PS Vitaの美しいグラフィックで描かれるゲームを、リビングの大きなテレビ画面で楽しみたいと考えたことはありませんか。
携帯機ならではの手軽さも魅力ですが、迫力ある大画面でじっくりとプレイしたいと感じる方も多いはずです。
しかし、PS Vitaには映像出力端子が搭載されていないため、HDMIケーブルを直接つなぐだけではテレビに画面を映すことはできません。
この記事では、「PS Vitaのゲームをテレビ出力したい」というあなたの願いを叶えるための、公式な方法からPCを利用した方法、さらには改造に至るまで、現在考えられるすべての手段を網’羅的に解説します。
それぞれのメリット・デメリットを比較し、あなたに最適な方法を見つけるための手助けとなるでしょう。
【結論】PS Vitaのゲームをテレビ出力する方法は?単体では不可能
まず結論からお伝えすると、PS Vita本体だけではテレビやモニターにゲーム画面を出力することはできません。
PS Vita本体には、映像を出力するためのHDMIポートなどの機能が標準で搭載されていないためです。
PS Vita本体に映像出力機能がないため直接接続はできない
PS Vitaは携帯ゲーム機として設計されており、本体の有機ELディスプレイや液晶ディスプレイでゲームを楽しむことを前提としています。
そのため、テレビなど外部のモニターに映像を出力するための物理的な端子が存在しません。
市販の変換ケーブルなどを使用しても、この仕様を変えることは不可能です。
唯一の公式な方法は「PS Vita TV」を使うこと
ソニー・インタラクティブエンタテインメントが公式に提供している唯一の方法は、「PS Vita TV」という据え置き型の派生ハードウェアを使用することです。
これはPS Vitaのゲームをテレビで遊ぶために開発された製品であり、HDMIケーブルでテレビと接続して使用します。
改造すればPCへの画面出力など非公式な方法も存在する
公式な方法以外にも、PS Vita本体を改造(HENkaku導入など)することで、非公式な手段を用いて画面を出力する方法も存在します。
具体的には、PCの画面にゲーム映像をストリーミングするプラグインの導入や、PC上でPS Vitaのゲームを動作させるエミュレータの利用などが挙げられます。
ただし、これらの方法はメーカーの保証外であり、ある程度の専門知識が必要となります。
PS Vitaをテレビ出力する4つの方法|メリット・デメリットを一覧比較

PS Vitaのゲームを大画面で楽しむためには、主に4つの方法が存在します。
それぞれにメリットとデメリットがあるため、ご自身の環境やスキル、予算に合わせて最適な方法を選ぶことが重要です。
ここでは、各方法の特徴を一覧表で比較します。
方法 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
PS Vita TV | 公式の据え置き機 | 接続が簡単で安定している | 現在は生産終了で高価、一部非対応ソフトあり |
プラグイン | PC画面にストリーミング | 低コスト(追加費用なしも可能) | 設定が必要、遅延の可能性、PCが必須 |
エミュレータ | PC上でVitaを再現 | 高解像度でのプレイが可能 | 対応ソフトが少ない、高性能なPCが必要 |
自作・改造 | ドック自作や基板改造 | 理想の環境を構築できる可能性 | 高度な技術と知識が必要、失敗のリスクが高い |
【公式・簡単】PS Vita TVでプレイする
最も手軽で確実な方法は、PS Vita TVを使用することです。
HDMIケーブルでテレビに接続し、PS4などのコントローラーを使って操作するだけで、すぐに大画面でVitaのゲームを楽しめます。
特別な知識は不要ですが、現在は生産が終了しており、中古市場で価格が高騰している点が最大のネックです。
【PC経由・低コスト】プラグインでPC画面に出力する
改造済みのPS Vitaをお持ちの場合、専用のプラグインを導入することで、USBケーブル経由でPCのモニターにゲーム画面を映し出すことができます。
この方法は追加の機材購入がほとんど不要なため、非常に低コストで実現可能です。
ただし、設定がやや煩雑な点や、PCを介するため若干の映像遅延が発生する可能性がある点に注意が必要です。
【PC経由・高画質】エミュレータ「Vita3K」でプレイする
PC上でPS Vitaの動作を再現するエミュレータ「Vita3K」を利用する方法もあります。
