YAMAHA AG03をiPhoneに接続したものの、うまく認識されずに困っていませんか。
配信や通話で高音質なサウンドを実現できる便利な機材ですが、iPhoneとの接続時には特有の注意点が存在します。
この記事では、AG03がiPhoneに認識されないときに考えられる原因と、誰でも簡単に試せる具体的な解決策を網羅的に解説します。
正しい接続方法からアプリごとの設定まで、この一台を使いこなすための知識が身につくでしょう。
まずはコレを確認!AG03がiPhoneに認識されない時の5つのチェックリスト
AG03がiPhoneに認識されない場合、多くは基本的な接続や設定の見落としが原因です。
複雑なトラブルシューティングに進む前に、まずは以下の5つの簡単なチェック項目を確認してみてください。
チェック1:変換アダプタはApple純正の「カメラアダプタ」を使っていますか?
Lightning端子のiPhoneやiPadに接続する場合、Apple純正の「Lightning – USBカメラアダプタ」または「Lightning – USB 3カメラアダプタ」の使用が推奨されています。
他社製の安価なアダプタや、MFi認証品であっても、電力供給やデータ通信が不安定になり、AG03が正常に認識されない事例が多数報告されています。
まずは、お使いのアダプタがApple純正品であるかを確認しましょう。
チェック2:電源は十分に供給されていますか?[5V DC]端子を確認
iPhoneやiPadと接続して使用する場合、AG03本体へ十分な電力を供給する必要があります。
本体背面にある[5V DC]というラベルの付いたUSB端子に、モバイルバッテリーやUSB-ACアダプタを接続してください。
この電源供給が不足している、あるいは接続されていないと、AG03は正しく動作しません。
チェック3:AG03本体のランプは正常に点灯していますか?(点滅は電力不足のサイン)
電源を供給した際に、AG03本体の電源ランプや各種ランプが点滅している場合は、電力供給が不足しているサインです。
安定して点灯していない状態では、iPhone側でデバイスを認識できません。
使用しているモバイルバッテリーやACアダプタの出力(アンペア数)がAG03の要求スペックを満たしているか確認し、必要であればより出力の大きいものに交換してみましょう。
チェック4:USBケーブルの接続先は[USB 2.0]端子で合っていますか?
AG03の背面には、[USB 2.0]端子と[5V DC]端子の2つのUSBポートがあります。
iPhoneと音声データのやり取りを行うためには、必ず[USB 2.0]端子にUSBケーブルを接続する必要があります。
誤って電源供給用の[5V DC]端子に接続してしまうと、iPhoneはAG03をオーディオデバイスとして認識しないため、注意が必要です。
チェック5:通話アプリ利用時、「LOOPBACK」機能がオンになっていませんか?
DiscordやZoom、LINE通話などの双方向通話アプリを使用している際に認識しない場合、AG03の「LOOPBACK」機能が原因かもしれません。
本体の「STREAMING OUT」スイッチ(旧モデルでは「TO PC」スイッチ)が「LOOPBACK」の位置になっていると、音声がループしてしまい、アプリ側で正常に処理できなくなることがあります。
通話アプリを使用する際は、このスイッチを「INPUT MIX」に切り替えてみてください。
AG03とiPhoneの正しい接続方法|必要な機材も全て解説

AG03とiPhoneを正しく接続するためには、お使いのiPhoneのモデル(端子の種類)に応じた適切な機材を揃えることが重要です。
ここでは、必要な機材とそれぞれの接続手順を分かりやすく解説します。
接続に必要なもの一覧【これさえ揃えればOK】
モデルによって必要な機材が異なります。
以下のリストを参考に、ご自身の環境に必要なものを準備してください。
| 機材の種類 | 初代AGシリーズ (AG03/AG06) | AGシリーズMK2 (AG03MK2/AG06MK2) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 本体付属USBケーブル | ○ (Type-A to B) | ○ (Type-A to C) | データ通信に使用 |
| Apple純正変換アダプタ | ○ | ○ | Lightning端末の場合必須 |
| 電源供給用の電源 | ○ (5V 0.5A以上) | ○ (5V 1A以上) | モバイルバッテリーやACアダプタ |
| 電源供給用のUSBケーブル | ○ (Micro USB) | ○ (USB-C) | 別途用意が必要 |
【Lightning端末】iPhone 14以前の接続手順
- iPhoneにApple純正「Lightning – USB 3カメラアダプタ」を接続します。
- AG03に付属のUSBケーブルを、アダプタのUSB-AポートとAG03本体の[USB 2.0]端子に接続します。
- 別途用意した電源供給用のUSBケーブルを、モバイルバッテリー等とAG03本体の[5V DC]端子に接続します。
- 必要であれば、アダプタのLightningポートに充電ケーブルを接続し、iPhone本体を充電しながら使用することも可能です。
【USB-C端末】iPhone 15以降の接続手順
- iPhoneに付属、または市販のUSB-Cケーブルを、iPhone本体とAG03MK2の[USB 2.0]端子に接続します。
(初代AGシリーズの場合は、Apple純正「USB-C – USBアダプタ」を介して接続します。) - 別途用意した電源供給用のUSB-Cケーブルを、モバイルバッテリー等とAG03MK2本体の[5V DC]端子に接続します。
- これにより、iPhoneとAG03の間でデータのやり取りと、AG03本体への電源供給が同時に行われます。
BGMを流したい場合はどう接続する?
