「新しいPCを組むならDDR5メモリが良いと聞くけど、本当に意味あるの?」
「DDR5は価格が高い割に、DDR4と大して性能が変わらないって本当?」
現在、PCのメモリ選びで主流となっている「DDR5」と「DDR4」。
新しい規格であるDDR5に魅力を感じつつも、性能差や価格、互換性など、様々な情報が飛び交っており、どちらを選ぶべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、公開されている客観的なデータや専門家の意見を基に、「DDR5は意味ない」と言われる理由を深掘りします。
DDR4との具体的なスペック比較から、ゲームやクリエイティブ作業における実測性能差、そして将来性までを網羅的に解説し、あなたのPC選びにおける最適な答えを導き出します。
DDR5は意味ないって本当?噂の真相を専門家が徹底解説
なぜ「DDR5は意味ない」と言われるの?よくある7つの理由
DDR5が「意味ない」あるいは「時期尚早」と言われるのには、いくつかの明確な理由が存在します。
最大の理由は、DDR4と比較して価格が高いにもかかわらず、多くの一般的な用途において体感できるほどの性能向上が見られない点です。
特に、データ転送の遅延時間を示すレイテンシにおいては、初期のDDR5製品がDDR4に劣るケースもあり、「新しい規格なのに遅い」という印象を与える一因となりました。
また、DDR4との互換性がないため、メモリだけでなくマザーボードやCPUといった主要パーツごとの交換が必須となり、アップグレードの総コストが膨らむことも、導入をためらわせる要因となっています。
さらに、メモリを4枚搭載すると動作クロックが低下するというDDR5特有の仕様や、登場初期の製品がまだ発展途上であったことなども、「意味ない」という評価に繋がっています。
実際のユーザー評価は?100人のアンケート調査で見る本音の口コミ
ある調査では、DDR5を経験したユーザー100人のうち23人が「意味ない」と感じているという結果が出ています。
「意味ない」と回答したユーザーからは、「価格に見合う性能向上が感じられない」「ゲーム中のフレームレートがDDR4と変わらなかった」「マザーボードとの互換性問題で結局使えなかった」といった、コストパフォーマンスや実用面での不満が主な理由として挙げられています。
一方で、「意味ある」と回答したユーザーは、「動画編集のレンダリングが速くなった」「マルチタスクが快適になった」「将来性を見越して先行投資した」など、特定の高負荷作業での効率化や将来への期待をメリットとして感じているようです。
このように、ユーザーの評価はPCの主な使用目的によって大きく分かれる傾向にあります。
【結論】現状ではDDR4とDDR5、どっちを選んでも大きな失敗はない
結論から言うと、2025年現在においては、DDR4とDDR5のどちらを選んでも、一般的なPC利用において「大きな失敗」となることはありません。
DDR5は理論的な性能こそ高いものの、多くのアプリケーションがまだその性能を最大限に引き出しきれていないのが実情です。
そのため、Webブラウジングやオフィス作業、多くのPCゲームでは、価格の安いDDR4でも十分快適なパフォーマンスを発揮します。
もちろん、最新のプラットフォームでPCを新規に組み立てる場合や、4K動画編集のような特定の用途で少しでも高い性能を求めるならばDDR5が優位ですが、そうでなければDDR4を選ぶという選択は、コストパフォーマンスの観点から非常に合理的と言えるでしょう。
DDR5とDDR4の5つの決定的違いとは?スペックを完全比較

① 速度と帯域幅:理論値はDDR5が圧勝、でも体感できる?
