SSD高騰はいつまで?2025年価格推移とCrucial撤退の影響

最近、自作PC市場やBTOパソコンの価格を見て、その急激な値上がりに驚いている方は多いのではないでしょうか。

特にSSDやメモリの価格上昇は著しく、数ヶ月前と比較しても倍以上の価格がついているケースも珍しくありません。

「SSD高騰はいったい何が原因なのか」「この値上がりはいつまで続くのか」といった疑問や不安を抱えていることでしょう。

さらに、定番ブランドであるCrucialの撤退報道も重なり、今後のPCパーツ市場はどうなってしまうのかという懸念も広がっています。

この記事では、2025年のSSDおよびメモリ価格推移の現状と、その背景にある複合的な要因について詳しく解説します。

AI需要の拡大や円安の影響、そして今私たちが取るべき対策までを網羅しました。

これを読めば、今パーツを買うべきか、それとも待つべきかの判断材料が得られるはずです。

目次

【2025年最新】SSD・メモリ価格高騰の現状と価格推移

2024年の後半から顕著になり始めたストレージとメモリの価格上昇は、2025年に入っても留まるところを知りません。

かつては「底値」と言われ、気軽に大容量モデルを購入できた時代は終わりを告げ、現在は歴史的な高騰局面にあります。

ここでは、具体的な市場の動きと、各パーツカテゴリーごとの現状について詳しく見ていきます。

2024年から2025年にかけてのSSD価格推移グラフと上昇率

SSDの価格は、この1年足らずの間に劇的な変化を遂げました。

一部のデータによると、DRAMの契約価格は前年比で170%以上も上昇しており、これは金の価格上昇率すら上回る異常事態です。

実際にPCパーツショップや通販サイトの価格推移グラフを確認すると、2024年の初頭には1万円台で購入できた1TBや2TBのNVMe SSDが、現在では1.5倍から2倍近くの価格で販売されているケースが散見されます。

特に人気のあるモデルや、高速な転送速度を持つハイエンドモデルほど値上がり幅が大きく、在庫切れも頻発している状況です。

これまでのような緩やかな価格変動ではなく、短期間で垂直的に価格が跳ね上がる現象が起きています。

DDR5メモリは3倍に?DRAM市場の異常な値上がり状況

SSD以上に深刻なのが、最新規格であるDDR5メモリの価格高騰です。

DDR5-5600などの人気スペックを持つ32GBキット(16GB×2枚)は、以前は安価に入手可能でしたが、現在では価格が2倍から3倍にまで高騰している事例も報告されています。

ある価格比較サイトのデータでは、数ヶ月前まで2万円台前半だった製品が、7万円台にまで値上がりしているケースさえ確認されました。

これは単なる品薄だけでなく、市場に出回る絶対数が減少していることを示唆しています。

DDR4からDDR5への移行期とも重なり、旧規格であるDDR4の生産調整も進んでいるため、逃げ道が塞がれているのが現状です。

HDD(ハードディスク)も高騰中?ストレージ全体への波及

SSDやメモリの高騰は、これまで比較的価格が安定していたHDD(ハードディスク)にも波及し始めています。

AIの学習データや生成データを保存するための巨大なストレージ需要が、データセンターを中心に急増しているためです。

大容量HDDの価格も上昇傾向にあり、以前のような「容量単価の安さ」というメリットが薄れつつあります。

8TBやそれ以上の大容量モデルでは、数千円から1万円単位での値上がりが確認されており、データ保存用のストレージ確保もコストがかさむ状況になってきました。

PCパーツ全体として、記憶媒体に関わるすべての製品がインフレ状態にあると言えます。

なぜこれほど高いのか?SSD・メモリ高騰の5つの原因

今回の価格高騰は、単一の理由で起きているわけではありません。

世界的な技術トレンドの変化、企業戦略、そして経済状況が複雑に絡み合った結果です。

ここでは、現在の異常な価格上昇を引き起こしている5つの主要な原因について解説します。

AIバブルとデータセンター需要による半導体リソースの枯渇

最大の要因は、世界中で過熱している「AIブーム」です。

ChatGPTをはじめとする生成AIの普及により、GoogleやMicrosoftなどの巨大IT企業がデータセンターの建設を急ピッチで進めています。

AIの学習や推論には膨大な計算資源が必要であり、そのために大量の高性能メモリとストレージが消費されています。

サーバー向けの需要が爆発的に増加したことで、半導体メーカーの生産能力の大部分がそちらへ割り振られてしまいました。

結果として、私たち一般消費者が購入するPC向けのパーツに回る部材が枯渇し、需給バランスが崩壊しているのです。

メーカーが利益率の高いHBM(AI用メモリ)生産へ全振り

AI需要に関連して、半導体メーカーの生産戦略も大きく変化しました。

現在、AIチップ(GPU)の性能を最大限に引き出すために不可欠なのが、HBM(High Bandwidth Memory)と呼ばれる超高速メモリです。

このHBMは製造難易度が高いものの、利益率が極めて高い製品です。

そのため、Samsung、SK Hynix、Micronといった主要メーカーは、限られた生産ラインを従来のDDR5やSSD用NANDフラッシュから、HBMの製造へと一気にシフトさせています。

