライブの空き容量内でも十分にバックアップが可能になるケースは多いです。

iTunesバックアップの容量不足に関するよくある質問(FAQ)

外付けドライブへのバックアップはApple公式で推奨されていますか?

シンボリックリンクを使用して保存先を変更する方法は、WindowsやUNIX系OS(macOS含む)の標準機能を利用したテクニックであり、Appleの公式サポートページで推奨されている正式な手順ではありません。

そのため、OSのアップデートやiTunesの仕様変更により、将来的に手順が変わったり、利用できなくなったりする可能性があります。

実施する際は、コマンドの入力ミスなどに注意し、自己責任で行う必要がありますが、長年多くのユーザーに利用されている実績のある方法です。

シンボリックリンクを解除して元の設定に戻す方法は?

設定を元に戻したい場合は、元の場所(MobileSyncフォルダ内)に作成された、矢印アイコンのついた「Backup」というリンクフォルダ(ショートカットのようなもの)を削除するだけで解除されます。

リンクを削除しても、外付けドライブに移動させた実データのバックアップは消えません。

その後、外付けドライブにある実データを元の場所へコピーし直せば、以前と同じCドライブへ保存する状態に戻ります。

Dドライブがある場合、外付けなしで保存先を変更できますか?

はい、可能です。

パソコンに内蔵のDドライブなどのセカンダリドライブがある場合、外付けドライブを用意しなくても、そちらを保存先に指定できます。

手順は外付けドライブの場合と全く同じで、移動先とリンク先のパスを「D:…」のように内蔵ドライブのフォルダに指定するだけです。

内蔵ドライブを活用することで、ケーブル接続の手間もなく、常に容量に余裕のある状態でバックアップ運用が可能になります。

まとめ:iTunesバックアップ容量不足の完全解決ガイド

  • iTunesの容量不足エラーは、PCのCドライブ空き容量がiPhoneデータ量より少ないことが主な原因です

  • 解決のために、まずは不要な古いバックアップデータやPC内の一時ファイルを削除しましょう

  • Windowsでは「シンボリックリンク」機能を使うことで、保存先を外付けドライブに変更可能です

  • シンボリックリンク作成には、現在のバックアップ場所の確認と「管理者権限」でのコマンド実行が必要です

  • iTunesには「デスクトップ版」と「ストア版」があり、それぞれバックアップの保存場所が異なります

  • Macでもターミナル操作で保存先の変更が可能ですが、フルディスクアクセス設定が必要な場合があります

  • バックアップ用のドライブは、速度重視ならSSD、コスト重視ならHDDを選ぶのがおすすめです

  • コマンド操作が難しい場合は、iCloudの利用や専用のバックアップソフトの導入を検討してください

  • 外付けドライブへの変更はApple公式の手順ではないため、パスの入力ミスなどに注意して行いましょう

  • バックアップ先を分散させることで、PCのパフォーマンス低下を防ぎ、安全なデータ管理が実現できます

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