メモリの性能を示す最も基本的な指標が「メモリクロック(動作速度)」と「メモリ帯域幅(一度に転送できるデータ量)」です。
この点において、DDR5はDDR4を理論上大きく上回ります。
例えば、普及価格帯の製品で比較すると、DDR4-3200の帯域幅が25600MB/sであるのに対し、DDR5-4800では38400MB/sと、約1.5倍のデータを転送可能です。
しかし、この理論値の差が、そのままPC全体の体感速度に直結するわけではないのが難しいところです。
多くの作業では、この帯域幅を常に使い切るわけではないため、差を感じにくいのが実情です。
メモリ規格 | メモリクロック | メモリ帯域幅 |
DDR4-2666 | 2666MHz | 21300MB/s |
DDR4-3200 | 3200MHz | 25600MB/s |
DDR5-4800 | 4800MHz | 38400MB/s |
DDR5-5600 | 5600MHz | 44800MB/s |
DDR5-6400 | 6400MHz | 51200MB/s |
② レイテンシ(遅延):なぜDDR5は遅いと言われるのか?CL値のカラクリ
DDR5が「遅い」と言われる原因は、「レイテンシ(遅延時間)」にあります。
これはデータ転送の要求があってから、実際にデータが動き出すまでの応答時間のことです。
メモリの仕様にある「CL(CAS Latency)」という値がこれにあたり、数字が小さいほど応答が速いことを意味します。
DDR5は動作クロックが高い分、このCL値がDDR4よりも大きく設定されている傾向があります。
実際の遅延時間は「CL値 ÷ 動作クロック」で決まるため、製品によってはDDR5の方がDDR4より実際の応答時間が長くなる逆転現象が起こります。
これが、スペック上の速度は速いはずのDDR5が、必ずしもキビキビと動作するとは限らない理由です。
メモリ規格 | CL値 | 実際の遅延時間 (ナノ秒) |
DDR4-3200 | 22 | 13.75ns |
DDR4-3200 | 15 | 9.37ns |
DDR5-4800 | 40 | 16.67ns |
DDR5-4800 | 36 | 15.00ns |
DDR5-6000 | 36 | 12.00ns |
③ 価格差:DDR4とDDR5、今買うなら値段はどれくらい違う?
DDR5が登場した当初は、DDR4の2倍以上の価格で販売されることも珍しくありませんでした。
現在ではDDR5の価格も大幅に下落し、両者の価格差は縮小傾向にあります。
しかし、依然として同じ容量であればDDR4の方が安価に購入できる状況が続いています。
例えば、32GB(16GB×2枚)のキットで比較すると、数千円から一万円程度の価格差が見られるのが一般的です。
この価格差をどう捉えるかが、メモリ選びの一つのポイントになるでしょう。
自作PCなどでコストを少しでも抑えたい場合、DDR4を選ぶことで他のパーツに予算を回すという考え方も有効です。
④ 互換性:メモリだけの交換はNG?マザーボードとCPUの注意点
DDR4とDDR5の最も重要な注意点の一つが、両者に互換性がないことです。
物理的にメモリモジュールの切り欠きの位置が異なるため、DDR4対応のマザーボードにDDR5メモリを挿すことはできませんし、その逆も不可能です。
つまり、DDR4のPCからDDR5にアップグレードしたい場合、メモリだけでなく、DDR5に対応したマザーボードとCPUも同時に交換する必要があります。
Intelでは第12世代Coreプロセッサ以降、AMDではRyzen 7000シリーズ以降のCPUがDDR5に対応していますが、マザーボードによってはDDR4専用モデルも存在するため、購入時には注意深い確認が求められます。
⑤ 見分け方:スロットの切り欠きの位置で簡単に見分ける方法
DDR4メモリとDDR5メモリは、製品のラベルを見れば簡単に見分けがつきます。
「DDR4」や「PC4」、「DDR5」や「PC5」といった表記が必ず記載されています。
もしラベルが読めない場合でも、メモリモジュール本体を見れば物理的な違いで判別可能です。
前述の通り、メモリモジュールの基板下部にある切り欠きの位置が、DDR4とDDR5ではわずかに異なっています。
この切り欠きのおかげで、対応していないメモリスロットに誤って挿入できない仕組みになっています。
【実測データ】ゲームやクリエイティブ作業での性能差は本当にある?
ゲーム性能の比較:人気タイトルのフレームレート(fps)に差は出るのか
多くのゲーマーにとって最も気になるのが、フレームレート(fps)への影響でしょう。
海外のハードウェア専門サイト「tom’s HARDWARE」が実施した検証によると、フルHD解像度におけるDDR4-3200とDDR5-4800の平均フレームレートの差は、1%未満という結果でした。
いくつかのゲームではDDR5がわずかに上回るものの、別のゲームではDDR4が上回ることもあり、その差は「誤差の範囲」と言えるレベルです。
高クロックなDDR5メモリを使っても、体感できるほどの劇的な変化はなく、現状のほとんどのPCゲームにおいて、DDR4の帯域幅で十分足りていることがわかります。
クリエイティブ性能の比較:動画編集や画像処理は本当に速くなる?