配信用のiPhoneとは別に、PCや別のスマートフォンからBGMを流したい場合は、オーディオケーブルを使います。
BGM再生用デバイスのヘッドホン端子と、AG03本体の[AUX]端子を3.5mmステレオミニプラグケーブルで接続してください。
この方法であれば、USB接続の音声とは別に、外部からの音源をミックスして配信に乗せることが可能です。
なぜ?AG03がiPhoneに認識されない4つの主な原因と詳しい解決策

基本的なチェックリストを確認しても問題が解決しない場合、もう少し踏み込んだ原因が考えられます。
ケーブルの仕様や電源のスペックなど、見落としがちなポイントを詳しく解説します。
原因1:ケーブル・変換アダプタの問題【MFi認証品でもダメ?】
最も多い原因は、Apple純正品ではない変換アダプタの使用です。
たとえ「MFi認証(Made for iPhone/iPad)」を取得している製品であっても、AG03のようなオーディオインターフェースとの接続では動作が不安定になることがあります。
これは、データ転送の仕様や電力供給の安定性が、Apple純正品とわずかに異なるためと考えられます。
また、AG03に付属しているUSBケーブル以外の、市販の充電用USBケーブルを使用している場合も注意が必要です。
充電専用ケーブルはデータ通信に対応していないことがあり、これが認識しない原因になります。
必ずAG03に付属のデータ通信対応ケーブルを使用してください。
原因2:電源供給が不足している【AG03/MK2で必要なアンペア数は?】
AG03本体のランプが点滅している場合、電力不足が考えられます。
使用するモデルによって必要な電流量が異なるため、お使いの電源のスペックを確認しましょう。
- 初代AGシリーズ (AG03, AG06など): 5V 0.5A以上
- AGシリーズMK2 (AG03MK2, AG06MK2など): 5V 1A以上
特にAG03MK2は要求する電流量が大きくなっています。
古いACアダプタや、出力の弱いモバイルバッテリーを使用している場合は、スペックを満たした製品に交換することで解決する可能性があります。
原因3:AG03本体の設定ミス【STREAMING OUTスイッチの罠】
AG03本体のスイッチ設定が、意図しない状態になっている可能性もあります。
特に「STREAMING OUT」(TO PC)スイッチは、音声の出力ルートを決める重要な部分です。
- INPUT MIX: マイクや楽器など、AG03に入力した音だけをiPhoneに送ります。
- LOOPBACK: INPUT MIXの音に加えて、iPhone側で再生されている音(BGMや通話相手の声など)も再度iPhoneに送り返します。
前述の通り、Discordなどの通話アプリではLOOPBACKがトラブルの原因になるため、「INPUT MIX」が基本となります。
一方、BGMとマイク音声をミックスして配信したい場合は「LOOPBACK」が適切です。
用途に合わせてこのスイッチを正しく設定しているか、再確認してみてください。
原因4:使用したいアプリがAGシリーズに対応していない
残念ながら、すべてのiOSアプリがAG03のような外部オーディオインターフェースに対応しているわけではありません。
特に、一部の通話アプリやSNSのライブ配信機能は、iOSデバイスの内蔵マイク・スピーカーを使用することが前提で設計されています。
アプリ側の仕様で外部機器が使えない場合は、AG03を接続しても認識されません。
使用したいアプリが「有線接続の外部オーディオインターフェース」に対応しているか、アプリの開発元に確認する必要があります。
【アプリ別】DiscordやLINEで使えない?特定のアプリで認識しない時の対処法

「特定のアプリを起動したときだけAG03が認識しなくなる」という問題は、アプリの仕様や設定に起因することがほとんどです。
ここでは、特に問い合わせの多いアプリでのトラブル対処法を解説します。
【重要】双方向の通話アプリで「LOOPBACK」機能は使えません
Discord、Zoom、Skype、LINE通話など、自分と相手が相互に会話する「双方向通信アプリ」では、原則としてLOOPBACK機能は使用できません。
