TruthearのZeroシリーズは、高性能なイヤホンを驚異的な価格で提供し、オーディオ市場で大きな話題となりました。
その最新作である「Truthear Zero Blue2」について、具体的な音質や旧モデルとの違い、特に指摘される高音の特性など、詳細な情報が求められています。
また、Zero Redや入門機のGateといった他モデルとの比較で悩んでいる方も多いようです。
この記事では、Truthear Zero Blue2の音質特性、進化した装着感、付属品の活用法まで、詳細なレビュー解説をお届けします。
【結論】Truthear Zero Blue2の総合評価:買いか?
Truthear Zero Blue2はどんなイヤホン? 3行で解説
Truthear Zero Blue2は、初代Zeroのフィードバックを基に改良された、デュアルダイナミックドライバー(2DD)搭載の有線イヤホンです。
最大の改善点であるノズル径の縮小により装着感が大幅に向上し、ウォームで厚みのあるボーカル表現が魅力となっています。
ただし、標準のシリコンイヤーピースでは高音がシャープすぎるため、付属のフォームイヤーチップによる調整が推奨されるイヤホンです。
良い点(メリット):進化した装着感と温かみのある中低域
Truthear Zero Blue2の最大のメリットは、装着感の劇的な向上です。
旧モデルで指摘されていた太すぎるノズルが細く再設計され、より多くの人の耳に快適にフィットするようになりました。
音質面では、ウォーム(温かみのある)なサウンドが特徴で、特にボーカル帯域に厚みがあり、しっとりとした音楽体験を提供します。
悪い点(デメリット):標準状態では高音がシャープすぎる
Truthear Zero Blue2の明確なデメリットは、標準のシリコンイヤーピースを使用した際の高音域の聴こえ方です。
高音、特にシンバルなどがかなりシャープで「刺さる」と感じる場合があり、人によっては聴き疲れ(ファティーグ)しやすい音質です。
この点は付属のフォームイヤーチップで大幅に改善できますが、標準状態でのバランスはややピーキーであると言えます。
Truthear Zero Blue2の音質を徹底レビュー
全体の音の傾向:ハーマンターゲット準拠のウォームなサウンドか
Truthear Zero Blue2は、多くのイヤホンが目指すハーマンターゲットカーブを基にしつつ、低音域(特にサブベース)をブーストしたチューニングが施されています。
結果として、低音と高音が強調された、いわゆる「V字型」のサウンドシグネチャとなっており、音のコントラストが強い、はっきりとした音色が特徴です。
全体的にはウォームな印象も持ち合わせていますが、同時に高音域の鋭さも目立つため、聴く人によって「ウォーム」とも「ブライト(明るい)」とも取れる二面性があります。
高音域の評価:「刺さる」「シャープすぎる」は本当か?
これは多くのレビューで指摘されているポイントであり、事実です。
標準のシリコンイヤーピースで聴くと、高音域はかなりシャープで、楽曲によっては脆さ(ブリットル)や刺さりを感じることがあります。
これは意図的なチューニング(解像度感の演出)かもしれませんが、長時間のリスニングでは疲れやすいと感じる可能性が高いです。
ただし、この問題は後述する付属品によって解決が可能です。
中音域(ボーカル)の評価:厚みがあり、特に男性ボーカルが得意
中音域、特にボーカルの表現力はTruthear Zero Blue2の強みの一つです。
全体的に厚みと温かみが感じられ、高い女性ボーカルから低い男性ボーカルまで、熱量を感じるしっかりとした響き方をしてくれます。
特に男性ボーカルの響きは、旧モデル(Red)よりも力強く感じられるという評価もあります。
一方で、V字サウンドの影響で、ボーカルがやや無機質(sterile)または一歩引いて聴こえると感じる場合もあるようです。
低音域の評価:深く沈むサブベースと分離感
Truthear Zero Blue2は2つのダイナミックドライバーを搭載しており、そのうち1基がサブウーファーのように低音域専用で動作します。
これにより、非常に深く沈み込むようなサブベース(超低音域)の表現力に優れています。
また、低音は暖かく響きが残るタイプでありながら、ディテールが損なわれることなく、他の音域としっかり分離して聴こえる点も評価されています。
【重要】標準では高音がきつい? 付属アイテム2種での音質調整を解説
解決策①(推奨):フォームイヤーチップの効果と音質変化
Truthear Zero Blue2には、シリコンタイプに加えてフォームタイプ(ウレタン製)のイヤーピースが複数ペア付属しています。
高音のシャープさが気になる場合、このフォームイヤーチップに交換することが最も推奨される解決策です。
フォーム素材が鋭い高音域を適度に吸収し、音全体が滑らかで聴きやすいバランスに整います。
この状態でも低音の迫力や音のコントラスト感は維持されるため、イヤホン本来の魅力を損なわずにデメリットを解消できます。
解決策②:5Ωインピーダンスアダプタで低音はどう変わる?