動画編集やRAW現像といったクリエイティブ作業は、メモリ帯域幅の恩恵を受けやすいとされています。
Adobe Premiere ProやLightroomといった一部のアプリケーションでは、DDR5、特に高クロックなモデルが高いスコアを記録し、性能向上に寄与する可能性が示されています。
しかし、一方でPhotoshopのようにDDR4の方が良好な結果を示すケースもあり、アプリケーションの設計によって結果は大きく異なります。
また、これらのベンチマークスコアは測定のタイミングやPCの状態によっても変動するため、常にDDR5が優位とは言い切れないのが現状です。
結論:性能差は誤差レベル?投資対効果(コスパ)で考える
実測データを見ると、ゲームにおいてもクリエイティブ作業においても、DDR4からDDR5への変更による性能向上は、多くのユーザーにとって「劇的」とは言えず、限定的なものに留まります。
もちろん、1秒でも速く処理を終えたいプロフェッショナルな現場や、わずかなフレームレートの向上を追求する競技ゲーマーにとっては意味のある投資かもしれません。
しかし、一般的なユーザーにとっては、DDR5に数千円から一万円を追加で支払う価値があるかと問われると、現状では「コストパフォーマンスは低い」と判断せざるを得ないでしょう。
DDR5の知られざる注意点とデメリット

DDR5の4枚挿しはなぜ非推奨?速度が低下する問題とその理由
DDR5メモリには、4枚のメモリモジュールを搭載すると、定格のメモリクロックが低下するという特有の仕様があります。
例えば、DDR5-4800のメモリを4枚挿した場合、マザーボードによっては自動的にクロックが3600MHzや4000MHzに制限されてしまうことがあります。
これはDDR5の信号制御の複雑さに起因するもので、安定動作を優先するための仕様です。
そのため、大容量メモリを必要とする場合でも、8GBを4枚で32GBにするのではなく、16GBを2枚で32GBにするといった構成が推奨されます。
メーカーやクロックが違うメモリの混在は危険?
PCの安定動作の基本として、メーカー、容量、クロック、CL値など、すべての仕様が同一のメモリをセットで使うことが強く推奨されます。
これはDDR4でもDDR5でも同様です。
仕様の異なるメモリを混在させると、PCが起動しない、動作が不安定になる、ブルースクリーンが頻発するといったトラブルの原因となります。
特にDDR5はDDR4よりも動作がシビアなため、安易な増設は避けるべきです。
メモリを増設する場合は、現在使用しているものと全く同じ型番の製品を選ぶか、既存のメモリを取り外して、新しいメモリキットに交換するのが安全です。
DDR5の高レイテンシは設定で改善できる?
DDR5のレイテンシは、BIOS(UEFI)設定でメモリのタイミングを手動で調整することである程度改善できる場合があります。
また、「XMP」や「EXPO」といった、メモリメーカーが用意したオーバークロック用のプロファイルを読み込むことで、より高速かつ低遅延な設定を簡単に適用することも可能です。
ただし、これらの設定変更はオーバークロック行為にあたり、PCの動作を不安定にするリスクを伴います。
設定を詰めすぎるとPCが起動しなくなる可能性もあるため、専門的な知識がない限りは、基本的には定格のまま使用するのが無難です。
結論:今買うならDDR4とDDR5どっちが正解?
