Anycubic Kobra 3を徹底レビュー解説!特徴から価格、評判まで網羅

3Dプリンターの世界は日々進化しており、より速く、より多機能なモデルが次々と登場しています。

そんな中、Anycubicから新たにリリースされた「Kobra 3シリーズ」は、特にその高速印刷性能と、待望のマルチカラー対応で大きな注目を集めています。

この記事を読んでいるあなたは、「Anycubic Kobra 3の実際の性能はどうなのか?」「旧モデルや他社製品と比べてどう違うのか?」といった疑問をお持ちではないでしょうか。

本記事では、Anycubic Kobra 3およびKobra 3 Comboについて、その特徴や詳細なスペック、気になる価格、そして実際に使ったユーザーの評判や口コミまで、あらゆる角度から徹底的にレビュー解説していきます。

購入を検討している方はもちろん、最新の3Dプリンター事情に興味がある方も、ぜひ最後までご覧ください。

目次

Anycubic Kobra 3の基本性能をレビュー解説

Anycubic Kobra 3の主な特徴

Anycubic Kobra 3が注目される最大の理由は、その多彩で強力な機能にあります。

結論として、本機は「最大600mm/sの圧倒的な高速印刷」「ACE Proによる乾燥機能付きマルチカラー対応」「初心者にも優しい数々の自動化機能」という3つの大きな特徴を持っています。

まず、印刷速度は家庭用3Dプリンターとして業界トップクラスの最大600mm/sを実現しています。

これは前モデルのKobra 2シリーズ(最大500mm/s)をさらに上回るスペックであり、試作品の製作や大型モデルの印刷時間を大幅に短縮可能です。

次に、Anycubicとして初となるマルチカラー対応も見逃せません。

別売りのユニット「ACE Pro (Anycubic Color Engine Pro)」を組み合わせることで、1台で4色、さらに2台連携させることで最大8色ものフィラメントを自動で切り替えながら印刷できます。

特筆すべきは、このACE Proが約55℃の温風でフィラメントを加熱乾燥させる機能を備えている点です。

湿気に弱いフィラメントを最適な状態で保管しながら長時間印刷できるため、特に湿度の高い環境では大きなアドバンテージとなるでしょう。

そして、ユーザーフレンドリーな自動化機能も充実しています。

面倒な水平調整を全自動で行う「LeviQ 3.0オートレベリング」や、Anycubic製の対応フィラメントを自動で認識し、最適なパラメーターを読み込む「RFID同期機能」などを搭載。

これにより、初心者の方でも手動での煩雑な設定に悩まされることなく、手軽に高品質な印刷を始められます。

他にも、工具不要で交換可能なクイックスワップノズル、停電しても途中から印刷を再開できる機能、フィラメント切れを検知して自動停止する機能など、快適な3Dプリント体験をサポートする機能が満載です。

Anycubic Kobra 3のスペックを一覧で紹介

Anycubic Kobra 3の性能をより深く理解するために、具体的なスペックを確認してみましょう。

結論として、Kobra 3は前世代機であるKobra 2シリーズから多くの点でスペックアップを果たしており、特に速度と対応温度の向上が際立っています。

以下に、Kobra 3 Comboの主要なスペックを、参考として従来機「Kobra 2 Pro」と比較する形で表にまとめました。

項目名Anycubic Kobra 3 ComboAnycubic Kobra 2 Pro (参考)
ビルドボリューム(造形サイズ)250×250×260mm220×220×250mm
最大プリント速度600mm/s500mm/s
最大加速度20,000 mm/s²20,000 mm/s²
最大ノズル温度≤300℃≤260℃
最大プラットフォーム温度≤110℃≤110℃
マルチカラー対応○ (ACE Pro使用で最大8色)×
レベリング機能LeviQ 3.0 (全自動)LeviQ 2.0 (自動)
押出機ダイレクト式ダイレクト式
ビルドプラットフォームPEIスプリングスチールPEIスプリングスチール
接続方法USB、Wi-Fi、AC CloudUSB、Wi-Fi、Anycubic App
対応素材 (ACE Pro使用時)PLA, PETG, ABS, ASA, PET, PA, PC, PP, HIPSPLA, ABS, PETG, TPU
本体重量Kobra 3: 9.2kg, ACE Pro: 4.6kg8.4kg

この表から分かるように、Kobra 3は造形サイズが一回り大きくなり、より大きなものや複数のパーツを一度に印刷できるようになりました。

最大の進化点であるプリント速度とノズル温度に注目すると、速度は500mm/sから600mm/sへと向上。

ノズル温度は260℃から300℃へと大幅に引き上げられました。

これにより、PLAやPETGといった一般的なフィラメントだけでなく、ABSやASA、さらにはPC(ポリカーボネート)のような、より高い温度を必要とするエンジニアリングプラスチックの使用も視野に入ってきます。