付属品の中には、ケーブルの先端に取り付ける「5Ωインピーダンスアダプタ」があります。
これを装着すると、イヤホン全体のインピーダンス(抵抗値)が変化し、サウンドシグネチャが劇的に変わります。
具体的には、中低音域(ミッドベース)が大幅にブーストされ、非常に厚みのある、低音優位のサウンドになります。
高音の鋭さは相対的に抑えられますが、音全体のバランスが大きく変わってしまうため、これは好みが分かれる調整方法です。
シリコンチップでの運用はおすすめしない?
標準のシリコンイヤーチップは、耳の形に完全に一致し、高音の鋭さが気にならないという方以外には、積極的におすすめしにくいのが実情です。
多くのユーザーにとって、Truthear Zero Blue2のポテンシャルを最も引き出せるのはフォームイヤーチップである可能性が高いでしょう。
まずは付属のフォームイヤーチップを試し、その音を基準に考えることを推奨します。
Truthear Zero Blue2のスペックと特徴
ドライバー構成(2DD)とインピーダンス
Truthear Zero Blue2は、低域用の10mmドライバーと中高域用の7.8mmドライバーを組み合わせた、デュアルダイナミックドライバー(2DD)構成を採用しています。
スペックで特筆すべきはインピーダンスで、約5.8Ωと非常に低く設計されています。
これにより、スマートフォンのイヤホンジャックや小型のドングルDACでも、非常に鳴らしやすく、十分な音量を得ることが可能です。
付属品(ケーブル、イヤーピース、アダプタ)一覧
Truthear Zero Blue2は、価格に対して非常に豊富な付属品が同梱されています。
主な付属品は以下の通りです。
- イヤホン本体
- 高純度銅・銀メッキ同軸ケーブル(0.78mm 2Pin)
- シリコンイヤーチップ(複数サイズ)
- フォームイヤーチップ(複数サイズ)
- 5Ωインピーダンスアダプタ
- レザー調キャリーポーチ
- イラストカード(ワルキューレ)
価格はいくら? コストパフォーマンスは高い?
Truthear Zero Blue2の価格は、海外で約65ドル、日本国内では約7,000円から10,000円程度で販売されています。
イヤホン本体のビルドクオリティ、音質、そして豊富な付属品(特に品質の良いケーブルや調整用アイテム)を考慮すると、コストパフォーマンスは引き続き非常に高いレベルにあると言えます。
旧モデル(Zero / Red)やGateとの違いは?
最大の改善点:ノズルが細くなり装着感が劇的に向上
旧モデルのZeroおよびZero:Redで最大の課題とされていたのが、ノズル(イヤーピースを取り付ける先端部分)の太さ(直径約6.8mm)でした。
Truthear Zero Blue2ではこれが約6.1mm~6.2mmへと大幅に縮小されています。
このわずか0.6mmほどの差が装着感に与える影響は非常に大きく、耳への圧迫感が減り、より快適な装着が可能になりました。
また、ノズルが細くなったことで、サードパーティ製のイヤーピースの選択肢も格段に広がっています。
音質の違い:Zero RedとBlue2はどちらを選ぶべきか
Zero:RedとZero:Blue2は、同じZeroシリーズでありながら音質の方向性が異なります。
Zero:Redは、Blue2に比べると高音の刺激が抑えられており、全体的によりバランスの取れた、聴きやすいサウンドと評価されています。
対してBlue2は、よりV字型でコントラストが強く、音のシャープさや解像感を(フォームチップ使用時でも)Redより感じやすい傾向にあります。
どちらを選ぶかは好みによりますが、よりバランス志向ならRed、より刺激的でコントラストの強い音が好きならBlue2が選択肢となります。
入門機Gateとの比較:どちらがおすすめ?