「儲かる製品」に全力を注ぐのは企業として合理的な判断ですが、そのあおりを受けて消費者向け製品の供給量が絞られているのが現状です。

Micron(Crucial)の消費者向け事業撤退による供給不安

市場にさらなる衝撃を与えたのが、メモリ大手Micron Technologyが展開する消費者向けブランド「Crucial(クルーシャル)」の一部事業撤退に関する報道です。

Micronは、利益率の高いデータセンター向け事業にリソースを集中させるため、消費者向けのメモリおよびストレージ事業(Crucialブランド)を縮小・終了する方針を固めたと伝えられています。

長年、高品質でコストパフォーマンスに優れた「定番」として親しまれてきたブランドが市場から姿を消すことは、供給量の絶対的な減少を意味します。

有力なプレイヤーが減ることで競争原理が働きにくくなり、価格の高止まりに拍車をかけています。

円安とインフレによる国内PCパーツ価格へのダブルパンチ

日本国内においては、世界的な半導体価格の上昇に加え、為替の影響も無視できません。

PCパーツは基本的にドル建てで取引される輸入品であるため、円安が進めばその分だけ国内販売価格は上昇します。

海外での価格上昇(ドルベース)に、円安による為替レートの上乗せが加わることで、日本国内では「二重の値上げ」を感じる状況になっています。

さらに、輸送コストの上昇や国内のインフレ傾向も加わり、過去に例を見ないほどの高値水準となっているのです。

過去の不況を教訓にしたメーカーの慎重な生産調整

半導体メーカーが積極的な増産に踏み切らない背景には、過去の苦い経験があります。

数年前、コロナ禍の特需が去った後に深刻な「メモリ不況」が訪れ、メーカー各社は過剰在庫を抱えて巨額の赤字を出しました。

このトラウマから、メーカーは需要が増えたからといって安易に工場を増設したり、生産ラインを増やしたりすることに極めて慎重になっています。

「AIバブルが弾けた時のリスク」を恐れ、あえて供給を絞り気味にコントロールすることで価格を維持し、利益を確保しようとする動きが強まっています。

SSD・メモリの高騰はいつまで続く?今後の価格予想

多くのユーザーが最も知りたいのは、「いつになれば安くなるのか」という点でしょう。

しかし、専門家の予測や市場の動向を見る限り、楽観的な見通しは立てにくい状況です。

ここでは、今後の価格推移に関する予測と、市場が抱える構造的な問題について解説します。

2026年以降も高止まり?専門家が予測する厳しい未来

現在の需給逼迫は一時的なものではなく、年単位で続く可能性が高いと予測されています。

データセンター向けの受注はすでに数年先まで埋まっているとも言われており、2025年中に価格が下落に転じる兆しは見えません。

大手メーカーがAI向け製品への投資を優先し続けているため、消費者向け製品の供給不足は2026年以降も解消されない公算が高いです。

PCパーツショップや業界関係者の間でも、「来年はさらに厳しくなる」「当面の間、値下がりは期待できない」といった悲観的な見方が大勢を占めています。

「NANDフラッシュ不足は今後10年続く」という説の真偽

さらに衝撃的な予測として、NANDフラッシュコントローラー大手であるPhisonのCEOは、「NAND不足は今後10年続く可能性がある」と発言しています。

これは、メーカーが新規の設備投資を控え、利益率の高い分野に特化し続けることで、汎用的なストレージ製品への投資が恒常的に不足するというシナリオです。

もしこの予測が現実となれば、私たちは「ストレージは安くて当たり前」という感覚を捨て、高価なパーツとして付き合っていく覚悟が必要になるかもしれません。

短期的な需給の波ではなく、産業構造そのものが変化している可能性を示唆しています。

価格が下落・安定するタイミングや条件はあるのか

価格が下落するとすれば、いくつかの条件が揃う必要があります。

一つは、過熱するAIブームが沈静化し、データセンターへの投資意欲が減退することです。

もう一つは、中国メーカーなどの新興勢力がシェアを拡大し、大手3社(Samsung、SK Hynix、Micron)の寡占状態に風穴を開けることです。

しかし、現状ではどちらのシナリオも即効性は期待できません。

メーカー側が生産調整の手綱を緩めない限り、劇的な価格下落が訪れる可能性は極めて低いと言わざるを得ません。

Crucial(Micron)ブランド撤退の衝撃とユーザーへの影響

PC自作ユーザーにとって馴染み深い「Crucial」ブランドの縮小・撤退は、単なる一企業のニュースに留まらない大きな影響を持っています。

具体的な撤退スケジュールや、市場への影響について掘り下げます。

Crucial製品の出荷終了時期と今後のサポート体制

情報によると、Crucialブランドの製品出荷は2026年2月頃までに終了する予定とされています。

ただし、これはあくまで出荷の終了であり、すぐに店頭から製品が消えるわけではありませんが、徐々に在庫は枯渇していくでしょう。

重要な点として、すでに購入した製品や、今後販売終了までに購入する製品の保証やサポートについては、通常通り継続される見込みです。