プラットフォーム温度も最大110℃と高温に対応しており、反りやすい素材の定着を助けます。

このように、Anycubic Kobra 3は、趣味の用途から、より本格的なものづくりまで幅広く対応できる高いポテンシャルを秘めたスペックとなっています。

Anycubic Kobra 3の驚異的な印刷速度

Anycubic Kobra 3の最も注目すべき性能の一つが、その印刷速度です。

結論から言うと、最大印刷速度600mm/s、最大加速度20,000mm/s²というスペックは、家庭用FDM方式3Dプリンターの中で最速クラスに位置します。

この速度がどれほど速いかというと、3Dプリンターの性能評価でよく用いられるベンチマークモデル「3DBenchy(船のモデル)」を、公式情報ではわずか11分30秒で完成させることができるレベルです。

従来機では1時間以上かかることも珍しくなかったため、この時間はまさに驚異的と言えるでしょう。

もちろん、これはあくまで最大速度での話であり、最高の品質を求める場合は、推奨印刷速度である300mm/sで運用するのが一般的です。

それでも、以前のモデルと比較すれば圧倒的に速く、試作品の確認や大型モデルの製作にかかる時間を劇的に短縮できます。

この高速印刷を支えているのが、ハードウェアとソフトウェア両面からのアプローチです。

高速化を支えるハードウェアと機能

Kobra 3には、高速動作時の振動を検知し、印刷品質の低下(リンギングなど)を自動で抑制する「振動補正機能」が搭載されています。

内蔵された加速度計Gセンサーがインテリジェントに振動を調整することで、速くても滑らかで精密な造形を可能にしています。

また、フレーム構造にも高速化への工夫が見られます。

X軸とY軸には、耐久性と安定性に優れた金属製のダブルスピンドルと精密なSG15ベアリングを採用。

これにより、プリントヘッドが高速で動いた際のブレを最小限に抑え、安定した印刷を実現します。

言ってしまえば、Kobra 3は単にモーターの出力を上げただけでなく、その速度に耐えうる堅牢な構造と、品質を維持するためのインテリジェントな機能を兼ね備えることで、真の高速印刷を達成しているのです。

Anycubic Kobra 3の広大な造形サイズ

3Dプリンターを選ぶ上で、どれくらいの大きさのものが作れるかという「造形サイズ(ビルドボリューム)」は非常に重要な要素です。

Anycubic Kobra 3は、この点においてもユーザーの期待に応える十分なサイズを確保しています。

結論として、Kobra 3の造形サイズは250×250×260mm(幅×奥行き×高さ)となっており、これは標準的な家庭用3Dプリンターよりも一回り大きいサイズです。

多くの家庭用モデルが220×220×250mm程度のサイズを採用している中で、Kobra 3は各辺が数センチずつ大きくなっています。

この「数センチ」が、実際にものづくりを行う上では大きな違いを生みます。

例えば、一体で造形したいヘルメットや模型のパーツなど、従来機のサイズでは収まりきらずに分割して印刷し、後で接着する必要があったモデルも、Kobra 3なら一度で印刷できる可能性が広がります。

また、小さなパーツを複数同時に印刷する場合でも、より多くの数を一度に並べられるため、生産性が向上します。

Anycubicの公式情報によれば、このサイズはKobra 2シリーズと比較して34%も拡大しており、より大きな創造性を発揮するための十分なスペースを提供します。

このサイズ拡大は、昨今の3Dプリンター業界のトレンドを反映したものでもあります。

特に、Bambu Labなどの競合他社が展開するマルチカラー対応機も同等かそれ以上のサイズを採用しており、Anycubicが市場のニーズを的確に捉え、対抗できるスペックを用意してきたことがうかがえます。

大きなモデルを分割せずに作りたい方や、効率的に複数のパーツを生産したい方にとって、Kobra 3の広大な造形サイズは大きな魅力となるでしょう。

Anycubic Kobra 3の評判から見るレビュー解説

Anycubic Kobra 3の価格とコストパフォーマンス

Anycubic Kobra 3を導入する上で、最も気になる要素の一つが価格でしょう。

高性能な機能が満載ですが、その分、高価なのではないかと心配になるかもしれません。

結論として、Anycubic Kobra 3およびKobra 3 Comboは、その機能性を考慮すると非常にコストパフォーマンスに優れた価格設定になっています。

まず、価格についてですが、販売店や時期によって変動があるものの、2025年7月時点での参考価格は以下のようになっています。

  • Anycubic Kobra 3(本体のみ): Amazonで49,999円程度
  • Anycubic Kobra 3 Combo(本体 + ACE Pro): SK本舗で98,000円、Amazonで59,999円程度