この方法のメリットは、PCの性能次第で実機よりも高い解像度でゲームをプレイできる可能性があることです。
しかし、エミュレータはまだ発展途上であり、正常に動作するゲームは非常に限られているのが現状です。
今後のアップデートに期待が寄せられます。
【上級者向け・改造】ドック自作やキャプチャー改造を行う
電子工作やプログラミングの高度な知識を持つ方向けの方法として、Raspberry Pi(ラズベリーパイ)などを利用して自作の出力ドックを作成したり、本体基板を直接改造して映像出力端子を取り付けたりする方法も存在します。
これらは非常に難易度が高く、失敗すると本体が故障するリスクを伴いますが、成功すれば理想のプレイ環境を構築できるかもしれません。
【公式】PS Vita TVでテレビ出力する方法と現在の価格

ここでは、PS Vitaのゲームをテレビで遊ぶための唯一の公式な手段である「PS Vita TV」について詳しく解説します。
PS Vita TVとは?Vitaのゲームがテレビで遊べる据え置き機
PS Vita TVは、2013年に発売された、テレビに接続して遊ぶことを前提とした据え置き型のゲーム機です。
中身はPS Vitaとほぼ同じシステムが搭載されており、PS Vitaのゲームカードを挿入したり、ダウンロード版のゲームをプレイしたりすることが可能です。
操作はDUALSHOCK 3やDUALSHOCK 4といったコントローラーで行います。
接続に必要なものは?(本体・HDMIケーブル・コントローラー)
PS Vita TVをテレビで遊ぶためには、以下のものが必要です。
- PS Vita TV 本体
- テレビまたはモニター(HDMI入力端子付き)
- HDMIケーブル
- コントローラー(DUALSHOCK 3 または DUALSHOCK 4)
- 電源コード・ACアダプター(本体に付属)
- PS Vita用メモリーカード
これらを説明書に従って接続するだけで、簡単にテレビ出力が完了します。
PS Vita TVの現在の価格は?Amazonや中古市場での値段の目安
PS Vita TVはすでに生産を終了しているため、新品での入手は困難です。
現在ではAmazonのマーケットプレイスや中古ゲームショップ、フリマアプリなどで探すことになります。
巣ごもり需要などの影響で価値が見直され、価格は高騰傾向にあります。
2023年時点での中古市場の価格目安は、本体のみで25,000円前後、コントローラーがセットになったバリューパックでは35,000円前後で取引されることも珍しくありません。
注意点:タッチ操作が必須など一部非対応のゲームがある
PS Vita TVには一つ大きな注意点があります。
それは、PS Vitaの前面タッチスクリーンや背面タッチパッド、マイク、カメラといった機能を前提とした一部のゲームに対応していないことです。
遊びたいゲームがPS Vita TVに対応しているかどうか、購入前にパッケージの裏面や公式サイトで確認することをおすすめします。
【非公式】改造やPCを利用して大画面に出力する方法

メーカー非推奨の方法となりますが、改造やPCを組み合わせることでPS Vitaの画面を大画面に出力することも可能です。
ここでは代表的な方法を紹介しますが、実行は自己責任でお願いします。
PC画面に出力するプラグイン「vita-udcd-uvc」とは?
「vita-udcd-uvc」は、HENkakuなどのカスタムファームウェアを導入したPS Vitaにインストールすることで、USB経由でPCに画面をストリーミングできるようになるプラグインです。
PC側ではOBS Studioなどのキャプチャーソフトを使って映像を表示します。
音声はUSB経由では転送されないため、PS Vita本体のイヤホンジャックからPCのライン入力端子へ別途オーディオケーブルで接続する必要があります。
PS4のコントローラーは使える?「ds4vita」プラグインの導入
PC画面に出力してプレイする場合、PS Vita本体をコントローラーとして使うのは操作しにくいかもしれません。
その際は、「ds4vita」という別のプラグインを導入することで、PS4のコントローラー(DUALSHOCK 4)をPS Vitaにワイヤレス接続して使用できるようになります。
これにより、より快適な操作環境を構築できます。
PCでVitaのゲームを動かすエミュレータ「Vita3K」の実用性は?