LOOPBACKを有効にすると、相手から聞こえてきた音声がAG03内でミックスされ、再び相手に送り返されてしまいます。
これにより、相手には自分の声が二重に聞こえたり、エコーがかかったり、最悪の場合は「ハウリング」と呼ばれるキーンという大きなノイズが発生する原因となります。
これらのアプリは音声がループすることを検知すると、強制的にマイクをミュートしたり、接続を切断したりする保護機能が働くことがあります。
これが「認識しない」「音が途切れる」といった症状の正体です。
双方向の通話アプリでは、必ず「STREAMING OUT」スイッチを「INPUT MIX」に設定してください。
Discordでマイクが認識しない・ゲーム音が相手に聞こえる時の設定方法
Discordでマイクが認識しない場合、まずは前述の通りLOOPBACK機能がオフ(INPUT MIX)になっているかを確認します。
それでも改善しない場合、Discordアプリ内の音声設定を見直しましょう。
「入力デバイス」と「出力デバイス」がAG03に正しく設定されているか確認してください。
また、「ゲーム音が相手に聞こえる」という場合は、LOOPBACK機能がオンになっている典型的な症状です。
スイッチを「INPUT MIX」に切り替えることで、自分のマイク音声だけを相手に送ることができます。
LINE通話やFaceTimeでマイクが使えないのはなぜ?
LINEアプリやiOS純正の電話アプリ、FaceTimeは、公式に外部オーディオインターフェースの動作を保証していません。
これらのアプリはiOSの基本的な通話機能を呼び出して動作しており、音声の入出力が内蔵マイクとスピーカーに固定されている場合があります。
アプリのバージョンやiOSのアップデートによって挙動が変わることもありますが、基本的にはAGシリーズでの使用は難しいと考えるのが無難です。
AGシリーズの動作が保証されていないiOSアプリ一覧
ヤマハの公式サイトでは、正常に動作しないことが確認されているアプリの情報が公開されています。
以下はその一例です(2024年12月時点)。
- Clubhouse
- FaceTime
- Google DUO
- Instagram Live(複数人でのライブ配信時)
- iOS純正電話アプリ
- LINE (アプリ)
- Slack (iOS版)
これらのアプリを使用する予定がある場合は注意が必要です。
また、リストにないアプリでも、コラボ配信やボイスチャット機能など、特定の機能を使ったときだけ認識しなくなる事例も報告されています。
認識はするけど音が出ない?マイク・ヘッドホンのトラブル解決法

「iPhoneではAG03を認識しているのに、なぜか音が出ない、聞こえない」というケースもあります。
この場合は、音声の入力・出力に関する設定や接続を見直すことで解決できる可能性があります。
マイクの音がiPhoneに入力されない(反応しない)時の確認点
まず、マイクがAG03のチャンネル1(マイク入力端子)にしっかりと接続されているか確認します。
次に、使用しているマイクの種類に応じた設定が必要です。
コンデンサーマイクを使用している場合は、本体の[+48V]ボタンを押してファンタム電源をオンにしてください。
このボタンがオフの状態では、コンデンサーマイクは動作しません。
ダイナミックマイクの場合はオフのままで問題ありません。
設定後、マイクに向かって声を出したときに、チャンネル1のボリュームフェーダー上部にある「PEAK」ランプが一瞬赤く点灯するくらいまで、[GAIN]ツマミを調整します。
ゲインが小さすぎると、iPhoneに十分な音量で入力されません。
ヘッドホンから自分の声が聞こえない時の対処法【MIX MINUSスイッチを確認】
ヘッドホンで自分の声(マイクの音)をモニターできない場合、AG03MK2の[MIX MINUS]ボタン(初代AG03では[MONITOR MUTE]ボタン)がオンになっていないか確認してください。
このボタンは、配信などで自分の声のモニターが不要な場合に使用する機能です。
ボタンが押し込まれている(オンの状態)と、マイク入力の音声がヘッドホンから出力されなくなります。
もう一度ボタンを押してオフの状態に戻しましょう。
相手の声がヘッドホンから聞こえないのはなぜ?