【目的別】あなたに最適なメモリの選び方
これまでの情報を踏まえ、どのような人がDDR4を選ぶべきか、そしてDDR5を選ぶべきかをまとめます。
重要なのは、どちらか一方が絶対的に優れているわけではなく、あなたのPCの使い方と予算によって最適な選択が変わるという点です。
DDR4がおすすめな人:コストを最優先したい、今のPCを延命させたい
以下のような方には、コストパフォーマンスに優れたDDR4がおすすめです。
- とにかくPCの購入・組み立て費用を抑えたい
- PCの主な用途がWeb閲覧、動画視聴、オフィスソフトなどである
- 現在DDR4対応のPCを使っており、メモリ容量だけを増やしたい
- 最新のスペックにはこだわらない
これらの用途ではDDR5の性能を活かしきれないため、価格の安いDDR4で十分な満足度が得られるでしょう。
DDR5がおすすめな人:最新パーツでPCを組みたい、将来性を見据えたい
一方で、以下のような方には、将来性のあるDDR5が選択肢に入ります。
- Intel Core UltraシリーズやAMD Ryzen 7000シリーズ以降の最新CPUでPCを組む
- 4K動画編集や3DCGレンダリングなど、メモリ帯域幅が性能に直結する作業を頻繁に行う
- 数年後を見据え、将来的なアップグレードの余地を残しておきたい
- 少しでも高い性能を追求したい
新しいプラットフォームではDDR5が標準となりつつあるため、長期的な視点で見ればDDR5への投資は理にかなっています。
浮いたお金でGPUを強化した方が幸せになれる?
特にPCゲームのパフォーマンスを向上させたい場合、非常に重要な考え方があります。
それは、「メモリをDDR4からDDR5にアップグレードする差額で、グラフィックボード(GPU)のランクを一つ上げた方が、はるかに大きな性能向上が得られる」という事実です。
前述の通り、メモリ規格の変更によるフレームレートへの影響はごくわずかです。
しかし、GPUのランクを一つ上げれば、フレームレートは劇的に向上します。
限られた予算の中で最高のゲーム体験を求めるなら、メモリはDDR4でコストを抑え、その分をGPUに投資するのが最も賢明な選択と言えるでしょう。
DDR5の将来性と今後の見通し
DDR5メモリの価格は今後安くなる?買い時はいつ?
DDR5メモリの価格は、生産量の増加と技術の成熟に伴い、今後も緩やかに下落していくと予想されます。
DDR4との価格差も徐々に縮まっていき、いずれ逆転するタイミングが訪れるでしょう。
DDR5を「使ってみたい」という興味があるなら、無理に今すぐ購入する必要はありません。
欲しいと思ったPCやマザーボードがたまたまDDR5対応だった、というタイミングで自然に移行するのがおすすめです。
DDR4はいつまで販売される?市場から消える可能性は?
新しい規格が登場すると、古い規格が市場から姿を消すのはPCパーツの歴史が証明しています。
DDR4も例外ではなく、いずれは生産が終了し、入手が困難になるでしょう。
しかし、世界中に膨大な数のDDR4対応PCが存在するため、少なくともあと数年間は市場で販売され続けると考えられます。
今DDR4のPCを購入しても、すぐにメモリの増設ができなくなるといった心配は不要です。
次世代規格「DDR6」はいつ登場する?
DDR5が市場の主流になりつつある一方で、既に次世代規格である「DDR6」の開発も進められています。
具体的な登場時期はまだ先ですが、DDR5の2倍近い転送速度を目指していると言われています。
このようにメモリ技術は常に進化を続けており、DDR5もいずれは通過点となります。
このことからも、現時点で無理に高価なDDR5に飛びつく必要はない、と考えることもできるでしょう。
まとめ:DDR5が意味ないと言われる理由と選び方
- DDR5は理論上のデータ転送速度でDDR4を大きく上回る
- しかし実際の応答速度を示すレイテンシはDDR4に劣る場合がある
- PCゲームや多くの日常作業において体感できるほどの性能差はほぼない
- DDR4とDDR5に互換性はなく、乗り換えにはマザーボード等の交換が必須
- DDR5メモリは4枚搭載すると安定動作のために速度が低下することがある
- コストパフォーマンスを重視する場合、依然としてDDR4が有力な選択肢
- 最新世代のCPUではDDR5のみをサポートするモデルが増えている
- ゲーミングPCではメモリの差額をGPUに投資する方が性能向上への貢献度が高い
- DDR5の価格は下落傾向にあり、将来的にはDDR4と価格が逆転する見込み
- 現状では予算やPCの主な用途に応じてどちらを選んでも大きな失敗はない