マルチカラー印刷やフィラメント乾燥機能が不要であれば、本体のみを約5万円で入手できます。

そして、マルチカラー印刷を行いたい場合の「Kobra 3 Combo」は、販売店によって価格に幅がありますが、10万円を切る価格で提供されています。

この価格を、競合となるBambu LabのA1 Comboなどと比較しても、同等か、あるいは少し安価な価格帯に位置します。

特筆すべきは、Kobra 3 Comboの価格には「加熱乾燥機能付き」のマルチカラーユニットが含まれている点です。

通常、フィラメントを乾燥させるためには別途数千円から1万円程度のフィラメントドライヤーを購入する必要がありますが、Kobra 3 Comboならその必要がありません。

この点を考慮すると、そのコストパフォーマンスはさらに高いと言えるでしょう。

ただし、注意点として、マルチカラー印刷機能は「Combo」モデル、あるいは別売りの「ACE Pro」を追加購入しなければ利用できません。

「Anycubic Kobra 3」という名前の製品には本体しか含まれていないため、購入の際にはどちらのモデルなのかをしっかりと確認することが重要です。

高速印刷、全自動レベリング、そして乾燥機能付きマルチカラーという最新のトレンド機能をこの価格で体験できるKobra 3は、コストを抑えつつ高機能な3Dプリンターを求めている方にとって、非常に魅力的な選択肢です。

Anycubic Kobra 3の気になる評判・口コミ

Anycubic Kobra 3は多くの魅力的な機能を備えていますが、実際に使用したユーザーはどのように感じているのでしょうか。

ここでは、各種レビューサイトや口コミから見えてくる良い評判と、少し気になる点をまとめて解説します。

結論として、Kobra 3は高速性や組み立てやすさ、そしてACE Proの乾燥機能が高く評価されている一方で、ソフトウェアの安定性やサポート体制についてはいくつかの懸念点も指摘されています。

良い評判・口コミ

多くのユーザーが絶賛しているのは、やはりその性能と使いやすさです。

  • 圧倒的な印刷スピード: 「とにかく印刷が速い」「ベンチマークモデルが十数分で完成して驚いた」といった声が多数見られます。試作品を素早く作りたいユーザーにとって、この速度は大きなメリットとなっています。
  • 簡単な組み立て: 「半完成品の状態で届くため、30分もかからずに組み立てられた」「マルチカラー機なのにセットアップが簡単」など、初心者でも手軽に始められる点が評価されています。
  • ACE Proの乾燥機能: 「湿気の多い時期でも安心して長時間プリントできる」「別途ドライヤーを買わなくて済むのでコスパが良い」など、特に日本の環境において乾燥機能付きのマルチカラーユニットは非常に好評です。
  • 価格以上の印刷品質: 高速でありながら、印刷品質も良好で、コストパフォーマンスの高さを称賛する声が多くあります。

気になる評判・口コミ(注意点)

一方で、輝かしいスペックの裏で、いくつかの課題も浮き彫りになっています。

  • ソフトウェア面の課題: 「Mac版のスライスソフトの提供が少し遅れた」「マルチカラー印刷時の推定時間が大幅にずれることがある」といった、ソフトウェアの完成度に関する指摘が見られました。Anycubic初のマルチカラー機ということもあり、このあたりは今後のアップデートによる改善が期待されます。
  • オートレベリングの安定性: これは前モデルからの懸念点でもありますが、「自動調整がうまくいかず、手動での微調整が必要になった」という報告が一部にあります。センサーの精度や個体差による可能性も考えられます。
  • サポート体制への不安: 海外メーカーということもあり、「問い合わせへの返信が遅い、または無いことがある」という声がある一方で、「迅速に交換部品を送ってくれた」という肯定的な意見もあり、対応にばらつきがある可能性がうかがえます。

これらの評判を総合すると、Anycubic Kobra 3は非常に高いポテンシャルを秘めたマシンですが、時として発生するトラブルに自力で対処できる、ある程度の知識や経験があるユーザー(中級者以上)にとって、より満足度の高い製品と言えるかもしれません。

Anycubic Kobra 3のおすすめな点まとめ

これまで様々な角度からAnycubic Kobra 3をレビューしてきましたが、ここで特に「これは素晴らしい」と言える本機のおすすめポイントを3つに絞ってご紹介します。

結論として、「マルチカラーと乾燥機能の完璧な融合」「誰でも簡単な組み立てとセットアップ」「業界最速クラスのプリントスピード」が、Kobra 3 Comboを際立たせる大きな強みです。