通話アプリなどで相手の声がヘッドホンから聞こえない場合、iPhone側でAG03が音声出力デバイスとして正しく選択されていない可能性があります。
コントロールセンターなどを開き、音声の出力先が「AG03/AG06」になっているか確認してください。
また、AG03本体のヘッドホンマークが付いた音量ツマミが上がっているかも確認しましょう。
それでも聞こえない場合、iPhoneとAG03の接続を一度やり直したり、iPhone本体を再起動したりすることで改善することがあります。
AG Controllerアプリで設定を確認する方法(オフラインと表示される場合)
AG03MK2などの対応機種では、iPhoneアプリ「AG Controller」を使って詳細な設定が可能です。
しかし、このアプリを起動した際に「オフライン」と表示され、AG03を認識しないことがあります。
これは、PC接続時と同様に、iPhoneとの接続にApple純正のカメラアダプタを使用していない場合に発生しやすい症状です。
非純正のアダプタでは、アプリとの通信がうまくいかないことがあります。
純正アダプタを使用しても改善しない場合は、ケーブルの抜き差しやiPhoneの再起動を試してみてください。
「AG03 iPhone 認識しない」に関するよくある質問(Q&A)
ここでは、AG03とiPhoneの接続に関して、特に多く寄せられる質問とその回答をまとめました。
初代AG03とAG03MK2でiPhone接続に違いはありますか?
はい、主に2つの違いがあります。
一つ目は、本体に接続するUSBケーブルの端子が異なります。
初代は「Micro-B」、MK2は「USB-C」です。
二つ目は、iPhone接続時に必要となる電源のスペックです。
初代は「5V 0.5A以上」ですが、MK2は「5V 1A以上」と、より大きな電力が必要になります。
お使いのモデルに合わせて、適切なケーブルと電源を用意してください。
PCでは認識するのにiPhoneでだけ認識しないのはなぜですか?
PCではUSBポートから十分な電力が供給されるため電源の問題が起きにくいですが、iPhone接続では外部からの電源供給が必須となります。
PCで問題なく使えている場合、iPhone接続時の「変換アダプタ」または「外部電源の供給不足」が原因である可能性が非常に高いです。
Apple純正のカメラアダプタを使用し、規定のスペックを満たす電源を[5V DC]端子に接続しているか、再度確認してみてください。
PCとiPhoneに同時にUSB接続することはできますか?
いいえ、AGシリーズのUSB接続は、同時に1台のデバイスとしか行えません。
例えば、USBハブを使ってPCとiPhoneの両方に接続するような使い方はできません。
PCでBGMを再生し、その音をiPhoneでの配信に乗せたい場合は、PCのヘッドホン出力とAG03の[AUX]端子をオーディオケーブルで接続する方法を取ります。
それでも解決しない場合、どこに問い合わせればいいですか?
この記事で紹介したすべての方法を試しても問題が解決しない場合は、AG03本体の初期不良や故障の可能性も考えられます。
その際は、購入した販売店、またはヤマハの公式サポートセンターに問い合わせることをお勧めします。
問い合わせの際には、使用しているiPhoneのモデル、iOSのバージョン、変換アダプタの種類、試した対処法などを具体的に伝えると、スムーズな対応が期待できます。
まとめ:AG03がiPhoneに認識しない問題の完全ガイド
- AG03とiPhoneの接続にはApple純正のカメラアダプタが必須である
- iPhone接続時は必ず[5V DC]端子から外部電源を供給する必要がある
- 本体ランプの点滅は電力不足のサインであり、電源の見直しが必要
- データ通信は[USB 2.0]端子、電源供給は[5V DC]端子と役割が異なる
- Discordなどの双方向通話アプリではLOOPBACK機能は使用不可
- 初代AG03は5V 0.5A以上、AG03MK2は5V 1A以上の電源を要する
- 非純正アダプタの使用はAG Controllerアプリがオフラインになる原因にもなる
- マイク音声が聞こえない場合は[+48V]やゲイン、[MIX MINUS]ボタンを確認する
- PCとiPhoneへの同時USB接続はできず、AUX入力などを活用する
- 多くの原因はケーブル、アダプタ、電源の3点に集約される