Truthear Gateは、Blue2の半額程度(約3,000円)で購入できるエントリーモデルです。
Gateは「さっぱり、くっきり」とした音色で、余韻が少なくスッキリとしたサウンドが特徴です。
一方、Blue2は「ウォームで余韻がたっぷり」としており、ボーカルや楽器の音に厚みがあります。
価格分の絶対性能(解像度や低音の深さ)ではBlue2が秀でていますが、音の好みは明確に分かれます。
すっきり系が好きならGate、しっとりとした厚みのある音が好きならBlue2を選ぶと良いでしょう。
Truthear Zero Blue2の装着感とデザイン
ケーブルの品質と取り回しは改善されたか
付属ケーブルの品質は非常に高い評価を得ています。
旧型のZeroに付属していたケーブルよりも品質が向上しており、エントリーモデルのGateに付属するものよりも1ランク上の仕様です。
しなやかで取り回しが良く、絡まりにくいため、追加でリケーブル(ケーブル交換)をする必要性を感じないレベルのものが標準で付属しています。
フェイスプレートのデザインとビルドクオリティ
フェイスプレートのデザインは、旧モデルのモチーフを引き継ぎつつ、より立体的で複雑な模様(「昆虫の羽根」や「葉脈」に例えられる)が採用されています。
光の角度によって紫がかって見えるなど、美しく高級感のある仕上がりです。
3Dプリンタで製造されたレジンシェル(本体筐体)も継ぎ目がなく滑らかで、全体的なビルドクオリティは価格以上との評価が一般的です。
長時間の使用は疲れる?
前述の通り、ノズル径が改善されたことで、物理的な装着感は旧モデルより大幅に向上しており、長時間の使用にも耐えうる快適さを備えています。
ただし、音質面での「聴き疲れ」には注意が必要です。
標準のシリコンイヤーピースのままでは、高音の刺激によって疲れを感じる可能性があります。
付属のフォームイヤーチップを使用することで、音質面での疲れも軽減され、より長時間のリスニングに適した状態になります。
Truthear Zero Blue2の評判・口コミまとめ
海外・国内の良い評判:「ボーカルが聴きやすい」「旧型より快適」
Truthear Zero Blue2に寄せられる良い評判の多くは、改善された装着感に集中しています。
「旧型(Zero/Red)はノズルが太くて合わなかったが、Blue2は快適に着けられる」という声が多く見られます。
また、「ボーカルに厚みがあり聴きごたえがある」「ビルドクオリティと付属品が価格に見合わないほど豪華だ」といった点も高く評価されています。
海外・国内の悪い評判:「高音が疲れる」「アダプタは微妙」
悪い評判としては、やはり標準状態での高音の鋭さに関するものが大半です。
「高音がシャープすぎて疲れる」「フォームチップの使用が前提になっている」といった意見が目立ちます。
また、付属の5Ωインピーダンスアダプタについては、「低音が強くなりすぎてバランスが崩れる」として、あまり好意的に受け入れられていない傾向があります。
まとめ:Truthear Zero Blue2 レビュー解説
おすすめな人:しっとりした音やボーカルの厚みが欲しい人
Truthear Zero Blue2は、イヤホンの装着感を最重要視する人、そして旧モデルのノズルが合わなかった人にまずおすすめできます。
音質の好みとしては、エントリーモデルのGateのようなスッキリ系よりも、ウォームでしっとりとした余韻のある音や、厚みのあるボーカル表現を重視する人に最適です。
付属のフォームイヤーチップを使うことに抵抗がないことも、このイヤホンを選ぶ上での重要なポイントとなります。
おすすめしない人:高音の刺さりが苦手な人、Redのバランスが好きな人
逆におすすめしにくいのは、標準のシリコンイヤーピースのままで使いたい人や、高音の刺激に非常に敏感な人です。
また、すでにZero:Redを所有しており、そのバランスの取れたサウンドを気に入っている場合、Blue2のV字型でコントラストの強い音は好みに合わない可能性があります。
フォームイヤーチップの装着感が苦手な人も、他の選択肢を検討する方が良いかもしれません。
- Truthear Zero Blue2はZeroシリーズの2DD搭載後継機である
- 最大の改善点はノズル径の縮小による装着感の劇的な向上
- 音質はハーマンターゲット基準のV字型で、低音と高音が強調される
- 中音域はウォームで厚みがあり、特にボーカル表現に優れる
- 標準のシリコンチップでは高音がシャープで刺さりやすい
- 高音の刺激は付属のフォームイヤーチップで大幅に改善可能
- 付属の5Ωアダプタは低音を過度にブーストするため好みを選ぶ
- 旧モデルZero:RedはBlue2よりバランスの取れた音質傾向
- 入門機Gateとは音の傾向が異なり、Gateはスッキリ系、Blue2はウォーム系
- 付属ケーブルの品質は高く、リケーブルの必要性は低い