まず、最大のおすすめポイントは「マルチカラープリントと乾燥機能の相性の良さ」です。

4色や8色を使ったマルチカラープリントは、完成までに10時間以上かかることも珍しくありません。

これだけ長時間フィラメントを外気に晒しておくと、特に湿度の高い季節には湿気を吸ってしまい、印刷品質の低下やノズル詰まりの原因となります。

その点、Kobra 3 Comboのマルチカラーユニット「ACE Pro」は、密閉された空間でフィラメントを加熱乾燥させながら印刷を進めることができます。

これにより、フィラメントの品質を最高の状態に保ったまま、安心して長時間のマルチカラープリントを楽しめるのです。

次に、「組み立てが非常に簡単」である点も特筆すべきです。

3Dプリンター、特に複数の機能を持つマルチカラー対応機と聞くと、組み立てが複雑で時間がかかりそうだと感じるかもしれません。

しかし、Kobra 3はガントリー(門型の構造部分)が土台に取り付けられた半完成品の状態で届き、ユーザーはプリントヘッドなどのいくつかの小型パーツを取り付けるだけです。

ACE Proに至っては組み立て作業は不要で、ケーブル類を接続するだけで準備が完了します。

初心者の方でも30分程度あれば十分にセットアップを終えられる手軽さは、大きな魅力と言えるでしょう。

最後に、やはり「業界最速クラスのプリントスピード」は外せません。

最大600mm/sという速度は、プリントベッドが前後に動く「ベッドスリンガータイプ」の3Dプリンターとしては驚異的なスペックです。

これにより、アイデアをすぐに形にしたり、大きな造形物を短時間で完成させたりすることが可能になります。

「速くて、カラフルで、しかも扱いやすい」という、現代の3Dプリンターに求められる要素を高次元で満たしている点が、Anycubic Kobra 3の最大のおすすめポイントです。

Anycubic Kobra 3の購入前に知るべき注意点

Anycubic Kobra 3は非常に高性能で魅力的な3Dプリンターですが、購入してから「思っていたのと違った」とならないために、事前に知っておくべき注意点も存在します。

ここでは、特に把握しておくべき3つのポイントを解説します。

結論として、「ACE Proの乾燥機能には制限があること」「高速動作に伴う振動と騒音」「ソフトウェア面が発展途上であること」は、購入前に理解しておく必要があります。

まず、「ACE Proの乾燥機能の制限」についてです。

この機能は非常に便利ですが、専用のフィラメント乾燥機と全く同じ性能ではありません。

加熱温度は55℃までとなっており、より高温(70℃など)での乾燥が必要な一部の特殊フィラメントには対応しきれない場合があります。

また、庫内の湿度を表示する機能はないため、乾燥が十分かどうかを数値で確認することはできません。

あくまでも印刷中の吸湿を防ぐための付加機能と認識しておくのが良いでしょう。

次に、「高速動作時の振動と騒音」です。

最大600mm/sという高速で質量の大きいプリントベッドが前後に動くため、動作中の振動はかなり大きくなります。

3Dプリンターを設置するテーブルや棚は、ぐらつかない頑丈なものを選ぶ必要があります。

騒音レベルも約60dBとされており、これは洗濯機や掃除機の音量に近い値です。

静かな環境で使いたい方や、夜間に稼働させることが多い方は、この点を考慮する必要があるでしょう。

最後に、「ソフトウェア面の課題」です。

Anycubic初のマルチカラー機ということもあり、専用のスライスソフト「AnycubicSlicer」は、リリース当初にいくつかの不安定な点(Mac版の対応の遅れ、マルチカラー印刷の時間表示のズレなど)が報告されていました。

これらの多くはアップデートによって改善されていますが、Bambu Labなど先行するメーカーのソフトウェアと比較すると、まだ発展途上な部分があることは否めません。

ソフトウェアは今後も改善されていくと期待されますが、現時点ではある程度の試行錯誤が必要になる可能性があることは念頭に置いておきましょう。

これらの注意点を理解した上で、それでもなおKobra 3の持つ魅力が上回ると感じる方にとっては、非常に満足度の高い一台となるはずです。

まとめ:Anycubic Kobra 3 レビュー解説

  • Anycubic Kobra 3は最大600mm/sの高速印刷が可能な3Dプリンターである
  • ACE Proとの組み合わせで最大8色のマルチカラー印刷に対応する
  • ACE Proはフィラメントの乾燥機能を搭載し湿気対策に有効である
  • 造形サイズは250x250x260mmと標準機より一回り大きい
  • LeviQ 3.0による全自動レベリングで初心者にも扱いやすい
  • ノズル最高温度300℃で多様なフィラメントに対応可能である
  • 価格は競合機種と比較してもコストパフォーマンスに優れる
  • 高速動作時の振動や騒音が大きいため設置場所には注意が必要である
  • ソフトウェア面は発展途上であり今後のアップデートに期待される
  • ある程度の知識を持つ中級者以上におすすめできる一台である
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