PC上でPS Vitaの環境を再現するエミュレータ「Vita3K」も開発が進んでいます。
このエミュレータを使えば、所有しているゲームソフトのデータを吸い出してPCでプレイすることが理論上可能です。
ただし、まだ開発途上であり、快適に遊べるレベルで動作する商用ゲームはごく一部に限られています。
多くのゲームは起動しないか、グラフィックの乱れや動作の遅延が発生するのが現状です。
幻の「PSVITA DOCK」を自作する方法
かつてクラウドファンディングで計画されたものの、製品化には至らなかった「PSVITA DOCK」という幻の製品がありました。
これはPS Vitaをドックに置くと、テレビ出力とコントローラー接続が可能になるという画期的なものでした。
幸いにも、開発者が設計データ(3Dプリンター用データ)とソフトウェアを公開しているため、3DプリンターやRaspberry Piに関する知識があれば、自作に挑戦することも可能です。
【注意】PS Vitaのテレビ出力でよくある間違いとできないこと
PS Vitaのテレビ出力に関しては、いくつかの誤解や勘違いが見られます。
ここでは、よくある間違いと、仕様上できないことについて明確に解説します。
PS4やPS5に繋いでテレビ出力はできますか?
残念ながら、PS VitaをUSBケーブルでPS4やPS5に接続しても、ゲーム画面をテレビに出力することはできません。
これらの機器間の連携は、主にコンテンツ管理(セーブデータのバックアップなど)に限られます。
PS VitaのゲームをPS4やPS5でプレイする機能はありません。
PS3経由で画面を映すことは可能ですか?
PS4やPS5と同様に、PS3に接続してもゲーム画面をテレビに映し出すことは不可能です。
PS VitaとPS3は一部のゲームで連携機能がありましたが、映像の外部出力には対応していません。
HDMI変換ケーブルやアダプタをVitaに挿しても出力はできない
PS Vitaの充電やデータ転送に使われる独自端子やUSB端子から、HDMIに変換するケーブルやアダプタを使用しても、映像は出力されません。
前述の通り、PS Vita本体には映像を出力する機能そのものが内蔵されていないため、変換アダプタを介しても意味がないのです。
PS TVへの「メディア転送」機能ではゲーム画面は転送不可
PS Vitaには、同じネットワーク内にあるPS Vita TVに写真やビデオといったメディアコンテンツを転送して表示させる機能があります。
しかし、この機能はゲーム画面のストリーミングには対応していません。
あくまで写真や一部の動画コンテンツを共有するための機能であり、リアルタイムでのゲームプレイは不可能です。
PS Vitaのテレビ出力に関するよくある質問
最後に、PS Vitaのテレビ出力に関して寄せられることが多い質問とその回答をまとめました。
画面の遅延やラグはどのくらい発生しますか?
公式な方法であるPS Vita TVを使用した場合、HDMI接続のため遅延はほとんど気にならないレベルです。
一方で、PCにストリーミングするプラグイン方式では、PCのスペックやUSB接続の状況によって若干の遅延(ラグ)が発生する可能性があります。
アクションゲームやリズムゲームなど、シビアな入力タイミングが求められるゲームでは、この遅延がプレイに影響を与えることも考えられます。
一番安く、追加費用なしで試せる方法はどれ?
すでに対応するPS Vita(改造済み)とPCをお持ちであれば、プラグインを導入する方法が最も安く、追加費用なしで試すことができます。
必要なものはUSBケーブルとオーディオケーブルだけであり、ソフトウェアはすべて無料で公開されています。
結局、今からテレビで遊ぶならどの方法が一番おすすめ?
手軽さと安定性を最優先するなら、多少高価でも中古の「PS Vita TV」を探すのが最もおすすめです。
専門知識が不要で、接続すればすぐにプレイを開始できます。
もし、ある程度の知識があり、コストを抑えたい、あるいはPCでのプレイ環境を構築してみたいということであれば、プラグイン方式に挑戦してみるのも良い選択肢と言えるでしょう。
まとめ:PS Vitaのテレビ出力に関する完全ガイド
- PS Vita本体に映像の外部出力機能はない
- PS Vita単体でテレビに接続することは不可能である
- 公式にテレビ出力する唯一の方法は「PS Vita TV」の利用である
- PS Vita TVは生産が終了しており、中古市場で価格が高騰している
- PS Vita TVは一部のタッチ操作必須ゲームには非対応である
- 改造済みのPS VitaならプラグインでPC画面への出力が可能
- プラグイン方式は低コストだが、設定や遅延の可能性がある
- PCエミュレータ「Vita3K」は発展途上であり対応ソフトが少ない
- PS4やPS3に接続してもゲーム画面の出力はできない
- 安定性を求めるならPS Vita TV、低コストを求めるならプラグイン方式が選択肢となる