「売り逃げ」のような事態にはならないようですが、将来的な交換品の手配などがどうなるかは注視する必要があります。

安価で高品質な「定番」が消えることによる市場への影響

Crucialは、Micron純正のチップを採用しながらも比較的手頃な価格で提供される「信頼の定番ブランド」でした。

この存在がなくなることは、ユーザーにとって「迷ったらこれを選べば良い」という安心な選択肢を失うことを意味します。

また、市場における有力な競争相手が減ることで、他メーカーが価格競争をする動機が薄れます。

結果として、市場全体の平均価格が押し上げられる要因となりかねません。

SamsungやWDなど他メーカー製品も連鎖的に値上げ?

Crucialの撤退は、SamsungやWestern Digital(WD)、SK Hynixといった競合他社にとっても大きな動きです。

競合が減れば、残ったメーカーはシェアを争うよりも、利益率を重視した価格設定を行いやすくなります。

すでに各社ともAI向け需要への対応で手一杯であり、消費者向け製品の値上げや供給制限を行っています。

Crucialの抜けた穴を埋めるために増産するのではなく、供給不足を維持したまま高値で販売する戦略をとる可能性が高く、連鎖的な値上げが懸念されます。

今買うべきか待つべきか?プロが教える対策と賢い買い方

これだけネガティブな情報が揃う中で、私たちはどう行動すれば良いのでしょうか。

市場の動向を踏まえた上で、現時点で最善と思われる対策と購入の考え方を提案します。

結論:必要なパーツは「在庫があるうちに即購入」が正解な理由

現状のトレンド分析から導き出される結論は、「必要なものは、今すぐ買うべき」ということです。

「待てば安くなる」という従来の常識は、現在のAIバブルとメーカーの生産戦略の前では通用しません。

むしろ、時間が経つほどに価格が上がり、欲しい製品の在庫がなくなるリスクの方が高い状況です。

PCの構築やアップグレードを計画しているなら、予算の許す範囲で早めにパーツを確保することを強くおすすめします。

中古SSD・メモリのリスクとメリット(保証・耐久性の注意点)

新品価格の高騰を受けて、中古市場に目を向けるのも一つの手段です。

フリマアプリや中古パーツショップでは、まだ価格高騰が反映されきっていない掘り出し物が見つかることもあります。

ただし、SSDやメモリは消耗品としての側面があるため注意が必要です。

特にSSDは書き込み寿命があるため、使用時間をチェックできる環境で購入するか、信頼できるショップの保証付き中古品を選ぶことが重要です。

また、個人間取引の場合は転売品や偽物に注意し、初期不良時の対応についても事前に確認しましょう。

BTOパソコンや完成品PCも値上げ必至!買い替えの判断基準

パーツ単体だけでなく、それらを組み込んだBTOパソコンやメーカー製PCも値上げは避けられません。

すでに各社で価格改定やスペックの調整が行われていますが、今後さらに高くなる可能性があります。

もし数年落ちのPCを使っていて買い替えを検討しているなら、今の価格が「将来の最安値」になるかもしれません。

特にメモリ容量やSSD容量が最初から潤沢に搭載されているモデルは、後から増設するコストを考えると割安になる場合があります。

比較的安価な今のうちに確保すべき具体的なスペックと容量

具体的に確保しておくべきスペックとしては、将来を見越したDDR5メモリと、システム用のNVMe SSDです。

メモリであれば、DDR5-5600以上の32GB(16GB×2)または64GBキットが推奨されます。

AI処理や動画編集など、メモリを大量に消費するタスクが増えているため、大容量化のトレンドは止まりません。

SSDについては、OSと主要アプリを入れるための1TBまたは2TBのM.2 NVMe SSD(Gen4対応)を確保しておくと安心です。

これらは最も需要が集中し、価格変動の影響を受けやすいカテゴリーです。

まとめ:SSD高騰の原因と今後の対策

  • SSDとメモリの高騰はAI需要とデータセンター建設ラッシュが主因である
  • 半導体メーカーは利益率の高いHBMやサーバー向け製品へ生産をシフトしている
  • 定番ブランドCrucialの消費者向け事業撤退が供給不安と価格上昇を加速させる
  • 円安とインフレの影響も加わり国内価格は海外以上に割高感がある
  • メーカーは過去の不況を警戒し増産に慎重なため品薄は解消されにくい
  • 価格高騰は一時的ではなく2026年以降も続く長期的なトレンドと予測される
  • 「待てば安くなる」可能性は低く必要なパーツは早めの確保が賢明である
  • 新品が高すぎる場合はリスクを理解した上で中古市場の活用も検討する
  • BTOパソコンも値上げ傾向にあるため買い替え検討中なら決断を急ぐべきである
  • 今後はストレージやメモリが高価なリソースであることを前提にPC計画を立てる必要がある
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